2021年01月27日

【おすすめ本】奥村皓一『米中「新冷戦」と経済覇権』─「経済2大国」の対立と抗争、その要因・実態を深く分析する=栩木誠

 新型コロナ禍の世界規模の感染拡大で深刻さを増す世界経済。さらに大きな不安定要素になっているのが「経済2大国」 米国と中国の対立の深刻化だ。再選に失敗したトランプ米大統領によって演出された、米中「新冷 戦」の深層を解明することが本書の眼目である。
 第二次世界大戦後、長期に続いてきた米国主導のパクス・アメリカーナの構造は、いま音を立てて崩れつつある。その対立軸として急速に台頭してきたのが、経済や科学技術など各分野で急成長を遂げてきた中国。
 2030年代には、GDP(国内総生産)でも中国が世界一になると推測されるほどである。一方で、「新旧2大経済大国」は、競争的依存関係を深めてきた。
 ハイテク産業はじめ各分野で「呉越同舟」の関 係から脱却が極めて困難な中でも、「軍事力さえちらつかせつつ、醜い国際政治対決劇を演じる」両国の事態を掘り下げる。

 複雑骨折する状況が生み出される背景や要因について、本書は「米中覇 権競争と多国籍企業」や「勢いづく軍産複合体」など、5つの側面から詳細に分析している。バイデンに政権移行しても、現下の状況が急展開する可能性は小さい。 
 「EUはじめ世界から米中は醜い経済覇権抗争を超えて、新型コロナウイルス、気候変動、再生 エネルギー、宇宙開発の人類・地球救済の課題に挑戦し、ハイレベルの協力関係に戻れとの圧力が強まっている」と、本書は指摘する。
 私たちの日常生活にも大きな影響を及ぼしている米中両国の暴走を食い止める力は、「核兵器禁止条約」の発効を実現させたような、平和と民主主義を希求する世界の人々の声であり、行動である。
(新日本出版社2800円)
「米中「新冷戦」と経済覇権」.jpg

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2021年01月24日

【今週の風考計】1.24─「深大寺そば」と「武蔵野うどん」に想いを込めて

東京・府中に住む友人が、自分のブログで「深大寺そば」の名店、「深山茶屋」が閉店した悲しみを綴っている。
 <ぼくはかき揚げ付きの中盛り蕎麦、カミさんはとろろ蕎麦が定番だった。このなじみの店に行くと、シャッターに「当店は12月25日をもちまして閉店することになりました」の貼り紙。
 年末年始といえば、蕎麦屋にとっては最大の書き入れ時。それを前にして閉店だなんて…。 ガッカリしながらトボトボと家へ帰るしかなかった>と。
コロナ禍による経営難が進み、由緒ある店の休業・閉店が相次ぐ。創業231年、江戸時代から続く東京・葛飾柴又の川魚料理の名店「川甚」も、1月末で閉店する。創業39年の東京・三鷹市のラーメン店「味の彩華」も今月末の廃業を決めた。

さて筆者の住む東京・多摩北部地域では、「武蔵野うどん」を看板にする店が多い。この「武蔵野うどん」は、やや茶色みを帯びて太くコシが強い。「ざる」か「もり」にして、かつおダシをベースに、豚肉の細切れやネギを具にした熱い「肉汁」につけて食べる。
 冠婚葬祭などの祝い事や親戚が集まる時には、手打ちの「武蔵野うどん」が「本膳」として出されることが多い。
<大寒>が過ぎたとはいえ、木枯らしの吹く日は、コシの強い「武蔵野うどん」を、アツアツの「肉汁」につけて食べたい。その旨さを想うとヨダレが出てしまう。

東村山市の北西部にも「うどん屋」の名店が数多くあるが、残念ながら我が家からは遠い。「不要不急の外出は控えよ」とあっては、ままならない。
 9月中旬に開かれる東村山「どんこい祭」は、「武蔵野うどん」と「よさこい」を掛け、「どんと来い!」の意気込みを込めて名付けられたという。これも昨年は、コロナ拡大のあおりを受けて中止。
我が町の「うどん・蕎麦屋」が閉店・休業に追い込まれてはいないか、心配がよぎる。
 かつては良く行った「しなの」を思い出し、向かってみる。西武新宿線・久米川駅から線路沿いに小平駅の方向へ徒歩5分、踏切のそばにある。暖簾が出ている、やってた! うれしくて、店の引き戸を開けるのも心がこもる。
熱い「肉汁」に漬ける「武蔵野うどん」はないが、代わりにアツアツの「鍋焼きうどん」を注文する。大きなエビ天に半熟卵半分、しいたけ、ネギ、ほうれん草、ナルト、筍、お麩が盛り上がるように入って、うどんが見えない。
 岩手出身の84歳の主人と奥さんで切り盛りして50年。調理場と客席を隔てるカウンターには、宮沢賢治の「雨ニモマケズ…」の詩すべてが白抜きされた、紺色の水引暖簾がかかる。その心意気や良し、頑張って! と店を出る際にエールを送った。(2021/1/24)
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2021年01月20日

【焦点】書籍の価格4月から総額表示へ 切り替え費用 出版社負担 絶版本増え出版文化は衰退=橋詰雅博

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 出版界が大きな問題にブチ当たっている。紙の書籍などの出版物の価格は消費税額入り総額表示の義務づけが来年4月から復活し実施されようとしているからだ。
 総額表示が初めて義務化された2004年(それ以前は本体+税の外税表示が多かった)以降、多くの出版社は書籍に挟み込まれるスリップの上部に総額を表示することで対応した。
 しかし出版社を中心とした広範な運動もあって外税表示が13年10月から認められたものの、政府は適用期限を21年3月末までとした。
 となると外税表示の本のカバーや帯などを総額表示に切り替えなければならず、その費用は出版社の負担に。さらに波紋は広がる。費用削減のため絶版になる書籍が増える。負担に耐えられない出版社はつぶれる。出版社の9割は中小零細企業だ。倒産の影響で書き手は仕事を失う。費用増は新刊本の価格アップにはね返る。
 出版界はこぞって外税表示の継続を政府に求めている。大手出版社などが加盟する日本書籍出版協会らは11月中旬に財務省を訪れ「総額表示の義務免除措置を、四月一日以降も継続してほしい」と要望書を提出した。
  事の発端は30年前の1989年の消費税率3%の導入だ。出版物も総額表示を受け入れた。このとき約2万冊が絶版となった。
 この経緯などについて、約70の中小出版社でつくる日本出版者(注:『社』ではありません)協議会(出版協)会長の水野久さんが説明する。
 「当時、総額表示は義務ではなかった。ただし公正取引委員会が総額表示を強力に指導したので、各業界はそれに従った。出版協(当時は流対協)は強制した公取委を訴える行政訴訟を提起した。最高裁で敗訴確定したが、判決で『公取委の指導は法律に基づかず、原告側は勝手に総額表示をした』と述べた。8年に及ぶこの民事裁判を糧として、97年の消費税率5%アップの際、ほとんどの出版社は外税表示を取り入れた。罰則がないので、今日まで出版協加盟社の出版物は外税表示を貫いている。違法と分かっていますが……」
 総額表示が義務づけられる4月以降はどうするのか。
「消費税率がこの先上がる可能性があり、外税表示の上にシールを貼るなど費用もかかるので総額表示はしません。外税表示の書籍を差別せずに扱ってほしいと取次企業と書店に要請します」(水野さん)
 一方ではなんらかの手を打つ出版社も出てきそうだ。
 政府は消費者が求めていると説明するが、これまで外税表示で混乱はなかった。出版文化を衰退に追いやる総額表示はやめるべきである。とはいえ政府は外税表示の継続を認めないようだ。
 橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2020年12月25日号
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2021年01月17日

【今週の風考計】1.17─国会審議で陥る菅首相<自滅の刃>

国内で初めてコロナ感染者が確認されてから1年。いまや感染者は32万6千人、死者は4500人、恐るべき拡大の惨状が続く。遅れに遅れて発出した2度目の「緊急事態宣言」、11都府県に拡大したものの、収束すら見通せない。
東京都内では「自宅待機」感染者は週に3千人を超え、6700人が入院・療養先すら決まらない。単身者からは「コロナで死ぬか餓死で死ぬか」の悲鳴があがっている。

感染拡大を抑え込めない菅内閣の支持率は33.7%、「危険水域」に近い。これまで菅首相は5人以上の会食に参加し、さらには「緊急事態宣言」の対象県・福岡を静岡と言い間違え、「国民皆保険制度」の見直しすら示唆する発言など、責任は「ガースー」自身にある。
18日からの通常国会では、後手後手のコロナ対策に加え、感染症対策特措法の改定に向けたゴリ押し審議が始まる。
 入院を拒否した感染者に科す罰則を「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」「コロナ感染者の受け入れ勧告を拒否した病院名の公表」など、法案の内容を巡って紛糾するのは間違いない。
当然だ。コロナ感染で入院したくても入れない実態を放置して、罰則のみ優先するなどトンデモナイ。また民間病院にしろ、受け容れたくとも看護師や施設の補充・援助などの裏付けがなければ、どうやって責任ある医療ができるのか。医者の苦衷も理解できる。

長野県の松本モデルが示すように、症状に応じた受け入れ態勢を各種病院との間で計画を作り、コロナ治療への広域な医療体制を敷いている自治体もある。政府は各自治体に援助・アドバイスし広域医療の構築を強化すべきでないか。
それにしても肝心のPCR検査、いまだに軽視するのは重大な誤りだ。ノーベル賞受賞の本庶佑教授が「羽鳥慎一モーニングショー」で、改めて「PCR 検査能力の大幅な拡充と無症状感染者の隔離の強化」を訴えている。
 人口1000人あたり検査数を見ても、いまだに日本は0.5人、米国は3.9人。なぜ自動PCR検査システムを活用しないのか。これをトレーラーに搭載し、各地を回れば12時間で2500件の検査ができるという。
 これを1000台用意すれば1日250万件の検査が可能だ。トレーラーは1台1億円、自動PCR検査システムの設置も含め、この国会で企てる新たな「GoTo」追加予算1兆860億円の1割1086億円を投入すれば実行できる、と力説している。

厚労省は昨年5月、「検査拡大」によってコロナ擬陽性の多発が弊害を呼ぶとの文書を作り、政府中枢に説明して回っていたという。こんな文書に固執し、感染を広げてきた責任は誰がとるのか。
 やっと政府は、この11日になって都市部で不特定多数を対象にした1日数百〜数千件のPCR検査を実施すると公表したが、なんと実施時期は3月だ。
業を煮やした自治体の中には、自主的にPCR検査に取り組むケースが増えてきた。東京都・世田谷区を始め、広島県が広島市民80万人を対象にした集中的な検査を実施する。
 感染拡大を抑え込めない現状では五輪開催にも赤信号がともり、菅政権の窮地どころか菅首相自身、党総裁選での再選もおぼつかない。まさに<自滅の刃>が迫っている。(2021/1/17)
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2021年01月13日

【‘20読書回顧】 今こそ「公助」で人の命を守るとき! =吉田千亜(`20JCJ賞受賞者)

吉田千亜.jpg 政治家の会見で飛び出る言葉や造語は戦時中のスローガンのようだ。裏づける思想や哲学のない言葉の薄っぺらさは、市井の人の命や尊厳を軽んじることに起因する。コロナ禍だけではなく、原発事故後も感じたことだ。精神論と個人の努力のみで命は守れない。
 松沢裕作『生きづらい明治社会―不安と競争の時代』(岩波ジュニア新書)」は、そんな時に出会い読んだ。とても読みやすいが重要な点を指摘している。明治社会というよりも、「自助・共助・ 公助」と言いながら、徹 底的に「公助」に欠ける現代を詳らかにしている。
 原発事故でも、コロナでも、真っ先にその影響を受け、命を脅かされ生活困窮に陥ったのは、弱い立場にいた人々だ。しかし、生活困窮は本人の努力が足りないせいで、「自己責任」にしてしまう風潮がはびこる。そしてまっとうな公助もないなか、民間支援団体が奔走し、疲弊している。

 本書で書かれている「通俗道徳」は、「頑張れば必ず成功する」という信念だ。悪い考えと思う人は少ないのかもしれない。しかし、それは貧困 に陥った弱い立場の人々に、冷たい視線を投げるのを正当化する「ワナ」 でもある。そして、それ は現代に受け継がれてしまっている。
 権利としての「生活保護」を受ける人々を非難し、「大変なのはお前だ けじゃない」と思うこと。そして、自らも「生活保護」は受けたら恥ずかしいと捉えること。これは原発事故の賠償の際にも見られた現象だ。
 努力で困難を乗り越えろというのは、人を殺すのだと言い続けたい。原発事故でもコロナ禍でも、その理屈を政治が一部の人に率先して押しつけている。

 どんな人にも生きる権利がある。頑張る・頑張らないに関わらず、公助が必要な場面があり、公助で守られるべき命がある。「通俗道徳」を消し去るには、思想と哲学に裏付けられた温かい言葉の力しかないと、改めて感じている。
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2021年01月10日

【今週の風考計】1.10─「果物と野菜」が2021年<国際年>テーマになる理由

★今年2021年、国連は<国際年>(International Year)のテーマとして、以下の4つを挙げ、世界の国々で取り組みを強めるよう呼びかけている。
 @平和と信頼 A持続可能な開発のための創造的な経済 B児童労働の根絶 C果物と野菜
★そもそも<国際年>とは、特定のテーマを設定し国際社会の関心を喚起し、取り組みを強めるのを目的に、国連総会で採択・決議される。1957年の<国際地球観測年>が最初だ。
 今年の4つのテーマを見ているうちに、オヤと思ったのが、C果物と野菜である。2019年12月の国連総会で採択され、2021年のテーマに加えられている。

★この64年間、<国際年>に取り上げられたテーマをネットで調べてみると、果物や野菜に関連するものは、きわめて珍しい。2004年にコメ、2008年にポテト、2016年にマメの3例しかない。
 「果物と野菜」を採択するにあたって、グテーレス国連事務総長は、食料の生産と消費との関係を再考し、食品ロスなどフードシステムを再検討し、果物や野菜など必要とする多様な栄養に誰もがアクセスできるよう、健康的で強靭で持続可能な世界にしようと強く訴えた。それほどに重要なテーマになっていたのだ。

★果物や野菜は、ビタミン、ミネラル、フィトケミカルが豊富で、人体に豊富な栄養素を提供し、免疫システムを強化し、さまざまな病気のリスクを減らすのに役立つ。
 世界保健機関(WHO)は、健康を維持するうえで食事の一部に果物・野菜を1日1人400グラム以上摂るよう促している。世界の貧困地域では半分にも満たない。わが日本でも一人当たり摂取量は1日約280グラム、120グラムも不足している。
 さらに生産された果物と野菜が消費されるまでの間に、途上国からの輸入や国内での流通分も含め、食べ残しや消費期限などから廃棄されるロスは最大40%にのぼるといわれ、大きな課題となっている。

★いまコロナ感染拡大の影響で、自宅での料理づくりが増えている。巣ごもりの身には、食卓に並ぶ毎日の料理が楽しみだ。野菜炒めを食べイチゴやキウイを味わいながら、ふと年末に短時間審議で可決された「種苗法」に想いが及ぶ。
 俳優の柴咲コウさんがツイッターで日本の農家・農業の将来に触れ、懸念を表明していたが、農家の自家採種・増殖の権利が制限され、公共の種子すら種苗会社に譲渡されたらどうなるか。
 海外のメジャーが果物や野菜の種苗を支配することになれば、遺伝子組み換えなど、食の安全さえ脅かされ、まさに「果物と野菜」<国際年>を侵害する事態が進むのは明らかだ。(2021/1/10)
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2021年01月09日

【焦点】香港の刑務所に収監中の周庭さん、改めてどんな人?―オンとオフの切り替え早く 英語も日本語も上手な努力家=橋詰雅博

 昨年末に違法集会を扇動した罪に問われ禁錮10カ月の実刑判決を受け香港の刑務所に収監中の民主活動家の周庭さん(アグネス・チョウ=24)が、重犯罪者が入る女性刑務所に移送された。この刑務所は殺人や薬物の密売などを犯した受刑者が多く、監視が特に厳しい。移送された理由は、周さんは収監後もツイッターやフェースブックで近況を発信していたため外部への影響力を保持していると当局が判断したからだといわれている。

 一時は香港の民主の女神≠ネどと日本のメディアが持ち上げた周さんは、改めてどんな人なのだろうか。朝日新聞GLOBE編集部が昨年9月に主催したオンラインイベントのコメンテーターとして登場した朝日の益満雄一郎・香港支局長と、フリーライターの伯川星矢(はくかわせいや)さんは、数回の取材から周さんの人物像をこう述べていた。ちなみに伯川さんは、父親が日本人、母親が香港人で、香港で生まれて育ち18歳で来日。獨協大学外国学部交流文化学を卒業している。
 香港国家安全法違反で逮捕され昨年8月に釈放された際、周さんは「今回(4回目の逮捕)が一番怖かった、きつかった」と記者のインタビューに答えていたが、このコメントについて伯川さんは「彼女から『怖い』という言葉を初めて聞いた」そうだ。伯川さんは続けて言う。
 「これまで違法な集会で逮捕されてもどのくらいの刑か想定できて、ある程度リスクが予測できた。ところが国家安全法が導入されてことで、何をしたら罰せられるのか、どのくらい罰せられるのかなど不確かなままです。周庭から『怖い』と言われ、改めて事の大きさ、国安法の不条理さを感じた」

 伯川さんによると、彼女はオンとオフの切り替えが早いという。
 「オフのときは、楽天的で、アイドルが大好き。どこか遊ぶに行こうという普通の子です。初めて香港で会ったとき、僕を見た彼女は『伯川クンおなかすいた』といきなり言った。『えー』と戸惑いましたが、『シュウマイ食べる?』と答えたら『うん、食べると』と返事した。するとなぜか僕の財布から20香港ドルをもっていった。結局、僕がシュウマイをくわせてもらったというオチです。その後、すぐに取材したらビシッと人が変わり真面目な態度で臨み、チャンネルも日本語に切り替わった。オンとオフの切り替えがはっきりしていると思った」
 益満さんも「普段は、彼女、ふわっとした感じ。しかし、デモの現場で会い、取材で声をかけてもあまり答えてくれません。彼女の頭の中はデモに集中しており、メディアからの取材を考えていないようだ。きっとスイッチが入っていたのでしょうね」と語った。
 そして努力家だと指摘する。
 「彼女の日本語は初めて会った4年前と比べて、明らかに上手になっていた。
本人は『そんなことないです』と謙遜していたが、日本のアニメを見て勉強したそうです。英語も上手。語学の才能があるだけではあそこまでうまくならない。忙しいので1日の睡眠3、4時間と言っていたが、そんな中でも努力したからだと思う」(益満さん)
 移った女子刑務所で周庭さん、今は何を思っているのだろうか。
 橋詰雅博
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2021年01月06日

【‘20読書回顧】 凄まじい情報戦とフエイクとの闘い=香山リカ(精神科医)

香山リカ.jpg 2020年は世界を新型感染症が襲い、当初は「世界 はひとつになって立ち向かうだろう」などと希望的な観測もあったが、そうはならなかった。それどころか日本国内を見ても、未だにこのウイルスの威力だけでなく存在すら否定する識者がいる。
 アメリカでは大統領選挙が行われたが、トランプ大統領自身が敗北を認めず、民主党の不正選挙を訴えるなど、そこでも混乱が深まっている。
 ネットが普及し情報が手に入れやすくなっているのに、逆に誰もがフェイクニュースに惑わされ何を信じていいのかわからなくなっているのだ。

 しかしこの状況は今にして始まったわけではない。私にとっての今年の一冊は、キエフ出身のジャーナリスト、ピーター・ポメランツェフ『嘘と拡散の世紀』(築地誠子ら訳、原書房)によると、ネットでのデマや作り話を駆使した情報戦は、すでに20年も前から画策されており、そこから生まれたのがプーチンでありトランプであるという。
 著者はもはや、「なぜ事実は無意味になってしまったのか?と問うのではなく、そもそもなぜ事実に意味があったのか?と問うべき」段階に来ているという。「(事実の)重みを放り投げて、辛気臭い現実にざまあみろと言ってやることには、ある種の子供じみたよろこび」があり、プーチンやトランプこそ「現実が突きつける束縛からの解放」のよろこびを与えてくれる存在、と言うのである。
 もちろん、著者はそれをよしとしているわけではないが、本書で著者が世界の現場で取材した情報戦のすさまじさを知ると、コロナも民主主義も最も重要なのはフェイクニュースとの闘いだということがわかる。

 今年、もう一冊、感銘を受けたのは、元ミュージシャンの作家ゲイリー・ラックマン『トランプ時代の魔術とオカルトパワー』(安田隆監訳、ヒカルランド)だ。タイトルからして怪しい本のように思われそうだが、信仰がベースになったポジティブシンキングや保守思想がトランプ大統領を生んだ経緯がよくわかる。こちらも必読だ。
「嘘と拡散の世紀」.jpg
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2021年01月03日

【今週の風考計】1.3─コロナ禍への対応に必要な「ワンヘルス」という考え方

あけましておめでとうございます。
 新年を迎えてもコロナ感染拡大は止まず、いつ収束するか不安が続きます。対応に手をこまねいているうちに変異種まで生まれ、私たちは深刻な人類文明の危機に直面しています。
 “巣ごもり”の身であるだけに、新聞やテレビなどの情報に接し、いろいろ考えることがありました。

新型コロナがヒトへ感染したのはコウモリからだといわれ、世界で見つかる新たな感染症の7割近くが動物に由来するそうです。
 地球温暖化により永久凍土が融解したため、埋もれていたトナカイの死骸が地上に露出。そこから炭疽菌やウイルスが発散し周辺の住民に甚大な病害をもたらした例もあります。南極大陸の氷に閉じ込められた病原菌が再活動する可能性だって十分にあるとのこと。
米国の研究者は2015年、アラスカやチベット高原の地下50メートルの氷をとり出したところ、未知のウイルスが28群も発見されたと報告しています。
 ウイルスは環境によっては、100万年くらい生き残るそうです。いま人類は未知のウイルスに脅迫されているのが現実でしょう。
 森林火災や陸地の砂漠化により、野生動物が人間の生活圏にまで進出し、捕食せざるを得ない事態も生まれています。こうした動物からのウイルス感染も視野に入れなければなりません。

どうしたら良いのでしょうか。感染症対策のキーワードとして、「人の健康・動物の健康・自然環境の保全」を一つのものとしてとらえる、「ワンヘルス」という考え方が浮上してきています。
 人の健康は、生物の健康と健全な自然環境の保持によって維持されるという考え方です。私たちはさまざまな生き物の恩恵を受けて生きています。生物の健康が脅かされ、多様性が急速に失われれば、人類や社会の健康も損なわれます。
だからこそ「人類・生物・環境」を三位一体として、ひとつの健康「ワンヘルス」を大切にする対策をとるべきときです。
 まず「ワンヘルス」を脅かす原因は、地球温暖化による気候変動、そして私たちが営む経済活動による環境破壊にあります。コロナウイルスによるパンデミックの発生は、この手痛い代償でもあるのです。

「地球温暖化に効くワクチンなど存在しない」以上、自分たちの手で、まずCO₂の排出量を削減し、ゼロに向かって手を打っていくことから始めねばなりません。やっと日本政府も、昨年10月下旬、「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」と表明しました。
 菅政権は待ったなし、クリーンエネルギーへ切り替える具体策が急がれます。(2021/1/3)
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2020年12月30日

【おすすめ本】ちゃんへん.著 木村元彦構成『ぼくは挑戦人 (ちょうせんじん)』─「切ない 凄い 面白い」3拍子そろう世界的パフォーマーの行動力=鈴木 耕(編集者)

 読後感は3つ。最初は「この話、切ない」、二番目は「この男、凄い」、そして最後は「この本、面白い!」である。ほぼこれに尽きるが、それじゃ書評にならない。3つの中身に触れてみよう。
@この話、切ない。
 著者「ちゃんへん.(金昌幸」の生まれは京都府宇治市ウトロ地区。戦前に朝鮮から渡来した人たちが集まり暮らし始めた場所。つまり著者は在日朝鮮人で、小学校では「岡 本」と名乗る。しかしなぜそうしなければならないのか、幼い彼には理解できない。理解できないまま壮絶なイジメにあう。
 だが著者は祖母と母の庇護の下、真剣に自分の生き方を掴み取る。それがヨーヨーとの出会い。母と祖母の鮮烈な魅力が生き生きと描かれ、切ないが胸を打つ。
Aこの男、凄い。
 ヨーヨーにはまった著者は、次にジャグリングに挑戦。めきめき上達し中学3年で単身アメリカへ渡り、パフォーマンスコンテストに出場し、金メダルに輝く。
 だが渡米に当たって国籍問題が家族に大きな亀裂をもたらす。中学生に国籍選択という非情を押し付ける国家。それを克服する少年の強靭な魂。そこから世界的パフォーマーへの道を切り拓いていく過程は「挑戦人」というタイトルそのまんま。
Bこの本、面白い。
 著者の行動力は凄い。ブラジルや南アのスラム街で公演。マイケル・ジャクソンや金正恩など超有名人たちと出会うエピソード。中東問題すら身体で理解しようとする姿勢。自らのルーツを訪ねて南北朝鮮を旅し、さらに中国からサハリンに脚を伸ばす。
 まさに圧倒的な行動力、息もつかせぬ展開。面白い!としか言いようがないじゃないか。
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2020年12月27日

【今週の風考計】12.27─「桜」前夜祭への虚偽答弁とハグラカシを許すな!

心穏やかに<2020回顧>などしていられない。24日、東京地検特捜部は「桜を見る会」前夜祭をめぐる疑惑に関し、安倍前首相を不起訴、公設第1秘書を略式起訴したが、罰金100万円が即日納付され、一連の捜査が終結。
 だが、その後の記者会見や国会での安倍前首相の弁明は、ハグラカシに終始。すべて責任を秘書に押しつけ、自身の関与は全否定。この1年あまり国会でつき続けたウソは118回、ますます疑惑は深まるばかりだ。

疑惑1─なぜ「前夜祭」の収支明細を隠すのか。
 安倍氏は「前夜祭の費用は全て参加者の自弁」「個々の参加者がホテルと契約」などと、大見得を切ってきたが、大ウソ。なんと一人当たり3000円もの金額を、安倍晋三後援会が補填していた事実が明らかとなった。これこそ「利益供与」じゃないか。
 さらにホテル側が発行した領収書のあて先は、安倍氏の資金管理団体である「晋和会」。この事実は「晋和会」が主催者・契約者そのもの。安倍晋三後援会なのか「晋和会」なのか。補填資金の出どころが新たな疑惑として浮上する。
しかも特捜部が捜査を終える直前の23日、突如、安倍事務所は訂正した政治資金収支報告書を山口県選挙管理員会に提出した。そこに添付されている「領収書等亡失等一覧表」を見ると、2017年〜2019年の「前夜祭」の領収書が、3回とも「全て紛失」と記されている。こんな事態はあり得ない。
 しかも、この「領収書亡失届」は、なんと「前夜祭」が国会で大問題となっている最中の今年5月に提出されている。一方、訂正報告書に記載された補填金額は詳細に最後の1桁まで記されている。「なぜ領収書がないのに、細かい数字まで書けるのか」、ホテル側からの領収書自体を隠している疑いも出てきた。

疑惑2─補填の原資はどこからか。
 2016年から19年までの4回にわたる「前夜祭」分の補填額は約700万円。しかし政治資金報告書では、その原資の出どころは不明のまま。安倍氏は「私が預ける共有資金の中から立て替えた」と答弁したが、立て替え払いした総理のお金はきちんと戻されたのか。その資料は提示されない。
 「秘書が金庫に入っていた総理のお金を勝手に差額補填に使った」というのなら、業務上横領罪が成立する。告訴しないという以上、安倍氏自身も補填に関わり了解していたことになる。

疑惑3─なぜ政治資金報告書に記載しなくなったか。
 安倍氏の政治資金報告書を見ると、2013年度は「前夜祭」に関する項目として、領収書も含め記載されていた。だが翌2014年以降からは報告書には記載されなくなった。「前夜祭」に参加した地元有権者への「利益供与」を隠すためではないか。
 「前夜祭」の費用補填は、このほど提出された訂正後の政治資金収支報告書では、「会場費」ではなく「宴会料」の項目で計上されている。公職選挙法に照らせば「会場費」を超えて補填額が膨れ上がると、「利益供与」に当たる可能性がある。
 「前夜祭」は、首相主催の税金を使った「桜を見る会」とセット。地元有権者に「おもてなし」という「利益供与」を図る意図を込め、「桜を見る会」も私物化していたのは間違いない。(2020/12/27)
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2020年12月23日

【おすすめ本】北野隆一『朝日新聞の慰安婦報道と裁判 』─右派が起こした裁判の経過と慰安婦問題の本質を徹底検証する=上丸洋一(ジャーナリスト)

 日本軍「慰安婦」とす るため、韓国・済州島か ら女性を、強制連行したという吉田清治氏(故人) の証言は「虚偽」だった─という問題を、朝日新聞が2日連続の特集紙面で検証したのは、2014年8月のことだ。
 特集の取材、執筆にあたった記者の一人である著者は、慰安婦問題の経緯だけでなく、特集紙面掲載後に右派グループなどが起こした裁判の経過を辿り、問題の所在を明らかにする。
 慰安婦問題を語る本は多いが、本書の特徴は裁判での右派の主張を記録するのに加え、集会や街頭演説などでの右派の言葉を、現場に出向いて丹念に集めていることだ。朝日新聞を「敵視」する 人たちに著者は粘り強く密着する。

 なかでも驚いたのは、右派グループの弁護団の一人が、集会でこう語っていたことだ。
 「あの当時、(朝鮮) 半島は日本帝国の一部だったんじゃないですか。そうすると帝国憲法が施行されていたはずなんです」
 だから朝鮮の人々も、同じ「日本臣民だったはず」だと続くのだが、い やいや、植民地朝鮮に帝国憲法は施行されていない。これは議論の余地のない、近代史の常識である。
 弁護士がそんなことも知らないのかとびっくりしたが、見方をかえれば歴史を学んでいないからこそ、歴史歪曲に加担することに、つながるのだろう。
 朝日新聞の特集紙面について、他の全国紙が激しく攻撃したことも記憶に新しい。当時の各紙論調がどうであったか、いずれか、その検証も読んでみたい。(朝日選書1900円)
「朝日新聞の慰安婦報道と裁判」.jpg
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2020年12月20日

【今週の風考計】12.20─SNS上の「捨て垢」による誹謗・中傷を削除せよ!

ネット上の誹謗・中傷・差別に満ちた書き込みは深刻さを増している。「即刻死ね」「消えろ」などと特定の個人や団体を相手に、敵意むき出しの書き込みが集中し、甚大な人権侵害や悲劇が起きている。
 しかも「架空の人物」が作った「捨てアカウント」、これを「捨て垢」というそうだが、そこからの誹謗・中傷が圧倒的だ。
国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の企画展「表現の不自由展・その後」では電凸に加え、SNSでは「捨て垢」からの攻撃にさらされ“炎上”状態になり、中止に追い込まれた。
 「捨て垢」はいつでも削除・放棄できるので、投稿者を特定するのは極めて難しい。

「誹謗・中傷がいやならSNSをやめればいい」というが、いまやSNSは生活に欠かせないツール、使わざるを得ないのが実態だ。
 ツイッターやインスタグラムなどを運営する主要なSNS会社では、わいせつ画像の送信や個人へのなりすまし、ヘイトスピーチや差別的内容などについては、被害者からの削除依頼やアカウントの凍結要請を受け付けている。
 ただし、これらの対応も書き込みが残っている場合のみに有効なので、アカウントが削除されると、対応は難しい。

悪質な書き込みで、5月にプロレスラー木村花さんが、22歳の若さで自死したのをきっかけに、政府は被害者がSNS運営会社に、投稿者の電話番号を開示請求できるよう省令を改正する。
 また弁護士を通じ、投稿者の氏名と住所についても照会できるようにし、被害者が受けた損害への賠償について請求しやすくする改正も、検討されている。
 来年の通常国会に、開示ルールを定めた「プロバイダー責任制限法」の改正案を提出する予定だ。
一方、消費者や有権者からの指摘・批判、内部告発などを受けた企業や政治家が、投稿者に圧力をかけようと、この開示制度を悪用する危険もある。政治や行政、企業に対する正当な批判まで封じ込めるなど絶対にあってはならない。

ドイツではネット上のヘイト表現に対して、法律で24時間以内の削除を義務付け、違反した場合、最大5000万ユーロ(約60億円)の罰金を課す。
 日本はどうか。自主規制のみで、法律による削除は謳われていない。今なお、ヘイト投稿は後を絶たない。この11月、化粧品会社DHCが自社の公式サイトに、吉田嘉明会長の名で以下のような文章を掲載した。
 「サントリーのCMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人です。そのためネットではチョントリーと揶揄されているようです。DHCは起用タレントをはじめ、すべてが純粋な日本人です」
この文章が12月16日朝のツイッター上で拡散され、在日コリアンへの差別的発言として批判が相次いだ。吉田会長は過去にもDHC公式サイトで在日コリアンへの差別的表現を行っていた。
 れっきとした会社組織が、ヘイトや人種差別につながる文章をホームページに掲載し、恬として恥じない。日本の企業の無責任さを、笑ってすますわけにはいかない。(2020/12/20)
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2020年12月17日

【おすすめ本】方方著 飯塚容+渡辺新一訳『武漢日記 封鎖下60日の魂の記録』─地元の女性作家が圧力にめげず、弱者に寄り添い告発する真実=永田浩三(武蔵大学教授)

 中国で真実を語るのは困難だとよく語られる。しかし本当にそうか。本書は、ひとりの女性作家が、封鎖された都市で2ヶ月にわたって熱い思いをブログに綴り、世界に発信した籠城記だ。
 方方は2歳から今日まで62年間武漢で暮らす生粋の武漢人。長江に面し東洋のシカゴと呼ばれる人口1100万の巨大都市で、ウイルスは猛威を振るった。一家全滅もあり、団地の階段から遺体を担いで下ろす警察官は涙をこぼした。市民の多くは心に傷を負った。
 著者の批判の矛先は、感染爆発を隠蔽する党幹部やメディアに向かう。「職務怠慢の連中に対して、私たちは追及の手を緩めてはいけない」。
 ヒト―ヒト感染を最初に内部告発した医師は死んだ。市民は「遺された 家族や子どもは我々が面倒を見るぞ!」と叫び、 亡くなった時間に灯りを消し、夜空に向かって懐中電灯やスマホの光の束を送り追悼した。心の深くに沁みる光景だ。
 ブログは、何度も削除され閉鎖されたが、読者たちは消される前にコピーし拡散した。検閲をしのぐネットワークが生まれた。「私たちはネット空間に場所を作り、一緒に大泣きしよう!」
 黙ってはいられない。発信をやめるものか。「沈黙は虚言に等しい」とのヴィクトル・ユーゴーの箴言が著者を励ました。
 小説家とはどんな存在なのか。方方はこう定義する。落伍者、孤独者、 寂しがり屋に、いつも寄り添うもの。溺れかかった時に縋る小枝。決して強者、勝者のものではない。これはジャーナリズムとも重なる言葉だ。
 第3波に翻弄される日本において、孤立や排除ではなく、弱い人を守り共に生きのびるための必読の書だ。(河出書房新社1600円)
「武漢日記」.jpg
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2020年12月16日

【時事マンガ】国民を無視するガースー政権=画・八方美人

20201214国民を無視するガースー政権.png

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2020年12月13日

【今週の風考計】12.13─コロナ感染拡大の火に油を注ぐ追加3119億円の無謀

■コロナ感染拡大を防ぐ「勝負の3週間」最終日が16日にやってくる。だが12日、1日の新規感染者が3041人まで拡大し、最多を更新する事態に至った。重症患者も増え、北海道と大阪府には医療施設へ自衛隊の看護師まで派遣せざるを得なくなった。
■医療崩壊の危機は、日に日に増している。この間の「ガースー」首相の無策に対する怒りは、募るばかりだ。謙虚に科学者や専門家の意見に耳を傾け、時には厳しい提言も尊重する姿勢が全く感じられない。
 米国やブラジルではコロナ禍の悲惨な事態が続く。これも大統領が科学者の助言を軽視し、科学的根拠のない言葉や対策を重ねてきたからだ。

■いま日本では医者や医療従事者、さらには専門家・有識者で組織された政府分科会までが、人の出入りを抑え感染を防ぐために、「Go Toトラベル」の一時停止を提言している。それにも関わらず、追加の3119億円もの予備費支出を決め、アクセルを吹かすというのだから呆れる。
 その理由が「Go Toトラベルによりコロナ感染が拡大したとのエビデンス(根拠)は存在しない」からだという。
■だが11月下旬には、東京大学など研究チームが「Go Toトラベル利用者はコロナへの感染リスクが高い」という調査報告を発表した。
 また英国の科学者たちも、コロナ・ウイルスのDNA分析をしたところ、旅行によって国の内外から持ち込まれたと結論づけ、警鐘を鳴らしている。
 こうした科学的根拠が出てきたにも関わらず、まだGo Toを続けるのなら、人命は二の次だと言っているのも同然ではないか。

■安倍・菅政権へと続く今の政治には、慰安婦問題への無反省、公文書改ざんや虚偽答弁の連発、歴史や科学を無視する「反知性主義」がはびこり、人命まで軽視する事態にあるのを直視しなければならない。
 日本学術会議が推薦した会員候補6人の研究者を、政権の恣意的な選別で任命拒否する事態は、その典型ではないか。しかも公開された内部文書には「外すべき者(副長官から)」との文字が手書きで記され、その下の部分は黒塗りになっている。
 都合の悪いエビデンスは、ノリ弁にして隠ぺいしてしまう。国会での説明も拒否し、事実すら抹消しかねないところまで来ている。
 政府の諮問会議にしたって、政権の志向する政策や方針に沿うような有識者を最初から組み入れ、諮る以前に方針が決まっているケースすらある。
■「国民のために働く内閣」と、大見得を切った「ガースー政権」、24日のクリスマスイブには発足100日を迎える。国民へのプレゼントがコロナ感染拡大では、支持率が43.1%、2カ月連続して急落するのも無理はない。(2020/12/13)
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2020年12月09日

【出版界の動き】コロナ禍による出版業界の大きな変化を読む

12月4日に『鬼滅の刃』最終23巻が初版部数395万部、『鬼滅の刃外伝』(いずれも集英社)が発売され、書店に多くの読者が殺到する事態となった。3日付の夕刊に全面広告、同4日付の朝刊全国紙には全面広告を4面にわたって掲載。
今年1月から9月にかけての『鬼滅の刃』を含めた、コミックスの店頭販売冊数は前年比160%を超える大幅なプラスとなり、全巻で1億冊・400億円の売り上げとなる『鬼滅の刃』の恩恵であるのは間違いない。

コロナ禍が出版業界にどのような影響をもたらしたか
1)感染拡大による日常生活の激変で出版物への新たな需要が喚起された。公共図書館の休館による需要増も顕著になっている。
2)読者の購買行動が変化し、都市部の書店から郊外型書店など身近な街の中小書店へとシフトし、ネット書店からの購入も大幅な伸びを示している。
3)学参、児童書、テキストなど、休校によって自宅学習に役立つ出版物の伸びが大きい。
4)テレワーク、リモート会議などの働き方の変化に伴い、PC書やビジネス書、就職関連書が伸長している。
5)文芸書と文庫本の売れ行きが顕著である。趣味実用書はゲーム攻略本、お菓子作り本、パズル、脳トレ、ぬり絵関連書は好調だが、旅行ガイド本は半減。
6)ネット書店、電子出版、電子図書館が大幅に伸長し、都市部の書店は苦戦している。

10月の書籍雑誌販売額1000億円(前年比6.6%増)、書籍536億円(同14.0%増)、雑誌464億円(同0.8%減)、月刊誌382億円(同0.5%増)、週刊誌82億円(同6.4%減)。返品率:書籍32.2%、雑誌41.3%、月刊誌40.6%、週刊誌44.1%。書籍は返品率の大幅改善などにより、近来にない2ケタのプラスとなった。

2019年度にアマゾンが日本国内で売上げた金額は1兆7443億円。「アマゾン・エフェクト」の影響を最も受けたのが出版業界で、とりわけ書店分野は店数が半減、文教堂GHDは事業再生に追いこまれた。
 アマゾンは書籍流通で約2割のシェアを占め、KADOKAWAを始めとして、直接取引出版社は3631社、取次の機能も果たすようになった。アマゾンの出版物販売金額は3000億円近くとなる。
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2020年12月06日

【今週の風考計】12.6─「政治とカネ」の腐敗、虚偽答弁は野放し、コケにされる国会

ついに安倍前首相の<桜を見る会・前夜祭>疑惑に、東京地検特捜部は捜査のメスを入れた。政治資金規正法違反の容疑で、「安倍晋三後援会」公設第1秘書への事情聴取のみならず、安倍前首相本人にも要請している。
時効が成立しない直近の5年間分だけで、参加者の会費で賄えなかった費用計900万円の補填、さらに会費分の収入も含めれば約4000万円が収支報告書に記載されていなかったことになる。
 かつ開催場所のホテル側は、補填された金額を記した領収書を、安倍氏が代表を務める資金管理団体「晋和会」宛てに発行していたことも判明した。

6年にわたって秘書が、補填について安倍首相に報告しないできたなど、ありえない。安倍氏自身、参加費の補填が公選法違反の「寄付」行為だという認識があったからこそ、記載しない扱いを是認してきたのは間違いない。
 安倍前首相は、国会での珍妙な答弁を1年間も繰り返し、「参加した各個人がホテルに直接払い込んだ。後援会としての収入、支出は一切ない」などのウソをついて国会を愚弄してきた。
「きわめて悪質な違反、強制捜査をしてもおかしくない」のは当然。だが安倍前首相は国会招致や委員会での説明すら拒否し、5日の国会閉会で逃げ切ろうとしている。
 焦点は安倍前首相に、違反事件に関し「共謀共同正犯」の適用が図れるかどうかだ。特捜部のメンツもかかる。もし適用されて立件され、有罪判決を受けたら公民権が停止される。

「政治とカネ」をめぐる腐敗事件は、安倍・菅政権、自民党では後を絶たない。またも自民党の吉川貴盛元農水相が鶏卵生産会社「アキタフーズ」(広島県福山市)の元代表から、在任中に3回にわたって総計500万円の現金を、大臣室などで受け取った疑惑が浮上。
「アキタフーズ」の元代表は、日本の養鶏「ケージ飼育」への国際的な批判を抑え込む対策や鶏卵価格が下落した際の補填を図ってもらう目的で贈呈したという。
 また彼は、元法相の河井克行被告と妻の案里被告とは懇意で、6年間で約2000万円の政治献金をしている。両被告の参院選買収事件に絡み、関係先として家宅捜索すら受けている。
 さらに所有する豪華クルーズ船で複数の農水族議員らを接待、現金を渡した疑いも指摘される。
受け取った吉川議員は、昨年の北海道知事選では党道連会長として、菅官房長官の意中の候補だった鈴木直道知事の擁立を主導。また9月の総裁選では、いち早く後継首相に菅官房長官を推し、選対の事務局長まで務めている。
 その功が認められ自民党の選対委員長代行に就いたが、自分への疑惑を受けて辞任、二階派の事務総長も返上、不整脈を理由にして入院してしまった。

二階派の「政治とカネ」をめぐるスキャンダルが目立つ。買収事件の河井案里議員を始め、カジノ汚職の秋元司議員も二階派。永田町でも眉をしかめる自民党幹部は多い。
 強引な選挙戦略も批判を浴びている。山口県での二階派・志帥会と岸田派・宏池会の血肉の争い、宏池会の牙城である広島県では菅首相や二階幹事長とも気脈を通じる公明党が、志帥会の応援を計算に入れ候補者を擁立する。
<菅・二階>コンビ政権は、コロナ感染の深刻な事態にもかかわらず、「Go To トラベル」実施を来年6月まで延長、見直しなど視野にない。
 さもあろう観光立国を目指す菅首相、全国旅行業協会会長でもある二階幹事長、業界から4200万円もの政治献金を受け、1兆3000億円の税金を「Go To トラベル」に計上するのだから。
さらに国土強靭化推進の名目で5年間15兆円の税金を注ぎこむ。その使い途は極めてあいまい、二階幹事長のサジ加減に委ねられている。「税金は使い勝手自由」とばかりに私益化されてはたまらない。<菅・二階>コンビ政権の恐ろしさが身に迫る。(2020/12/6)
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2020年12月02日

【おすすめ本】辻元清美『国対委員長』─「民主主義を守る歯車」としての自覚=星 浩(「NEWS23」キャスター)

 国会対策委員長は交渉事のまとめ役だ。与野党が全面対決した時の折衝から部屋割り、公用車の配分まで。本書は、「一 強」を誇った安倍政権下で野党・立憲民主党の国対委員長を2年間務めた辻元清美氏の奮戦記だ。
 自民、公明両党が圧倒的多数を握る中で、野党が政権与党に対抗するのは容易ではない。辻元氏は、野党を束ねたうえで「調査力と論戦力」で政権側を追い詰めるしかないと思い定めた。労働法制の規制緩和問題では、野党側が地道な調査を重ねて政府の法案に矛盾があることを指摘。法案の一部を撤回させた。

 森友問題の公文書改ざんをめぐる攻防の舞台裏も生々しい。国会が改ざん前の「ウソの文書」に 基づいて審議を続けていたことには、自民党議員からも憤慨の声が寄せられた。一方でネット上では辻元氏を誹謗中傷する書き込みが続出する。
 それでも辻元氏が戦い続けたのは「国対委員長は立法府を支える柱、民主主義の歯車だ」という自負からだという。国会は憲法で「国権の最高機関」と位置付けられているが、安倍政権下では野党が憲法に基づき臨時国会の召集を求めても無視し、安倍首相が野党の質問にヤジを飛ばすなど、国会軽視が繰り返された。菅義偉政権でも、日本学術会議の会員任命拒否問題では国会への説明責任を果たしていない。
 「行政府と立法府との緊張関係を保ち、与党野党がお互いの立場を尊重し、オープンで公平な議論が展開できる、そんな国会を実現する」という理想に向けて辻元氏の奮闘は今後も続く。(集英社新書900円)
『国対委員長』.png
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2020年11月29日

【今週の風考計】11.29─「釣りキチ三平」など画業50年の矢口高雄さんを偲ぶ

漫画「釣りキチ三平」を始め数多くの名作を手掛け、11月20日、すい臓がんで81年の生涯を閉じた矢口高雄さん。心からご冥福をお祈りします。
 思えば筆者が矢口高雄さんと出会ったのは、今から27年前になるだろうか。『ボクの学校は山と川』(白水社)を文庫に収めたくて、東京目黒区自由が丘のご自宅をお訪ねし、2階の仕事場で懸命に矢口さんを口説いたときを思い出す。

その後、矢口さんや白水社の承諾を得て、実際に文庫化する作業に入り、打ち合わせを重ねていくうちに、文字だけでは飽き足らなくなった。
 思い切って提案した。矢口さんの漫画から本文の叙述にあったカットを、できるだけ多く取り入れたいと。矢口さんは頷かれ、文字叙述の魅力を倍加させることができた。1993年10月15日に刊行、今も版を重ねている。
続けて『ボクの手塚治虫』『ボクの先生は山と川』、さらには『蛍雪時代─ボクの中学生日記』(全5巻)を文庫に収載するなど、担当して10年近く「矢口ワールド」に浸ることができた。
 とりわけ矢口さんが、生まれ故郷の秋田・西成瀬村(現横手市)の山村や自然の厳しさを語るエピソード話は今でも耳に残る。また人の営みや山と川の姿を精彩なタッチで描く巧みさに驚かされてきた。
 それだけではない。いつも笑顔で人と接し、談論風発、愉快な仲間が良く集まる。

毎年7月20日前後の休日には、矢口さんの自宅の庭を会場にして「鮎祭り」が開催される。矢口さんが釣った天然鮎が庭の炭火炉で焼かれ、かぶりつきながら生ビールを飲む。里中満智子さんを始め数十人が、入れ代わり立ち代わり集まり、鮎に食いつき、飲む、喋る。
つまみにはナスの一夜漬けが人気だった。秋田では「なすがっこ」と呼ばれる。一口大で濃い紫色をした丸ナスは皮が薄く、漬けるとパリッと歯触りが良い。
 横手から送ってくる定番の一品が、砕氷を敷いた大皿に盛られている。ついつい手が伸びる、あの味は忘れられない。

「三平 四季を往く」.JPG手元に矢口高雄『三平 四季を往く─矢口高雄マンガ家生活25年記念画集』(双葉社)がある。1995年11月24日に記念パーティーが開かれ贈呈されたものだ。
 ページを開けば、<秋の章>─木の実落つ夜来の風や里の秋─と詠い、真っ赤に色づいたモミジ、夕日に映えて躍る鮎、ススキを背にして吊り竿を操る三平の姿が、色鮮やかに描かれ目の前に迫ってくる。
 そして今、矢口さんが創設に尽力した秋田県の横手市増田まんが美術館では、来年1月11日まで矢口さんの画業50周年を記念した企画展が開かれている。(2020/11/29)
釣りキチ三平.JPG

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2020年11月26日

【おすすめ本】宇田有三『ロヒンギャ 差別の深層』「ムスリムとして生きる」権利を蝕む差別への深い考察=藤井満(元朝日新聞記者)

 国際政治や民族・宗教・差別の問題を現実から学べる教科書のような本に仕上がっている。
 ミャンマーからバングラデシュに流出したロヒンギャ難民は、「民族紛争」「宗教迫害」と報じられたが、そうした見方こそが問題を深刻化させたと著者は批判する。
 ロヒンギャの人々は、「ロヒンギャ民族」ではなく「ムスリムとしてのロヒンギャ」と自らを位置づける。だが国際社会が「民族浄化」などと批判することで、ロヒンギャの一部が民族性を主張し、同じ地域に住む仏教徒との対立が生じた。
 ロヒンギャ問題の原因は、軍事政権が「仏教徒としてのミャンマー人」への同化政策を進め、ムスリム差別を刺激したことと、ロヒンギャを「バングラからの不法移民」と規定したことにあるという。その結果、ロヒンギャへの差別は、民主化運動で軍政と対峙した人びとにも浸透した。

 アウンサンスーチー氏は、ロヒンギャ問題で人権団体から強く批判された。著者はスーチー氏を「人権活動家ではなく政治家」と評する。彼女は現実を改善するためには軍とも妥協するが、いま「ロヒンギャの人権」を叫んでも事態が改善しないのは目に見えている。
 軍政以来の差別を見すえ、正しい情報を広め、少しずつ解きほぐすしかない。それができるのは、人気と政治手腕を兼ね備えるスーチー氏しかないと著者は見ている。
 日本では、「インパール作戦」「泰緬鉄道」は有名でも、現地人の犠牲には言及されない。日本軍が仏教徒を、英軍がムスリムを自軍に引き入れることで、ムスリム差別の一因を作ったことも報じられない。ロヒンギャ問題は日本の報道の歪みも露わにしている。(高文研2500円)
「ロヒンギャ」.jpg
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2020年11月22日

【今週の風考計】11.22─武蔵野の湧水が作り出す美しい景観を堪能

「小春日和」とはいえ、歩くと汗ばむほどの陽気。この週末、東京郊外にある庭園を訪ねた。
 一つは滄浪泉園。JR武蔵小金井駅南口から連雀通りを西へ、高等学校の前に入口がある。武蔵野・国分寺崖線の「ハケ」という立地特性を活かし、湧水を取り入れ深山の趣そのまま生かした、実業家・波多野承五郎の別荘庭園だ。
まだ青いモミジで覆われた門をくぐり、丸石がびっしり敷き詰められた道を行くと、視界が開け東屋に着く。そのわきに水琴窟がある。ツクバイから湧水を柄杓で掬い足元の石積みにかける。キンコンと余韻を残して響く。

さらに急な細い道を蛇行しながら下ると、ブナやケヤキ、アカマツ、モミジなどの樹木の間から、きらめく水面が見えてくる。こんこんと湧く武蔵野の清水を湛え、モネが描く水連の池を思い出させる。
 クヌギ、コナラ、シイの黄色い葉が、木漏れ陽を浴びてキラキラ光りながら池面に散っていく。周辺の高い樹木の間からもれる光が、何本もの細い柱となって天から差し込んでいるような幻想にかられる。
 ふと高校生時代に取り組んだメルヘン劇、フーケーの「オンディーヌ」がよみがえり、妖精が躍っているような気配に、あたりを見回してしまった。

モミジが真っ赤に色づくのは、あと2週間後だという滄浪泉園を後にして、脇の坂を南へ下り、右折すると新小金井街道にぶつかる。目の前に「大勝軒」の看板が。あの元祖つけ麺で有名な店。すぐ飛び込む。懐かしい「特製中華そば」が空腹を満たす。
 午後は野川沿いの遊歩道を、ゆっくり西へ西へと歩く。カモが5匹ほど川べりで水遊び。しばらくすれば東経大の構内にある新次郎池、だがコロナ禍で閉鎖。がっかりしながら国分寺方面へ。

二つ目は殿ヶ谷戸庭園。大正時代に江口定條が<随♂>と名づけ、三菱財閥・岩崎彦弥太が別荘とした近代日本庭園だ。高低差を楽しむ回遊式林泉庭園と茶室<紅葉亭>がある。
 これまた国分寺崖線の「ハケ」を活かし湧水を取り入れた「次郎弁天池」の周辺には、モミジの木が多い。色づくと圧倒されるような景色が、高台にある<紅葉亭>から眺めると、眼下に広がるという。だが、またまたモミジは青いまま。
さらに武蔵国分寺跡に向かう道の周辺には、「お鷹の道」や「真姿の池」があり、湧水「ハケ」が群がる名所となっている。ここにも足を延ばしたいが、もう疲れた。またの機会に譲ろう。(2020/11/22) 写真:滄浪泉園内にある湧水池

滄浪泉園内にある湧水池.JPG

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2020年11月18日

【出版界の動き】出版物には消費税の「外税表示」を恒久化すべし

出版協は「外税表示」の恒久化を要望し、中小出版社が多い千代田区議会に陳情。来年4月1日から消費税額を含めた「総額表示制度」が義務化されることに対し、「再販商品である出版物については、消費税率改訂のたびに事業者に新たな諸費用・負担がかかり、在庫書籍の絶版化を再び招きかねず、読者・消費者にとって最大の文化的不利益となる」との理由から、総額表示に反対の意思を表明している。

9月の書籍・雑誌販売金額1183億円(前年比0.5%増)、書籍685億円(同0.3%増)・雑誌498億円(同0.8%増)。月刊誌423億円(同3.6%増)、週刊誌74億円(同12.7%減)。返品率は書籍31.7%、雑誌37.5%、月刊誌36.5%、週刊誌42.4%。
池井戸潤『半沢直樹 アルルカンと道化師』(講談社)初版30万部、馳星周『少年と犬』(文藝春秋)がヒット。

アマゾンジャパンが仕入れた書籍を版元へ返品するに際し、その返品量の多さに加え本の汚損が激しく、苦情が殺到している。このほど出版協は商品の破損につながる返品の仕方に抗議し、丁寧に本を扱い返品するよう要望書を提出した。

オンライン書店「楽天ブックス」が、千葉・市川市にある物流センターで稼働。業務自動化の新システムを導入し、人員による作業工程を約30%削減した倉庫運営に着手。来年夏までに、同市内の既存2施設を新施設へ集約する。在庫保管量は約1.5倍、1時間あたりの出荷件数は約1.3倍に増強。午前中に注文すると翌日に届く「あす楽」サービスの対象商品も拡大させる。

「ギフトブック・キャンペーン」が、11月1日〜12月末まで2カ月間、全国の書店で開催される。著名人34人が選んだ「贈りたい本」「読んでもらいたい本」102冊を掲載した<ギフトブック・カタログ2020―2021>20万部を販売する。キャンペーンに書店など約1500店が参加する。
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2020年11月15日

【今週の風考計】11.15─コロナ・ワクチンへの過剰な期待に潜む陥穽

■国内のコロナ感染者が、新たに1日1700人を超え、週末3日連続で過去最多を更新し、全国で11万8千人・死者1900人となった。コロナ感染拡大「第3波」の襲来に他ならない。
 冬の乾季が進むにつれ、感染者の受け入れや重症者の病床確保など、医療体制のひっ迫は深刻な事態をもたらす。「Go Toトラベル」の中止も含め、拡大防止への対策が急がれる。

■ここにきてコロナ・ワクチンへの期待が急速に高まる。米国のファイザー社が開発しているワクチンの治験結果が公表され、有効性がはっきりしたという理由で、その輸入も含め、菅首相が「来年前半までに全ての国民に提供できる数量を確保する」と宣言した。
 すでにワクチン購入費として予備費から6714億円の支出を閣議決定している。ワクチンを国の全額負担で接種できるよう予防接種法改正案も審議入りした。
■とりわけ頭痛や倦怠感、筋肉痛など副作用のリスクと予防効果との兼ね合いが重要な課題であるだけに、「安全性、有効性が確認され、承認されたワクチンについて、本人の意思に基づき接種してもらう」との厚労省の考えは、大切にしたい。

■現在、世界では合計200種類以上のワクチンの開発が進んでいる。そのうち40種類ほどが人間を対象とした治験の段階に入っている。だが安全性に関しては100パーセントの保証は、いまだ一つとしてない。
 かつワクチンの保存はマイナス70℃の環境が必要なため、保管・運搬などに困難が生じやすく、どこでも接種できるかとなれば、そう容易ではない。
■ワクチンを接種したからといって、体内に免疫ができるまでには6週間ほどかかる。ワクチンが実用化されても、ソーシャルディスタンスを保ちマスクの着用は続けなければならない。世界中で効果を発揮するには、数年かかるという。

■いま米国は、コロナ感染者が1日に16万人を超え1080万人、死者は24万人にのぼる。世界で最悪のコロナ汚染国だ。
 その原因を作ったトランプ大統領が、大統領選での敗北は認めず「ワクチン配布」を声高に叫んでいる。ただし民主党知事のニューヨークは除くなどと、ここにも党派対立・差別を持ち込む始末だ。
■国民皆保険「オバマケア」の廃止を説く張本人であるトランプ大統領が、コロナに感染し治療に要した費用は総額10万ドル(約1000万円)にのぼるという。
 米国民は高い治療費の支払いに苦しんでいる。トランプ大統領だけは国費で治療とくれば、誰だって頭にくるのは間違いない。敗北の要因の一つであるのは間違いない。(2020/11/15)
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2020年11月12日

【お知らせ】玉城デニー沖縄県知事と「基地なき未来のため」―語ろう 11月22日(日)午後2時〜4時 

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【対話する方々】
◆沖縄県知事・玉城デニーさん
◆毎日新聞専門記者・大治朋子さん
◆国際情報誌『フォーサイト』元編集長・堤伸輔さん
◆フリー編集者・鈴木耕さん

 軍事基地なき平和な未来――これは沖縄を含む日本の大きな夢であろう。核兵器禁止条約が発効し、核廃棄の運動はさらに広がろうとしている。この流れの中で、沖縄に背を向けたまま、菅義偉内閣が誕生した。米国ではバイデン氏が大統領の座に就く。日米ともに新体制がスタートする。その節目のときに改めて在日米軍専用施設が集中する沖縄にスポットを当てる。玉城デニー知事との対話を通して、これからの沖縄と日本の平和について考える。
        
参加費500
■参加ご希望の方はPeatixを通じて参加費をお支払いください
(1)http://ptix.at/YE6kulクリックする
(2)チケットを申し込むをクリック。参加券の枚数を選ぶ=金額の確定
(3)支払いに進む。初めてPeatixを利用する人はここでアカウントを作成。名前、メルアド、自分独自のパスワードを入力し、ログインする
(4)次に移ると、カードかコンビニかなど、支払い手段の選択。支払いを終える
(5)Zoomの配信URLは前日11月21日にメールでご連絡
(6)22日当日、パソコンでURLをクリックして参加する。
なお、当日都合が悪く参加できなくても、事前にPeatixを通して申し込み、参加費を支払っていれば、事後に録画が送られ視聴できます。

主催:日本ジャーナリスト会議
  電話03・6272・9781(月水金の午後1時から5時まで) 
メール:office@jcj.sakura.ne.jp
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2020年11月11日

【おすすめ本】南 彰『政治部不信 権力とメディアの関係を問い直す』─変質する権力に抗う取材の再構築を=藤森 研(JCJ代表委員)

 本書の内容は、首相会見、メディアとジェンダー、テレビの現在など多岐にわたるが、貫く問題意識は明確だ。権力の変質に古い取材慣行が対抗し得ていない現状を、どう建て直すか、である。
 権力の変質とは、行政改革の末、安倍政権で完成した官邸一極集中だ。ネット化が進み既存メディアは特権を失って力をそがれている。この機をとらえ、為政者は分断・攻勢に出ている。
 たとえば内閣広報官の権限強化だ。菅官房長官会見で果敢な質問をする東京新聞・望月衣塑子記者に対し、当局は質問妨害も辞さなかった。ネット等のメディアを選別する首相の単独インタビューは、読売紙上での改憲表明の事態まで生んだ。

 これに対し報道側は旧態依然。望月記者の頑張りに「官邸側が機嫌を損ね、取材に応じる機会が減っている」と困惑する官邸クラブ員さえいる。
「夜回りなどのオフレコ取材で特定の記者を排 除するよう言われた」記者も少なくない。権力から情報をいただくことに慣れたメディアは、 政権の攻勢に受け身一方だ。
 どうすべきか。「馴れ合い」とも映る夜回りや懇談で、情報をねだる旧来の取材慣行を見直し、公的な記者会見で情報をきちんと出させる。質問制限には団結して闘う。そうしたジャーナリズムの姿勢を再構築することが今、大切だ。
 著者自身、かつては官房長官会見で望月記者の同志として、その後は新聞労連委員長として、それを実践してきた。朝日新聞政治部に戻り、前線復帰の著者の活躍も期待させる書だ。
(朝日新書790円)
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2020年11月08日

【今週の風考計】11.8─羽田増便でオスプレイとの衝突・落下事故の危険!

米国から海兵隊型オスプレイ17機も爆買い″し、陸上自衛隊に配備される同機の試験飛行が始まった。
 千葉県・木更津の駐屯地に暫定配備されている2機のうち1機が、駐屯地上空でホバリングを行い、10日からは駐屯地の外に出て東京湾や相模湾の上空で飛行モードへの転換、さらに来年1月からは関東一円での本格的な操縦訓練が展開される。
 かつ木更津駐屯地にオスプレイ17機がそろった場合、離着陸回数は1日に15回、年4500回となる見通しだという。騒音だけでなく、増便となる羽田発着の飛行機とのニアミスや落下事故の危険性は、いやがうえにも増す。

もともと陸上自衛隊のオスプレイ17機は、長崎県・佐世保にある相浦駐屯地に設けた「水陸機動団」すなわち自衛隊版海兵隊と連携し、「南西諸島」への出撃に一体となって活用する計画に組み込まれ、佐賀空港への配備が前提だった。
 しかし地元との協議が整わず、まず2機を木更津駐屯地に5年という期限付きで暫定配備した。
 佐賀空港は自衛隊とは共用しないことが明記され、かつノリ養殖にかかわる有明海に面し環境汚染・海への墜落など、事故への不安は尽きない。佐賀空港へのオスプレイ配備もかなわず、木更津に恒久配備となる危険性は高い。現に整備能力を3倍、格納庫も倍贈、10機は配備できる体制を整えている。

そもそもオスプレイは陸上自衛隊に必要不可欠な装備なのか。木更津から2000キロも離れた「南西諸島」へ出撃するには、厄介な空中給油が必要になる。災害地への救援にというが、プロペラの風害などで、吊り下げ救助はできないといわれる。
 しかもオスプレイをめぐる重大事故は数知れず、原因も解明されていない。米国では「ウィドウ・メーカー」(未亡人製造器)の汚名が付けられている。だからこそ米国以外の世界の国々は、オスプレイの購入には踏み出さないのだ。
 なんと日本だけが前トランプ大統領に媚びてオスプレイ17機を爆買い″した。購入費は部品なども含め計約30億ドル(約3600億円)、世界の笑いものになっている。

自衛隊のオスプレイだけが問題なのか。いや日本の空を支配している米軍のオスプレイこそ重大だ。米軍は空軍・海軍・海兵隊用の各種オスプレイを、沖縄・普天間飛行場に海兵隊型24機、東京・福生にある横田基地に空軍型5機、さらに5機を追加して配備する。海軍型オスプレイも神奈川県・厚木基地に配備するという。
 先月下旬には、横田基地から米軍オスプレイに自衛隊幹部が塔乗し、四国沖の海上自衛隊の護衛艦「かが」に着艦し、日米共同統合演習「キーン・ソード」に参加している。
 事故も多発している。普天間基地を飛び立ったオスプレイが、空中給油訓練中にプロペラが破損して海岸に不時着・大破した。伊計島の海岸にオスプレイが落とした重さ13キロもある部品が漂着。
 横田基地でもオスプレイからの降下訓練でパラシュートが住宅地域の施設に落下、潜水用の足ヒレが福生市の牛浜駅の駐輪場近くに落ちている事故が続く。さらに横田基地から三沢基地へ飛来するオスプレイの数は、19年夏までの1年間で計40回、しかも米軍からの通告は一切ない。

東京23区を含む首都圏上空に、米軍優先の「横田空域」がある。そこをわが物顔に安全性に疑問があるオスプレイが飛び交う。日本の航空機は、米軍の許可なしには飛べないため、東京上空は超過密状態だ。
 そこへ羽田空港の増便により、ますます騒音は増え、落下事故や空中衝突の危険が高まる。日本にはオスプレイはいらない。(2020/11/8)
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2020年11月04日

【おすすめ本】早川 真『ドキュメント武漢 新型コロナウイルス封鎖都市で何が起きていたか』─封鎖直前の武漢に入り、コロナ猛威の実像を追う=杉山正隆(歯科医師・ジャーナリスト)

 世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。最初に流行が確認された中国・武漢市に、都市封鎖がなされる直前、著者は共同通信の記者として取材に入った。
 情報が錯綜するなか、住民の心の変化やパニックにつながっていく動きが描かれ、コロナ禍の市場や町を行き交う人たちの、悲痛な叫び声までが聞えてくる。現地にいたからこその日常の光景を交えた内容は、まさに迫真のドキュメントだ。
 当初はすぐに収束するだろうと軽視されていたが、病院に大行列ができ大勢の命が治療も受けられず亡くなる事態は、あっという間だった。初期の隠蔽がウイルスの猛威を生むことになった。

 私も著者同様、年末から年始にかけ、民主化運動を取材するため、香港そして台湾を訪れていた。正月明けには「武漢で感染爆発が起きているらしい」「香港も危ないかも」との声を耳にした。感染症に30年近く携わってきた私の経験から「もしかしたら」と、非常態勢を採ったものだ。
 本書では中国での初動の遅れ、混乱ぶりが明らかにされているが、日本政府の動きもまた、あまりにも鈍かったことを示唆している。
 著者は7月に再度、武漢を訪問している。ほぼ平時に戻ったとされてはいるが、「陰性証明」をめぐって振り回される人々の姿は、コロナ禍も以前とは異なり、「ニューノーマル」の時代に入ったのだと思い知らされる。
 武漢の初動の遅れを、反省を含めて学び、感染対策や情報開示など、我々が冷静に考え向き合う上でも糧となる本だ。
(平凡社新書820円)
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2020年11月01日

【今週の風考計】11.1─核廃絶に向けて75年─実る人類史の成果に乾杯!

3月3日の「スーパーチューズデー」から、ちょうど8カ月、トランプ対バイデンの決戦は、この3日に決着がつく。米国のコロナ感染者908万人・死者23万人、世界最悪の状況でも、トランプ大統領は手立てをとらず、バイデン候補へ罵詈・雑言の攻撃を浴びせ続けてきた。
あげくに落選しても結果を認めず、裁判に持ち込む事態まで予測されている。急きょ強引に連邦最高裁判事にバレット氏を送り込んだ結果、最高裁は保守派が3分の2を占める。
 最後のあがきに翻弄され、ホワイトハウスは大混乱に陥るのは間違いない。民主主義の根幹が崩れた米国などあてにせず、世界は平和に向けて大きなうねりを作りだしている。そこに目を向けよう。

核兵器禁止条約の批准が50カ国・地域に達し、史上初めて核兵器を禁止する国際条約が、来年1月22日に発効する。
 広島・長崎への原爆投下から75年を経て、「非人道性」や「核なき世界」を訴え続けてきた被爆者の願いが、条約誕生への原動力となった。さっそく政府に対し条約への署名・批准を求める署名活動が全国各地で展開される。

第2次大戦直後に設立された国連は、1946年1月10日、初の総会で採択した第1号決議が「核兵器など全ての大量破壊兵器を各国の軍備から廃絶すること」を求める内容であった。
 決議を提案したのは米国、ソ連、英国、フランス、中国、カナダの6カ国。当時、唯一の核保有国だった米国でさえ、広島・長崎の非人道的な被害を目の当たりにして、核廃絶を求めたのだ。
その後、米ソ冷戦など東西の緊張から、核兵器の開発が加速し、2020年1月現在、核兵器保有数は米国6185、ロシア6500、英国200、フランス300、中国290、世界全体で1万3400にまで膨れあがった。

核廃絶という目標はどうなったのか。1970年3月に核不拡散条約(NPT)が発効したものの、すでに核を保有していた米国、ソ連(ロシア)、英国、フランス、中国の5カ国は除外し、以外の国には「原子力の平和利用」を除いて、核保有を禁止にした。
この核をめぐる不平等がネックとなり、NPTは30年後になって、核保有国に「自国の核兵器の完全廃絶を達成する」よう、明確な約束を求めることとなった。それでも核拡散の状況は改善されず、かつ米国・ロシア・中国は核兵器を改良し質的な核軍拡に突き進んでいる。
 実戦配備に適した核の小型化によって、核使用の脅威は高まっている。米国とロシアの中距離核戦力(INF)廃棄条約も失効するなど、核なき世界は遠のくばかりだ。

だが核兵器禁止条約が発効すれば、核保有は「国際法違反」となり核廃絶への圧力となるのは確実である。
 日本政府は「唯一の戦争被爆国」でありながら、米国の「核の傘」に身を委ね、「橋渡し」役などと詭弁を弄し、核兵器禁止条約に背を向ける。国際的にも見放されるのは間違いない。(2020/11/1)
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2020年10月28日

【焦点】五輪選手村訴訟原告団 裁判長宛て「人証申出」ハガキ提出を開始 TBS「報道特集」が報じ関心高まる=橋詰雅博

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  東京五輪選手村用地を周辺地価よりも9割以上も安く売却したのは違法だとして小池百合子都知事や舛添要一前知事らに約1500億円の損害賠償を都民33人が求めている民事裁判の第10回口頭弁論は、12月8日(火)15時から東京地裁で開かれる。
 これに向けて原告らが集まる「晴海選手村土地投げ売りを正す会」(正す会)は、前回の弁論で証人申請した小池知事、舛添前知事を含む6人の「人証申出」を裁判長宛てに要請するハガキ(写真左)を出す活動を始めた。証人申請を認めて慎重に審理してほしいというハガキが多ければ多いほど、裁判長にプレッシャーがかかる。自分にきたハガキを裁判長がどう扱うか注目される。

 この五輪選手村訴訟をTBS番組「報道特集」が8月22日に報じた(写真下)。放送メディアがこの問題を真っ当に取り上げたのは初めてではないだろうか。原告側弁護士と原告3人が登場して値引き9割のカラクリを明らかにし、金平茂紀キャスターが五輪について疑問を投げかけた番組は、ユーチューブで流れており、正す会によると、22万人超が視聴し、850件を超えるコメントが寄せられた。「TBS報道でかなり広く知られるようになり(次回の裁判の傍聴者は)一般の方も増えるかもしれません。ぜひ傍聴したい方は早めに来られたと思います」(正す会ニュース10月19日付)。

 この訴訟の主な争点は@官制談合疑惑A不当な土地譲渡価格B都市再開発法による違法・脱法行為の3つだ。被告側弁護士は「原告らは特異な都市再開発だと非難するが、独断と偏見による評価に過ぎない」と反論している。
 12月8日の裁判終了後は、裁判官、原告、被告の3者が非公開で協議する。この席で証人申請について話し合いが行われるという。
橋詰雅博
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