2019年01月20日

【今週の風考計】1.20─「オリオンビール」と「大同江ビール」の味

●創業60年を迎える沖縄の「オリオンビール」が、野村ホールディングスと米国の投資ファンド・カーライルに買収される─との報道に驚いた。
●買収の理由は、カーライルが持つ海外企業との豊富なパイプを生かし、「オリオンビール」の海外展開を本格化するというのだ。買収額は数百億円規模。地元の沖縄県では断トツの売り上げ。18年3月期の売上高は283億円だった。

●沖縄に行けば「オリオンビール」、Tシャツも星3つにOrionのロゴ入りを着る愛飲者にとっては、「あの地ビールが買収されるのは悔しい」としか言いようがない。日本の地ビールが消えてしまう。
●12年前、ベトナムをハノイからホーチミンへ、国道1号線沿いに旅する途中で飲んだ「333(バーバーバー)」や「ビア・サイゴン」の味も思い浮かぶ。確か355ml瓶で日本円にして100円ぐらいだった。

●昨年12月に刊行された、文聖姫『麦酒とテポドン』(平凡社新書)にある、「大同江ビール」(テドンガンメクチュ)の記述も新鮮だ。故金正日総書記が「人民に良質なビールを届けよう」との号令で始まったプロジェクトが、いまや北朝鮮を代表するブランドに成長した。
●味は中国の「青島ビール」に似るが、連れ立って飲みに行くビアホールは満員。若い女性も7種類の生ビールを味わう。夏には平壌でビール祭りも開かれる。缶ビールも生産され海外への輸出がもくろまれている。

●文聖姫さんは「北朝鮮は核・ミサイルの開発でなく、自慢の大同江ビールを世界中に輸出できる道を選んでほしい」と締めくくる。日本でも大同江ビールが飲めるよう、1日も早い経済交流の再開、日朝国交回復を願ってやまない。(2019/1/20)
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2019年01月13日

【今週の風考計】1.13─巨大地震が日本列島を襲う確率と危険!

年始早々から地震のニュースに身をすくめた。3日18時ごろの熊本地方地震はM5.5、震源の深さ10km。NHK大河ドラマ「いだてん」の主人公・金栗四三の生誕地でもある、和水町(なごみまち)では震度6を観測した。
この地域周辺には佐賀県の玄海原発2機、鹿児島県の川内原発2機が稼働している。11日にオープンした「日本マラソンの父 金栗四三ミュージアム」も、地震だけでなく原発事故に、いつ被災するとも限らない。

74年前の1月13日には、M6.8の三河地震が発生し、死者2306人・家屋全壊7221戸の大きな被害を出した。日本が敗戦に向かう1945年前後には、南海トラフを震源とする「昭和の4大地震」が連続し、死者1,000人を超える被害を出した。三河地震もその一つである。
17日は阪神・淡路大震災の24年目にあたる。活断層のずれによる地震の規模はM7.3、死者6,434人・家屋全壊104,906戸、8年前の東日本大震災に次ぐ甚大な被害となった。原発事故による被害がなかっただけでも、今から思えば不幸中の幸い、また原発の恐ろしさを再認識させられる。

さて巨大地震が日本列島を襲う可能性はどうか。3・11東日本大地震の震源域周辺の東北沖や房総沖は、いまだに地震が起きやすい状況が続いている。さらに北海道東部の千島海溝沿の地震も発生の確率が高い。いつM7クラスの地震が起きてもおかしくない。
西日本も油断はできない。静岡県から九州沖合にかけて伸びる南海トラフは、M8〜9クラスの巨大地震を起こす。その危機は目前に迫っている。九州の火山にも危険な兆候がある。熊本地方地震で活発化した中央構造線の上にある阿蘇山、雲仙普賢岳も注意が必要だ。もはや、日本に安全な場所などない。研究者や専門家は警鐘を鳴らす。(2019/1/13)
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2019年01月12日

【おすすめ本】 文在寅著・矢野百合子訳『運命 文在寅自伝』─二度と戦争が起きない朝鮮半島に向けて=文聖姫(ジャーナリスト・博士)

 北朝鮮が核・ミサイル実験を繰り返し、戦争の危機までささやかれた一昨年とはうって変わって、朝鮮半島には昨年、緊張緩和ムードが漂った。北朝鮮の平昌五輪への参加が実現したのを皮切りに、4月には韓国の文在寅大統領と金正恩委員長との間で首脳会談が行われた。首脳会談は9月まで3回開催された。金委員長のソウル訪問も予定される。
 そして6月には、史上初の米朝首脳会談がシンガポールで実現した。一昨年までは「ロケットマン」「老いぼれ狂人」と、互いをののしり合っていたトランプ米大統領と金委員長が固い握手を交わし、昼食を共にしながら談笑した。焦点の非核化の実現には紆余曲折もありそうだが、少なくとも昨年1年間は、北朝鮮は核・ミサイル実験を行っていない。

 こうした動きの背景には、文在寅大統領の存在がある。一昨年5月に大統領に就任した文氏は、二度と戦争が起きない朝鮮半島を北朝鮮の金正恩委員長とともに作るために奔走し、米朝の橋渡し役も務めた。
 文在寅とは一体どんな人物なのか。それを知るうえで参考になるのが文在寅著・矢野百合子訳『運命 文在寅自伝』(岩波書店)だ。2011年に韓国で出版されて以来、異例のロングセラーを続けてきた。
 2012年12月の大統領選に向けた「出馬宣言」として刊行された(本書・権容奭氏による解説より)本書は、文大統領の人となりや政治信条を知るうえで参考になる。何より本書の半分は「盧武鉉自伝」と言ってもいいくらい、盟友・故盧武鉉元大統領とのエピソードに溢れている。

 一方の金委員長に関するデータは少ない。それを補ってくれるのが、KBS制作班+リュ・ジョンンフン著・すんみ他訳『北朝鮮 おどろきの大転換』(河出書房新社)だ。ビッグデータを使ったパワーエリートに関する分析は特に参考になる。金委員長の人となりを知ることはできないが、少なくとも彼がどのような国造りを目指しているのか、その一端が分かる。
『運命─文在寅自伝』.png
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2019年01月06日

【今週の風考計】1.6─50年前の出来事から新たな気概を汲む!

あけましておめでとうございます。亥年の1年、どうなるかを考えるに、まずは温故知新を旨に、クロニクルを繰った。

50年前の1月16日、チェコスロバキアで、カレル大学の学生ヤン・パラフが、ソ連の軍事介入や「プラハの春」に象徴される改革の後退に抗議し、焼身自殺を図っている。
おなじ50年前の1月18 日、日本では全共闘に占拠・封鎖されていた東大・安田講堂に、機動隊が突入し封鎖解除、ついに東大闘争は潰えた。

一方、和平への動きも加速する。ベトナム戦争終結に向けた交渉が、50年前の1 月 25日からは、アメリカと北ベトナム両代表に加え、南ベトナム政府と南ベトナム解放民族戦線も加わり、4者による拡大和平会談となった。
この年1月20日に就任したニクソン大統領は、こうした状況の下でベトナムからの「名誉ある撤退」を決意した。その下地には「いちご白書」で有名なコロンビア大学の学生闘争のほか、フランス・イタリア・西ドイツ・日本などでのベトナム反戦のスチューデント・パワーがあったのは間違いない。

もう一度、日本にフォーカスしてみよう。50年前の1月6日、沖繩いのちを守る県民共闘会議が、米軍のB52撤去を要求して「2・4ゼネスト」を決定している。9日には国防会議が、自衛隊に配備する次期主力戦闘機F4E(ダグラス社)104機の国産化を決める。
15日、米ロッキード社は児玉誉士夫をトライスター売込みのコンサルタントとして5000万円で契約。7年後の1976年に「ロッキード事件」で明るみにでる。
なんと米国の戦争ビジネスに牛耳られる、今の日本の防衛予算の根源を見る思いだ。歴史に学び事実を明らかにし真実を追求する気概を新たにしている。(2019/1/6)
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2019年01月05日

【おすすめ本】 森川聖詩『核なき未来へ』 小柴一良『FUKUSIMA』原爆と原発─二つの核被害の人体実験=鎌田慧(ルポライター)

もうじき、福島原発事故から8年になる。高熱で溶融しつづけている三基の原子炉の炉心が、どこにあるのか確かめようもない。原発サイト内、林立するタンクに溜まった放射性汚染水は、すでに100万トンを越えた。自然環境と生業から引き離され、故郷を追われたひとびとの生活は、ますます困窮を深めている。

 フクシマに降りそそぐ放射能(放射性物質)を、静かに映しだしたような写真集が、18年12月に出版された。小柴一良『FUKUSIMA』(七つ森書館)である。
 全体が暗い色調に覆われている、捨てられた牛舎の換気扇にからむ、枯れた蔦(つた)の蔓。殺処分された牛たちの卒塔婆。牛舎の窓のそばまで押し寄せる、汚染土を詰め込んだ黒色のフレコンバッグ。街には人影がなく、物音は消えた。風景のなかにいる人びとは無口だ。
 事故から七年が過ぎ、時間が経つにつれて、被災地の風景がこころの内側に定着するようになっている。そのことを感じさせられる写真集だ。

「唯一の被爆国」などといいながら、日本政府は国連の「核兵器禁止条約」加盟を、かたくなに拒否している。核大国・アメリカへの忖度のためだ。森川聖詩『核なき未来へ』(現代書館)は、サブタイトルにあるように、「被爆二世からのメセージ」である。
 フクシマの子どもたちが、避難先でバイキンあつかいされている、という話しがつたえられた。64歳の著者もおなじ体験をしていた、という記憶から書き起こされている。父親が広島で被爆していた。子どものころから身体が弱く、脱力感に悩まされていた。被爆二世、三世は「遺伝的影響は認められない」と、国から切り捨てられてきた。核開発の研究材料にされているだけだ、と著者は主張している。
「核なき未来へ」.jpg
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2018年12月30日

【今週の風考計】12.30─年末、拗ね者・本田靖春とジャズピアニスト・大江千里に魅せられて

「除夜の鐘」が鳴る前に、後藤正治『拗ね者たらん─本田靖春 人と作品』(講談社)を読み終えた。小生には、戌年の掉尾を飾る感動の本となった。
ノンフィクション作家・後藤正治が類い稀な織職人となって、孤高のジャーナリスト本田靖春の名作を縦糸に並べ、横糸に彼の作品群を編集した伴走者や交友関係を選び、2004年12月4日に閉じる71年の生涯を、縦糸・横糸、巧みにあやつって丹念に織りあげた壮大なタペストリーだ。

本田は、日本が歩んできた「戦後の原液」への思いを胸に、「由緒正しい貧乏人」の目で、社会的事件や人物像の真実を掘り起こし、世に問うてきた。
「スクープ記者の陥穽」を描いた代表作『不当逮捕』の「あとがき」で、本田は、<戦いとったわけでもない「言論の自由」を、(中略)まるで固有の権利のように錯覚して、その血肉化を怠り、「第四権力」の特権に酔っている間に、「知る権利」は狭められて行ったのではなかったか─。>と書いている。

今年は没後14年になる。モリ・カケ問題から、公文書改ざんなど、国民の「知る権利」は、脅かされ続けている。彼の仕事は今でも噛みしめるに充分以上の意味を持っている。

さて最後は、9月5日発売の大江千里のジャズアルバム『Boys & Girls』(Sony Music Direct MHCL30535)も、おすすめである。今や彼も58歳、ニューヨークを拠点に、ジャズピアニストとして活躍、アーティスト活動は35周年を迎えた。あの鼈甲ブチ眼鏡をかけ黒い丸帽子をかぶって弾くピアノが、まるで歌ってでもいるように鳴る。
輝きを放つ新曲「A Serene Sky」や「Flowers」もいいが、やはり彼の代表曲「ありがとう」のジャズピアノに惚れる。末尾ながら、皆さん、よいお年をお迎えください。(2018/12/30)
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2018年12月28日

【焦点】 世界に逆行 民間任せ 外資参入 水道料金高騰へ 市民をないがしろ「改正法」=橋詰雅博

 改正水道法が成立した。これで水道事業の運営権を自治体から企業が買い取ることができる。この「コンセッション方式」は1900年ごろから世界各国に広がったが、2000年以降は水道事業を再び公営化する都市が急増している。水道料金の高騰や水質悪化などが原因だ。世界が再公営化に向かっているのに、日本はそれに逆行する形だ。民営化でどうなるのか。全国の水道職員らでつくる全日本水道労働組合の辻谷貴文書記次長(45)に聞いた。
   ☆
――水道法を政府が16年ぶりに改正したのはなぜですか。
 人口減による給水収益の減少、老朽化した水道管更新費用の増大、水道職員の不足などが背景にあります。三重苦≠ェ長く続いてきたから水道事業に企業を参入させてしのごうというわけです。その手段として導入する「コンセッション方式」は、自治体には管理監督責任が残りますが、運営権はそれを買った企業に移り、水道料金は直接企業が受け取ります。契約期間は20年以上と長期にわたり、業務のやり方は企業にまかされます。

急増する再公営化
 ――ところが欧州などでは民営化の失敗が相次ぎ、水道事業は再公営化が潮流になっています。
 オランダのNGOトランスナショナル研究所によると、2000年から16年で、世界33カ国の267都市で、水道事業が再び公営化されています。
 例えばパリ市。水メジャー≠ニ呼ばれるスエズとヴェオリアの2つの多国籍企業が、85年から09年までの25年間、水道事業を運営してきました。この間、不透明な会計による利益隠しや必要な再投資を怠るなど不祥事が発覚。しかも水道料金は25年間で3・5倍にもなりました。料金が大幅アップしたのは株主配当や役員報酬、借入金の高い利子支払いのためです。契約期間が終了した後、高騰する水道料金が主な理由で、10年に再公営化に。翌11年には株主配当などが不要になったので、料金を8%値下げしました。
 ドイツのベルリン市も14年に再公営化しましたが、企業側から運営権を買い戻すため13億ユーロ(約1671億円)も企業側に支払いました。今年の7月に水道事業民営化の先進国・イギリスを訪ねましたが、民営化の時の「料金が下がる、水質がよくなる、サービスもよくなる」という約束が破られたと市民の怒りはおさまりません。労働党は「水道再公営化」の公約を掲げ、国民の7割が支持したと表明しました。
 ――欧州で商売がしづらくなった水メジャーなどは、アジアにターゲットを絞っていますね。
 スエズとヴェオリアは12年ごろからタイやシンガポール、フィリッピンなどアジア各国に進出しています。スエズはマカオ、ヴェオリアは日本にそれぞれ拠点を持っています。ヴェオリア日本法人などは浜松市の下水道事業の20年間運営権を25億円で手に入れました。

ノウハウ持つ外資
 改正水道法の成立で、水メジャーはいよいよ日本の水道事業市場に参入する可能性は高いです。浜松市の水道事業への参入に意欲を示しています。国内の水事業関連企業は水道事業運営のノウハウはありません。外資に頼るしかなく、水メジャーなどと組んで運営に乗り出すかもしれません。いずれにしても外資が主導権を握ることになります。
 ――日本でも民営化されたら、欧州のような水道料金の高騰などが起り得るのでしょうか。
 運営するのは企業ですから、株主配当や役員報酬、借入金の利子払いなどが生じます。これらの資金をねん出するには利益を上げる、施設のコストの削減が考えられます。となると水道料金の値上げ、コスト削減では例えば品質は落ちるが、価格が安い水道管を使うケースが出てくるかも。料金を引き上げたうえに仕事の手抜きで、施設の安全性は心もとないという状況に陥りかねません。
 また、地震や豪雨などに襲われて水道施設が壊れた場合、災害復旧の最終的な責任は管理者の自治体が負います。コストを切りつめたい企業は、責任がないなら災害に備えた投資をしぶりますので、災害時に被害がより大きくなる恐れがあります。

大都市進出を狙う
 ――企業が狙いそうな都市は。
 事業規模が大きくないと、儲かりませんから人口50万以上の都市が進出対象でしょう。大都市の東京都や大阪市を本命視≠オているはずです。大阪市は運営権の売却額を4000億円と試算しています。
 ――宮城県を始めいくつかの自治体は導入に前向きですが、市民はどうすればいいですか。
 運営権を企業に売り渡し、途中で問題が起きた場合、再公営化するには巨額な違約金の支払いが必要です。ベルリン市のケースは、その見本です。民営化に流されず、公営維持を訴え続け、方策を考えるべきです。
聞き手 橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年12月25日号

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【おすすめ本】斎藤貴男『「明治礼賛」の正体』─いま安倍政権が目指す21世紀版「富国強兵・殖産興業」=梅田正己(歴史研究者)

 本書の書名から浮かぶのは明治美化批判だろう。確かに三章で構成される本書の第1章「国策としての『明治礼賛』」では、安倍首相の明治へのたび重なる言及をはじめ、あの手この手の明治称揚が分析紹介される。
 また第3章「虚構の『明治礼賛』とこの国のゆくえ」では、<明治には汚職もなかった>という司馬遼太郎のウソに対する反証から琉球差別など、明治期の負の側面が鋭く抉られている。

 しかし、本書の主題はそこではない。中間の第2章「安倍政権が目指す二一世紀版『富国強兵・殖産興業』」こそが、著者の主張の核心である。
アベノミクスの三本柱、金融政策、財政政策に次ぐ三番目の成長戦略こそが安倍政権の最重要の基本戦略であり、主軸となるのが官民一体の「オールジャパン体制」によるインフラシステム輸出だと、著者はいう。
 日本は今後、少子化で国内市場は縮小し、企業は海外に向かわない限り成長は望めない。今、主戦場は海外でのインフラ構築、当然大プロジェクトとなり、多数の技術者が海外に出てゆく。その彼らがテロに襲われたらどうするか。

 そこで強行採決したのが「駆けつけ警護」を含むPKO協力法改正、安保法制だった。こうして安倍政権の成長戦略は安保政策と表裏の関係で結びついているのだ。
 明治政府が追求したのは富国強兵だった。いま安倍政権が追求しているのも21世紀の富国強兵であり、それこそが「明治礼賛」の「正体」だったというわけである。

 以上の考察をへた上での著者の結論は、「この国の未来は、新しい『小日本主義』を構築する以外にはない」である。
(岩波ブックレット580円)
『「明治礼賛」の正体』.jpg
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2018年12月26日

【焦点】 「水道戦争」を衝くギリシャ映画=橋詰雅博

 ドキュメンタリー映画「最後の一滴まで―ヨーロッパの隠された水戦争」の日本語版完成記念上映会が12月初旬に都内であった。ギリシャ人が監督したこの映画は、フランス、ドイツ、ギリシャ、ポルトガル、イタリア、アイルランドなど6カ国13都市で4年間取材し、水道事業の民営化に至った経過や、それに失敗して再公営化で立て直した過程などを明らかにしている。
 日本でも水道事業の民営化論が高まっていたこともあって、NPO法人アジア太平洋資料センター(PARC)や全水道労組などが中心となりプロジェクトチームをつくり、8月ごろから日本語制作をスタートさせた。作業にかかる費用100万円はクラウドファンディングで調達した。
 PARCの内田聖子共同代表は「8月に早くも100万円を突破し、11月に214万円にも達しました。予想外にお金が集まり、支援していただいた方に感謝しています」と語った。
 さて映画の中身だが、およそ2つに分けられる。 
財政再建計画の一環として水道事業の民営化を欧州連合(EU)から強要させるギリシャ、ポルトガル、アイルランドが展開する反対運動がその一つ。例えばOECD(経済協力開発機構)加盟国で唯一、水道料金は一般税を通じて徴収していたアイルランドでは、新料金設定に抵抗した市民は2014年11月に首都ダブリンで20万人反対デモを実施した。 
もう一つはパリ市やベルリン市で起きた水道料金の急速なアップや運営に関する情報の非開示問題などから再公営化を果たした活動(1面参照)だ。25年間の民営にストップをかけて、10年に再公営化したパリ市は、世界の水道事業の再公営化の流れをつくる大きなきっかけになった。
 一方、日本は改正水道法が成立し、民営化に走り出した。欧州だけでなく米国でも再公営化が急増しているというに。映画は民営化に前のめりの浜松市など11カ所で上映が決まっている。
橋詰雅博
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2018年12月23日

【今週の風考計】12.23─日本は貿易協定で、トランプ大統領に「毒薬条項」を飲まされる危険!

常軌を逸している<恐怖の男─トランプ大統領>は、ついに「毒薬条項」まで日本に飲ませる魂胆であるのが分かった。

年明け1月中旬にも交渉が始まる米日貿易協定(USJTA)では、まず日本製自動車の米国現地での生産増を確実にさせ、検疫の面から農産品に課す日本の高い輸入関税を削減させる。安倍首相は、しきりに「物品」をめぐる協定(TAG)だと強調したが、とんでもない。
通信やサービスから金融分野も含めた包括的な貿易協定の締結に引きずりこむ考えである。日銀の金融緩和為政策にも横やりを入れ、デフレ脱却が目的だとの説明を一蹴するかのように、為替政策への介入までもくろむ。これでは自国の金融政策すら支配されかねない。

恐ろしいのは中国を排除する貿易協定の締結を目指していることだ。9月末に妥結した「米国・メキシコ・カナダの3か国協定」には、中国との貿易協定の締結を難しくする「毒薬条項」が盛りこまれている。トランプ大統領は日米貿易交渉でも、同じように「毒薬条項」を組みこむよう要求する構えだ。
しかし日本は、中国も参加して「東アジア地域包括的経済連携(RCEP)」や「日中韓自由貿易協定(FTA)」を積極的に推進している。これにもトランプ政権は、圧力を加えてくるのは間違いない。いまや日本は通商外交のフリーハンドまで失われ、米中貿易戦争の挟み撃ちに遭う可能性が高くなってきた。

この1年、世界や日本が、トランプ大統領のゴリ押し外交に翻弄されてきた。この情けない事態は終わりにしなければならない。(2018/12/23)
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2018年12月22日

【部会リポート】 軍備増大の自衛隊と米軍一体化が加速 米製武器爆買い℃~まらず=田悟恒雄 

 11月30日、水道橋・YMCAアジア青少年センターに東京新聞・半田滋論説委員を講師に迎え、出版部会11月例会が開かれた。
 半田さんと言えば、4半世紀余にわたる防衛省(庁)取材経験を持つ業界きっての防衛問題通。その豊富な情報量と鋭い分析力には定評がある。この日の演題は「軍事列島・日本の全容─おそるべき自衛隊と米軍の一体化」。第2次安倍政権発足以来6年間、「普通の国の軍隊」をめざし邁進してきた自衛隊の変貌ぶりが語られた。
解釈改憲が転換点
 特定秘密保護法(13年)、安保関連法(15年)、共謀罪法(17年)と次々「壊憲」の地ならしを強行、日本国憲法の外堀を埋め尽くした。その致命的な転換点となったのが、14年7月1日の閣議決定だった─。強引な「憲法解釈」で、歴代内閣が否定してきた「集団的自衛権行使」を容認。しかも時の内閣の一存でこれを決められる、と。
 16年3月、安保関連法が施行されると、間髪を入れず「実績づくり」に着手─。
 南スーダンPKOでは、他国の武力行使との一体化を進め、駆け付け警護や宿営地の共同防衛を新たな任務に加えた。これを正当化するため、現地部隊の日報に「戦闘」とあった事案を「衝突」と言い換えたばかりか、日報そのものまで隠蔽してしまったのは記憶に新しい。また、北朝鮮対策を口実とした米艦艇防護、米航空機防護、米艦艇への洋上補給も頻繁に行われているが、それらは「特定秘密」とされ、国民に知らされるのは、実に1年以上も後になってからのことだった。
 さらに見逃せないのが、自衛隊法の改正だ。95条の2で「合衆国軍隊等の防護のための武器の使用」が定められ、現場自衛官の判断で武器使用が可能になった。「シビリアンコントロール」は、すっかり骨抜きにされてしまった。
 そもそも日本の基本政策は、@専守防衛A軍事大国にならないB非核3原則C文民統制の確保にあるとされてきたが、もはやいずれも「風前の灯火」─。
来年度7000億
 18年度予算案には「敵基地攻撃」可能な巡航ミサイルや島嶼防衛用高速滑空弾が登場。護衛艦「いずも」の空母化(近く改定の「防衛計画の大綱」では、姑息にもこれを「多用途運用護衛艦」と呼び換える)まで浮上。米国製兵器の爆買い≠ヘ止まるところを知らない。欠陥機といわれるオスプレイ、F35ステルス戦闘機(なんと100機!)、それにイージスアショアも。こうして安倍晋三政権下で増え続ける米国製武器の調達金額は、19年度には7000億円に上るという。それも見積もりに過ぎず、今後さらに増えるのは必至。
 安倍首相は、改憲の手始めに「自衛隊を憲法に明記する」ことを狙っている。
 「違憲との批判が強い安全保障関連法を改定された憲法によって合憲とし、次の段階では自衛隊を『軍隊』つまり制限のないフルスペックの集団的自衛権の行使と多国籍軍への参加に踏み切る」─その魂胆を半田さんはそう見抜いている。
 都合の悪い現実に対しては見え透いたウソと強弁を押し通し、ほとぼり冷める頃合いを見計らって一気に本望を遂げる─「モリカケから改憲までアベ政治おなじみのパターン」である。
田悟恒雄(出版部会)

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2018年12月16日

【今週の風考計】12.16─あのベストセラー本が『日本ウィ紀』と言われる理由

★百田尚樹『日本国紀』(幻冬舎)が、幻冬舎25周年記念出版と銘打ち、11月12日、初版15万部で発売されるや否や、1か月ほどで、5刷、50万部の売れ行き。
★しかし、その記述のズサンさが明らかになり、騒動となっている。Wikipediaなどからの“コピペ疑惑”が、本文やコラムなどの記述に数多くみられ、剽窃ではないかと指摘されている。

★百田尚樹氏も「この本を書くのにね、山のように資料を揃えた。そのなかにはね、そりゃWikipediaもあるよ!」と開き直っている。出典も明示せず、剽窃する感覚には、みな呆れている。本のタイトルも、“日本ウィ紀”“日本コピペ紀”などに変えるべきだと、皮肉られている。
★本書の内容は、従来の保守派や右派の主張をちりばめて叙述したシロモノ。日本は太古からスゴイ民族で、これまでの侵略戦争も戦争犯罪も重大なことではなく、戦後の「東京裁判史観」は荒唐無稽であり、いまこそ素晴らしい日本人の精神を復活させるべきで、とりわけ憲法9条改正は急務である─との主張である。

★『日本国紀』の版元である幻冬舎の見城徹社長は、先日、亡くなった津川雅彦氏や「新潮45」に掲載した差別論文の執筆者・小川栄太郎氏、さらには櫻井よしこ氏などの右派文化人グループとして、百田尚樹氏とともに、有名な安倍応援団の一人であるのは、つとに知られている。11月25日のAbemaTV「徹の部屋」では、見城徹氏自らが百田尚樹氏、有本香氏と鼎談し、本書を絶賛している。
★幻冬舎は、剽窃とも疑われる本を出版しながら、増刷の際に修正や記述を変えたり、引用部分に「 」をつけたりして、ごまかしている。「もし修正したならば修正箇所を公開してほしい」とのフアンからの声には、どうこたえるのか。製造者責任が問われている。(2018/12/16)
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2018年12月15日

【おすすめ本】小石勝朗『袴田事件─これでも死刑なのか』突出した冤罪事件─あらゆる事例を見ても、警察と検察の捏造を示す=森 達也(映画監督・作家)

 黒か白。正義か悪。敵か味方。真実と虚偽。右 か左。まるでマニ教的な二元化が、世界中で進行している。
 ならば言わなくては。世界は複雑だ。多面的で多重的だ。視点によって現象は猫の目のようにくるくる変わる。

 でもこれを身上とする僕も、この裁判についてはあきれる。拷問そのものだった取り調べ。逮捕時にはなかったのに、なぜか事件のときについたとされた脛の傷。そして傷に合わせたように作られたズボンの損傷。有力な証拠とされた(社長宅から袴田死刑囚が強奪したとされる)18枚の紙幣は、なぜか記号番号が記載されている個所が都合よく焼かれて消失していた。
 焼かれた理由は何か。残していて照合されれば、強奪した紙幣ではないとわかるからだ。そして何よりも、逮捕から一年二カ月後に味噌樽から発見されたとされる五点の衣類の不自然さとDNA鑑定の結果。

 あらゆる事例が、警察と検察の捏造を示している。ここにはグレイゾーンなどない。明らかに真っ白だ。でも袴田死刑囚は、今も「死刑囚」の肩書を外せない。
 この十数年、僕は死刑制度について考え続けた。多くの死刑囚に会った。教誨師や刑務官にも話を聞いた。海外の事情も調べた。多くの人が考えるよりも冤罪は多い。でも袴田事件は突出している。あまりに露骨なのだ。捏造のレベルではない。稚拙すぎる。
 その状況に対する苛立ちと怒りは、本書のタイトルに現れている。組織は個に対してこれほど冷酷になれるのか。きっとあなたも怒るはずだ。
(現代人文社1800円)
「袴田事件」.jpg
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2018年12月09日

【今週の風考計】12.9─ダンプ22万台分の土砂を、沖縄の<美ら海>に投げこむ非情

沖縄が緊迫している。政府は14日、辺野古に土砂を投入する。すでに名護市安和にある「琉球セメント」の桟橋から、埋め立て用土砂を運搬船に積みこみ、沖縄本島の北側を回って大浦湾に面する辺野古の最北護岸「K9」に停泊。
運搬船と陸上をつなぐランプウェー台船が用意され、重機を使って運搬船から土砂をダンプに移し替え、辺野古崎近くのキャンプ・シュワブ内にある資材置き場に運びこまれている。

さらにそこからダンプやブルドーザーを使い、南にある辺野古寄りの、護岸で囲われた6.3ヘクタールの海に投入される。必要な土砂の量は131万6500立方メートル、10トンダンプに換算すると22万台分。1日に運べるのは、せいぜいダンプ200台か。休日なしで運搬しても3年はかかる。
それが14日から延々と続く。待てよ! 辺野古新基地建設に要する埋め立て区域は、全体が160ヘクタール、今回の投入はわずか4%を埋め立てるに過ぎない。全部を埋め立てるとなると、必要な土砂は2100万立方メートル。
想像もできないような土砂が、瀬戸内海周辺地域からも運ばれ、サンゴ礁の映える青い<美ら海>に投げこまれる。しかも赤土による海の汚染だけでなく、アルゼンチン蟻など特定外来生物が運ばれてきて、その繁殖による沖縄の生態系破壊までが危惧されている。

さらに大浦湾側の埋め立て護岸C1〜3付近には、マヨネーズ並みの軟弱な地盤が深さ40mにわたって海底に堆積していることが分かり、政府は慌てている。地盤改良工事となれば、海底に基礎捨て石を敷き、その上にコンクリート製の箱、なんと長さ52m×幅22m×高24m、重さ7200トンを据える。
加えて大浦湾を北西から南東にかけて、V字滑走路の先端、C1護岸周辺を貫くように、「辺野古活断層」が見つかっている。泣き面に蜂とはこのことか。さらなる地盤改良工事費500億円、土砂調達費1千億円を加えると、総事業費2兆5500億円、普天間基地の代替施設として使えるようになるまでに最短でも13年かかる。

玉城デニー知事が「一日も早い普天間の危険除去が必要だが、辺野古移設では、さらに返還が遅れることが危惧される」と述べ、工事を停止し膨大な予算の投入から引き返すことを説いたのは当然だ。(2018/12/9)

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2018年12月07日

渡辺 治『戦後史のなかの安倍改憲』─「立憲的改憲論」の欠陥は何か、市民と野党が共闘する意義を解く=小沢隆一(東京慈恵医科大学教授)

 本書もそうだが、著者の手による「戦後史もの」は、『日本国憲法「改正」史』(日本評論社)や『戦後政治史の中の天皇制』(青木書店)など、いずれも重厚長大である。当面する問題を、その歴史的脈絡、社会的背景を含めて考察してこそ打開の道筋が見えてくるという著者ならではの洞察のなせる業といえよう。

 書名と同名の第T部は、戦後の改憲問題の歴史を振り返る中で、9条が現に日本の軍事化を阻む壁となってきたこと、それに命を吹き込んだのは9条改憲に反対する国民の運動とそれに支えられた野党の働きであることが論じられている。70余年の戦後史のなかで横行する9条を掘り崩す法や政治の動きから、「9条は死んでいる」、「憲法が権力の歯止めとなるための改憲(立憲的改憲)を」などの議論も生まれているが、第T部は、こうした議論の陥穽を説得的に解明している。

 第U部「安倍改憲を阻む」は、安倍政権下での改憲策動の展開過程を分析し、とりわけ2017年の「5・3改憲発言」のねらい、特徴、問題点を明らかにしている。また、これを阻む力の源は市民と野党の共闘にあるとして、そうした力を無視、過小評価する「立憲的改憲論」の欠陥を暴き出している。
 安倍改憲を阻止することの意義とそれが切り拓く展望を扱う第V部は、平和と非核化の動きが始まった米朝関係や朝鮮半島の動向も見すえつつ、安倍政権に代わる野党連合政権の必要性・緊急性を論じ、さらには安保廃棄・米軍撤退から自衛隊の縮小・解体への道筋を提示する。安倍改憲阻止の運動に役立ててほしい。
(新日本出版社1800円)
「戦後史のなかの安倍改憲」.jpg
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2018年12月02日

【今週の風考計】12.2─「Forest Light 01」が展開される中での<12・8>

年内最後の「Forest Light 01」が7日から始まる。日本の陸上自衛隊と米軍海兵隊との共同演習である。大分県・日出生台演習場を舞台に、米軍輸送機オスプレイとの連携を組み込んだ実働訓練には、陸上自衛隊750人・米海兵隊250人が参加する。
大分県は、沖縄の基地負担軽減のため、すでに13回も米海兵隊の実弾射撃訓練を受け入れている。さらに危険性の高いオスプレイの訓練を追加する事態に、住民の怒りや反対の行動が盛り上がっている。

何あろうこの日、77年目の「リメンバー・パールハーバー」。ハワイ・オアフ島・真珠湾のアリゾナ記念館では、犠牲者追悼式が行われている。ところが日出生台演習場では、日米両国が協働して戦争遂行の訓練をしている。真珠湾を襲った日本軍の空母6隻・艦載機399機への怨念はどうなったのか。
あろうことかトランプ大統領は「F35の大量購入」に感謝の言葉まで述べる事態だ。それもそのはず安倍政権は、すでに最新鋭ステルス戦闘機F35・42機の購入(6千億円)に加え、さらに100機も追加導入(総額1兆円)する。トランプ大統領は真珠湾の怨念どころか、「ディール」の成果に笑みがこぼれるのだろう。

また日本の護衛艦「いずも」(2.6万トン)を、艦載機が発着艦できるようにする空母への改造計画も進む。あの購入すると決めた最新鋭ステルス戦闘機F-35Bが、空母「いずも」に垂直離発着できる。攻撃能力を備えた戦闘機の離発着は、「自衛のための必要最小限度を超える」どころか、「専守防衛」から大きく逸脱する。

米国と日本が主導して、中国を包囲する「インド太平洋戦略」に向けた戦力増強に他ならない。アジア太平洋戦争の口火を切ることになった、<12・8>への痛恨の思いは、日米の為政者にはひとかけらもない。(2018/12/2)
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2018年12月01日

【おすすめ本】尾林芳匡・渡辺卓也編著『水道の民営化・広域化を考える いのちの水をどう守るか』─あらためて水の大切さを考えよう! 問われる水道法改正の狙い=栩木 誠

 安倍政権が「働き方改革関連法案」や「カジノ法案」など、W悪法“を成立させた前期国会で、「重要法案」と位置付けながらも、継続審議になった法案がある。「水道法改正案」である。

 「押し寄せる老朽化」「水道クライシス」「水道料金値上げ続々。背景に老朽化、人口減」…近年、水道を巡る見出しが、メディアで踊る。
「1990年代は水道民営化の10年」ともいわれるように、世界各地で、グローバル水道企業による民営化が進められた。しかし、欧州や中南米など世界各地で、水質悪化・料金高騰などの問題が表面化し、失敗が明白になった。今や「再公営化」の流れが強まっているのである。
 
 しかし、日本では世界的な教訓を学ぶことなく、未だ民営化推進の動きが続く。「水道法改正案」でも、地方公共団体が水道事業者ではあるものの、運営を民間事業者に任せる「官民連携」と、事業の「広域化」が2つの柱になっている。すなわち「庇を貸して母屋を取られる」ように、実質、民営化への道につながりかねないのである。

 本書は、「市民が止めた水道民営化」や「水源を守る運動」など、水道の民営化・広域化を巡る問題で、着実に成果をあげる、全国各地の住民などの実践例を追い、成果の分析をしている。
 そうした積み重ねの上に論点を明確に整理し、「民営化・広域化を前提としない、各地の水道事業への国の財政支援の拡大強化」の必要性を提言する。「21世紀は水の世紀」といわれる。「いのちの水」を守るためにも、まず改正案の成立を阻止し、国民的な議論を深めることが緊要になっている。
(自治体研究社1700円)
「水道の民営化…」.png

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2018年11月28日

《焦点》 地方創生テレビ「東峰テレビ」訪ねる 自ら番組つくる住民ディレクター活躍=橋詰雅博

 JCJ全国交流集会の参加者は2日目の 10月20日午後に、福岡県東峰村(村民約2000人)の村営ケーブルテレビ「東峰(とうほう)テレビ」を訪ねた。 
昨年7月に襲った九州北部豪雨の際、同テレビプロデュサーの岸本晃さん(65)は、被災直後の村や村民をビデオカメラなどで撮影し、ケーブルの断線によりテレビに被災情報を流せなかった代わりにフェイスブックなどで動画や写真を発信した。
これがマスコミの目にとまり、取材陣が押し掛け岸本さんが受け入れ窓口となり東峰テレビの岸本≠フ名が県内外に広まった。
 岸本さんはこう振り返る。
 「豪雨が村を襲ったのは7月5日。土砂崩れで3人が亡くなった。私が出張先の東京から戻り村に入ったのは6日の夕方。それから15集落をくまなく回り、損壊した家屋や道路の爪痕、避難所にいる村民らを取材した。出向くと『東峰テレビさんがんばっているね』と村民から声をかけられた。また、村民が私の顔を見ると、安心した表情を浮かべるので、励みになった。ケーブルが復旧したのは被災から3週間後でした」
 岸本さんは、熊本県民テレビ出身で、14年間、情報番組のプロデュサーなどを務めた。在職中に地域を盛り上げるため住民にビデオカメラを渡し、その住民が身の回りの暮らしぶりを撮影して番組をつくる「住民ディレクター」方式を提案。それを実践するため1996年に独立し、約20年間で全国50以上の地域を回り、住民ディレクター養成講座を開いた。「ボタンを押せば映る」「身体がカメラ」「番組はオマケ」の3原則を掲げた講座は、実践主義に徹した。
 岸本さんの音頭取りで10年11月に開局した東峰テレビにも約100人の住民ディレクターがいる。
 会見に同席した農家の女性住民ディレクターはこう言った。
 「農作業の合間、月に1、2回番組づくりを手伝います。被災当初は、憔悴した村の皆さんの姿をビデオカメラで映すのは気が引けましたが、家に住めるようになってから笑顔が戻り、それを撮影できたのはよかったです」
 村民の7割が見ているという東峰テレビは地方創生のモデルケースとして注目されている。
橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年11月25日号

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2018年11月27日

【お知らせ】講演会:軍事列島・日本の全容─おそるべき自衛隊と米軍の一体化─

3選後の安倍政権は、ますます「改憲」策動に拍車をかけ、
日本を「戦争する国」へと駆り立てる。
軍事費の拡大は天井知らず、今や5兆円と突出し、
イージスアショアの導入、オスプレイ配備は横田・佐賀にも及ぶ。
自衛隊と米軍が一体化する軍事戦略の実態を暴く。


講演:半田 滋 氏(東京新聞論説兼編集委員)
日時:11月30日 (金)18時30分開会(18時15分開場)
場所:YMCAアジア青少年センター 3階会議室
〒101-0064 東京都千代田区猿楽町2-5-5 ☎ 03-3233-0611
JR「水道橋」駅東口下車、白山通りを神保町方面へ徒歩5分
アクセス地図 http://www.ayc0208.org/hotel/jp/access-access.html
参加費:800円(JCJ会員・学生500円)

《主催》 日本ジャーナリスト会議(JCJ)出版部会

JCJ出版部会11・30講演会チラシ.pdf
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【編集長EYE】 疑惑の土地に誕生「ハルミフラッグ」=橋詰雅博

 11月1日付日本経済新聞の見開き全面広告(22と23両ページ、全国紙では日経だけに掲載)には目を奪われた。<HARUMI FLAG>(街の名称)がデカデカと書かれていた。その中身は2020年東京オリ・パラ選手村として活用後に建てる大規模マンションを販売という広告だった。
 前日に売り主の三井不動産レジデンスなど11社が発売すると発表しており、同日付日経の東京面で来年5月発売などと報じている。
 目を奪われた理由はこの都有地(約13・4f)を巡り都民33人が
11社に超格安で売却したのは違法であり、小池百合子知事らに損賠賠償1200億円を請求すべきだと都に求めた訴訟を東京地裁に提起しているからだ(本紙17年10月25号で既報)。銀座から約2・5`の超一等地の売却額は129億6000万円だった。日本不動産研究所の調査報告書に基づき選手村という要因を考慮に入れて弾き出した金額と、都は言い張る。周辺地価は1平方b当たり約100万円と算出されていて、問題の土地は総額1300億円というのが一般的な相場だ。だから「投げ売り」と原告側は被告の都を追及する。
 肝心の日本不動産研究所の調査報告書の多くの部分は黒塗りで開示されており、一体、適正な価格はどのくらいなのかが裁判の大きな争点になっている。
 10月26日の第4回口頭弁論では、原告代理人の大住広太弁護士は原告の一人である不動産鑑定士が行った評価額を陳述した。土地は5つの街区に分かれていて、街区によって1平方b当たり100万から134万円で、その総額は1611億1800万円と述べた。大住弁護士は「92%も減額し、都民の財産が1470億円失う」と指摘し、都は大幅減額の根拠を示すべきだと迫った。
 被告代理人は、原告でもある不動産鑑定士の評価額は中立性を欠き、身勝手な主張と反論した。都側は形勢不利だ。次回弁論は来年2月19日。
橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年11月25日号
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2018年11月25日

【今週の風考計】11.25─日産ゴーン元会長の私腹と官民「不正の構図」

◆日産ゴーン元会長と懸けて、<除夜の鐘>と解く、その心はゴーンと鳴って、go went gone ─100億持ち逃げ、コンチクショウ! 今はない東京・武蔵村山・日産工場の近くで部品修理をしていた老人のつぶやきだ。

◆1999年、「コストカッター」と呼ばれたカルロス・ゴーンは、全従業員の14%・2万1千人の首切りと5つの工場閉鎖を強行。各地の企業城下町では、多くの人が転居や転職を余儀なくされ、商店街の衰退も進んだ。40年にわたって約968万台を生産してきた武藏村山工場も例外ではない。いまだに跡地の利用も思うように進まず、かつての面影はない。
◆さらに2008年のリーマン・ショックの際にも、派遣社員など2万人の人員削減・下請け企業の半減・発注コスト切り下げを行った。だが「V字回復の立役者」と絶賛され、20年に及んだワンマン支配の結果は、どうだったか。

◆「日産は自分たちの運命を自分たちで決められない会社にしてしまった。責任は私たち歴代経営陣にある」と釈明するが、ものづくりの現場を荒廃させた罪は極めて重い。ゴーンの会長職と代表権の解任を決めた臨時取締会の翌日の11月23日を、<いい日産の日>としゃれている場合ではない。
◆日産は、つい2カ月半前、イグニッションキーの不具合によるエンジン停止のおそれを理由に、16車種3万8千台のリコールを、国交省に届け出たばかりだ。この一年、検査不正や品質データの改ざんが続出した。三菱マテリアル、神戸製鋼所、日立化成、免振装置の油圧機器KYB、宇部興産などなど、「法律に違反しても品質には問題がない」と開き直るモラルの退廃は、とどまるところを知らない。

◆極めつけは会計検査院が「森友学園」への国有地売却を巡る問題で下した結論だ。なんと約8億円の売却価格値引きの根拠をめぐって、財務省が行った決裁文書改ざんについては、処分を行わないというのだから始末に負えない。安倍政権ぐるみで免罪する「不正の構図」は、一掃しなければならない。(2018/11/25)

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2018年11月18日

【今週の風考計】11.18─労働法制の改悪と「ひんここまつり」の温もり

これほどまでに働く人びとを粗略に扱う政権があっただろうか。国内の労働者であれ、外国人労働者であれ、安い賃金で使いまわし、人権や生存権を踏みにじって恥じない。

裁量労働制や高プロ制の導入など、「働き方改革」と宣うが、サービス残業は野放し、過労死・過労自殺はあとを絶たず、誰のための労働法制なのか。常に経営サイドに有利になるよう、雇用契約の打ち切りなど、自由に調整できるようにするのが狙いだ。
加えて労働力人口の減少を理由に、いま働く外国人労働者128万人に加えて、さらに5年後までに最大34万人を受け入れるという。彼らの社会保障や永住権への対策は、どうなっているのか。無策も極まる。<わが亡き後に洪水は来たれ!〉の安倍政権だ。

23日は勤労感謝の日。制定されて、ちょうど70年になる。「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」ことを趣旨としている。安倍さんは、どの顔して23日を迎えるのか。
瑞穂の国、たわわに実る稲穂の収穫を祝い感謝する祭りが、伊勢神宮での新嘗祭をはじめ、各地で行われる。お百姓さんと共に、地域の人々が土俗ゆたかに継承してきた祭りには、働くものたちが共有する温もりがある。

岐阜県美濃市の<大矢田神社ひんここまつり>も、その一つだ。500年前から続く五穀豊穣を祈る素朴な人形劇。舞台に登場するのは、籠に紙を貼って顔を書き、着物を着せた案山子のような人形の中に入って、棒を操り演技をする。
ストーリーは、麦まきをしている農民に襲い掛かった大蛇を、スサノオノミコトが退治するという内容。脇で奏でる、お囃子が「ヒンココ、チャイココ、チャイチャイホーイ」と響く。紅葉に色づく山の中腹に設けられた舞台を、見あげる首が痛かったのを思い出す。(2018/11/18)

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2018年11月16日

【おすすめ本】俵義文『日本会議の野望─極右組織が目論む「この国のかたち」』─ おそるべき9つの野望と改憲策動の暗流を照射する=大日方純夫(早稲田大学教授)

 本書は、日本会議に対する系統的な監視を踏まえ、早くからその危険性を警告してきた著者の、前著『日本会議の全貌』(花伝社、2016年)に続く第二弾である。
 前著で日本会議の実態を、歴史・運動・組織などにわたって解明した著者は、本書で日本会議が何を狙っているのかを浮き彫りにしている。「これだけ悪政を続け、支持率が下がっているのに、なぜ安倍政権はつぶれないのか」─こうした問いに対する著者の答えが、本書に書かれている。
 まず日本会議が「改憲に突っ走る安倍政権」と一体となって、「草の根改憲運動」に猛進≠オてきたかが明らかにされる。そのうえで、前著を要約するかたちで、「日本会議とは何か」、その本質が整理される。

 本書のハイライトは第4章である。「憲法改正」「教育」「防衛」「歴史の改ざんと歪曲した歴史認識の拡大」「靖国神社問題」「皇室崇拝と復古的天皇制の復活」「戦後レジームからの脱却で歴史をとりもどす」「女性の組織化と男女共同参画の否定」「国家主権の回復、国家意識の醸成」という9つの野望が順次紹介される。
 さらに道徳教育の教科化ともかかわる第2の野望「教育政策」が詳しく解明されるが、<子どもと教科書全国ネット21>事務局長をつとめてきた著者ならではの分析だ。
 続いて森友・加計学園問題の背後で、日本会議が暗躍している事実に加え、「日本会議の広告塔」としての櫻井よしこの役割が、鋭く明かされる。
 10月2日、第四次安倍改造内閣が発足した。安倍政治の狙いとその背後関係を見極めるためにも、日本政治の暗流を照射した本書は必読である。
(花伝社1200円)
「日本会議の野望」.jpg



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2018年11月11日

【今週の風考計】11.11─51年目を迎えるASEAN への期待と日本の役割

シンガボールに熱い視線が注がれている。11日からASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議が開催されているからだ。発足してちょうど51年目、加盟10カ国の人口を合わせると6億人を超え、EU(28カ国)の5億人を上回る。
「アジアのバルカン」とも言われた東南アジアが、平和を守り人々の生活向上を成し遂げてきた、その成果は大きい。しかし中国が南シナ海に人工島を造成している問題で、隣接諸国は緊張の度合いが増している。とりわけ米中間での争いが激しくなれば、その余波はASEANにも及ぶ。

南シナ海の領有権争いに無関係なカンボジアやラオスは親中国の立場をとるが、ベトナムは中国に対して強硬だ。全会一致を原則とする以上、議長国シンガポールの意向を反映して、中国に一定の配慮をして紛争への懸念と国際法を重視する姿勢を打ち出す。
さらに厄介なのは、中国の経済圏構想「一帯一路」がもたらしている悪影響だ。中国からの巨額の借金で苦しむ国が続出している。今年の総選挙でマハティールが首相に復帰したマレーシアは、ついに兆円単位の債務を抱える鉄道建設の中止を決めた。あまりにも中国本位の借款事業への批判は強い。

15日からは東アジアサミットが、同地で開催される。ASEAN10カ国に加えて、日本、韓国、中国、インド、ロシア、豪州、米国などが参加する。その前日14日には安倍首相とプーチン大統領の首脳会談も組まれ、北方四島の帰属と平和条約締結に関する話し合いが行われる。だが、もっと大事なのは、米ロ中の顔色を伺う対応ではなく、東南アジアで果たすべき日本の主体的な役割の発揮である。

18日からは、ASEANに加盟申請しているパプアニューギニアのポートモレスビーで、APEC(アジア太平洋経済協力会議)が始まる。そこにも安倍首相は出席する。外国人労働者の導入・移民政策などに絡む重要法案はどうするの? 盟友・トランプ大統領は、自国の「移民問題」への対応で欠席だ。(2018/11/11)
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2018年11月10日

【おすすめ本】本間 龍『ブラックボランティア』─「感動詐欺」「やりがい搾取」が進む東京オリンピックの裏側=鈴木耕(編集者)

 やたらと腹の立つ本である。だから途中で放り出すかといえばそうじゃない。ジリジリと怒りを溜め込みながら、読了せざるを得ない本なのだ。
 私は、「東京五輪」そのものに反対なのだが、著者はその反対論に明確な根拠を与えてくれる。「原子力ムラ」があるように、どうも「五輪ムラ」とでもいうような所で、“五輪貴族”どもが利権を食い漁っているようだ。

 利権だけでは食い足りず、とうとうボランティアという美名に隠れて若者たちを食い物にしようとしていると、著者は指摘する。
 本来ボランティアとは@自発性:自主性・主体性 A非営利性:相互性・相対性 B公共性 に裏付けられるべきものだが、これが全く東京五輪には当てはまらない。
 なかでもAが問題だ。スポンサーからの協賛金とテレビ放映権などで運営される営利イベントなのだから、非営利性とは相容れない。しかもそこへ、日当はおろか宿泊費も交通費も出さない無報酬ボランティアの若者を“動員”しようというのだから、五輪貴族たちは坊主丸儲け。

 大学もそれに加担し始めている。「国際スポーツボランティア人材育成プログラム」などを開催して“学徒動員”を呼びかける。財界も「就活に有利」などと甘言で後押しする。もはや官民挙げての「感動詐欺」「やりがい搾取」だと、著者は怒りをもって告発する。
 本来、世界平和を目的に始まったはずの「近代五輪」が、いつの間にかカネまみれの商業五輪となり、その結果が酷暑の夏の「東京オリンピック」だ。
(角川新書800円)
「ブラックボランティア」.jpg

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2018年11月04日

【今週の風考計】11.4─新たな改正法案「外国人受け入れ」に対する右派の困惑

★30年後には、日本の人口が15%減少する。安倍政権は、それに伴う国内の労働力不足を解消するため、外国人労働者の受け入れ拡大に舵を切った。
★そのため新たな在留資格を創設する出入国管理法改正案を2日に閣議決定、今国会での成立を目指す。新たに「特定技能1号」は一定の日本語力と技能があれば5年間の在留を認める。さらに熟練した技能がある労働者は「特定技能2号」とし、家族の帯同と長期の在留を認める。定期的な審査を受ければ事実上の永住も可能になる。

★来年4月からの実施を目指す。まずは深刻な人手不足に悩む介護や農業、建設など14業種で受け入れる。「移民ではない」と強調するが、受け入れ人数に上限はない。2025年までに50万人の外国人労働者を受け入れる方針だ。
★とにかく安い賃金で働かせるのが本音なのだから、「外国人就労者の雇用が切れたり、違法残業が続いたりした時、抗議や暴動など治安が悪化しないか」、さらには「日本人労働者の給与が下げられ、待遇悪化につながりかねない」など、深刻な声が広がる。あまりにも“ご都合主義的な政策”ではないか。

★自民党内や安倍政権を支援する右派組織からも「中国やベトナムなど外国人が日本国内の労働力のカギを握り、日本侵略が進む」と、反対の論調に拍車がかかっている。現に極右団体は10・10「反移民デー」を設け、過激なデモ行動を展開している。

★肝心なのは、外国人労働者といえども、国籍などで差別されるのでなく、労働者としての権利、生活者としての人権が守られなければならない、それが保障されるか、この一点にかかっている。(2018/11/4)
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2018年10月30日

【焦点】 教育充実にも国家主義思想入り込む=橋詰雅博

 自民党は、衆参両院の憲法審査会で党の4項目改憲条文案を説明する。4項目は9条に自衛隊を明記、緊急事態条項の創設、参院選挙区の合区解消に加えて教育の充実だ。この中で教育の充実の中身は一般にあまり知られていない。その条文案では、第26条の第1項(教育を受ける権利)と第2項(教育の義務)は現行のままだが、第3項を加えている。加憲された文章は次の通りだ。
<国は、教育が国民一人ひとりの人格の完成を目指し、その幸福の追求にかくことのできないものであり、かつ、国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものであることに鑑み、各個人の経済的な理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め、教育環境の整備に努めなければならない>
 9月初旬に都内で講演した前川喜平・元文部科学省事務次官(63)は、この第3項をこう批判した。
 「『教育は国の未来を切り拓く上で重要だから環境を整備する』としている部分が問題です。逆に言えば、国の未来を切り拓けそうもない人間は対象外と解釈できます。ここに安倍晋三首賞の国家優先思想が混じり込んでいます。今春から小学校で教科として取り入れられた道徳もその一環です。
戦後は個人重視と国家主義がずっとせめぎ合ってきたが、第2次安倍内閣以降は、国家の力が強くなっている。全体主義と言い換えてもいい考えが台頭し、その勢いを増しています」
前川さんは79年4月当時の文部省に入省し、2017年1月退官した。40年近く行政官を務めてきた。
「長年の行政官生活で痛感したのは『こんな程度の政治家をなぜ国民は選ぶのか』でした。そんな有権者が日本におびただしくいます。やはり民主主義を勝ち取っていないことが淵源です」
そして今の世の中をこれほどまでに悪くしているのは「忖度だ」と指弾した。
本紙インタビューに応じた1年ほど前よりも、前川さんは舌鋒鋭く安倍首相を攻撃している。
橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年10月25日号 
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2018年10月28日

【今週の風考計】10.28─ 牛丼380円と消費税10%の方程式、どうしても解けない理由

消費税10%への進軍ラッパが吹き鳴らされた。2%アップで年間5兆円を、来年10月以降、毎年ずっと国民から奪いとる“徴税作戦”である。
しかし、その作戦の必然性が、ちっとも明らかにされていない。これまで消費税率引上げ分は、「社会保障の充実にあて、財政再建に使う」としていたが、いつの間にか「教育負担の軽減・子育て層支援・介護人材の確保などにも充当させる」と、国民の切実な願いを“人質”にとって、消費税増税の理由付けと使い道の見直しまでする始末だ。

いまだに社会保障はよくなるどころか、負担増・給付減の改悪ばかりが進む。現に、社会保障費の自然増分を5年間で1.5兆円も削り、文教予算も3年連続で削減している。アベノミクスの破たんが現実となり、消費不況が続き、景気回復どころか株の下落から日本経済の失速までが言われだしている。消費税10%の導入は、これに拍車をかける壊滅的打撃となりかねない。

そこへ軽減税率の導入とくる。飲食料品・新聞は8%据え置きの案だ。まずわかりやすい例を挙げよう。スーパーに買い物にいって、総菜売り場に並ぶ牛丼を買って家に持ち帰れば、据え置き8%の消費税だが、レジ脇にあるイートインコーナーで食べれば10%の消費税がとられる。「吉野家」で牛丼を買い持ち帰れば8%の消費税、店内で食べれば10%の消費税がとられる。おかしくない?
蕎麦やピザの出前は8%据え置き、だが弁当の配達は会議室に並べると、配膳・ケータリングとなり10%! こんなバカみたいなマニュアルが国税庁で作られている。さらには中小小売店でクレジットを使った消費者に対しては「ポイント還元」だとか、あの評判の悪い「プレミアム商品券」の配布まで言われだしている。
かつ住宅や自動車などの耐久消費財についても、軽減措置を検討することになっている。もう何のための消費税だ。社会保障を支える財源は、能力に応じて負担する「応能負担の原則」に基くべきだ。(2018/10/28)
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2018年10月26日

【お知らせ】〈橋本進さんを偲ぶ会〉のご案内

JCJ元代表委員の橋本進さんが、8月5日、逝去されました。享年91。下記のとおり偲ぶ会を開催します。

日時:11月26日(月) 15時〜17時30分
第1部:式辞 第2部:着席での会食・懇談
場所:主婦会館プラザエフ9階(JR四ツ谷駅・麹町口から徒歩1分)☎03-3266-8111
会費:5000円 平服にてのご来場を!

★出席される方は、11月9日(金)までにJCJ本部・FAX03-3291-6478にてお知らせください。


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2018年10月21日

【今週の風考計】10.21─海洋プラゴミ1億5千万トンが漂流! ムツゴロウも青息吐息!

21日からラムサール条約会議(COP13)が、アラブ首長国連邦のドバイで開催される。干潟や湿地を守るにしても、海辺や河岸に広がるプラゴミの山には辟易する。この70年ほどの間に、世界で製造されたプラ製品は85億トン、そのうち65億トンがゴミとして捨てられた。
毎年800万トンが、世界の海に流出し汚染を拡大している。現在、1億5千万トンの海洋プラゴミが浮遊している。プラゴミによる海洋汚染が深刻だ!

プラゴミの中でも、とりわけ問題なのが、破片5mm以下の「マイクロプラスチック」と呼ばれるゴミ。その2割が「人口芝」だというデータもある。これらの破片を、魚や鳥、イルカやクジラが飲み込み、体内に蓄積され摂食障害を起こして、餓死している例が世界中で報告されている。
いったん海に流れ出たプラゴミは回収が困難で、分解されずに200年以上も残存する。このままでいくと、2050年には世界の海洋プラゴミ重量が、魚の総重量を上回るといわれている。

プラゴミの総排出量のトップは中国だが、1人当たりに換算すると、その排出量は米国が1位、2位が日本となる。日本の2016年の排出量は320万トン。しかし日本には、未だに使い捨てプラスチックを国として規制する仕組みがない。
あまつさえ今年6月にカナダのG7サミットで採択された「海洋プラスチック憲章」に、日本とアメリカだけが署名を拒む体たらくだ。この憲章は、2030年までに全プラスチックをリサイクルするか代替可能なものに切り替えることを目指すという内容。拒むとは恥ずかしい限り。

EU 諸国は2020年に使い捨てプラスチックを禁止、世界の60カ国を超える国が規制を導入する。やっと日本も環境省が「2年後にレジ袋を有料化、30年までに使い捨てプラの25%削減」というガイドラインを提示したが、業界からの反発にさらされている。(2018/10/21)

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