2017年09月20日

≪おすすめ本≫NHKスペシャル取材班『原爆死の真実 きのこ雲の下で起きていたこと』被爆直後の2枚の写真を分析し、「非人道兵器」の酷さに迫る=菅原正伯

 米軍が撮影したきのこ雲の写真はあるが、8月6日に広島市中心部で被爆した人々を撮った写真は、世界に2枚しかない。中国新聞社の松重義人カメラマンが、原爆投下の3時間後に、爆心地から2・3キロ離れた御幸(みゆき)橋で撮った避難民の写真がそれである。
 Nスペ取材班は、この2枚の写真を徹底調査し、御幸橋の惨状を最新のCG技術で映像化し被爆の実相を後世に伝えようと番組を制作。本書はその経過をまとめたドキュメント。原爆がいかに人間を残酷に殺す「非人道兵器」であるか、怒りをこめて告発している。

 取材の過程で新しく解明された点をあげれば、1つは原爆特有の「フラッシュ・バーン(閃光熱傷)」と呼ばれる熱傷が大量に発生したメカニズムである。原爆による熱光線で体内の水分が一瞬にして水蒸気となり、膨張して皮膚を大きく裂き、真皮層がめくれ上がるので激痛に襲われる。「必要以上の苦痛を与えた上で、命を奪う」残忍な殺し方だった。

 2つめは、最大の犠牲者が中学生だったこと。8月6日に亡くなった人のうち、男女とも12歳と13歳の割合が群を抜いて高い。中学生は学徒動員で「建物疎開」の作業に当たっていた。6日に爆心地から2`圏内いた中学生は約8千人、その7割が亡くなった。無差別爆撃でも、酷すぎる。
 御幸橋の写真の調査は難渋した。もともと後ろ姿が多く、性別や年齢も定かでなかった。それをわずかの手がかりをもとに「事実に基づいて映像化する」方針で、一つひとつ究明していく姿勢は、調査報道の原点を想起させる。スタッフ全員が広島放送局の勤務経験をもつ執念と熱意の労作だ。
(岩波書店2000円)
「原爆死の真実」.jpg
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2017年09月17日

【今週の風考計】9.17─なんと年間1170時間まで残業OKの法案を提出する安倍政権の厚顔と無恥

「電通」違法残業事件の初公判が22日に開かれる。過労自殺に追い込まれた新入社員の女性は、1カ月前の残業時間が月105時間に達していた。その経緯と労働実態が、公開の場でどれだけ明らかにされるか、注目される。月末に開かれる臨時国会には「働き方改革関連法案」が提出される。その内容が問題だ。「残業の上限規制」と「高プロ残業ゼロ」を、強引に抱き合わせて一本化した法案だ。残業の上限規制にしたって、過労死ラインは月80時間と認定しているのに、繁忙期でも「月100時間未満、年720時間」へと改悪する。

さらにタクシーやバス、トラック運転手は除外され、5年後になって、残業の上限を年間960時間まで改悪しての適用だ。この上限には休日労働は含まれない。なんと年間1170時間まで残業OKとなる。「高プロ残業ゼロ」も要注意。年収1075万円以上の専門職は、この規制から外され残業代は支払われない。これに当てはめる専門職の年収額引き下げは目に見えている。

30年前の1987年11月、N 製本・金井さんが過労死した。金井さんは死亡直前1カ月の残業は129時間24分。労組や過労死家族の会と共に、労災認定・補償を勝ちとるため、労基署交渉や裁判所への要請、街頭宣伝・デモなどに取り組んだ。そして15年、2002年秋に勝利解決した。その闘いに携わった人々の顔が思い出される。いま「全国過労死を考える家族の会」代表・寺西笑子さんは、「裁判で労災だと認定され、企業が謝罪をしても亡くなった人は生き返りません。こんな悲しい思いをする遺族をこれ以上増やしたくありません。今回の法案で健康や命が守れるのでしょうか」と問う。(2017/9/17)
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2017年09月15日

≪おすすめ本≫ 臺 宏士『検証 アベノメディア 安倍政権のマスコミ支配』政権の巧みなダメージ回復操作に取り込まれるメディアを検証する=野呂法夫(新聞記者)

「それは印象操作です」。森友、加計両学園問題の国会追及で安倍首相がいらだち口撃≠キるたびに、ひも解きたくなったのが本書である。

 自身の疑惑で今、政権支持率は低下したが、「安倍一強」を下支えてきたのは何か? 著者は「政権の巧みなダメージコントロール」に着目する。特定秘密保護法や安全保障関連法の成立直後に高い支持率は落ちるが、翌月にはポイントを上昇させ、回復する。
 昨年はオバマ、プーチン両大統領の来日、リオ五輪閉会式での安倍マリオなど、読者や視聴者を意識した外交イベントを演出。成果は二の次の「やった感」の印象操作が大きいが、報道のあり方に問題はなかったのか。

 著者は毎日新聞時代、辛口のメディアウオッチャーで鳴らし、安倍氏の動向も追ってきた。「恫喝」と「懐柔」でメディアへの介入と分断を試みる一方で、一部経営陣が近寄ろうとしているようにも映る奇妙な共存関係に疑問を感じ、メディアの置かれた全体状況を本の題名にして検証した。
 四部構成で、高市総務相の停波発言や籾井会長下のNHK、戦時報道体制、改正通信傍受法や「共謀罪」と表現の自由とのかかわり、沖縄報道などさまざまな事例から分析する。いずれ避けられない報道機関の自己検証にも役立つだろう。

 本書は2月に刊行され、その後の両学園問題でテレビなどが名誉挽回とばかり首相や周辺を追い込んでいく。が、「忖度報道」「自主規制」体質から本当に脱したのか?権力監視はぶれないか?官邸の巻き返しや共存関係に変化は?…など興味は尽きない。先々の続編が待ち遠しい。
(緑風出版2000円)
『検証アベノメディア』.jpg 

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2017年09月13日

《遠吠え》新旧2人の知事の立ち居振る舞いに、「政治家の矜持と節操の違い」を見てしまった。=田悟恒雄

 9月12日の東京新聞によると、原子力規制委員会は、13日に予定していた東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査書案(事実上の「再稼働許可証」)の取りまとめを、しばし見送ることにしたそうです。
 その心は?

 「規制委は、福島第1原発事故を起こした東電の原発事業者としての適格性に一貫して厳しい姿勢だったが審査の最終盤で一転して容認。前回6日の定例会合で審査書案の取りまとめに入る方針を示したが、ごく短い議論で適格性を認めたことに批判が相次ぎ、かわす狙いがあるとみられる。」

 と、そんなとき、10月22日の衆院新潟5区補選に泉田裕彦・前新潟県知事が、なんと自民党公認で出馬することを受諾したという。このお方、突如知事職を投げ出したときといい、今回の身の振り方といい、支離滅裂。
 その一方で、「福島事故の検証と総括がなければ〔柏崎刈羽原発〕再稼働の議論はしない」と言ってきた当の泉田氏の立場を踏襲するとして跡を襲った米山隆一・現知事は、県が12日に開いた再稼働問題に関する検証のための「健康・生活委員会」で、次のようにあいさつしています─。

 「〔福島の〕事故の総括をここでしないと、いつするのか。検証を、日本全体、さらには海外にも共有していくという志をもって進めたい。…検証には3、4年かかると思う。さまざまな立場から科学的な議論をし、原発立地県をはじめ日本全体、海外にも結果を共有してもらう志で、じっくり検証してほしい」(朝日新聞、新潟日報より)と。

 新旧2人の知事の立ち居振る舞いに、「政治家の矜持と節操の違い」を見てしまいました。

(「零細出版人の遠吠え」09/13より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年09月10日

【今週の風考計】9.10─16年目の「9・11」を考えつつ、アウンサンスーチーに向く批判の視線

<9・11同時多発テロ>から16年─今も米国では、イスラム教徒への暴力・迫害は続き、ヘイトクライムは勃発前の5倍にのぼるという。トランプ大統領は就任してわずか1週間後、1月27日、「テロとの闘い」を名目に、中東7か国からのイスラム教徒の入国を90日間停止、さらに難民は120日間受け入れを停止する大統領令に署名した。その後も、多様な民族との融和を拒む言動が続く。

こうした排他的な動きは、なにもトランプだけではない。いまや世界に広がる。近くはミャンマーでの武力衝突をめぐるアウンサンスーチー国家顧問の態度も、同類と見ていいのではないか。ミャンマー西部ラカイン州に居住する少数派のイスラム教徒・ロヒンギャ族への対応である。迫害されてきた歴史を背景に組織されたロヒンギャ武装集団と政府治安部隊との戦闘で、無辜の住民27万人が隣国のバングラデシュに避難している。にもかかわらずアウンサンスーチーは、ロヒンギャ武装集団という「テロとの闘い」を理由に、住民を保護せず、融和のための対策を取ろうとしない。

同じノーベル平和賞受賞者でパキスタン出身のマララ・ユスフザイさんは、この3日、アウンサンスーチーの積極的な発言を期待し、「世界とロヒンギャ・ムスリムが待っている」と、暗に今の態度を批判した。ロヒンギャ問題に対して、何も対策を取っていないアウンサンスーチーに対し、賞を取り消すよう求めるインターネットの署名サイトも立ち上がり、すでに署名は38万人分を超す。インドネシアでもイスラム教徒がミャンマーへの抗議行動を強めている。世界の厳しい視線がアウンサンスーチーに向けられている。(2017/9/10)


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2017年09月07日

《出版界の動き》出版者協議会が初の「ブックフェス」を9月9日に開催! ふるって参加を!

●書籍・雑誌の7月販売金額952億(前年比10.9%減)。書籍467億(同6.2%減)、雑誌484億(同15.0%減)。月刊誌17.1%減の大幅マイナス。返品率は書籍42.0%、雑誌46.2%、雑誌の販売自体が利益を生み出さない深刻な状況。
●集英社の決算は減収減益。売上高1175億(前年比4.4%減)。「雑誌」577.7億(同15.6%減)、「書籍」124.3億(同3.8%減)、当期純利益53.6億(同8.2%減)。

●今年55周年を迎える中公新書が好調、重版ラッシュ。呉座勇一『応仁の乱』40万部(25刷)、楠木新『定年後』も発売後、約3カ月で20万部(13刷)。7月発売の亀田俊和『観応の擾乱』・桃井治郎『海賊の世界史』・渡辺克義『物語ポーランドの歴史』も好調。

●「出版協ブックフェス」が9月9日10:00~ 韓国YMCAアジア青少年センター9階で初開催される。会員社の本を一般読者にアピールし、午後4時から、大阪屋栗田執行役員・鎌垣英人氏が「激動の書店流通時代─アマゾン・書店の今」と題して講演。入場料無料。

●出版界・上半期における販売額8310億円(同2.8%減)。紙版では販売金額7281億(前年同期比5.5%減)。「書籍」3954億円(同2.7%減)、「雑誌」3327億(同8.5%減)と低迷。返品率「書籍」34.2%(同0.1%減)、「雑誌」44.0%(同2.0%増)。電子版の販売金額1029億(同21.5%増)、市場全体に占める電子版占有率12.4%(同2.5%増)。

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2017年09月03日

【今週の風考計】9.3─終わっていない朝鮮戦争と北朝鮮のミサイル発射をめぐる因果関係

◆9日、北朝鮮は建国69周年を迎える。その日、グアム周辺に向けミサイルを4発、同時発射する計画が取りざたされている。愚かな選択による戦争の勃発は、絶対に避けなければならない。◆こうまで北朝鮮と米国の軍事緊張が続くのは理由がある。根源は、いまだに朝鮮戦争が1953年の「休戦」という形のまま、国連や関係国の間で「停戦」協定が結ばれていないことにある。

◆北朝鮮は米国に対し再三にわたり、休戦協定を平和条約へと前進させ、朝鮮半島の平和を確立するための提案をしてきた。だが64年が過ぎた今も締結されていない。米国は国連軍として朝鮮戦争に参加し、わずか3年の間に、北朝鮮の2百万人を超す人びとを殺害した。◆だが米国は北朝鮮の提案を無視するだけでなく、北朝鮮を敵国扱いし続け、韓国とともに北朝鮮への軍事圧力を強化してきた。しかも日本は当事者ですらないのに、この米韓軍事同盟に同調してきた。さらに日本は、国連に加盟している北朝鮮を、国として認めず、国交も結んでいない。

◆アジア地域の平和を目指すなら、今こそ日本がイニシアチブをとり、朝鮮戦争の「停戦」と平和協定の締結に向け、率先垂範して国連への働きかけを強めるときである。北朝鮮への石油禁輸など、さらなる経済制裁を呼びかけたり、PAC3の配備やミサイル発射3分後に鳴るJアラートに血道をあげ、国民を困惑させたりする前に、日本政府が果たすべき役割があるだろう。◆それはトランプ大統領に「火炎と憤怒」などの好戦的な言動でなく、米国は朝鮮戦争の「停戦」を宣言し、平和協定を締結すると、国連で表明するよう迫ることだ。(2017/9/3)

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2017年09月01日

≪おすすめ本≫多羅尾光徳ほか『「軍学共同」と安倍政権』科学を軍事に利用する予算の急増─その狙いを浮き彫りにし警鐘を鳴らす=栩木誠

 日本の軍事化にまい進する安倍政権。その学問・研究版が、軍(防衛省)と学(大学や研究機関)との共同研究を目指す「軍学共同」である。
科学・技術の成果を「軍事にも民生にも利用できる両義性(デュアルユース)」を打ち出し、学術の世界を「軍」の下請け機関にする動きが加速。
 その転機になったのが、2015年7月に募集が始まった防衛省技術研究本部による「安全保障技術研究推進制度」だ。初年度の3億円が翌年度は6億円、2年後には110億円と急増。ここには、大学予算が年々削られ、研究費確保に苦しむ研究者たちを、カネの力で軍事研究に誘い込む狙いが秘められている。

 本書は、危険な「軍学共同」の動きに対し、いち早く警鐘を鳴らし、その企みに反対する活動をけん引してきた池内了・名古屋大学名誉教授など、研究者による共著。
 ここには「軍事研究を加速させる二つの技術戦略と『軍・産官学』体制へと進む動き」など、科学が戦争に加担した戦前の負の遺産を学び、今起きている問題と危険性を浮き彫りにした7つの論文が収められている。
 さらに‟学者の国会„日本学術会議が3月24日の幹事会で決めた「軍事的安全保障研究に関する声明」と報告も収録。こうした積極的な反対行動により、「安全保障技術研究推進制度」の応募数を、大幅に減少させるなど、実を結びつつある。

 今や常態化してしまった「産学共同」の苦い経験に学び、学者・研究者と共に「軍学共同」の狙いや企てを報道することは、ジャーナリストの責務でもある。
(新日本出版社2000円)

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2017年08月31日

《焦点》 権力批判記事を掲載し続けるユニークな雑誌「通販生活」編集人がインタビューに答えた=橋詰雅博

 通販生活は(カタログハウス発行)ユニークな雑誌だ。販売する商品紹介に加えて読み物記事が約250ページの半分を占める。しかも脱原発や安保法制、集団的自衛権行使容認、米軍基地の沖縄一極集中などに反対した記事が目立つ。今年の春・夏・盛夏号では憲法改正の是非を問う国民投票法の問題点に取り組んだ特集を各号で掲載。読み物編集担当編集人の平野裕二さん(51)に3回連続で掲載した狙いなどを聞いた。
☆  ☆
――なぜ国民投票法にテーマを絞ったのですか。
 国民投票の実施が近づいていると考えたからです。安倍晋三内閣は、集団的自衛権行使容認を閣議決定して、安保法制を成立させた。これによって南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊は戦闘に巻き込まれる可能性がある駆け付け警護の新任務を負わされた。現行9条は実質的に改正されてしまったと考えています。その上に自衛隊を憲法九条に明記する改憲案を安倍首相は提示した。これで改憲されたら自衛隊は海外に出て行き戦争する危険性が高まる。通販生活はこれには断固反対の立場です。にもかかわらず国民投票法の中身や問題点を国民の多くは知りません。改憲は国民の生活スタイルや生き方にまで影響を及ぼす一大事です。このため3回続けて特集を組んだ。

スイス取材夏号で

――2007年の国民投票法成立前から特集を掲載していたそうですが……。
 国民投票が法制化されそうだというので、05年に重要な問題を国民投票で決めるスイスに取材に行き夏号で6ページ特集を組んだ。特に有料テレビCMの実態に力を入れた。メディアでは国民投票での有料テレビCMを一番早く扱ったと思う。その後、07年夏号、11年と14年にそれぞれ秋・冬号で掲載した。
――今年夏号で有料テレビCMは、「全面禁止にすべき」と主張していますが、なぜですか。
 投票日14日前以外は、テレビCMは自由ですからお金を持っている側は影響力の強いテレビCMをバンバン流せるが、お金をあまり持っていない側は限られる。資金が潤沢な改憲側が賛成テレビCMを大量に打てば、国民は洗脳されて改憲側が勝ってしまう可能性が高い。負けた護憲側は「金の力に負けた」と思い結果に納得できない。国民の間に分断が生まれます。だから全面禁止と訴えたが、最低でも賛成側と反対側が公平になるようなルールをつくる必要がある。

民放5社に質問書

――国民投票法の付帯決議では、有料広告のルール作りをメディアに求めているが、業界では何か動きがあるのか。
 国民投票成立後に放送事業者の業界団体の日本民間放送連盟(民放連)は「自主・自律による取り組みに委ねられるべき」と声明を出しました。それから10年が経過。編集部は今年3月16日に民放連に自主ルール作りについて問い合わせたところ、番組部は『ルール作りについては社会の動静を見ながら進めるべきだと考えている』と回答してきた。これは夏号に載せました。また、その後、在京の民放キー局5社に有料テレビCMの公平性の確保について『局内で検討されたことがありますか』と質問書を送付。『個別事案について従来からお答えしておりません』と各局ともほぼ同じ文言での横並び拒否回答でした(盛夏号に掲載)。民放連や民放各社に任せていてもルールづくりはなかなか進みません。

改憲は遠のいたか

――「森友」と「加計」の両疑惑などで安倍内閣の支持率が急落、改憲は遠のいたという見方があるが、どう見ているか。
改憲勢力が衆参両院で3分の2以上を占めている国会の下では、改憲発議ができます。遠のいたとは言えない。安倍首相が退陣しても、自民党政権が続けば、改憲はついて回る。安倍がいなくなったからもういいやと安心はできません。確かに野党が国政選挙で3分1以上の議席を獲得すれば、発議を阻止できる。そうした運動もあるが、改憲反対側が国民投票で勝てるように戦略を立てることも重要。その一つが国民投票における有料テレビCMの規制です。通販生活は今後もこれを記事で主張し続けていきます。
――ところで通販雑誌が反権力的な記事を載せる理由は。
 買い物は暮らしそのものであり、暮らしは政治に直接影響を受けます。戦争に突入したら、真っ先に制限されるのが買い物です。だから憲法や安全保障などの問題を積極的に取り上げるべきだと考えています。カタログハウス創業者・斉藤駿(現相談役)の理念です。
聞き手 橋詰雅博
☆   ☆
通販生活
 創刊は1982年。9割以上が定期購読者(定価180円)。60代以上の主婦が購読者の中心で、発行部数は110万〜120万部。年4回発行。

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2017年08月30日

《焦点》 2017年度JCJ賞を獲得した「日米合同委員会の研究」の著者・吉田敏浩さん=橋詰雅博

 2017年度の日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞の出版部門でJCJ賞を獲得したのは、「日米合同委員会の研究」(創元社)だ。
その著者でジャーナリストの吉田敏浩(59)さんは1966年にビルマ(現ミャンマー)北部のカチンなど少数民族が自治権を求めた生活と文化を取材した「森の回廊」(NHK出版)で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。他に「密約 日米地位協定と米兵犯罪」(毎日新聞社)などの著書がある。現在、立教大大学院特任教授も兼ねている。
 吉田さんは1952年に発足した「日米合同委員会」について2008年から調査してきた。同委員会は、日本の外務省北米局長などエリート官僚6人と、米国の在日米軍司令部副司令官など7人の合計13人で構成される。毎月2回開く会議では、米軍の基地使用や軍事活動の特権、米軍関係者の法的地位などを定めた日米地位協定の解釈と運用を協議している。
 「合同委員会の議事録や合意文書は原則非公開。このため省庁や最高裁などの秘密資料・部外秘資料、在日米軍の内部文書、米国政府の解禁秘密文書などを入手して調べたところ、米軍優位を保障する数々の密約があることが分かりました」
 「裁判権放棄密約」もその一つ。米軍人・軍属・それらの家族が関わった犯罪事件で、日本にとって著しく重要な事件以外は、日本側は裁判権を行使しないとしている。
「密約は米軍に事実上の治外法権を認めたものです。日本の主権を侵害している。安倍政権は、この問題に手をつけて、真の主権回復を目指すべきだ」

 
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2017年08月29日

《遠吠え》通勤客を苛立たせる「Jアラート」は、「アベ内閣支持率瞬時浮揚システム」じゃないのか?=田悟恒雄

 零細出版人はこのところ、「仕事は涼しく明るいうちに」ということで、「早朝出勤・早時退散」をモットーとしています。そうすれば、あまり原発の世話にならなくて済む、というわけです。
 けさも6時前に最寄り駅に着くと、何だか様子がおかしい。すると駅のアナウンスが、「安全確認のため全線、運転を見合わせております」と繰り返し始めます。でも、その理由については、何の説明もありません。
 20分ほど待たされてから運転再開。社内アナウンスで初めて、理由を知らされることになります。「北朝鮮がミサイルを発射したので、安全確認のため運転を見合わせました」と。ちなみにそれは、10分に1回の割りで放送されました。
 では、いったいどんな「安全確認」をしたというのでしょう? 保線区員が出て線路の点検をした形跡もありません。
 「Jアラート(全国瞬時警報システム)」なるものが出ると、いつもこうなるってことなのでしょう。まるで戦時中の「空襲警報」の復活といった塩梅です。
 で、今回は「自衛隊法にもとづく破壊措置」は実施しなかったということです。そんなもの実施したところで当たりゃしないでしょうし、命中しようがしまいが、下界の住民にとってはかえって危なっかしいことになるだけでしょう。
 そう考えていくと、「Jアラートはアベ内閣支持率瞬時浮揚システムじゃないのか?」なんて思いたくもなります。

(「零細出版人の遠吠え」08/29より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年08月27日

【今週の風考計】8.27─東芝の「泥沼」に続く、もっと重大な危機に注意せよ!

WH買収からWDへ売却─東芝の哀れな結末である。11年前、6200億という破格の値段で、米国原子炉メーカー・ウエスチングハウス(WH)を買収した。それが「躓きの石」となって、経営危機に陥ったあげく、ついに米国の半導体大手ウエスタンデジタル(WD)連合に、大切な「東芝メモリ」を2兆円で売却する。

いま<東芝問題>で問われなければならないのは何か。「原子力立国」を謳い、原発の国内増設・海外への輸出拡大プランを、国策として推進した安倍政権の責任である。とりわけ<3・11フクシマ>後も、経産省がとり続けた原発政策の罪は重い。

「国策」の泥沼による悲劇は、なにも東芝だけではない。「アベノミクス」そのものも「泥沼」じゃないか。安倍政権の言いなりになる日銀<黒田バズーカ>は、異次元緩和政策をブッパなして4年以上が経つ。物価上昇2%は幻と消え、発行国債の4割も使って日銀が購入する、上場株の異常な「爆買い」は拡大する一方だ。保有額は時価ベースで16兆円に上る。

日銀が日本企業の独占株主となり、経営を支配しかねない異常事態だ。これを見越してコバンザメのように、ついて離れない投資家や便乗する銀行も出てきている。現に不動産取引のJリート市場は、日銀が年920億円も買い増しをしている結果、地方銀行は低金利のあおりを回収しようと、販路を求めてJリート市場へのノメリコミが進む。いまや新バブル状況となり、コケた時の経済不安が言われている。まさに「アベノミクス」が始まって10年、10年周期の経済大変動が近い。(2017/8/27)

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2017年08月25日

《焦点》 「築地ブランド」はよみがえれない=橋詰雅博

 東京都の小池百合子知事は、豊洲に市場を移転させた後、築地跡地を売却せず、5年後をメドに再開発し、「食のテーマパーク」にする方針だ。これは「築地ブランド」を守るためだと説明するが、築地ブランドとは何を指すのか。市場関係者は、それは「築地の魚」を指すという。築地の魚というだけで値段は高めだが、消費者は納得する。だから築地の魚というブランドを残したいため2つの市場の併存を小池知事は思いついたのだろう。
 築地の魚が世間から高く評価されるようになったのは、品質を見抜き、それに応じた値段を設定する目利き≠ノ優れた仲卸業者いたからだ。仲卸は卸業者から鮮魚などを買い、それを小売店や飲食店など「買い出し人」に売るのが仕事。
 築地で30年、鮮魚を扱う仲卸として働く東京中央卸売市場組合長の中澤誠さんは、こう言う。
 「かつて沖縄のマグロが高額でセリ落とされたことがある。ブロンド力のない生産者でも築地に持ち込めば、仲卸業者がちゃんとした値段をつけて買ってくれるという信頼性が広まった。従って漁師は『いい魚をとろう』とする。出荷する際もぞんざいに扱わない。目利きができる仲卸業者が取引する値段に信頼を置くから築地にいい魚が集まる。これが『築地の魚』というブランドが生まれた背景です」
 市場と言えば、威勢のいい掛け声が場内に響きわたるセリをイメージするが、築地では現在その割合は1割程度。卸業者と仲卸業者が話し合って値段や量を決める相対取引がメインだ。
 「仲卸はこの鮮魚ならこの値段であの小売店が買ってくれると頭で思い描きながら取引する。セリが少なくなっても、目利きの重要性は変わらない。しかし、土壌汚染の無害化ができない豊洲に市場が移転すると、豊洲を嫌う仲卸業者や小売店の廃業は続出します。移転した時点で、築地ブランドは消えます」(中澤さん)
 小池知事が守るといった築地ブランドは甦らない。


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2017年08月24日

《遠吠え》ちっぽけな出版の世界にも露骨に現われてきた「一強支配」は、この国の「文化の危機」でもある=田悟恒雄

 「書店ゼロの自治体、2割強に」という、けさの朝日新聞記事には、商売柄、さすがに驚きを隠せません。
 「書店ゼロ自治体」は4年前より1割増え、北海道58、長野41、福島28… いやいや、もう結構。なかでも、従来から読書人口が多いと見られてきた信州の「41自治体」は、ショッキングでした。
 書店調査会社アルメディアの調べでは、この5月現在、全国の書店数は1万2526軒で、2000年の2万1654軒から「4割強も」減っているとのこと。
 お題目のように唱えられてきた「活字離れ」はもとより、「読書人口」どころか、そもそもの「人口」が減っている。そして何より、雑誌はインターネットに食われ、書籍も、アマゾンなどネット書店の鼻息の荒さを前に為す術を失ってしまった。
 そして、最盛期(1986年)の半分ほどに落ち込んでしまったパイをめぐり、大手書店チェーンによる「仁義なき出店競争」が展開され、「街の書店」は次々弾き出されるばかり。
 その結末が、「書店ゼロ自治体」となるわけです。
 そんなこともあり、最近になってようやく、わが出版界のあちこちから、アマゾンの芳しからぬ風評が頻繁に聞こえてくるようになりました。
 つい最近の出来事でも、公取に目を付けられて「見直し」を余儀なくされた「電子書籍契約の最安値条項」や、「日販への突然のバックオーダー発注終了通告」(Cf.「前門のアマゾン、後門の取次」)など、「一強の横暴」は枚挙にいとまがありません。
 「一強支配の弊害」は、べつに政治の世界の専売特許ではありません。このちっぽけな出版の世界にも、同じ弊害(独占)が露骨に現われてきた、ということなのでしょう。
 では、この国の「文化の危機」ともいえる状況を前に、読者は何をなしうるのでしょう?
 まずは、「リアル書店」で本の実物を確かめる習慣を取り戻したいこと。そして「ネット通販」を利用するにせよ、他の「ネット書店」にも広く目配りするなど、アマゾンへの一極集中を避ける試みも考慮されるべきかもしれません。

(「零細出版人の遠吠え」08/24より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年08月20日

【今週の風考計】8.20─共謀罪の導入と「エックスキースコア」が忍びよる恐怖

19日に行われたJCJ賞贈賞式の記念講演で、小笠原みどり氏は「監視社会とメディア」と題し、衝撃的な報告をされた。その内容を多くの人と共有したい。米空軍横田基地で09年から2年間勤務していたエドワード・スノーデンが暴いた文書の中身である。アメリカ国家安全保障局(NSA)は、60年以上にわたり違法な監視システムを、日本にも秘密裏に導入し、私たちの日常生活に関わる全ての情報や通信を盗聴し収集してきた事実である。

しかも日本政府は、これら米国の施設や運用を財政的に支援するため、膨大な金額を負担してきた。その見返りにNSAは、ネット上の電子情報を幅広く収集・検索できる「エックスキースコア」、別名<スパイのグーグル>といわれるシステムを、防衛省情報本部電波部に提供している。東京の米軍横田基地に諜報活動の通信機器を修理・製造する施設を造る際、7億円の建設費を日本側が負担したという。ここで製造されたアンテナなどの機器は「アフガニスタンでのアルカイダ攻撃を支えた」と記載されている。

また沖縄にある米軍の諜報・通信施設「象のオリ」を、キャンプ・ハンセンに移設する600億円の費用も、日本は全額負担している。しかもスノーデンは「秘密保護法は実はアメリカがデザインした」と証言しているように、共謀罪法を始め、安倍政権の異常ともいえる数々の監視法制の強行は、日米両政府の共通目標なのだ。不都合な真実を消そうとする権力、それに抗う声をつぶすための監視─メディアに携わる私たちは、秘密を暴露し真実を知らせる作業を強めねばならない。(2017/8/20)
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2017年08月18日

≪私と仕事≫ 私がなぜ「日本ナショナリズムの歴史」にとりくんだのか─梅田正己

 1945年の敗戦の年、私は国民学校(小学校)4年生でした。 教育勅語を暗誦させられた最後の世代です。 一学期、やっと暗記できたと思ったら、夏休みに8・15を迎え、以後は一度も暗誦させられずに終わりました。 ナショナリズムは、したがって私には過去の遺物で終わっていました。
 それが今日の問題として立ち現われてきたのは、私が出版社に入り、高校生対象の月刊誌の編集を担当するようになってからです。 1965年、文部大臣の諮問機関・中教審は高校生世代に向けて「期待される人間像」中間草案を発表しました。 その中にこんな言葉があったのです。
 「われわれは日本の象徴として国旗をもち、国歌を歌い、また天皇を敬愛してきた。…われわれは祖国日本を敬愛することが、天皇を敬愛することと一つであることを深く考えるべきである」
 戦前日本の青少年にとって最高の命題は「忠君愛国」でした。 表現はソフトになっていますが、指し示している方向は同じです。

 この翌々年、「神話史観」にもとづく戦前の紀元節が「建国記念の日」として復活しました。
 その後、月刊誌が会社の方針で廃刊とされたため、72年、仲間と共に出版社・高文研(当初の社名は高校生文化研究会)を設立、『月刊・考える高校生』(後に『月刊ジュ・パンス』と改題)を創刊しました。市販の条件はなかったため創刊時のマニフェスト「生徒と教師を主権者とする高校教育の創造をめざす」に共鳴した全国の先生たちの同志的〞熱意に支えられての出発でした。
 月刊誌の刊行とあわせて教育書を中心に人文書の単行本の刊行も開始し、以後、低空飛行ながら出版活動を続けることができました。
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《遠吠え》「北朝鮮の弾道ミサイル」騒ぎの裏に蠢く怪しげな連中の思惑から目を離してはいけない!=田悟恒雄

 キム・ジョンウン氏が米領グアム周辺への弾道ミサイル発射計画をぶち上げれば、ドナルド氏は「炎」だの「怒り」だの、思いっきり物騒な言葉を並べ立て、果ては「斬首作戦」なる究極の脅しまで繰りだしました。
 「嗚呼、理性というものはこの世界から消え失せてしまったのか?」などと思っていたら、急転直下、キム氏が「賢明な判断を下した」のだそうです。
 一方、そんな馬鹿げたやりとりを「千載一遇のチャンス」とばかり蠢き出した、怪しげな連中がいたのを見逃すわけにはまいりません。いつだかもありました。「軍事評論家」と称する何やらうさん臭い人たちが、TV画面を占拠したかに思えた時期が。
 で、このドサクサに紛れ、防衛省は「北朝鮮の弾道ミサイルへの対処」を口実に、陸上配備型の新迎撃システム「イージス・アショア」の導入を決めました。
 「北朝鮮の弾道ミサイル」を言えば、何でもあり。1基800億円といわれる新迎撃システムは、2基で1600億円。その裏には、「アンメリカファースト」を叫ぶドナルド氏や米国の軍産複合体の思惑、そして日本政界の国防族や、「千載一遇のチャンス」に敏感な大手商社の思惑が蠢いているに違いありません。
 「火事場泥棒」とはこのことです。

(「零細出版人の遠吠え」08/18より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年08月13日

【今週の風考計】8.13─日米共同の軍事訓練「ノーザン・ヴァイパー」が狙う危険な企み

◆今日13日は、普天間飛行場に隣接する沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落してから13年。普天間基地の返還が実現されるどころか、ちょうど8カ月前の13日には、同基地所属のオスプレイが名護市の海岸に墜落。◆その後もオスプレイは低空・夜間飛行訓練、物資つり下げ訓練を繰り返し、ますます傍若無人に沖縄の空を飛び回る。県民の怒りは限界を超え、基地撤去の決意は高まっている。

◆目を北に向ければ、北海道では「ノーザン・ヴァイパー」が展開中だ。10日から始まったアメリカ海兵隊2000人と陸上自衛隊1300人が参加する日米共同の実動訓練である。ここにもオスプレイが参加する。◆5日、オーストラリア沖で沖縄・普天間基地所属のオスプレイが墜落事故を起こしたにもかかわらず、わずか6日後にはオスプレイ4機が普天間基地を出発、青森・米軍三沢基地に着陸した。「ノーザン・ヴァイパー」に参加するのは明白だ。

◆かつ怖いのは、陸上自衛隊の海兵隊化を図り、離島奪還のみならず世界のあらゆるところへ殴り込み・侵略に向けて、オスプレイと一緒に即応機動する陸上自衛隊づくりを、大目的にしていることだ。◆72回目の終戦記念日が来る。だが日本の上空は昼夜・所かまわず、いまだにオスプレイを始め米軍機が我が物顔に飛び交っている。日本の主権を主張するどころか、米軍の横暴を追認して恥じない安倍首相、どこの国の総理か。(2017/8/13)
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2017年08月12日

≪おすすめ本≫ 猿田佐世『自発的対米従属』と野坂昭如『農を棄てたこの国に明日はない』

猿田佐世『自発的対米従属』
 安倍政権は、特定秘密保護法や集団的自衛権の行使容認、「戦争法」の制定、原発再稼働など国民の反対に耳を貸さず強行してきた。その追い風に「ワシントン拡声器」が送ってくる「アメリカの声」を利用した。
 その「声」を発信するのは、アーミテージ元国務副長官やナイ元国防次官補ら「知日派」と称する専門家だ。日本政府は彼らの分析や政策提言を、金科玉条の如く受け入れ政策化している。
 著者はこの「アメリカの声」が、実は「日本製のアメリカの外圧=vである事実を暴き出す。日本政府や企業は米シンクタンクに資金を提供し、情報や発言の機会を与え、日本のメディアが「米政府の意向」と、大々的に伝える。

 日本政府と既得権益層は、自らの望む政策推進のために「ワシントン拡声器」を最大限利用する。米国で市民外交を展開する著者が「日米『共犯関係』とも言うべき、いびつな関係」を批判し、対米従属を絶対視する姿勢の転換を呼びかける。現場に立脚した提言は傾聴に値する。(角川新書860円) 河野慎二

野坂昭如『農を棄てたこの国に明日はない』
 「言っておきたい、いざとなったら金ではない。食いものがある国が生き残るのだ」。戦中・戦後と飢えの時代を生きた無頼派≠フ野坂昭如が、心の底から発した最期のメッセージ。
 本書には、戦争の悲惨と平和への願いを訴え続けた彼が、新聞や雑誌などに執筆してきた農業や食糧問題に関するエッセイ・対談、手紙談議が収録されている。

 「日本人よ 飢えを忘れるな」「農業問題は、消費者がまず考えなければならない」「手紙談議 農を棄てたこの国に明日はない」と、3章立てになっている。
 とりわけ引きつけられるのが、亡くなる数日前まで書き続けた、農民作家、山下惣一氏との手紙談義である。
 「飽食とは農業蔑視の時代です」、「農業は『カネを稼ぐ手段』になったから衰退したのです」、「米離れが続けば、やがて日本人は飢えるだろう」―二人の談義は、日本農業の伝統と生産者たちの矜持を傷つけ、存亡の危機に追い込もうとする「安倍新農政」に対する痛烈な「警世の語」である。(家の光協会1500円) 栩木 誠
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2017年08月09日

《遠吠え》「アンメリカファースト」「北朝鮮ファースト」が行き着くところ、「リアルニュース」=田悟恒雄

 日本とは違って「会食作戦」などでは容易に手なずけられない米国メディアに手を焼くドナルド・トランプ氏、自分に批判的なメディアを「フェイクニュースだ!」なんて罵倒するだけでは飽き足らず、とうとう自分のFacebookで、自画自賛動画「リアルニュース」の配信を始めたそう。
 キャスターを務めるのは、元CNNの女性コメンテーター、カイリー・マッキーナニー。「ハフポスト」が伝えるところによると、約1分半の番組はこんな具合だったよう─。

 「マッキーナニーは『1週間のニュースをここニューヨークのトランプタワーからお伝えします』と話し始めた。4日に発表された雇用統計を紹介し『トランプ大統領は明らかに経済を正しい方向に戻している』と実績を讃えた。
 さらに『アメリカ国民の雇用を守るため』として移民を規制する法案を発表したことやベトナム戦争の功労者らを表彰したことなどを伝えた上で『これがリアルニュースです』と動画を締めくくった。
 ロシアの介入疑惑や、相次ぐ政府高官の辞任、就任前の言葉と矛盾する17日間もの夏休みを取ったことなど、トランプ政権に都合の悪い話題には一切触れなかった。」

 そりゃそうでしょう。「リアルニュース」だなんて言うけれど、ついつい、核実験やミサイル発射の成功を伝えるキムさんちの自画自賛ニュースを思い出してしまいます。
 「アメリカファースト」に倣って「日本ファーストの会」を立ち上げたみなさま、こんなことまでトランプさんにあやかるのは止めてくださいね。

(「零細出版人の遠吠え」08/09より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年08月08日

≪おすすめ本≫「緑陰図書─私のおすすめ」異常な「監視と格差」が進む日本の現実を衝く好著2冊=山田厚史(デモクラシータイムス同人)

 テロ等準備罪処罰法が7月11日から施行された。犯罪を実行する前の共謀や準備で罪に問われる。立証するには「怪しい奴」を監視するシステムが不可欠だ。通信傍受、監視カメラに声紋、顔識別、所在確認など大量のデータを権力が握り、普通の市民まで網にかける。それが監視社会の特徴だ。

 小笠原みどり『スノーデン、監視社会の恐怖を語る』(毎日新聞出版)は、私たちへの警鐘である。2009年、来日したスノーデンは、米軍横田基地内にある国防総省の諜報機関・米国国家安全保障局(NSA)の契約社員として働いていた。その経験から、日本の監視システムや秘密保護法は米国のためにデザインしたものだという。
 日本政府や政治家は監視され、気付いても抗議することさえできない。スノーデンの証言は、「諜報活動による対米従属」の実態を、鮮明な姿で突き付けてくれた。私たちが置かれた状況や日米同盟の内実を知る一冊としてお勧めしたい。

 井手英策『18歳からの格差論』(東洋経済新報社)は、新自由主義とグローバル経済によって煽られた、格差の拡大を、財政を媒介にした所得の再配分で是正しようという提案である。
 日本では、将来不安への備えは、自己責任による貯蓄だといわれてきた。その仕組みが成り立つのは、所得拡大が可能な経済成長が前提である。しかし成長は鈍化し、貯蓄や雇用が脅かされる現状では、成立しない。

 著者は成長を前提としない「分かち合う経済」を提唱する。生まれ落ちた環境で貧富が決まるような、「運に支配された人生」ではなく、全ての人に尊厳のある暮らしを保証する、均質な行政サービスを政府の責任で提供すべきだと説く。
 だが最大の課題である「負担増」を、人々にどう求めるか。著者は、ユニバーサリズムという財政の仕組みを提案する。
 タイトルにあるように18歳の素人でも分かる平易な財政論だ。行き詰まりが見えたアベノミクスへの対案でもある。政界再編の一つの軸となるのではないか。
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2017年08月06日

【今週の風考計】8.6─日本列島に響くカネの音と踊りの熱気。祭り好きの熱い10日間。

夏の祭りが熱気を拡散しながら、日本列島を南下している。まず東北3大祭りが、2日の青森ねぶた祭り、3日の秋田竿灯まつり、7日の仙台七夕祭と続き、夏の夜空をいろどった。そして地上では山形花笠まつりだ。「ヤッショ マカショ」の掛け声に合わせて踊りのパレードが繰り広げられている。

11日からは江戸三大祭りのひとつ、水かけ「深川八幡祭り」。120基の町神輿が練り歩く。中部地方では、13日から郡上おどり。浴衣姿の数万人が、次々に演奏される囃子歌に合わせ、身振り手振りを変えながら明け方まで踊り抜く。オッと忘れちゃいけない。よさこい祭りが9日から始まる。鮮やかなメイクと衣装の個性豊かな2万人の踊り子が鳴子を鳴らし、高知の夏を盛りあげる。そして12日からは「踊る阿呆に見る阿呆…」の阿波踊り、ヤットサーヤットサーという掛け声とともに、徳島一円が踊り一色に染まる。

賑やかさとは無縁な、古式ゆかしい小さな島の盆踊りもいい。岡山県笠岡港の沖合16kmの瀬戸内海に浮かぶ白石島の「白石踊り」、13日から3日間、ひとつの音頭に合わせて、女性が紫の頭巾をかぶり金と銀の扇子を翻しながら踊るなど、男踊も加え十数種類ものバリエーションを舞う。さて最後は14日から始まる、長崎県平戸市に伝わる念仏踊り「平戸のジャンガラ」。造花で飾った華やかな菅笠をかぶり、浴衣姿の腰に小さな太鼓を付けて踊る。豊作と雨乞いを祈願する伝統行事であり、かつ先祖供養の盆踊りも兼ねる。おはやしのカネの音・ジヤンに加え、太鼓の音・グワラに由来するといわれる。とにかく祭り好きには熱い1週間だ。(2017/8/6)
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2017年08月04日

《焦点》 新聞社の「押し紙」問題を追及して20年に及ぶジャーナリストの黒薮哲哉さん=橋詰雅博

 フリージャーナリストの黒薮哲哉さん(59)は、販売店が注文した部数を大きく超えて新聞社が搬入する、読まれることのない新聞紙、いわゆる「押し紙」問題を追及して20年に及ぶ。この押し紙を含む新聞経営の諸問題を扱った7冊目の著書「新聞の凋落と『押し紙』」(花伝社)を5月末に出版した。新聞社を取材対象とした週刊業界紙の記者時代に押し紙の実態を知ったのが取材のきっかけ。近著では日本新聞協会が押し紙を隠すため姑息(こそく)な手段を使ったことを問題にしている。
 「日本新聞協会の販売委員会とも言える『地区新聞公正取引協議会』は、配達中に新聞が雨などで破損したときに使われる予備紙の割合を搬入部数の2%と定めていた。公正取引委員会も販売店の注文部数は、予備紙を加えたものと定義しています。それをオーバーした部数は押し紙になります。公取委は2009年に新聞特殊指定改訂に際し、予備紙を含む注文部数以外で新聞を買い取らせることはできないとしました。目的は押し紙の取り締まりでした。ところが改訂版施行前に、新聞協会は予備紙2%ルールを廃止した。ルールがあると、2%を超える予備紙は押し紙になるが、これがなければ、残紙はすべて予備紙であり、押し紙ではないという詭弁(きべん)が成り立つ。改訂版施行後、残紙を予備紙と呼んでいる新聞社もある。販売店では予備紙が搬入部数の20%から30%にもなっている」
 3月末に国会で35年ぶりに押し紙問題が取り上げられたが、「安倍晋三内閣はメディアをコントロールする材料に使うため問題を放置している」と批判する。

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≪おすすめ本≫「緑陰図書─私のおすすめ」総がかり行動─「同円多心」の運動論に学ぶ=清水雅彦(日体大教授・憲法学)

 今年の5月3日に、安倍首相は憲法9条に自衛隊の存在を明記するという改憲案を提示し、7月の東京都議選で自民党が歴史的な大敗を喫しても、この改憲に意欲を示している。
改憲勢力が国会内で3分の2を占めている間に、なんとか改憲をしたいのであろう。

 従来、改憲派は2項削除・改正を主張してきたので、「加憲」論は後退といえる。これは平和運動の成果でもある。
「戦争法」は強引に制定されたが、この間の「戦争法」反対運動を牽引してきたのが、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」である。

 この構成主要3団体の一つ、「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」に属する高田健さんと菱山南帆子さんが、それぞれ単著を出版した。
 高田健『2015年安保、総がかり行動─大勢の市民、学生もママたちも学者も街に出た。』(梨の木舎)は、まさに運動の当事者による記録として、貴重な一冊である。
マスコミはシールズについては詳しく報じても、総がかり行動とは何かについて、あまり報じていない。連合系労組と全労連系労組が総がかり行動で共に運動するようになったことで、野党共闘も実現した。この接着剤の役割を果たした一人が「同円多心」の運動論を唱える高田さんだ。

 菱山南帆子『嵐を呼ぶ少女とよばれて−市民運動という生きかた』(はるか書房)は、この総がかり行動だけでなく、小学生の時の授業ボイコットや「君が代」拒否など、これまでの自身の「闘い」をまとめたものである。本書を読むと、こういう子どもがいてもいいと、大人にも考えさせてくれる。

 最後に、市民と野党の共闘で、安倍改憲論に対抗する一つの理論を提供するのが、渡辺治・福祉国家構想研究会編『日米安保と戦争法に代わる選択肢−憲法を実現する平和の構想』(大月書店)である。日米安保と自衛隊をどう変えていくかの道筋を、はっきり示している。
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2017年08月02日

《遠吠え》=アベ政権自家薬籠中の隠蔽体質は、チェルノブイリの「2重の棺桶」のようなもの=田悟恒雄

 1986年4月のチェルノブイリ原発事故では、爆発した4号炉にホウ素や鉛を投下し、半年かけてコンクリートで覆って放射能を閉じ込めます。これが「石棺」。
 あれから30年を経て、いよいよそれも役に立たなくなり、「石棺」の上を、高さ108m、幅257m、奥行き150mの巨大なアーチ型シェルターで覆います。いわば「2重の棺桶」というわけ。

 この間誰の目にも明らかになった「アベ政権の隠蔽体質」も、これとまったく同じこと─。

 政権にとって都合の悪いことは、何が何でも隠し通します。以前に存在していたことが明らかな文書ですら、「調査の結果、確認できなかった」などとして、始めから「なかったもの」にしてしまいます。これが「アベ政権自家薬籠中の隠蔽体質」。
 これを、防衛省の南スーダン国連PKO派遣部隊日報問題で見てみましょう─。

 1)まずは、現地で「戦闘」があったことを隠蔽するため、「日報」そのものを隠そうとします。その存在がバレ、そこに「戦闘」の語が頻出することが明るみに出てしまうと、稲田朋美前防衛相は、「法的意味での戦闘行為は発生していない」などと詭弁を弄します。
 2)防衛省による「組織的隠蔽」がいよいよ隠しきれなくなり、他人事のように「特別防衛監察」を指示するものの、実は、肝心の「隠蔽疑惑の渦中にある当人」は対象外にして、自らの周囲に煙幕を張っただけ。
 3)そして儀仗兵に送られての「辞任」。在任中は「国会から呼ばれれば出席する」としていた衆院安全保障委員会の閉会中審査にも、ぺろっと舌を出して出ないことに。

 「大臣を辞任し、一番重い責任の取り方をした」(自民党・竹下亘国会対策委員長)だなんて、きわめて悪質な冗談としか思えません。
 2重3重に「隠蔽」を図る「アベ政治」には、もはや我慢の限界!

(「零細出版人の遠吠え」08/02より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年07月31日

【今週の風考計】7.30─またもや沖縄の民意を欺く「普天間返還」の隠された条件

「基地を造ったら沖縄が戦場になる!」─26日の故大田昌秀元知事の県民葬で、安倍首相に訴える女性の声が会場に響いた。だが首相は「沖縄の基地負担軽減に全力を尽くす」と述べるだけ。かつ米軍普天間基地の返還を保障するには、「辺野古移設が唯一の解決」と強弁し続ける。

7月31日、普天間基地(約481ヘクタール)の東側4ヘクタールの土地が返還される。わずか120分の1足らず。あと120分の119は、いつ返るのか。辞職した稲田朋美・前防衛相は、辺野古新基地が完成しても、緊急時には米軍が沖縄の民間空港を使う。それができなければ普天間基地は返還されないと明言した。あまりにもひどすぎないか。辺野古新基地は滑走路が短いので、1.7倍も長い民間の那覇空港を米軍が使う、それが普天間の「返還条件」だという。何も基地負担の軽減になっていないじゃないか。普天間基地が残るのであれば、辺野古の建設工事を強行する理由は、一つもないじゃないか。

今も米軍飛行訓練は、沖縄各基地で夜間・日中を問わず激しさ増す。オスプレイの「つりさげ訓練」に始まり、2時間で数十回の旋回・離着陸、騒音や低周波音に安全と睡眠が脅かされている。政府は飛行訓練差し止めに向け、「日米合同委員会」へ提起し、在日米軍専用施設の7割を小さな沖縄に押し付ける非合理を訴える、それが先じゃないか。8月3日の内閣改造、支持率急落を挽回する目くらましには、「こんな人たち」といわれた、われわれ国民はだまされないぞ! (2017/7/30)
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2017年07月29日

≪おすすめ本≫ 奥野修司『魂でもいいから、そばにいて』─〈3・11〉後のぬくもりに満ちた不思議な体験を集める=雨宮処凛(作家・活動家)

 東日本大震災から6回目の夏がやって来る。
 奥野修司『魂でもいいから、そばにいて─3・11後の霊体験を聞く』(新潮社)は、被災地の不思議な体験を集めた一冊。

 高校時代に待ち合わせていた場所にいつも立っている、津波で流されたはずの友人。震災から3ヶ月後、やっと兄の遺体が発見され、死亡届を書いている時に兄の壊れた携帯から届いた「ありがとう」というメール。行方不明の父が遺体で発見される前夜、同時刻にドンドンと何度も叩かれた家族や親戚の家のドア。
 多くの人が震災から2年頃までは、不思議な体験について「話せなかった」と語る。が、3年を過ぎた頃から、語られ始めるようになる。妻と娘を亡くした男性は、「愛する人がいない世界は想像を絶する地獄です」と話す。が、死にたいと思った時に、不思議な体験をするのだ。そんな経験がなかったら、生きられなかったかもしれないと彼は言う。
 だからなのか、本書で綴られる不思議な体験は、ぬくもりに満ちている。「やっと会えた」という再会や「見守ってくれている」という確信を持つ物語のなんと多いことか。

 そんなふうに「魂でも会いたい」と願う人がいる一方で、生きている人間の日常は時にくだらなく、馬鹿馬鹿しいことに満ちている。それを教えてくれるのが末井昭『結婚』(平凡社)。「読んだら絶対結婚したくなくなる本だったら書きたい」という思いから、もっとも身近な他人との生活が綴られる。
 何しろ、「食欲と性欲だけで生きている下等動物のような」父親と、近所の若い男性と不倫した果てにダイナマイト心中した母親を持つ末井氏である。最初の結婚生活から離婚に至る経緯、そして再婚してからの暮らしが赤裸々に綴られる。人間ってどうしようもない。だからこそ、愛おしい。
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2017年07月27日

《遠吠え》「1月20日」にしがみつく"危険な賭け"(加計)に敗れたところで「詰みっ!」という話=田悟恒雄

 だいぶ前に、『平気でうそをつく人たち』という本が評判になったことがあります。アベ首相以下、先だっての衆参両院閉会中審査で政府側に立って口裏合わせた面々は、そんな類いの人たちってわけでしょう。
 その前頭筆頭アベノ強シンゾー氏なぞ、「獣医学部新設の提案者は今治市であり、加計学園ではない。事業主体が誰か、今治市から説明はなかった」などとして、加計学園の獣医学部新設計画を先刻承知だったことを隠蔽するために、涙ぐましいあがきを見せています。
 だいたい当の今治市の議会議事録には、菅良二市長のこんな発言が出てくるそうじゃないですか(日刊ゲンダイDIGITAL)? しかもコレ、今年の「1月20日」なんて話じゃありません。何と、その半年も前のことなのです(2016年6月)。

 「昨年〔2015年〕、構造改革特区と国家戦略特区の提案が一本化されたため、6月に国家戦略特区として、国際水準の獣医学教育特区の提案を愛媛県と共同で行い(略)本年1月、正式に国家戦略特区の指定と区域方針が決定された」「国家戦略特区に関しましては、安倍総理の強いリーダーシップにより進められており、今治市が指定を受けたことは非常に意義がある」

 では、アベ氏は何でそんな「バレバレのウソ」をついてまで、「1月20日」を死守しようとするのでしょう? 元東京地検特捜部の弁護士・郷原信郎 さんが、「首相のよんどころない事情」について、こう解説してくれます─。

 「昨年9月9日の国家戦略特区諮問会議の時点で、安倍首相が、加計学園の特区申請を認識していたとすると、そこでの議長の安倍首相の指示が、加計学園の獣医学部新設に便宜を図ったものであることを、事実上認めざるを得なくなるからだ」

 そうです(「郷原信郎が斬る」7月25日)。
 郷原さんはこのことを「"危険な賭け"に出たことで『詰将棋』に陥った安倍首相」と説いています。なーるほど。
 ってことは、この「賭け」(=加計)に敗れたところで「詰みっ!」(万事休す)ってわけですね?

(「零細出版人の遠吠え」07/27より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年07月26日

《焦点》 「豊洲移転は、最速で19年5月」、併存無理―東京中央卸売市場組合長の中澤誠さん語る=橋詰雅博

 東京都議会選挙で支持勢力の圧勝を受けて小池百合子都知事は、豊洲に市場を移し、築地を5年後に再開発する基本方針が「信任を得た」と選挙後の記者会見で述べた。両市場の併存は本当に実現できるのか。築地市場の現在地再整備を訴え続ける東京中央市場労働組合委員長の中澤誠さん(52)に、本紙4月25日号でのインタビューに続き再び築地市場移転問題で聞いた。
☆   ☆
――小池都知事の併存方針をどう思うか。
 まず都議会選挙で自民党が公約に掲げた豊洲市場への早期移転は、自民党を惨敗に追い込んだ都民が拒否した。これはよかった。併存方針は移転推進派と反対派の両方にいい顔をしたどっちつかずの案。マスコミ関係者によると、知事は築地再整備案あるいは豊洲に一時移転後に再び戻る案に傾いていたが、知事が代表を務めた地域政党・都民ファーストの会と選挙協力した公明党の了承を得られなかったそうだ。内容が整理できないままああいう基本方針を告示直前に発表せざるを得なかったという話を聞いた。

豊洲無害化困難

――来年5月をメドに豊洲に移転させると知事は言っているが、本当にできるのか。
 専門家会議は豊洲の土壌汚染を無害化するための追加対策として2つ挙げた。一つ目は水位が一向に下がらない地下水を下げるため揚水するポンプの増設です。当初は「水位を海抜1・8bで管理する」が目標でしたが、場所によっては海抜4bに達していて、目標を1度も実現していない。原因がわからないままポンプだけ増設しても水位が下がる保障はない。地層に穴が空いている可能性がある。原因究明が先ですよ。
 水銀ガス濃度の上昇を抑えるため地下空間の床面にコンクリートを敷くが2つ目の対策だ。一級建築士ら専門家の話を総合すると、現在の建物自体は耐震基準内だが、地層に30数bまで打ち込んだ杭にコンクリートをくっつけると重くなり耐震基準を満たすことができない。つまり違法建築になる。杭にくっつけずにコンクリートを置くだけの形になるが、どういう風に施工するのかが問題。ゼネコンなどが知恵を絞るのだろうが、大丈夫なのかと心配になる。こうした問題を解決しなければ豊洲の土壌汚染の無害化は達成できない。来年5月移転に向けたハードルはとても高い。

基本方針撤回を

――では移転はどうなるのか。
 選挙後に小池知事と業界6団体が話し合ったとき、移転推進派の築地市場協会の伊藤裕康会長も、同じく推進派の築地東京青果物商業協同組合の泉未紀夫理事長も、来年5月の移転はムリと言っている。土壌汚染対策などがある程度メドが立たないと、トラックを集めるなど本格的な準備に入れません。私は最速でも移転は再来年の5月、すなわち2019年5月と見ています。1年後に東京オリンピック・パラリンピックが控えている。五輪のため築地の跡地に環状2号を通す、選手らを運ぶバスなどの駐車場として跡地を活用する計画だが、実現は厳しい。このままでは五輪への影響は必至です。五輪と築地市場移転は切り離して考えるべきだ。知事選は3年後だし、ここで選挙ファーストの提案だったと認めて基本方針を撤回し、計画を練り直した方がいい。

説明責任果さず

――そもそも併存方針は現実的か。
 現場から出てきた話ではなく、うまくいかないだろう。80年代、手狭になった築地の機能を大井市場に分散させる案が出たが、現在の取扱数量はピークの半分。分散させる必要性はなく、分散となるとコストが嵩みメリットがない。経済の合理性を追求する資本主義のワクから外れる行為。両市場を統合するのならわかるが、分散する話が出てくるのはおかしい。年間100億円の赤字が出て、ムダに広く物流が非効率でコストが大幅に増える豊洲よりも、営業しながらリフォームできる築地の方が合理的です。豊洲移転によって、人件費や物流コストがどれだけ増えるのかがいまだに不明だし、買いにきてくれる人が増えるのかもわかない。むしろ食の安心・安全が揺らぐ豊洲市場を嫌いお客が減ってしまう可能性が高い。こうした不安要因を抱える一方で、大きな投資を強いられるから鮮魚を扱う仲卸を中心とした事業者の多くは移転に反対です。
――中澤さんらはこの先、どんな活動をしていくのか。
 小池知事は基本方針を説明した先月の記者会見では、記者との質疑をわずか5分で打ち切った。説明責任を果たしていない。石原慎太郎元知事のように頭ごなしで基本方針を強引に進めるのか、それともさまざまな人の意見を聞いて合意形成し大きく基本方針を転換させるのかを見極めたい。知事の姿勢を見てから次の行動を考えます。

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2017年07月25日

《焦点》 現実味を帯びてきた国民投票にいくら金がかかるのか=橋詰雅博

 不信感高まる「森友」「加計」両疑惑、自民党が惨敗した都議選、急落する内閣支持率、盛り上がる政権退陣を求めるデモと、安倍首相への風当たりが激しくなってきた。今まで国民の声を無視してきたしっぺ返しをくらっているが、ただし憲法九条を中心とした改憲の意欲は衰えていない。自民党は11月上旬までに改憲原案をまとめ、臨時国会に提出する予定。18年6月に改憲案を発議し、国民に改憲の是非を問う国民投票を実施しようとしている。
 スケジュール通りに行くかどうかはともかく、現実味を帯びてきた
国民投票はお金がどのくらいかかるのだろうか。
 10年前の2007年、衆院法制局による試算では、経費は約850億円。内訳は、投票所・開票所の設営・賃貸料が493億円、不在者投票や投票所入場券の郵送費などが224億円、公報発行費66億円、各政党に割り当てられる無料広告肩代わり費18億3000万円などの順だ。 
ところで国民投票の場合、発議後、投票前14日間の有料テレビCM禁止を除く期間は、改憲派と反対派は自由に各メディアに広告を出せる。広告費の上限は国民投票法で定められていない。宣伝効果が大きいテレビCMをメインとしたこの費用は―。「国民投票のルール改善を考え求める会」のメンバーで著述業(元博報堂社員)の本間龍さんがこう言う。
 「衆参の両選挙で各政党などがメディアに投じる広告費は約500億円。国民投票では発議後、60日から180日以内に投票が実施される。運動期間によるが、少なくとも500億円の4〜5倍、場合によっては10倍以上の広告費が使われる。資金が豊富な改憲派は絶対有利。だから国民投票のテレビCMを法規制したいが、民放の業界団体は反対。その理由はこの特需≠当て込んでいるからです」
 税金で賄われる経費と、この巨額な広告宣伝費を合わせると膨大な金が国民投票で使われる。国民投票の実施は必要なのか。


posted by ロバの耳 at 13:44| Comment(0) | TrackBack(0) | お知らせ/お願い | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする