2018年01月22日

《遠吠え》「モリもカケも食い飽きた」とおっしゃる皆様の鼻先に突き出された「怪しげな麺類」?=田悟恒雄

 昨年12月、国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構」(NEDO)から助成金や無利子融資をだまし取ったとして、東京地検特捜部に詐欺罪で逮捕されたスパコン開発会社「ペジーコンピューティング」前社長・斉藤元章容疑者が、法人税法違反容疑でも立件される模様(朝日新聞、1月22日付)。
 なにせ、この男が騙し取ったとされるカネは、半端なものじゃありません。零細出版人には、気も遠くなるような金額です─。経産省所管のNEDOからペジー社への助成金は総額35億円以上、それに文科省所管の国立研究開発法人「科学技術振興機構」(JST)から、同じく斉藤氏が経営するExaScaler社への無利子融資が52億円(限度額は60億円)… etc.
 ではなぜ、これほどのカネ(もとはと言えば、すべて税金)が動いたのでしょう?
 『週刊新潮』1月25日号「スパコン事件が風雲急!『総理ベッタリ記者』の携帯電話を押さえた特捜部のターゲット」が伝える「特捜部の関係者」の証言を引かせていただくと─、

 「山口がペジーの顧問になって以降、彼と齊藤が経産省に担当者を訪ねたことがあります。その席で2人は『官邸が了解しているのになぜ急がないのか』というような問いを投げかけたとされている」

 「ベッタリ記者」とは、伊藤詩織さんへのレイプ疑惑ですっかり有名になった、元TBS記者・山口敬之氏のこと。それにしても、あれっ、どっかで聞いたようなセリフですね。 そうでした「総理のご意向(ご威光?)」ってやつです。
 疑惑の糸をたぐっていくと、「モリ・カケ疑惑」に続いて、またまた「怪しげな麺類(?)スパ」がご登場、というわけです。

(「零細出版人の遠吠え」01/22より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年01月21日

【今週の風考計】1.21─国会審議では忘れずに 「もり・かけ・スパ」三点セットで追求を

▼150日に及ぶ通常国会が始まる。政府は過去最大の総額97兆7千億を超える予算案をトップに、「残業代ゼロ法案」にも等しい「働き方改革」関連法案を含め、64本の法案成立をもくろむ。
▼9条つぶしの改憲にも拍車がかかる。2月中旬には憲法審査会での議論を始め、年内にも国会発議を目指す方針だ。バラバラと揶揄される野党も、国会審議では足並みそろえ、法案の狙いを明らかにし、国民の負託に応えてほしい。

▼ここにきて急浮上しているスパコン疑惑への解明も、疎かにしてはならない。経産省からの助成金4億円の詐欺で逮捕されたベンチャー企業の斎藤元章社長は、安倍政権の有識者会議の委員を務めていた経歴がある。かつ自社の顧問に月額200万円払って就任していたのが、あの安倍政権と近い元TBS記者の山口敬之氏というから、問題の根は深い。
▼また山口氏の生活拠点である永田町・キャピトルホテル東急にある一室への賃貸料(月額70万円ほど)も負担していたという。山口氏といえば、伊藤詩織さんレイプ事件で訴えられた立場にある人。
▼かつ斎藤氏と共同で立ち上げた財団法人「日本シンギュラリティ財団」は、その事務所の土地家屋の所有者の住所が、山口氏の実家と同じ住所だという。また山口氏は斎藤氏のセミナーにも参加して、彼の実績をほめあげる仲だ。これほどまでの蜜月は何故?

▼「もりそば・かけそばだけでなく、スパゲッティまで出てきた」と、立憲民主党の辻元清美国対委員長は言う。森友学園・加計学園問題に続く疑惑に発展しうる、重要なテーマだ。「もり・かけ・スパ」疑惑の三点セットで追及してほしい。(2018/1/21)

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2018年01月17日

《遠吠え》「北朝鮮の核・ミサイル」を理由に「国難意識」が永田町界隈を広くじわじわ蝕んでいる=田悟恒雄

 来日中のノーベル平和賞受賞国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)事務局長、ベアトリス・フィンさんが、昨年12月から2度にわたって安倍首相との面会を求めていたが、断られたと言います。

 「日程の都合上難しいということで、それ以上でもそれ以下でもない」

 菅官房長官はそんなことを言っているそうですが、ならば「唯一の被爆国」の政府として、礼の尽くし方はもっとあるはず。
 菅氏が本心を語ってなどいないことは、なによりも日本が「核兵器禁止条約」の交渉にも参加せず、ICANの平和賞受賞に祝意すら示していないことからも明々白々。

 「長崎、広島の価値観と、政府の政策に大きなギャップがあると感じた。日本は行動しなくてはいけないし、国民がそれを求めてほしい」

 大いに落胆させられたであろうベアトリスさんは、そう語っています。
 日本政府がそんな冷淡な対応をするのは、想定内のことだったでしょう。しかし、きのう国会内で開かれた、フィン事務局長と与野党代表らの公開討論会も、「いささか拍子抜け」の感がありました。
 「核兵器禁止条約」に理解を示したのは、共産党、社民党、自由党と沖縄選出参院議員くらいのもので、立憲民主党の福山哲郎幹事長は、北朝鮮の脅威を挙げて「日本は核抑止に依存する安保政策をとっている」などと、民進党の岡田克也常任顧問も、「核抑止に依存している事実は非常に重い」などと語って(東京新聞)、明言を避けたそうじゃないですか。
 北朝鮮の核・ミサイル問題に発する「国難意識」は、いまや永田町界隈を広くじわじわと蝕んでいるのかもしれません。

(「零細出版人の遠吠え」01/17より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年01月14日

【今週の風考計】1.14─トランプ大統領と<核の傘>が、ほんとに「やばい」。

20日に就任1年を迎える米国のトランプ大統領─今なお品格が問われる、呆れた事態が続く。移民政策をめぐり「野外便所のような国の人々を、なぜ米国に受け入れるのか」と発言。
度し難い人種差別の発言に、メキシコのビセンテ・フォックス元大統領は、「トランプの口は世界一汚いケツの穴だ」とツイートした。

さらには以前に性的関係を持ったポルノ女優に対し、「個人的な弁護士を通じ13万ドル(約1443万円)の口止め料を、投票日を控えた昨年10月に支払っていた」とまで暴露される始末。
マイケル・ウォルフ『炎と怒り:トランプ政権の内幕』も、いかにトランプが「無知」で「臆病」かに始まり、トランプ一族と側近たちの確執、「ロシア疑惑」の真相、髪型の秘密までが赤裸々に記され、1月5日の発売から1週間で100万部を超えたという。邦訳版は早川書房から2月に刊行される。

こうした人物が権力を握る米国政権は、オバマ前政権の「核なき世界」という方針を大転換し、核兵器の役割を拡大させ、海洋発射型の核巡航ミサイルを新たに開発し、艦船への配備を計画している。通常兵器に反撃する場合でも核の使用は排除しない方針だという。ノーベル賞を受賞したICANのベアトリス・フィン事務局長は「核兵器が使われる危険性の高い状態」と批判する。

品格の疑われる権力者が<核のボタン>を握っている怖さが身に迫る。現にハワイでは、弾道ミサイル飛来との緊急警報に避難の大騒ぎ。なんとボタンの押し間違いによる誤報!
新しい広辞苑の発売広告にあるコピーじゃないが、まさに「やばい」。そんな米国本土に、初めて日本で生産された最新鋭ステルス戦闘機F35Aを運び、点検確認を受け、航空自衛隊に42機配備する段取り。この配備も米国の<核の傘>を補完するため。ほんとに「やばい」。(2018/1/14)
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2018年01月12日

《遠吠え》世の「好景気」をよそに、わが出版界だけが「ブラックホールのようにポッカリと」?=田悟恒雄

 けさの朝日新聞文化文芸面に、出版取次の窮状を伝える記事がありました(「出版取り次ぎ『もう限界』/一晩で配送55店、積み荷は激減」)。
 「出版市場の縮小」で積み荷が激減しているのに、配送先は増えているというアンバランスが、取次業務の非効率を生んでいる、と。
 その背景には、コンビニ軒数の激増(この1年で1000店以上も増加)があるということですが、これは主として「雑誌」や「コミック」の世界のお話。
 しかし、コンビニでは販売していない「書籍」の場合も、事情は似たりよったり。根本的な原因はやはり、出版物売上げの大幅減にあるということなのでしょう。
 1996年のピークを境に右肩下がりの出版市場ですが、昨年末(17年11月)には、ついに以下のような惨憺たるありさま─。

 出版物全体の販売金額:1069億円(前年比−7.8%)
 うち書籍      : 515億円( 同 −3.1%)
 うち雑誌      : 554億円( 同 −11.8%)

 世の中の景気が上向いているなどと伝えられる昨今、わが出版界だけが「ブラックホールのようにポッカリと」取り残されてしまった、ってこと? やれやれ…

(「零細出版人の遠吠え」01/12より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年01月07日

【今週の風考計】1.7─年始の早々から気がかりな三つの動静

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。さて、年始の1週間、気になって気になって、しまいに腹が立ってきた三つの動静を挙げておきたい。

まずは安倍首相の日々だ。渋谷・富ケ谷に豪邸がありながら、昭恵夫人ともども都心の高級ホテルに連泊しゴルフ三昧、そして昼となく夜となく3つ星クラスの料理店で贅沢な食事。これらの費用は税金から? 昭恵夫人は自宅で朝の味噌汁など作らないのか? もしや森永ビスケットで済ませてしまうのか? 私たち庶民には、すぐに浮かぶ素朴な疑問だ。

二つは、9日に開催される韓国と北朝鮮との高官級会談に対する日本政府の態度である。2年ぶりの対話による南北関係の改善は、北朝鮮の非核化に向けた環境づくりに役立つのは間違いない。大歓迎だ。
だが政府は南北会談を歓迎し成功を祈るどころか、北朝鮮の脅威を「国難」と煽り、制裁・圧力に血道をあげるだけ。北朝鮮にミサイル核の放棄を求めるのなら、まず国連で可決された核兵器禁止条約に賛成するのが先だろう。戦争核による唯一の被爆国・日本が、いまだに反対し続ける態度に、ブーイングの声は世界中に広がっている。
あまつさえ、安倍首相は12日から東欧6カ国を訪問し、「北朝鮮への制裁・圧力強化に向け緊密な連携を強化したい」と意欲マンマンだ。

三つには原発への態度だ。「原発輸出」に拍車をかけ、担う民間企業には、巨額な銀行融資が可能となるよう、政府保証まで与えて厚遇する。10日には小泉・細川元首相らが、脱原発運動を積みあげてきた成果を踏まえ、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表する。22日に召集の通常国会に提出するという。世界から拍手や歓迎の声が挙がるだろう。安倍首相、少しは煎じて飲んだらよい。(2018/1/7)
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2018年01月05日

≪おすすめ本3冊≫ まず伊藤詩織『Black Box』─性暴力被害に屈せず闘い続ける強い矜持=伊藤和子(弁護士/「ヒューマンライツ・ナウ」事務局長)

 作年6月、デイビッド・ケイ国連特別報告者は日本の表現の自由に関する調査報告書を国連に提出、報道の自由を確保するよう勧告した。
 彼は「日本のメディアは政府からの圧力を跳ね返す力が弱い」とし、記者クラブ制度など報道機関と政権の癒着に疑問を呈し、ジャーナリストの横の連帯、調査報道の環境醸成を訴えた。この提起は主要メディア内では、必ずしも掘り下げられなかったが、現状を打ち破る新しい動きが起きた。

 東京新聞の望月衣塑子記者による政権追及である。著書『新聞記者』 (角川新書)には、記者を志した軌跡、官邸会見で追及する心の葛藤や熱い想いが綴られている。
 多くの記者が政権幹部に踏み込んだ追及をしなくなる中、あえて質問を重ねる勇気を支えるのは権力監視というジャーナリストとしての強い使命感だ。「前川さんや詩織さんがたった一人でも戦おうとし、社会的に抹殺されるかもしれないリスクと背中合わせで疑惑を追及している。2人の勇気をだまって見ているだけでいいのか」と問う。

 その詩織さんは、首相に近い元テレビ記者による性的暴行被害を告訴、逮捕状執行が直前で見送られ不起訴に。検察審査会でも「不起訴相当」。それでも諦めず記者会見で被害を実名告発し、伊藤詩織『Black Box』 (文藝春秋)を出版した。
 屈せずに闘い続ける動機は「自分の中で真実に向き合えないのであれば、私にこの仕事をする資格はないだろう」というジャーナリストの強い矜持にある。性暴力被害者に泣き寝入りを強いる日本の社会的法的システムを、実体験から克明に問題提起した価値ある一冊だ。

 最後に横田増生『ユニクロ潜入一年』 (文藝春秋)を挙げたい。企業内部の過酷労働の実態を追及するため、自ら働き、潜入調査するという究極の調査報道姿勢に心から敬意を表したい。圧巻のルポだ。彼らに孤独な戦いをさせてはならない。社会が、そしてジャーナリストの横の連帯がこれを支え、真実に迫り権力を監視する報道が強まることを期待する。
「BlackBox」.png
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2018年01月03日

JCJに多額遺贈 元出版部会の阿部丈夫さんは「静」と「動」の人だった=池田隆(出版部会世話人)

 出版部会会員だった阿部丈夫さんは「静」と「動」の人でした。1953年4月に日本出版販売(日販)に公募1期生として入社し、7年間ほどは「自称」文学(演劇)青年として活動、青春を謳歌。動の人生に入った転機は、60年「安保闘争」だった。労組執行委員としてデモ行進に参加、壮大さに触発、感動、その後23年間組合役員として活動した。私と阿部さんとの出会いは67年の青年部結成でした。69年から8年間書記長として民主的労使関係の確立に向け千代田区労働組合協議会(千代田区労協)、75年には日本出版労働組合連合会(出版労連)に参加し、その先頭に立って実現した。背景には常に民主的出版物の普及に貢献したいという信念でした。
 退職後は、23年間の運動を記録した組合機関紙や資料を、過ぎた事として廃棄するのは忍び難いと7年間にわたって住まいがあった草加市であったことから「想過思今」として編集、かつての仲間に送付。その集大成は全3巻私家版「日販労働運動史」として刊行された。「出版流通九条の会」の結成にも尽力された。
 阿部さんは81歳で一昨年4月に亡くなられたが、相思相愛、同志でもあった夫人の明子さんが今年4月に亡くなられ、生前お二人の遺志で何らかの費用に活用してほしいということでJCJに遺贈された。

JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年12月25日号
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2017年12月31日

【今週の風考計】12.31─私たちは「ウオッチ・ドッグとして歩んでいきたい」──新たな決意

ゆく年くる年、酉が飛び立ち、戌が走ってくる─使い納めとなる年賀52円はがきに、「9条が正念場、懐憲ストップ! 力を合わせよう」と認め、投函する。

このほど組まれた防衛予算を見れば、背筋が寒くなる。なんと5兆2千億、6年連続の増額、過去最高となる。弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の導入だけではない。射程千キロに及ぶ巡航ミサイルを、ステルス戦闘機に搭載するシステムの予算化まで図る。
加えて護衛艦<いずも>を「攻撃型空母」へ改修する計画だ。空母化すれば米軍のステルス戦闘機F35Bが垂直のまま離着陸できる。まさに「専守防衛」どころか「敵基地攻撃能力」を持つ兵器の導入と活用のオンパレードじゃないか。憲法9条2項「戦力の不保持」を踏みにじる“戦争予算”と言っても過言ではない。

政官歩調を合わせ、南スーダンPKO部隊に派遣された自衛隊の「日報隠し」に始まり、<モリ・カケ>疑惑にはフタをし、「ご意向や忖度」にキュウキュウとする。国会では「共謀罪」法を強行可決し、準備・計画・未遂の行為まで処罰する。政治権力にとって、目障りな人々や組織を監視・処罰する法律に一変するのは必定だ。

あらためてJCJは、「忠犬ポチでなく、ウオッチ・ドッグ」に徹したい。しかも市井に暮らす人びとの心に寄り添い、危険を嗅ぎとったら鋭く吠える役目を果たしたい。
お年玉は、初読みにおすすめの一冊、ボストン・テラン『その犬の歩むところ』(文春文庫)をあげよう。犬も人間も等しく翻弄され過酷な目に遭うが、互いに助け合いながら逆境を克服していく感動の物語だ。(2017/12/31)
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2017年12月30日

日本ジャーナリスト会議と東海大学のジャーナリズムプロジェクトが共同制作した冊子を12月1日発刊=橋詰雅博

               編集雑記
 8月19日に東京・内幸町のプレスセンターホールで開かれた日本ジャーナリスト会議(JCJ)主催による2017年度JCJ賞贈賞式を記録した冊子「JOURNALISTs」をお届けします。 
 昨年号に続き東海大学の公認団体「JPOT」(東海大学ジャーナリズムプロジェクト)の学生が取材し編集しました。今回作成にかかわった学生は15人と、昨年よりも6人増えました。そのうち男子が2人で残る13人は女子でした。女子が圧倒的に多かった理由は定かではありませんが、会場と受賞者らを交えた懇親会での女子学生の取材によってイベントは盛り上がりました。
 参加者が増えたのは、今年2月15日付東京新聞に「ジャーナリストってなんだ。」をテーマに東海大文学部広報メディア学科の学生が冊子を作成と大きく報じられたことが要因ではないでしょうか。学生と、指導する羽生浩一教授がおさまる大きな写真が入った5段記事で、目立ちました。もちろん冊子の評判がよかったことも要因として挙げられます
 今号では新しいチャレンジもしています。2人のJCJ賞選考委員へのインタビュー、JCJ賞受賞した富山県の北日本新聞とチューリップテレビの両本社での取材、学生座談会などです。昨年号より4ページ増えた24ページ建てです。
 来年号も東海大学のJPOTとJCJが共同制作したいと思います。
JCJ事務局長・橋詰雅博

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2017年12月27日

《おすすめ本》 「亡国の武器輸出」池内了+青井美帆+杉原浩司編=橋詰雅博

 2014年4月、安倍晋三内閣は「防衛装備移転三原則」を閣議決定。武器輸出三原則が撤廃されて武器の輸出が全面解禁になった。「平和国家」から武器輸出を国家の「成長戦略」として政策が転換されたことで、大物防衛利権フィクサーが再び蠢動している。
 秋山直紀氏だ。秋山氏は防衛利権に絡んだ事件で約1億円の脱税容疑によって11年10月に懲役3年執行猶予5年の有罪判決が確定した人物。彼の復活を印象付けたのは16年5月都内のホテルでの現職の国会議員と防衛官僚による講演会の仕掛け人として名前が挙がったのだ。自ら理事を務める国際平和戦略研究所の代表理事、久間章生元防衛相を呼びかけ人として講演会開催を企画した。ただ、講演会は、直前に中止になった。本書執筆陣の一人であるジャーナリストの田中稔氏は、その理由を有罪になった人物が関係する会合で国会議員らが講演するのはまずいと防衛省などが判断したと指摘する。
 本書は武器輸出の問題点を15人が多面的に摘出した好著。
(合同出版1650円)

 
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《焦点》 戦争の危機迫る 自衛隊員の心境は=橋詰雅博

 安倍晋三政権は安保法成立など戦争する国に向かい着々と手を打っている。戦争の最前線に立つことになる自衛官は今、何を思っているのか。東京・練馬区の陸上自衛隊駐屯地を中心に部隊の行動の監視と自衛官への接触を行う練馬平和委員会の坂本茂事務局長(64)に今の自衛官の心境を聞いた。
☆  ☆
――安倍政権が戦争する国づくりを進めていることに自衛官はどう感じているのか。
 昨年10月16日に中央観閲式予行訓練が陸上自衛隊朝霞駐屯地訓練場で行われた際、一般向け入場券で駐屯地内に入った。警務隊などが尾行していましたが、「安保法をどう思うか」「8月、家族向けに配布された安保法解説書の感想は」などの質問を自衛官にぶつけた。「安保法は違憲」「入隊する際に署名捺印する『服務の宣誓書』には日本国憲法及び法令を遵守と書かれており、これと矛盾する」「解説書は美辞麗句だらけでインチキ」などと答えた。
20人が答える
また、PKO(国連平和維持活動)の新任務である駆け付け警護の訓練を経験した自衛官(1曹)は「海外に派遣されたら死ぬかもしれない」ともらした。3年に1回実施される中央観閲式は自衛隊のひのき舞台。予行演習とはいえ、本来は一般の人とのおしゃべりは厳禁です。にもかかわらず直撃インタビューに20人もの自衛官が答えたのは、命が危ういという不安の現れだと思います。
――九条改憲について何か言っていますか。
 九条改憲には口を閉ざしているが、自衛隊のイラク派遣(2003年12月から09年2月)でこんなエピソードがあります。イラクに6カ月間派遣されて帰国した幹部自衛官は、私に「九条があったから生きて帰れた」と話してくれました。憲法改正についてどうなのかと尋ねると「政治問題には答えられない」と言いました。
ドタキャン増加
――志願者の大幅減により自衛官募集も相当減っているそうですが……。
13年から一般曹候補生(正社員に当たる)募集は毎年2割ペースで激減している。1年を通して募集している非正規雇用に当たる自衛官候補生(陸自2年、海自・空自3年の任期制)も同じペース。
最近目立つのが試験当日のドタキャンです。母親や祖父などから『紛争地への海外派遣もあり得る。命は一つ。受験は止めなさい』と忠告されて止めるという。ある自衛官募集担当者は「上官から縁故募集も命令されている。わが子は自衛隊以外の仕事に踏み出したので、内心ホッとしている」と話した。若者の自衛隊離れは加速しています。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年12月25日号
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《焦点》 タックスヘイブン(租税回避地)三つの問題点=橋詰雅博

 巨大企業や富裕層、特権層が納税を逃れ秘密裏に資産を増やすために利用するタックスヘイブン(租税回避地)。その正体が明るみに出た昨年の「パナマ文書」に続く第2弾「パラダイス文書」が11月に報道されて世界に再び衝撃を与えた。
 これを受けてEU(欧州連合)の議会組織で開会中だった欧州議会では、タックスヘイブンへの批判が集中した。ベルギーのランバーツ議員は「租税回避は民主主義を掘り崩す行為だ」と強調。モスコヴィシ税制担当委員も「もしこれが合法だと言うのなら、法の方を変えなければならない」とまで言及した。
 12月3日の民間税制調査会(座長・三木義一青山学院大学学長)でパラダイス文書などについて講演した北海道大学法学研究科博士課程の津田久美子さんは、こう述べた。
 「タックスヘイブンの主な問題点は三つあります。不平等の温床、マネ―ロンダリングなど犯罪の助長、過剰なマネー取引による金融危機発生に加担です。独自の対抗策としてEUではマネロンを防ぐ案の検討や多国籍企業への課税強化、タックスヘイブンブラックリストの作成、パナマ文書に対する調査機関の設置などを挙げています」
 特に過剰に生み出されるグローバル・マネーを制御する試みとしてEU金融取引税(FTT)の導入に向けてフランスやドイツを中心とした10国が取り組んでいる点に注目が集まる。
 「当初は11カ国でしたが、経済の効率性が阻害されるとFTTに反対する金融業界などのロビー活動によりエストニアが離脱し、活動が停滞しました。とりわけ株式や債券などで運用する年金基金がFTT導入で損害を受ける可能性が大きな問題になりました。この数年は総論賛成、各論反対で税制の詳細を詰めるプロセスが頓挫していました。しかし、最近はEUの新財源として再び脚光を集めつつあります」(津田さん)
 日米は反対だが、EUのFTT導入への挑戦は注視すべきだ。


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2017年12月26日

《焦点》 「政治資金センター」を立ち上げた元NHK記者の立岩陽一郎さん=橋詰雅博

 衆参両院議員約700人の13年から15年分の政治資金収支報告書を大阪市の公益財団法人「政治資金センター」は今年2月からネットで本格公開し注目されている。ジャーナリストの立岩陽一郎さん(50)は同センターの立ち上げの中心メンバーで理事を務める。同報告書は保存期間が3年間。「資料として残すことに意義がある。政治家がどういう活動をしているか市民が調べたいときに有効です。加計学園と入力すれば、学園が献金した政治団体と献金額が分かります」
 立岩さんは一橋大卒業後、NHKに入局。テヘラン特派員、社会部記者、国際報道部デスクなどを経験。環境省担当のとき、同省の随意契約実態を調査報道で突き止め公表、政府の随契禁止のきっかけをつくった。10年から1年間、米国アメリカン大学に留学し調査報道を研究。「パナマ文書」の取材・分析に関わった。16年末にNHKを退職した後、調査報道ニュースサイト「iAsia」を運営する認定NPO「iAsia」で活動し、1月に同サイトの編集長に。10月、同サイトは「ニュースのタネ」に改名した。 
また、立岩さんはフェイクニュースのチェックを支援する「ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)」設立メンバーでもある。実際、10月の総選挙では、FIJが音頭をとり「ニュースのタネ」のほか3つのネットメディアが組んで政治家の発言などのファクトチェックを実施。
「大阪府の松井一郎知事は大阪で教育無償化を実現していると強調したが、チェックすると、事実ではなかった。ネットでそれを流した後、言い方を変えていた。ある程度効果はあった」


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2017年12月25日

《遠吠え》政治の欺瞞と対峙するには、人々のモヤモヤした感情をどれだけ言葉にできるかが鍵=田悟恒雄

 けさの朝日新聞、編集委員・高橋純子さんのコラム(政治断簡)は、「ドナドナと革命、荷馬車はゆれる」でした。
 いつもながら曰くありげな表題に釣られて食いつくと、なんと大杉栄「鎖工場」を引きながら、アベ政権の「革命の大安売り」─「人づくり革命」と「生産性革命」をやっつけています。
 そろそろお上お仕着せのラインや荷馬車から降りて、どう生きるか、どんな社会に暮らしたいか? 自分なりの選択肢を見つけるようにしてはいかが? と。
 テンポのいい文章に、「なんかいい気分」になっていたところ、『日刊ゲンダイ』の「注目の人 直撃インタビュー」に、高橋さん独特の文体の「誕生秘話」(?)が明かされていました─。

 「読者に読んでもらうには身体性のある表現が必要だ…極端に言うと、論の精緻さよりも、筆者の感情を込めた文章です。筆者がこれだけ怒っているとか、うれしいとか悲しいとか、…筆者の体温が感じられるように書くことが大切だ…」

 で、言葉のすり替えやごまかしが当たり前になっている「アベ一強政治」のもとだからこそ、そんなスタンスが求められるのでは? と─。

 「欺瞞を正面から論破するのは難しい。だから『なんか嫌だ』『どっか気持ち悪い』などといった自分のモヤモヤした感情をなんとか言葉にして読者に伝えないと、権力に対峙したことにならないんじゃないかと思うんです」

 そういえば石破茂氏もいつぞや、まるで正反対の立場から、選挙民のあいだにそうした「モヤモヤした感情」が生まれることを危惧していましたっけ。

(「零細出版人の遠吠え」12/25より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年12月24日

【今週の風考計】12.24─<'17読書回顧─おすすめ3冊>が、切り拓いた新しい世界

わが機関紙「ジャーナリスト」<書評欄>を担当して10年。今年も掲載できなかった良書は数多い。とりわけ小説や境界領域の本は採用できず、無念の思いがよぎる。

濯ぐ意味もこめ<私のおすすめ3冊>を挙げておきたい。まずは文藝賞を受賞した若竹千佐子さんの小説「おらおらでひとりいぐも」。東京新聞「本音のコラム」で斉藤美奈子さんの紹介エッセイを記憶し、河出書房新社から刊行されるのを待って購読した。
夫をなくした悲しみを超え、残りの人生は自分なりに生きようと、新たな「老いの境地」を描く。遠野の口承文芸にも通じる会話文と地の文章が重なり合う叙述に圧倒された。

実は、このタイトルが、宮沢賢治「永訣の朝」にある<Ora Orade Shitori egumo>に由来しているのを知った。以来、宮沢賢治の詩集を引っ張り出して読み直し。続けて『銀河鉄道の夜』も再読。
そんなところへ門井慶喜『銀河鉄道の父』(講談社)が目に留まり一気読み。人間・宮沢賢治を、父・政次郎の視点から、その家族と紡いだ日常生活を通して描き出す。これまで政次郎について書かれた本は一冊もない。著者がコツコツと調べ続けて完成させた、賢治一家の再発見となる稀有な物語である。

最後は伊沢正名『葉っぱのぐそをはじめよう』(山と渓谷社)。ノグソを続けて43年、「糞土思想」が地球を救うと述べる著者は、ノグソは人が自然と共生する最良の方法だという。その熱い想いが80種以上の葉っぱのカラー写真と共鳴して響き合う。
山に行けば<お花を摘みに行ったり、雉撃ちに行く>のはよくある事。また『うんこ漢字ドリル』(文響社)が累計281万部の時代、決してビロウな本だと忌避してはならない。(2017/12/24)

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2017年12月23日

≪おすすめ本≫末浪靖司『「日米指揮権密約」の研究』─戦争する国へ導く「米日統合司令部」を暴く=吉田敏浩(‘17JCJ賞受賞者/ジャーナリスト)

 北朝鮮の核・ミサイル問題で、トランプ・安倍両政権は軍事的圧力、武力の威嚇を強めている。
 日本海などで米軍の空母や爆撃機と自衛隊の艦船や戦闘機が、共同訓練を繰り返している。安保法制=戦争法制による米艦防護まで実施した。
 武力の威嚇は憲法違反だが、強引な解釈改憲で違憲の集団的自衛権の行使容認に踏み出した安倍政権にとっては、戦争体制づくりの規定路線であろう。
 それは米国の世界戦略に従って、地球的規模で米軍の戦争に自衛隊が協力し加担する体制の構築と結びついている。

 本書は、そうした恐るべき米日軍事一体化の流れを、占領時代からの米国による日本再軍備の策動の歴史に遡って検証し、核心を抉り出している。
 著者が米国立公文書館に通い、膨大な米国政府・軍の解禁秘密文書を精査した末に明らかになったのは、戦時に自衛隊は米軍の指揮下に入るという、1952年の当時の吉田茂首相とクラーク極東米軍司令官との口頭による「指揮権密約」だ。
 以来、自衛隊は米国製兵器で武装し、米軍事顧問団の指導を受け、米軍と共同訓練・演習を重ねてきた。米軍と自衛隊の基地の共同使用も拡大し、横田・横須賀・キャンプ座間の各基地では司令部機能の統合も進む。
 2015年の「日米防衛協力のための指針」により、米政府高官・米軍幹部と日本政府高級官僚・自衛隊幹部から成る機関「同盟調整メカニズム」、事実上の米日統合司令部も機能している。戦力も情報力も米側が格段に上で、「指揮権密約」もあり、米軍が自衛隊を指揮する統合司令部だ。 
 まさに日本は再び海外派兵をし、米国の下で戦争をする国に変貌しつつある。その危険な動きを止めるのは、戦争体制反対の世論の高まりしかないという著者の問題提起は実に重い意味を持つ。(創元社1500円)
「日米指揮権密約」.png
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2017年12月18日

《遠吠え》ヒャクタさん、「これぞSNS時代のメディア・リテラシー」やったっちゅうことです=田悟恒雄

 保育園の屋根にヘリの部品が落下(12月7日)、小学校の校庭にヘリの窓が落下(同13日)と、米軍普天間基地を抱える沖縄県宜野湾市で米軍ヘリによる重大事故が相次ぎました。
 これに対し日本政府は、米軍に「飛行停止」を要請するのではなく、米軍に判断を任せる「飛行自粛」の申し入れに留めています。
 そして海兵隊が「飛行中に落下した可能性は低い」と事実を否定すると、あろうことか保育園には「自作自演だろう」「嘘をつくな」といった誹謗中傷の電話やメールが寄せられるようになりました。
 これに悪乗りし、率先してデマを拡散しているのが、あの百田尚樹氏。12日放送の『真相深入り! 虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)で、こう言いきっています(「リテラ」)─。

 「どうも調べていくと、これ全部嘘やったっちゅうことです」
 「どうもこれは全部捏造やったちゅう疑いがほぼ間違いない」

 と、毎度のことですが、このお方、何の論証を添えることもありません。
 SNS全盛の昨今、ネット上には、この手の「乱暴な物言い」が大手を振るっているのですが、これと正面から向き合っているのが、琉球新報の「モバプリの知っ得!」というコーナー─。

 「まとめサイト『だけ』を見ると、自作自演論が大量にならび、『みんな言っているから確かにそうかも...』と一瞬、錯覚してしまいます。…
 こうした眉唾なまとめサイトの情報に『お墨付き』を与えるのは、多くのファンを持つ、論客・オピニオンリーダーです。メディアへの出演、著書などを多数出版し、ツイッターでのフォロワー(観覧者)も多い彼・彼女らが、『マスコミが報道しない真実』などと一言添えて拡散します(事実に基づかないから報じないのは当たり前だろ!と思わずツッコミたくなります)。
 思い込みの書き込みも、大量に集まることで事実のように見え、さらには論客が後押しすることで説得力が増したように感じます(『エコーチャンバー』『サイバーカスケード』現象)。
 インターネット、特にソーシャルネットワーキングサービス(SNS)では似たような意見の人と繋がることが多く、意見が偏りやすいのです。
 情報や意見を受け取る場合は、事実が明らかになっていることを基本に考え、推測が入る場合は割り引いて考え、断言しないこと。そして多方面からさまざまな意見を見聞きすることがネット時代では大事だと感じます。」

 これぞ「SNS時代のメディア・リテラシー」ではないかと、強く共感する次第です。

(「零細出版人の遠吠え」12/18より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年12月17日

【今週の風考計】12.17─いまベートーベン<第九>が、日本で担わされた運命を考える 

◆今日はベートーベンの誕生日。1770年12月17日ボンで生まれ、1827年3月26日ウィーンで死去。没後190年を迎える。あの<第九>は、ほぼ耳が聞こえなくなった54歳のときに作曲された。
◆日本では年末になると、<第九>の第4楽章「歓喜の歌」が、よく演奏される。欧米では祝典や歴史的な行事の際に演奏され、年末は関係ない。第二次世界大戦後の1951年7月29日、フルトヴェングラーがバイロイト音楽祭で指揮した記念碑的演奏は、今でもLPやCDのロングセラーになり、筆者も愛聴している。

◆なぜ日本では年末恒例となったのか。それは1943年、東京音楽学校(現在の東京芸術大学)の上野奏楽堂で行われた、12月の学徒壮行音楽会での<第九>演奏といわれる。学徒出陣のため12月に卒業繰り上げとなった学生たちを激励するためであった。戦後も1947年12月30日には、同じ場所で戦没学徒兵を追悼する演奏会を行っている。

◆「レコード芸術」12月号で、等松春夫氏が「大日本帝国と≪第九≫」と題して、時の政局との関係を紹介している。皇紀は2600年の昭和15年(1940年)、大政翼賛会が設立され、愛国精神の高揚を図る数々の大イベントの締めくくりとして、大晦日の午後10時半、ローゼンシュトック指揮・新交響楽団(NHK交響楽団の前身)がスタジオから実況放送をしている。
◆そして「戦時下の3年8カ月の間に<第九>の演奏は全国各地で22回にも上り、多くの青年たちが『歓喜に寄せて』に送られて戦地へ向かい、そして還らなかった。…大日本帝国にとって、<第九>とは『マルスに招かれたミューズ』だったのであろうか。」と結ぶ。

◆いま国会では、まさにローマ神話の軍神「マルス」が徘徊しているだけに、うかうかしてはいられない。(2017/12/17)

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2017年12月10日

【今週の風考計】12.10─福島・原発事故がいまだに残す、限りない危険と尽きない不安!

6年9カ月前、福島第一原発3号機は核爆発を起こし、最大で毎時2千ミリ・シーベルトの放射線量を放出、甚大な被害をもたらした。
いま廃墟となった原子炉建屋内にある貯蔵プールから、使用済み核燃料566本を、来年6月ごろには取り出せるよう準備が進んでいる。ドーム型の屋根が設置され、収納容器を吊り上げ地上までおろすクレーンは長さ約17m・重さ約90トンに及ぶ。

しかし、取り出したはいいが、どこで処理するのか、何も決まっていない。1号機・2号機の使用済み核燃料の取り出しに至っては、「2023年度を目途」にというだけ。タービン建屋内の復水器にたまった高濃度汚染水の抜き取りも、やっと18日に終える。その汚染水の合計1700トン、セシウム137濃度は5億ベクレル/ℓという。貯蔵するタンク850基はもう満杯。しかもそのうち約730基が、あの製品データ改ざん事件を起こした神戸製鋼の部品が使われている。漏れださないとも限らない。

原発事故による汚染など、福島県内の指定廃棄物は17万2千トン。それを埋める最終処分場が富岡町に設けられ、搬入が始まった。今後、6年かけてこの最終処分場に集約される。ただし、県内の除染で出た汚染土や10万ベクレル/sを超える廃棄物については、10月に稼働したコンクリート構造の中間貯蔵施設(双葉町・大熊町)に、最長30年間、保管される。
その後、県外で最終処分する方針だが、具体策は決まっていない。なし崩しに福島県外7県の汚染土47万㎥が持ち込まれてしまうのではないかと、住民の不安は尽きない。(2017/12/10)
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2017年12月07日

《遠吠え》つねに他者を「自律的な市民」として扱ってこられた原寿雄さんの「懐の深さ」の秘密=田悟恒雄

 元共同通信編集主幹、『市民社会とメディア』の編者・原寿雄さんが先月末に亡くなっておられたことを、けさの新聞で知りました。心からご冥福を祈ります。
 原さんといえば、1957年、大分県で交番を爆破して共産党の犯行に見せかけた「菅生事件」を追い、真犯人の警官を捜し出して報道した功績、そして社会部次長の1960年代に「小和田次郎」の筆名で書かれた『デスク日記』で知られる「大ジャーナリスト」(グラムシ)です。
 共同退社後も、ジャーナリストとして社会的発言を続けるかたわら、後進のジャーナリスト、ジャーナリズム研究者を鼓舞激励することに力を注がれました。
 そうした場のひとつが、神奈川県茅ケ崎市のご自宅で定期的に開かれた「原塾」でした。そのメンバーに「強要されて」前掲書の巻末を汚すこととなった「編集者あとがき」を引き、当時の雰囲気を感じていただきましょう─。

 「東京・巣鴨のとげぬき地蔵尊は『おばあちゃんの原宿』として広く知られる。その向こうを張ったわけでもなかろうが、湘南は茅ケ崎にも『〔おじいちゃんの〕原塾』がある。老中青ほどよいバランス構成のジャーナリスト、メディア研究者らが定期的に集い、『市民社会』についてなにやら真剣な議論を交わしているという。…
 ところで、持説は歯に衣を着せずいとも明快に発言する一方、つねに他者を自律的な『市民』として扱い、決してそれを押しつけない塾長〔原さん〕のあの懐の深さは、民主主義思想の体現というだけでは説明にならない。それはいったい何なのか?
 最近になってようやくわかったのだが、どうやらキーパースンは侃子〔よしこ〕夫人であるらしい。塾の開催日にはいつも素敵な料理を用意して塾生たちを暖かく迎え入れ、塾長がジェンダー論についてとくと語れば、「あなた、そんなこと言えるの?」とカウンター・パンチを食らわせる。そんな夫人のダイコンの煮付けが食べたくて塾に通ったと白状する強者〔つわもの〕もいる。ともあれこの本は、侃子夫人のお力添えがあってはじめて上梓できた、と言っても過言ではあるまい。」

(「零細出版人の遠吠え」12/07より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年12月05日

≪おすすめ本≫ 前川貴行 写真・文『動物写真家という仕事』決して敵にはならないと念じ、動物たちに出会う緊張あふれるドラマ=土居秀夫(元『アニマ』編集長)

 評者の私も編集に携わっていた『アニマ』(平凡社刊)が、日本初の動物・自然のグラフィック誌として創刊されたのが1973年。その当時、わが国にはプロの動物写真家と言える人は数えるほどしかおらず、その先駆者の一人が著者の師である田中光常氏であった。
 『アニマ』は20年後に休刊となるが、この間にデビューした日本の動物写真家たちの多くが世界でもトップレベルになっていった。著者が写真家を志したのが1996年というから、いわば第三の世代といえよう。

 本書は、新時代の動物写真の旗手とされる著者が、田中光常氏への弟子入りを起点として、自らの20年の軌跡をたどる半生記であり、北極圏のツンドラから熱帯雨林、日本の山岳地帯まで、野生動物と出会える自分のフィールドを求めて歩いた旅の記録でもある
 動物写真が他のジャンルの写真と異なるところは、その対象が人間にとっての異界であることだ。野生動物の生息地は本来人間の領域ではなく、写真家は彼らにとって闖入者にすぎない。
 どうしたら動物たちに自分の存在を認めてもらえるのか、著者は、人の精神状態を見極めるというチンパンジーに対して、「自分の立場が強固で優位であることを意識し、しかし決して敵になりうることはないという心構えを念じ続ける」という。

 本書では「あきれるほど地味な仕事」の相手である動物たちとの、緊張感に満ちた邂逅のドラマが淡々と綴られていく。そこから読者は、私たち人間がこの地球上で共生すべきものたちの存在を、あらためて知ることができるはずである。
(新日本出版社2600円)
「動物写真家という仕事」.jpg
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2017年12月03日

【今週の風考計】12.3─「日本維新の会」と<加計マネー>疑惑、その真相と深層を解明せよ!

「日本維新の会」の足立康史衆院議員は、11月30日の衆院憲法審査会で、またまた朝日新聞を名指しして「捏造、誤報、偏向のオンパレード」と、何ら具体的な根拠も示さず、誹謗中傷きわまる暴言を吐いた。さらに憲法改正国民投票について、「最近のマスメディアの偏向ぶりを見るにつけ、マスメディアを正すか、信頼度を引き下げることに取り組むことが、国民投票に必要な環境整備だ」とまで述べた。

足立議員は11月12日、朝日新聞の<加計問題>に関連する社説を巡って、ツイッターに「朝日新聞、死ね。」と投稿した御仁。10月23日投票の衆院選で小選挙区では落選したが比例復活して現在3期目。元通産・経産官僚。国会の場でも、加計疑惑を追及する立憲民主党など3党の議員の名前を挙げ、あっせん収賄罪に該当する「犯罪者」とまで発言、謝罪に追い込まれた。

ここにきて、足立議員が所属する「日本維新の会」に、<加計マネー>疑惑が浮上してきた。加計学園の加計孝太郎理事長と息子で副理事長の加計役氏から、片山虎之助・共同代表に政治献金がなされていた事実が、日刊ゲンダイの調べで発覚した。
なるほど、それで「日本維新の会」の各議員は、国会で<加計問題>を追及しないのか。納得。加計学園が運営する岡山理科大学獣医学部は、愛媛県今治市から37億円の土地を無償譲渡され、その上に県と市から96億の建設補助金まで得て開設される。この財源はすべて税金だ。もし経営破綻したら責任は誰がとるのか。

「認可したから終わり」では済まない。加計理事長以下、関係者を全員、国会に呼んで、徹底して国家戦略特区諮問会議の真相を解明すべきだ。(2017/12/3)
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2017年11月30日

《遠吠え》巷間 "優秀" と言われる財務官僚ってぇのは、その "優秀な頭脳" の使い方を誤っている=田悟恒雄

 おとといの衆院予算委員会での財務省・太田充理財局長の答弁を聞いてからというもの、零細出版人は首をひねったまま困っています。
 何せ「朝日印刷のタコ社長」みたいなものですから、年末近くに首が回らなくなることは決して珍しくはないのですが、今回はチト様相を異にします。
 この春、前任者のアノ佐川宣寿理財局長が、自信満々かつ平然と繰り返した答弁を、まずは反芻しておきしょう─。

 「財務局側から〔森友学園側に〕価格を提示したこともないし、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」(「私はコレで国税庁長官に栄転できました!?」)

 ところがどっこい、この27日の衆院委員会で後任の太田局長は、「金額のやり取りがあった。そこは認めている。…金額のやり取りが一切なかったかのように答弁が受け止められて誤解を招いたとすれば、おわび申し上げる」などと "陳謝" しながら、あまりの苦しさからでしょう、実に往生際の悪い弁明を付け足したのでした─。

 「〔財務局側は〕金額は触れたが価格は言っていない」

 「だから佐川答弁は間違っていない」とでも言いたのでしょうね。でも、これを聞いた零細出版人も、首をひねるばかりの苦しさに、あまり信頼できないと言われる「Wikipedia」に当たってみたところ─、

 「価格(かかく、英: price)とは、有形・無形の各種の商品(サービスを含む)の取引に際して提示される金額をいう。値段(ねだん)とも呼ばれ、サービスについては料金(りょうきん)ということもある。」

 で、「金額」の方は「Wiktionary 日本語版」によると─、

 「具体的な数字で表した金銭の量」

 なんだそう。
 どうやら、「意味不明のスコラ論議」に持ち込んで、人々を煙に巻いてやろうという算段のようです。
 つくづく、「巷間 "優秀" と言われる財務官僚ってぇのは、その "優秀な頭脳" の使い方を誤っている」と思うばかりです。

(「零細出版人の遠吠え」11/30より。 http://www.liberta-s.com/
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≪おすすめ本≫ 梅田正己『日本ナショナリズムの歴史』全4巻 「神話史観」の源流にさかのぼり、甦る日本ナショナリズムの実像を明かす=今井康之(JCJ出版部会)

今年の「平和・協同ジャーナリスト基金賞」<審査委員賞>受賞
 
 著者梅田正己さんと筆者はJCJ出版部会やマスコミ九条の会で活動を共にしてきた仲間である。この縁で私は、原稿段階から最初の読み手になった。読後の感想は「面白くて止められない!」の一言に尽きる。
 以来、これが本になったら一人でも多くの人々に広めたい、この本で日本を変えてみたいとの思いを強くした。このような次第で今回、本書の紹介を買って出た。

前人未踏の著作誕生!
 あの惨憺たる敗戦を経ても断絶することなく地底に生き続けてきた天皇制に基づく国家主義。これを基軸に据えた自民党改憲草案。著者はこの草案を「戦後保守イデオロギーの集大成」と規定し、そのしぶとい延命の歴史的究明を自らに課した。この問題意識こそが著者をして「日本ナショナリズムの歴史」を執筆せしめた最大の動機である。
 これまでにも、この主題に取り組んだ学者はいたが果たせなかったと著者は記している。
 梅田さんは出版社勤務を経て1972年に高文研を創業し、編集者・執筆者として縦横無尽の活躍をしてきた。梅田さんの一貫した出版理念は、目の前に生起している重大な社会問題の本質を解明し、広く闘う論理を提起することであった。
 五年前、40年間も経営の陣頭に立ち続けた社を引退した。それ以後、学者ではないという地の利を存分に活かした本書の執筆に没頭し、このほど、ついに4冊本として完結させた。前人未踏の書である。
日本近代史の泰斗、中塚明・奈良女子大学名誉教授が、本書刊行に寄せて、こう述べている。
〈この「神権天皇制」を軸とした「日本のナショナリズム」の成り立ち、発展、変ぼう、そして今日にいたる歴史を、日本ではじめて系統的に明らかにしたのがこの本です〉
「日本ナショナリズムの歴史」.jpg続きを読む
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2017年11月26日

《焦点》 教育に情熱を燃やす前川喜平氏=橋詰雅博

 10月25日付東京新聞の読者投稿欄「ミラー」に神奈川県大和市に住む主婦の大宮啓子さん(72)の一文が掲載されていた。中身はこんな具合だ。
〈厚木のシャッター通りといわれる一角に「えんぴつの会」と手書きの表示がしてある。民間で運営する自主夜間中学。9月末のある日、そこに四十数人が集まっていた。フィリピンやコロンビアの若者たちだ。
 彼らは戦争や病気、不登校や家庭の事情などで小学校の勉強ができなかった。学びたくても学べなかった人たちの意欲はすごい。全く日本語の分からなかった男女が普通に日本語で会話し、漢字の書けなかった人が検定を受けるまでになった。(中略)
 教える人はすべてボランティアだ。先生と生徒の師弟関係というより、一人一人の人間として、お互いに学び合う姿勢が貫かれている。(中略)彼らに公的な教育支援がいきわたるよう強く願っている〉
 実は文部科学省前事務次官の前川喜平氏(62)は、えんぴつの会で勉強を教えるボランティアをしている。9月初旬に本紙インタビューを受けた際、この「学習ボランティア」についてこう言っていた。
「私は2、3人の方をマンツーマンで教えている。その一人は80歳近い男性です。身の上話では、幼いころ両親が亡くなり、親戚に預けられ家事労働をさせられた。耐えられず家出した後、炭鉱で働いた。学校に1度も行ったことがない。字は書けない、読めないでよく生きてこられたと思いました。現在は、ひらがな、カタカナを読めて書ける小学校低学年の国語レベルまできている」
 彼は福島市の民間の自主夜間中学でも教えている。
 「70代の男性は、中学は卒業しているが、それは形式だけで、小学校レベルの知識です。新聞を読んで理解したいという彼のニーズに応えるため朝日新聞を教材として使っている」(前川氏)
 人間の尊厳を保つには学習は不可欠という前川氏、教育への情熱は高まる一方だ。

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【今週の風考計】11.26─DVと性暴力による被害救済へ法改正を! 政府は早急に取り組め!

◆1960年11月25日、ドミニカ独裁政権と闘ったミラバル姉妹が殺害された。その日を「女性に対する暴力撤廃の国際デー」と定め、12月10日の「世界人権デー」まで、16日間、世界中でキャンペーンが張られている。

◆さて日本での女性に対する暴力の実態はどうか。日本では3日に1人、妻が夫によって殺され、成人女性の3人に1人がドメスティックバイオレンス(DV)被害を体験しているといわれる。現に、昨年1年間のDVは6万9908件(10.7%増)と最多を更新し、13年連続の増加である。

◆だが、DV被害から逃れるための一時保護所・シェルターへの入所率は33県が40%未満、秋田県は入所率が5.8%と全国で最も低い。「夫の暴力で骨折させられても一時保護所に入れなかった」との証言が複数ある。
◆さらに首を絞められた痕や殴られた痕がある女性は入所しやすいが、精神的に追い詰められるモラルハラスメントなどは、見た目では分からないので、相談員の判断任せ。かつ相談員の「生活保護や児童扶養手当のために偽装離婚したいんでしょう」といった、心ない言葉に深く傷つくケースも多くある。
◆若い世代での「デートDV」も深刻だ。10代カップルの3組に1組で起きている。ストーカー被害は2万2737件、4年連続で2万件を超え前年比3.5%増だ。

◆安倍政権は「すべての女性が輝く社会」をうたうが、日本は国際社会から「女、子どもが家の中で殺される危険の高い社会」だと批判され、DV加害者を処罰するよう法律の改正が求められている。DV防止法が制定されて16年、我が国はDVと性暴力による被害救済の面で、国際的にも最後進国となっている。(2017/11/26)
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2017年11月22日

≪おすすめ本≫西村京太郎『十五歳の戦争 陸軍幼年学校「最後の生徒」 』叩きこまれた軍国教育から戦争を問う=金子 徹(「赤旗」記者)

 トラベルミステリーの大御所が、戦後70年を経てから、しきりに戦争を題材にしたミステリーを書くようになった。2015年刊の著書は大多数が戦争に絡むものだ。
 人気作家が、なぜいま戦争を問うのか。その真意を伝えるのが本書である。エリート養成機関である陸軍幼年学校で、徹底した軍国主義教育を受けた著者だからこそ書ける証言がつまっている。

 1945年4月、八王子市にあった東京陸軍幼年学校に入学。高い塀に囲まれた、病院まである閉鎖的な世界だった。市民との交流も禁じられ、「強い使命感」を植え付けられた。空襲の日々、緊張の連続だった学校生活、本土決戦を前にした心境など、生々しく伝える。「本土決戦になったら、楯になって、天皇陛下をお守りするのだ」と思っていたと振り返る。
 後半は、戦後の食糧難や占領下の世相などを記している。

 そのうえで、「日本人は戦争に向いていない」と結論づける。理由として、日本人は「国内戦と国際戦の違いがわからない」「現代戦では、死ぬことより、生きることが大事なのに、日本人は、死に酔ってしまう」等々、7点を指摘している。

 昨年、御本人にインタビューをする機会があった。印象深かった言葉を紹介しておく。
 「怖いのは、戦争になると死を恐れなくなること。戦争のための教育をたたきこまれたから、死ぬのは全然怖くなかった」
 「世界中が戦争になっても日本だけは、たたかわない方がいい。たたかわない国が、一国でもないと、まずいんだ」
(集英社新書760円)
「十五歳の戦争」.png
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2017年11月19日

【今週の風考計】11.19─世界から日本へ、218もの人権改善勧告。沖縄へ社会権保障の勧告は初めて

国連の人権理事会が、日本の人権状況に関して、約5年ぶり3回目の定期審査を行った。このほど世界106カ国から出された218の勧告が報告書にまとめられた。多かったのが人種や男女差別、性や地域少数者への差別をなくす取り組みへの勧告だった。

特筆すべきは、沖縄の人々の人権や社会権の保障を促す勧告が、初めて盛り込まれたことである。翁長・沖縄県知事が国連で訴えた「基地押し付けの構造的差別や人権侵害」、また山城博治議長の長期拘束への異常さなど、世界が認識したからである。
慰安婦問題では中国や韓国などから「深く謝罪し、被害者に補償せよ」との勧告が出されている。福島第一原発事故に関連して、被災者の命を守る措置を拡大し、子どもが放射線被ばくによって受ける被害の大きさについて、正確な情報を学校教材に記載するよう求めている。

メディアに関連するテーマでは、「報道の自由」が萎縮しないよう、特定秘密保護法の法改正などを求める勧告、また政府によるメディア規制が、放送法4条を恣意的に使って、進められていることが批判され、この放送法第4条の「廃止」とともに、独立した第三者による監督機関の設立を求める提起が米国から出された。
いまやテレビでは安倍政権を代弁するかのようなコメンテーターばかりが重宝され、放送メディアは完全に腰砕け。政権が何も言わなくとも勝手に忖度し、自主規制に走るという体制が完成してしまっている。公権力のウォッチ・ドッグ=監視役としての「報道の自由」が阻害されている。

これらの勧告に、どう日本政府は対応するのか。受け入れるのか否か、来年3月までに態度表明しなければならない。またも木で鼻をくくったような弁明を繰り返せば、物笑いの種になるだけ。(2017/11/19)
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2017年11月16日

《遠吠え》「泥棒を検察官に」してしまえば国会は毎度「田舎芝居と茶番劇の舞台」に=田悟恒雄

 衆院選に大勝し「いよいよ驕れる自民党」は、さっそく野党の質問時間の削減に手を付けます。
 で、そんなことをすればどうなるのか、「加計学園」問題をめぐるきのうの衆院文部科学委員会質疑は、そのことをまざまざと示してくれました。
 これまで「与党:野党=2:8」だった質問時間を「1:2」へと、与党に手厚く変えた質疑のトップバッターは、8月まで文科副大臣を務めていた自民党・義家弘介氏でした。ご存知、「加計学園獣医学部新設」問題の議論に副大臣として直接関わり、この間、文科省から続々出てきた一連の文書にも、「重要なアクター」としてお名前が登場する、「れっきとした当事者」。
 そんな人物に30分もの質問時間を与えると─、

 「恣意的な報道を繰り返したマスコミ、野党による結論ありきの追及にじくじたる思いを抱いてきた」

 などと、貴重な質問時間を使って、何と自己弁護やら、メディアや野党への批判やらを繰り広げたのでした。
 おまけに当の文科省の「再調査」で本物と認定された内部文書に対しても─、

 「恣意的に打ち替えて作成し、意図的に共有フォルダに入れられた。あるいは逆に意図的に打ち替えられたものが外部に流出させられたという疑念が払拭できない」

 などと、何の証拠もなく言ってのける始末。
 本来「チェックを受ける側」を「チェックする側」にしてしまう、もっとはっきり言わせてもらうと、「泥棒を検察官に」してしまえば、国会は毎度「田舎芝居と茶番劇の舞台」と化してしまうでしょう。

(「零細出版人の遠吠え」11/16より。 http://www.liberta-s.com/
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