2017年10月15日

【今週の風考計】10.15─またも沖縄で墜落・炎上したCH53Eヘリとストロンチウム90

◆沖縄県東村の私有牧草地に墜落し、大破・炎上した米軍ヘリコプターは、6月に久米島空港へ緊急着陸したヘリと同一機。◆このCH53E大型ヘリには、放射性物質が収納されている。7枚の回転翼ブレードを持ち、それぞれの根元付近に、放射性物質ストロンチウム90が入った計器を備える。空洞になっている回転翼ブレード内の圧力変化を、飛行中でも常に検知し、劣化や氷結による亀裂などの異常が発生していないか確認している。

◆13年前、沖縄国際大に墜落したヘリも、今度の事故と同系のCH53Dだ。回転翼などからストロンチウム90が検出されている。

◆いま事故機体のストロンチウム90が飛散した現場周辺では、不安が広がる。事故後、現場で消火作業にあたった国頭消防隊員も「被曝したのでは?」と、精神的な不安や緊張にさらされている。◆現場の西約300メートルの地点3カ所で、放射線調査を実施した矢ヶ崎克馬琉球大名誉教授は、「1u当たり81ベクレルのベータ線が検出された」という。人体にはほとんど影響がないレベルというが、牧草地の所有者は、これから刈り入れする牧草や飼育している豚50頭の出荷に影響が出ると心配する。

◆沖縄防衛局と県は、現場への立ち入りを申請している。だが<日米地位協定>に阻まれ、日本政府や沖縄県の調査は拒否され、またも泣き寝入りが強いられるのは必定だ。沖縄から基地をなくせ! まさに総選挙の争点、やまとんちゅうの一票が問われている。(2017/10/15)
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2017年10月13日

《遠吠え》トカゲのシッポ切りはもとより、都合の悪いことは「妻が、妻が…」で逃げ切り図る卑怯者=田悟恒雄

 おとといのテレ朝「報道ステーション」党首討論での「森友問題」に対するアベ首相発言には、びっくりを通り越して呆れ果ててしまいました─。

 「籠池さん自体が詐欺で逮捕され、起訴されました。…こういう詐欺をはたらく人物のつくった学校でですね、妻が名誉校長を引き受けたことは、やっぱり問題があったと。こういう人だから騙されてしまったのだろうと」

 そこには、この人物の「卑怯者ぶり」が、余すところなくさらけ出されています。あからさまな「トカゲのシッポ切り」はもとより、自分に都合の悪いことはすべて「妻が、妻が…」で逃げ切りを図るつもり。
 もう記憶も薄らいでしまったことでしょうから、ご参考までに、疑惑が発覚し始めた頃の「遠吠え」を引っぱり出しておきましょう─。

 02/22 「もっと傑作、かついかがわしいのは、寄付金を募ったときのその名です。ナなんと『安倍晋三記念小学校』ですって!
 『悪い冗談』というのはふつう、このへんでお終いとなるのですが、これにはさらに続編があるのです。ナナなんと、記念に名を冠された宰相の妻・安倍昭恵氏が『名誉校長』を務めるんだそうです。
 このことを国会で質された『記念政治家』氏、血相を変えて『関係していれば総理も国会議員も辞める』などと息巻いていましたが、『妻から学園の先生の教育への熱意はすばらしいという話は聞いている』などともおっしゃっています。」

 02/24 「くだんの『小學院』の『名誉校長』にめでたく就任された安倍昭恵氏が、同学園傘下の幼稚園で行なった講演から─。
 『こちらの教育方針は大変、主人〔シンゾー氏〕も素晴らしいと思っている。(卒園後)公立小学校の教育を受けると、せっかく芯ができたものが揺らいでしまう』」

 02/27 「世間様がくだんの学園の異常さに気づき、疑惑の目を向け始めたからなのでしょう、せっかく『名誉校長』に就任あそばされたファーストレディを辞任させ、いつの間にか『名誉校長 安倍昭恵先生 安倍晋三内閣総理大臣夫人』の写真も挨拶文も、学園HPから削除してしまいました。
 これを『隠蔽じゃないか』と国会で追及した民進党議員に、当のご仁はブッちぎれ─。
『隠蔽というのはですね、隠蔽というのは、隠蔽というのは、じゃあ、私が隠蔽したんですか! 私がですね、私が森友学園のHPに対して隠蔽しようがないじゃないですか!』」

 もう支離滅裂。ばっかばかしいったら、ありゃしない。

(「零細出版人の遠吠え」10/13より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年10月12日

≪出版界の動き≫8月・9月─共同フェア「チチカカコへ」の期待

●8月の出版・推定販売金額976億円(前年比6.3%減)、書籍464億円(同3.7%減)、雑誌511億円(同8.6%減)、返品率は書籍42.2%、雑誌44.4%。とりわけ週刊誌の落ち込みが激しい。販売金額100億円割れが続き、前年比18.3%減。

●第4回共同フェア「チチカカコへ」の内容─KADOKAWA、河出書房新社、講談社、筑摩書房、中央公論新社、平凡社の6社は、「教養はチカラだ!」を合言葉に、教養文庫シリーズを集めて行う。各社の編集長のイチ押しや書店のリクエストが多かった60点を選書、450〜500書店をめどに12月中旬より展開する。昨年の販売冊数は前年比約11%増。3カ月後の実売率55.5%(同3%増)で健闘。大手書店はもとより、地方の中小規模の書店でも好調だった。

●経済産業省監修「デジタルコンテンツ白書2017」によると、2016年のコンテンツ産業市場規模は12兆4千億円(前年比2.7%増)。1位「テレビ」約2兆円、2位「オンラインゲーム」1兆2千億円、3位「インターネット広告」1兆円、4位「新聞販売」1兆円、5位「書籍販売」7370億円。昨年5位の「雑誌販売」は、6位(7339億円)にランクダウン。
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2017年10月08日

【今週の風考計】10.8─ICANノーベル賞受賞と核廃絶に背を向ける被爆国・日本の悲劇

ICAN、YOUCAN、All Together CAN!─と叫びたくなるほど、反核団体「ICAN=核兵器廃絶国際キャンペーン」の10年に及ぶ活動に、ノーベル平和賞が授与され、うれしくて嬉しくてたまらない。北朝鮮やイランの核開発が深刻化する今、「核兵器が使われれば人類は破滅的な結末を迎えると注意を喚起し、核兵器禁止条約の実現にむけて、果たしてきた画期的な努力」が高い評価を受けた。広島と長崎への原爆投下から70年以上、いまだに1万5千発の核兵器が世界に存在し、核保有9カ国は廃棄への願いを踏みにじり続けてきた。

今年7月の国連では、加盟193カ国のうち122の国と地域が賛成し、核兵器禁止条約が採択された。その中心的な役割を担ったのがICANだ。唯一の戦争による被爆国日本との関係も深い。日本の被爆者団体と連携しながら、核兵器禁止条約制定に向けたキャンペーンを展開してきた。まさに被爆者とICANの共同受賞といってよい。

だが日本政府はコメントすら出さない。被爆国の政府が、米国の「核の傘」の下にあるという理由で、条約制定の会議や交渉にも参加しない。いまや核廃絶に向けた議論をリードするどころか、被爆者からも各国のNGOからも信用されなくなっている悲劇、それこそ深刻な問題だ。あまつさえ安倍首相は、北朝鮮の脅威を「国難」といいつのり、核ミサイルの廃棄に向けて対話を促すどころか、圧力と制裁ばかりを口にして、自分の政権延命をもくろむ総選挙に血道をあげる。掲げる公約には、「核廃絶」の文字はどこにもない。(2017/10/8)

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2017年10月04日

≪おすすめ本≫大田昌秀 編著『沖縄 鉄血勤皇隊 人生の蕾のまま戦場に散った学徒兵』 92歳の誕生日に逝去された大田昌秀さん、学友の少年兵たちに捧げたレクイエム=鈴木耕(編集者)

 個人的な思い出で恐縮だが、私は『沖縄、基地なき島への道標』(集英社新書)という大田さんの著書の編集担当をして以来、ずっと大田さんには親しくしてもらった。
 沖縄へ行くたびに食事をご一緒し、たくさんのお話を伺った。その中でいつも大田さんが気にかけておられたのが、鉄血勤皇隊に召集され斃れていった学友たちのことだった。それが、まるで遺著のようにしてまとまった。奇しくも92歳の誕生日当日に旅立たれた大田さんの最期に間に合った…。

 大田さん自身が組み入れられた鉄血勤皇隊。だが、勇ましいのは名ばかり。まさに副題が切ない。ろくな武器も与えられずに戦場に放り込まれた15〜18歳ほどの少年たちが、文字どおり蕾のまま花開かずに死んでいったのだ。
 ひめゆり部隊などの看護隊は映画でも有名になったけれど、男子学徒隊は沖縄の全12校から招集されながら、実態はあまり明らかにはならなかった。多くの学友を失った大田さんにとって、少年兵たちへの鎮魂は自分の人生の終幕までに、どうしても成し遂げたかった仕事だったのだろう。

 沖縄師範学校男子部本科2年生だった大田さんは、敗戦の色濃い1945年2月に召集され、情報宣伝隊の千早隊に入れられた。それがどういう任務だったのか、本書を読んでほしい。戦争というものが、結局は人間の使い捨て、命を木の葉のように軽く扱う残酷な歴史の一齣であることがよく分かる。終生をかけて反戦を訴え続けた大田さんに、7月、私は最後のお別れをしに、沖縄へ行って来た。
(高文研2000円)
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2017年10月01日

【今週の風考計】10.1─世界が注目! 三都市が呼び起こす波紋。小池代表「三都物語」の小ささよ!

アルビル、バルセロナ、ストックホルム─いま世界が注目する三都市である。「希望の党」小池代表の<三都物語>より、ずっとずっと重要だ。

イラク北部にあるアルビルは、クルド自治政府の中心都市。住民投票を行いイラクからの独立を鮮明にした。だがイラクと周辺国は、クルド自治区を孤立させようと空路封鎖など対抗措置をエスカレートさせている。
バルセロナはスペイン・カタルーニャ州の州都。過重な税負担や独裁的な中央政府の介入に抗うため、独立を目指す住民投票が始まった。政府は他州の警察官数千人を動員して阻止する構え。双方の争いは激しくなる一方だ。ストックホルムは、ノーベル賞受賞者が発表されるスウェーデンの首都。ノーベル賞ウイークが、2日の医学生理学賞から始まる。3日に物理学賞、4日は化学賞の受賞者が決まる。この自然科学3賞は、4年連続で日本の科学者が受賞するか、大きな注目を集めている。さらに6日には平和賞、9日に経済学賞と続く。

特に日本からノーベル賞受賞者が出れば、その研究分野に関連した「ノーベル賞関連銘柄」が高騰し、思わぬ経済効果につながる。文学賞は発表の日程が、いつもの通り決まっていない。毎年、注目される村上春樹、予想では現在2位、トップは現代アフリカ文学を代表するケニア出身の男性作家で、「アフリカのトルストイ」と評価されるグギ・ワ・ジオンゴ。日本人3人目のノーベル文学賞受賞者が出るのか。これまで発表前に文教堂や丸善の株価が急騰し、受賞を逃した途端に急落する事態も。(2017/10/1)

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2017年09月28日

《焦点》前川喜平氏インタビュー3「政治家と付き合うのは嫌で嫌で」番外編=橋詰雅博

 なぜJCJ機関紙のインタビューに応じたのかについて、前川喜平氏は「コマーシャリズムに流されていない。相談した代理人の弁護士も止めなかった」と答えた。
 インタビューのテーマは多岐にわたった。その「番外編」をお届ける。
◆収入 定期的なものはない。最近は講演料、多くて3万円、メディアへのコメント料やラジオの出演料が増えてきた。顔を忘れてほしいのでテレビには出演しない。
◆教えたい 若いころ、上智大の非常勤講師を務め、教育行政学を教えた。文科省の仕事を違った視点で見ることができて幸せだった。学校法人などから手伝ってほしいと求められたら有償で教えます。きっと楽しいだろう。
◆仏教 仏教を通じて人間が形成されると考えていた祖父と父親が残した仏教の本を中学、高校のころ読んでいた。東大在学中はサークル「仏教青年会」に入っていた。京都や奈良、鎌倉などで仏像を見るのが好き。文化財部長をやりたかったが、チャンスがなかった。
◆性格 楽天的で、大概の事はどうにかなる。ただ、子どものころは、神経質で引っ込み思案だった。楽天的な性格をつくることができたのは仏教の勉強のおかげ。仏教の核心を簡単に言えば、気にするな、です。
◆好きな俳優 女優は大原麗子。ウイスキーのテレビCM「少し愛して、なが〜く愛して」、あのセリフにゾクゾク。高倉健と共演した映画「居酒屋兆治」のヒロイン役もよかった。男優は渡瀬恒彦。テレビドラマ「十津川警部シリーズ」では、TBSは渡瀬、テレビ朝日は高橋英樹が警部役に扮したが、渡瀬の方に人間的な味わいがあった。
◆酒 たくさん飲めない。今夜はゆっくりしたいなと思ったとき、チョコレートをつまみながら女房とブランデーを飲む。
◆選挙への出馬 国政も首長も関心ない。現役時代、政治家と付き合うのは嫌で嫌で仕方なかった。

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《遠吠え》窮鼠が放った「一発逆転満塁ホームラン」は、ドームの天井に球が挟まってアウトッ!=田悟恒雄

 衆院解散を前にして、きのうはあちこちで「政界ドタバタ喜劇」が上演されました。
 喜劇のヒーローは民進党・前原誠司代表。きのう開かれた同党議員との会合で、「民進党の公認候補は出さない。希望の党の公認を得てほしい」と、小池新党への事実上の「合流」、いえいえハッキリいえば「解党」の方針を出したそう。
 どうせ「離党ドミノ」を止められないのなら、丸ごと移っちまえば簡単、「これぞ一発逆転満塁ホームラン」とでも考えたのかもしれません。
 けど、事はそれほど簡単ではありません。押し掛けられる側のヒロイン・小池百合子都知事の方の関心は、もっぱら100億円ともいわれる民進党の政治資金、候補者の頭数、それに弱体ながらも一応はすでに存在する全国組織にしかないのです。

 「党と党で手を組むことは全く考えていない。一人一人が仲間として戦えるか、こちらで決める」

 というわけで、丸裸になった民進党離党者は、すぐさまヒロインによる「身体検査」、っていうか露骨な「思想調査」に掛けられます。
 「憲法」なんぞもってのほか。「リアルな安全保障政策」ということで、あれほど反対してきた「安保法制」の泥沼にズブズブ引きずり込まれてゆくことに。いったい、そんなところに「希望」を見出せるとでも言うのでしょうか!?
 とどのつまりはこうです─。たとえ「アベ政治」を終わらせることができたとしても、それ以上に危険な「ウルトラライト政治」へと持って行かれる、というのが関の山なのかもしれません。

 そんなとき『日刊ゲンダイ』に、12年前に作られた短編映画「希望の党☆」の監督・金子修介氏のインタビュー記事が載っていました。
 そもそもコレ、「政治に無関心だとこうなりますよ」というメッセージを込めた啓蒙作品なのですが、政権を握った「希望の党」なる政党が、次々斬新な手を打つうち、気がつけば「ある日、徴兵令が敷かれ、娘も戦場に…」といったストーリー。
 「悪夢が現実にならないことを祈るばかりだ」とのインタビュアーの締めの言葉に、零細出版人も強く共感。

(「零細出版人の遠吠え」09/28より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年09月26日

《焦点》前川喜平氏インタビュー2 権力に寄りすぎ、読売・産経 取材しても出ず―可哀想なNHK記者=橋詰雅博

――取材が集中した当事者として今のメディアの状況をどう見ています。
加計問題で最も先行していたのはNHKです。複数の現役官僚から情報を得ていた。私の知る限り朝日より深く取材していた。GW前の4月ごろ、メディアで最初にインタビューを受け、「この文書を見たことがあるか」「加計学園の獣医学部新設をめぐり内閣官房から働きかけがあったか」などの質問をされた。ところがいつまで経っても放送されない。どうしたのだろうと思っていた。
社会部意地の映像

 すると5月16日のNHK番組「ニュースチェック11」は文科省の大学設置・学校法人審議会が建設中の加計学園の獣医学部を実地調査するというニュースを流した。ところが画面に映っていたのは、平成28年9月26日の日付が入った内閣府伝達ペーパーでした。「平成30年4月開学を大前提」は映っていたが、「官邸の最高レベルが言っている」や当事者名などは黒塗りでした。
 私も日付入りを見たのは初めて。日付入りは課長レベル以下のための記録用で、私が見た日付なしは、ダイジェスト版で省内上層部などへの説明資料。大臣も副大臣も見ているはず。本当にヘンな形で文書が報じられました。
 この映像は私に接触していた記者に言わせると、「我々社会部の意地。黒塗りでもいいから出したかった」と。おそらく朝日はこの番組を見て翌日の朝刊で報じた。しかし、日付入りではなく、翌18日に日付入り文書を掲載した。
 NHKが私のインタビューを放送しないのは、上から抑えられているからだろうと思っていたが、断続的に接触していた記者は「いくら取材してもこのままではニュースとして出ない、記者会見してもらわないと報じる方法はない」と言うのです。取材を積み重ね、情報を持っているに、可哀想だなと思いまいた。NHK社会部からの記者会見要請もありました。
政府側に立ち報道

 読売と産経はものすごく権力寄り。特に読売は相当、政権寄りであることは間違いない。読売は全国紙で唯一教育部がある。教育問題に熱心という評価はしていた。私も使わせていただいたが、「他社には言っていません、話すのは読売だけです」と言うと、大きく書いてくれた。下村博文大臣(12年12月に就任、15年10月に退任)はそれを散々やっていた。大きく報じて欲しい時は事前に読売に話していた。義家弘介副大臣(今年8月退任)は産経に。出どころが大臣と副大臣で読売と産経がスクープしても問題にしなかった。ところが朝日や毎日が文科省の動きをスクープしたら、犯人探しを始める。読売は政府側に立って動いてくれるので便利。しかも発行部数日本一で、政府の意図を国民に浸透させるツールとして重宝していた。文科省自身もお世話になっていた。
 だが、安倍晋三首相の改憲構想を読売が憲法記念日の5月3日朝刊1面に載せたのは、どうかナと思った。安倍「広報紙」という感じがした。国会でも「読売を熟読」と発言し、とてもじゃないが一国の首相が言う言葉ではない。
私物化される読売

 安倍政権によるメディアの私物化は、読売について特にその感がある。NHKも記者があれだけ取材しているのに報じない。しかも他社がどんどんと報道しているにもかかわらずまだ報じない、どうなっているのかと思った。私は、安保法制は憲法違反だと思っているし、集団的自衛権行使容認は現憲法で認められるとはとうてい思えない。行政府が勝手に法制局の見解とか閣議決定で憲法の中身を変えるなど、あってはならない。私も現役でしたが、いたたまれず15年9月18日、国会前の安保法制反対デモに参加した。
 憲法は権力をしばるもので、しばられている本人が「しばりを解きます」などということができる話ではない。まさに立憲主義の危機で、違憲立法が行われたと思っている。これをおかしいと言った新聞と、言わなかった新聞があり、そこで線が引かれている。
 読売と産経はかなり危険です。あまりにも権力にすり寄りすぎている。私の意見に近いのは朝日、毎日、東京。念のため読売も産経も読んだりします。(1面参照)
聞き手橋詰雅博

インタビューの続きは次号10月25日号に掲載します。
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2017年9月25日号8面

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2017年09月25日

《焦点》加計疑惑―前川喜平・前文科相事務次官にインタビュー 官邸「口封じ」で吹っ切れる=橋詰雅博

「官邸の動きがあった」―加計学園疑惑ついて国会で参考人として発言し、安倍晋三首相を告発した前文部科学省事務次官の前川喜平(62)氏が、本紙のインタビューに応じた。約3時間にわたる取材では、焦点の「総理のご意向」文書から官界の空気、今のメディアの状況、自らの生き方にも及んだ。聞き手はJCJ事務局長兼機関紙編集長の橋詰雅博。
☆   ☆
――告発に至った最大の理由は何ですか。
 告発という言葉がその時の状況を的確にあらわしているとは思えないが、成り行き上、そうなった。意を決して立ち上がったみたいな、潔さとか悲壮感はなかった。かなり政治によって行政が歪められたという意識はやはりあった。 
特定の者に対する利益誘導ではないか、国民のための権力が私物化されているとの疑念があった。これは国民が知るべき事実ではないかと思った。
また、JCJ大賞を受賞した朝日新聞は、私でなく別の文科省の現役官僚からの取材で情報を得て報じてきたわけで、私は目の前で事実が明らかになればいいと思っていました。
信用落ちたら困る
 文科省は5月19日、メディアが報じた「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向』などの文書は省内調査の結果、確認できなかったと発表した。だが、あの文書は関係者ならだれでも知っている。「出してくれ」と言えば、すぐ出てくるはず。その「存在を確認できない」のはおかしい。これでは文科省が情報を隠ぺいしていることになる。
私は天下り問題で不名誉な形で辞めている。特に文科省の評判を落としたのは、違法な再就職あっせんに加えて、事実に反するストーリーで、糊塗つまり隠ぺい工作しようしたことだった。それを繰り返すのはいけない。教育行政に対する信用が一回、地に落ちていますから信用を回復する努力をしなければいけない時期なのに、さらに信用を落とすという気持ちもあり、ちょっと複雑な心境でした。
 ただ、積極的に打って出たのかと言うと、本当ところはそうではない。すでにNHK、朝日新聞週刊文春などと接触があったし、知っていることは話した。
しかし、名前を出して告発するなんて考えてもいなかった。取材では「この文書は確かにあった」とか「経緯はこうです」などと答えたが、「名前や顔を出すのは勘弁してください」と、最初はそういうことでした。
記事は意外だった
――突き動かしたきっけは何ですか
 ひとつは今、お話した文科省の隠ぺい工作。もうひとつは5月22日付読売新聞が報じた「出会い系バー」の記事です。私がメディアと接触して(加計疑惑で)コメントしていると、総理官邸には伝わっていたと想像している。実際、「前川が漏らしていると官邸サイドが言っている」と私に伝えたメディアの記者もいました。それとは別に出会い系バーについて一部週刊誌は接触しようとしていた。
店に行っていたのは事実ですから書かれても仕方ないと思い、相手にせず取材申し込みを放置していた。そうしたら5月22日に読売の記事が出た。極めて意外だった。 
読売はメールで何回か取材申し入れをしてきたが、記事にはしないと思った。信頼するメディアの記者に話したところ、週刊誌は分からないが、いくらなんでも読売は報じないだろうなという感じだった、私もそうだろうなと思っていたので、取材申し入れを放ったらかしていた。
総理官邸が企てる
(読売の記事の)情報の出どころは官邸、これか明らか。もともと官邸は出会い系バーのことを知っていた。昨年の秋に杉田和博官房副長官(警察庁出身で、警備・公安畑を長く歩み第二次安倍政権発足時に内閣官房副長官に就任)からこの問題でご注意を受けた。
さらに今年2月にも電話で「あの問題を週刊誌が書こうとしているよ」とお知らせがあった。文春、新潮、ポスト、現代、どこだろうなと考えたが、結局、記事は出なかった。杉田さんの情報は何だっただろうなと首を傾げた。
あの記事は官邸が書かせたと確信したのは、21日に後輩の文科省幹部から和泉洋人総理補佐官(旧建設省技官出身、第二次安倍政権発足直後の13年1月から総理大臣補佐官に就任)が「会いたいと言ったら対応するお考えがありますか」とメールがきたからです。記事を出させたくないなら取引に応じろ、加計学園関係文書について、発言は控えろという風に想像した。そうとしか考えられなかった。
ためらいが消えた
 読売の記事で私自身、完全に吹っ切れた。次官辞任(1月20日)する前までは政府の中にいた人間だし、私の名前でどこまで真実を言っていいのか、国民の知るべき事実を自ら言うべきか、ためらっていた。
だが、官邸は加計問題で口封じに動き、読売新聞まで使っている。忖度する問題ではなくなった。堰が切れ、官邸に遠慮しなくていい、躊躇しなくていいという思いに変わり、5月25日に東京・霞が関の弁護士会館で記者会見。取材していた朝日、週刊文春、TBS番組「NEWS23」がその日に「文書は本物」と報じた。(8面に続く)
日本ジャーナリスト会議(JCJ)機関紙「ジャーナリスト」9月25日号に掲載
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2017年09月24日

【今週の風考計】9.24─700億の税金を政権延命に使う「逃亡解散」への重大な疑義と怒りの大波

■「仕事師内閣」が発足して58日、何も仕事しないまま国会解散とは、開いた口がふさがらない。700億もの税金を投入して総選挙を行い、安倍首相自身に降りかかる<森友・加計疑惑>をかわすための「逃亡解散」。大義など一つもない。■「加計については1月20日に初めて知った」との自分のウソ発言を、消すための「エゴイズム・リセット・延命解散」に他ならない。解散権をもてあそんでいいのか。

■東京新聞が<「7条解散」消えぬ疑問>と題して、解散は首相の専権事項という正当化に問題を提起している(9/24付)。憲法に明記されているのは「内閣への不信任決議が可決された場合、10日以内に解散か総辞職をしなければならない」とある69条のみ。7条の<天皇の国事行為>にすがる解散は、大義などいらず、党利党略・首相の恣意的な行使へとつながりかねない。■ともあれ私たちは、今の安倍政権へ厳しい審判を下さねばならない。こうも「ウソと強弁、言い逃れ」が続く政治をストップさせ、国民に目を向けた施策を実現する国会へ変えていこう。

■市民は野党の共闘が進み、憲法9条つぶしの策動に抗う議員が、少なくとも3分の1以上になるよう、心から願っている。民進党も離党続出や「希望○○」の動きなど気にせず、憲法9条を守る政党として、改めて党の一体性を作りあげるチャンスだ。■昨年夏の参院選挙で初めて行使された18歳選挙権、約240万人の若者たちが、今度は衆議院選挙で一票を投ずる。2021年10月まで任期がある衆議院議員、あわよくば安倍首相の任期延長まで目論みかねない総選挙、すべての有権者が重要な判断をしなければならない。(2017/9/24)

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2017年09月21日

《遠吠え》単純かつ空疎な首相演説のお口直しに、同じ国連でヒバクシャが行なった感動的な演説を=田悟恒雄

 日本時間の21日未明、アベ首相が国連総会で一般討論演説をしました─。

 北朝鮮の「脅威はかつてなく重大で、眼前に差し迫ったものだ」、対話の試みは「無に帰した」、核・ミサイル開発放棄のため「必要なのは圧力だ」(共同)と。

 まあ何と「単純かつ空疎な演説」なのでしょう!? そんな訴えが人々の心に響かないのはおそらく、きのうから122カ国が署名手続きに入っている「核兵器禁止条約」の採択にさいし、「唯一の被爆国」政府が、核兵器保有国とともにこれをボイコットしたからでしょう。

 先日、NHK-BS1ドキュメンタリーで、この条約の採択推進に身を粉にしてこられたカナダ在住の "ヒバクシャ" サーロー節子さん(85歳)のご活躍を知りました(「核なき世界へ/ことばを探す/@サーロー節子」8/12放送、9/18再放送)。
 「単純かつ空疎」のお口直しに、歴史的な条約が採択された日、同じ国連本部でサーローさんが行なった感動的な演説を引かせていただきましょう(朝日新聞7月9日)─。

 「亡くなった数十万の人々。彼らはみな、それぞれに名前を持っていました。そして、みな誰かに愛されていました。…
 私はこの日を70年以上待ち続けていました…
 我々は取り返しのつかない環境汚染を繰り返しません。将来世代の命を危険にさらすことを続けません。世界各国の指導者たちに懇願します。もしあなたがこの惑星を愛しているのなら、この条約に署名してください…
 核兵器はこれまでずっと、道徳に反するものでした。そして今では、法律にも反するのです。一緒に世界を変えていきましょう!」

そして、日本政府の不参加表明に厳しい批判を投げ掛けます─。

「自分の国に裏切られ、見捨てられ続けているという思いを強くしました」と。

(「零細出版人の遠吠え」09/21より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年09月20日

≪おすすめ本≫NHKスペシャル取材班『原爆死の真実 きのこ雲の下で起きていたこと』被爆直後の2枚の写真を分析し、「非人道兵器」の酷さに迫る=菅原正伯

 米軍が撮影したきのこ雲の写真はあるが、8月6日に広島市中心部で被爆した人々を撮った写真は、世界に2枚しかない。中国新聞社の松重義人カメラマンが、原爆投下の3時間後に、爆心地から2・3キロ離れた御幸(みゆき)橋で撮った避難民の写真がそれである。
 Nスペ取材班は、この2枚の写真を徹底調査し、御幸橋の惨状を最新のCG技術で映像化し被爆の実相を後世に伝えようと番組を制作。本書はその経過をまとめたドキュメント。原爆がいかに人間を残酷に殺す「非人道兵器」であるか、怒りをこめて告発している。

 取材の過程で新しく解明された点をあげれば、1つは原爆特有の「フラッシュ・バーン(閃光熱傷)」と呼ばれる熱傷が大量に発生したメカニズムである。原爆による熱光線で体内の水分が一瞬にして水蒸気となり、膨張して皮膚を大きく裂き、真皮層がめくれ上がるので激痛に襲われる。「必要以上の苦痛を与えた上で、命を奪う」残忍な殺し方だった。

 2つめは、最大の犠牲者が中学生だったこと。8月6日に亡くなった人のうち、男女とも12歳と13歳の割合が群を抜いて高い。中学生は学徒動員で「建物疎開」の作業に当たっていた。6日に爆心地から2`圏内いた中学生は約8千人、その7割が亡くなった。無差別爆撃でも、酷すぎる。
 御幸橋の写真の調査は難渋した。もともと後ろ姿が多く、性別や年齢も定かでなかった。それをわずかの手がかりをもとに「事実に基づいて映像化する」方針で、一つひとつ究明していく姿勢は、調査報道の原点を想起させる。スタッフ全員が広島放送局の勤務経験をもつ執念と熱意の労作だ。
(岩波書店2000円)
「原爆死の真実」.jpg
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2017年09月17日

【今週の風考計】9.17─なんと年間1170時間まで残業OKの法案を提出する安倍政権の厚顔と無恥

「電通」違法残業事件の初公判が22日に開かれる。過労自殺に追い込まれた新入社員の女性は、1カ月前の残業時間が月105時間に達していた。その経緯と労働実態が、公開の場でどれだけ明らかにされるか、注目される。月末に開かれる臨時国会には「働き方改革関連法案」が提出される。その内容が問題だ。「残業の上限規制」と「高プロ残業ゼロ」を、強引に抱き合わせて一本化した法案だ。残業の上限規制にしたって、過労死ラインは月80時間と認定しているのに、繁忙期でも「月100時間未満、年720時間」へと改悪する。

さらにタクシーやバス、トラック運転手は除外され、5年後になって、残業の上限を年間960時間まで改悪しての適用だ。この上限には休日労働は含まれない。なんと年間1170時間まで残業OKとなる。「高プロ残業ゼロ」も要注意。年収1075万円以上の専門職は、この規制から外され残業代は支払われない。これに当てはめる専門職の年収額引き下げは目に見えている。

30年前の1987年11月、N 製本・金井さんが過労死した。金井さんは死亡直前1カ月の残業は129時間24分。労組や過労死家族の会と共に、労災認定・補償を勝ちとるため、労基署交渉や裁判所への要請、街頭宣伝・デモなどに取り組んだ。そして15年、2002年秋に勝利解決した。その闘いに携わった人々の顔が思い出される。いま「全国過労死を考える家族の会」代表・寺西笑子さんは、「裁判で労災だと認定され、企業が謝罪をしても亡くなった人は生き返りません。こんな悲しい思いをする遺族をこれ以上増やしたくありません。今回の法案で健康や命が守れるのでしょうか」と問う。(2017/9/17)
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2017年09月15日

≪おすすめ本≫ 臺 宏士『検証 アベノメディア 安倍政権のマスコミ支配』政権の巧みなダメージ回復操作に取り込まれるメディアを検証する=野呂法夫(新聞記者)

「それは印象操作です」。森友、加計両学園問題の国会追及で安倍首相がいらだち口撃≠キるたびに、ひも解きたくなったのが本書である。

 自身の疑惑で今、政権支持率は低下したが、「安倍一強」を下支えてきたのは何か? 著者は「政権の巧みなダメージコントロール」に着目する。特定秘密保護法や安全保障関連法の成立直後に高い支持率は落ちるが、翌月にはポイントを上昇させ、回復する。
 昨年はオバマ、プーチン両大統領の来日、リオ五輪閉会式での安倍マリオなど、読者や視聴者を意識した外交イベントを演出。成果は二の次の「やった感」の印象操作が大きいが、報道のあり方に問題はなかったのか。

 著者は毎日新聞時代、辛口のメディアウオッチャーで鳴らし、安倍氏の動向も追ってきた。「恫喝」と「懐柔」でメディアへの介入と分断を試みる一方で、一部経営陣が近寄ろうとしているようにも映る奇妙な共存関係に疑問を感じ、メディアの置かれた全体状況を本の題名にして検証した。
 四部構成で、高市総務相の停波発言や籾井会長下のNHK、戦時報道体制、改正通信傍受法や「共謀罪」と表現の自由とのかかわり、沖縄報道などさまざまな事例から分析する。いずれ避けられない報道機関の自己検証にも役立つだろう。

 本書は2月に刊行され、その後の両学園問題でテレビなどが名誉挽回とばかり首相や周辺を追い込んでいく。が、「忖度報道」「自主規制」体質から本当に脱したのか?権力監視はぶれないか?官邸の巻き返しや共存関係に変化は?…など興味は尽きない。先々の続編が待ち遠しい。
(緑風出版2000円)
『検証アベノメディア』.jpg 

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2017年09月13日

《遠吠え》新旧2人の知事の立ち居振る舞いに、「政治家の矜持と節操の違い」を見てしまった。=田悟恒雄

 9月12日の東京新聞によると、原子力規制委員会は、13日に予定していた東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の審査書案(事実上の「再稼働許可証」)の取りまとめを、しばし見送ることにしたそうです。
 その心は?

 「規制委は、福島第1原発事故を起こした東電の原発事業者としての適格性に一貫して厳しい姿勢だったが審査の最終盤で一転して容認。前回6日の定例会合で審査書案の取りまとめに入る方針を示したが、ごく短い議論で適格性を認めたことに批判が相次ぎ、かわす狙いがあるとみられる。」

 と、そんなとき、10月22日の衆院新潟5区補選に泉田裕彦・前新潟県知事が、なんと自民党公認で出馬することを受諾したという。このお方、突如知事職を投げ出したときといい、今回の身の振り方といい、支離滅裂。
 その一方で、「福島事故の検証と総括がなければ〔柏崎刈羽原発〕再稼働の議論はしない」と言ってきた当の泉田氏の立場を踏襲するとして跡を襲った米山隆一・現知事は、県が12日に開いた再稼働問題に関する検証のための「健康・生活委員会」で、次のようにあいさつしています─。

 「〔福島の〕事故の総括をここでしないと、いつするのか。検証を、日本全体、さらには海外にも共有していくという志をもって進めたい。…検証には3、4年かかると思う。さまざまな立場から科学的な議論をし、原発立地県をはじめ日本全体、海外にも結果を共有してもらう志で、じっくり検証してほしい」(朝日新聞、新潟日報より)と。

 新旧2人の知事の立ち居振る舞いに、「政治家の矜持と節操の違い」を見てしまいました。

(「零細出版人の遠吠え」09/13より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年09月10日

【今週の風考計】9.10─16年目の「9・11」を考えつつ、アウンサンスーチーに向く批判の視線

<9・11同時多発テロ>から16年─今も米国では、イスラム教徒への暴力・迫害は続き、ヘイトクライムは勃発前の5倍にのぼるという。トランプ大統領は就任してわずか1週間後、1月27日、「テロとの闘い」を名目に、中東7か国からのイスラム教徒の入国を90日間停止、さらに難民は120日間受け入れを停止する大統領令に署名した。その後も、多様な民族との融和を拒む言動が続く。

こうした排他的な動きは、なにもトランプだけではない。いまや世界に広がる。近くはミャンマーでの武力衝突をめぐるアウンサンスーチー国家顧問の態度も、同類と見ていいのではないか。ミャンマー西部ラカイン州に居住する少数派のイスラム教徒・ロヒンギャ族への対応である。迫害されてきた歴史を背景に組織されたロヒンギャ武装集団と政府治安部隊との戦闘で、無辜の住民27万人が隣国のバングラデシュに避難している。にもかかわらずアウンサンスーチーは、ロヒンギャ武装集団という「テロとの闘い」を理由に、住民を保護せず、融和のための対策を取ろうとしない。

同じノーベル平和賞受賞者でパキスタン出身のマララ・ユスフザイさんは、この3日、アウンサンスーチーの積極的な発言を期待し、「世界とロヒンギャ・ムスリムが待っている」と、暗に今の態度を批判した。ロヒンギャ問題に対して、何も対策を取っていないアウンサンスーチーに対し、賞を取り消すよう求めるインターネットの署名サイトも立ち上がり、すでに署名は38万人分を超す。インドネシアでもイスラム教徒がミャンマーへの抗議行動を強めている。世界の厳しい視線がアウンサンスーチーに向けられている。(2017/9/10)


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2017年09月07日

《出版界の動き》出版者協議会が初の「ブックフェス」を9月9日に開催! ふるって参加を!

●書籍・雑誌の7月販売金額952億(前年比10.9%減)。書籍467億(同6.2%減)、雑誌484億(同15.0%減)。月刊誌17.1%減の大幅マイナス。返品率は書籍42.0%、雑誌46.2%、雑誌の販売自体が利益を生み出さない深刻な状況。
●集英社の決算は減収減益。売上高1175億(前年比4.4%減)。「雑誌」577.7億(同15.6%減)、「書籍」124.3億(同3.8%減)、当期純利益53.6億(同8.2%減)。

●今年55周年を迎える中公新書が好調、重版ラッシュ。呉座勇一『応仁の乱』40万部(25刷)、楠木新『定年後』も発売後、約3カ月で20万部(13刷)。7月発売の亀田俊和『観応の擾乱』・桃井治郎『海賊の世界史』・渡辺克義『物語ポーランドの歴史』も好調。

●「出版協ブックフェス」が9月9日10:00~ 韓国YMCAアジア青少年センター9階で初開催される。会員社の本を一般読者にアピールし、午後4時から、大阪屋栗田執行役員・鎌垣英人氏が「激動の書店流通時代─アマゾン・書店の今」と題して講演。入場料無料。

●出版界・上半期における販売額8310億円(同2.8%減)。紙版では販売金額7281億(前年同期比5.5%減)。「書籍」3954億円(同2.7%減)、「雑誌」3327億(同8.5%減)と低迷。返品率「書籍」34.2%(同0.1%減)、「雑誌」44.0%(同2.0%増)。電子版の販売金額1029億(同21.5%増)、市場全体に占める電子版占有率12.4%(同2.5%増)。

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2017年09月03日

【今週の風考計】9.3─終わっていない朝鮮戦争と北朝鮮のミサイル発射をめぐる因果関係

◆9日、北朝鮮は建国69周年を迎える。その日、グアム周辺に向けミサイルを4発、同時発射する計画が取りざたされている。愚かな選択による戦争の勃発は、絶対に避けなければならない。◆こうまで北朝鮮と米国の軍事緊張が続くのは理由がある。根源は、いまだに朝鮮戦争が1953年の「休戦」という形のまま、国連や関係国の間で「停戦」協定が結ばれていないことにある。

◆北朝鮮は米国に対し再三にわたり、休戦協定を平和条約へと前進させ、朝鮮半島の平和を確立するための提案をしてきた。だが64年が過ぎた今も締結されていない。米国は国連軍として朝鮮戦争に参加し、わずか3年の間に、北朝鮮の2百万人を超す人びとを殺害した。◆だが米国は北朝鮮の提案を無視するだけでなく、北朝鮮を敵国扱いし続け、韓国とともに北朝鮮への軍事圧力を強化してきた。しかも日本は当事者ですらないのに、この米韓軍事同盟に同調してきた。さらに日本は、国連に加盟している北朝鮮を、国として認めず、国交も結んでいない。

◆アジア地域の平和を目指すなら、今こそ日本がイニシアチブをとり、朝鮮戦争の「停戦」と平和協定の締結に向け、率先垂範して国連への働きかけを強めるときである。北朝鮮への石油禁輸など、さらなる経済制裁を呼びかけたり、PAC3の配備やミサイル発射3分後に鳴るJアラートに血道をあげ、国民を困惑させたりする前に、日本政府が果たすべき役割があるだろう。◆それはトランプ大統領に「火炎と憤怒」などの好戦的な言動でなく、米国は朝鮮戦争の「停戦」を宣言し、平和協定を締結すると、国連で表明するよう迫ることだ。(2017/9/3)

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2017年09月01日

≪おすすめ本≫多羅尾光徳ほか『「軍学共同」と安倍政権』科学を軍事に利用する予算の急増─その狙いを浮き彫りにし警鐘を鳴らす=栩木誠

 日本の軍事化にまい進する安倍政権。その学問・研究版が、軍(防衛省)と学(大学や研究機関)との共同研究を目指す「軍学共同」である。
科学・技術の成果を「軍事にも民生にも利用できる両義性(デュアルユース)」を打ち出し、学術の世界を「軍」の下請け機関にする動きが加速。
 その転機になったのが、2015年7月に募集が始まった防衛省技術研究本部による「安全保障技術研究推進制度」だ。初年度の3億円が翌年度は6億円、2年後には110億円と急増。ここには、大学予算が年々削られ、研究費確保に苦しむ研究者たちを、カネの力で軍事研究に誘い込む狙いが秘められている。

 本書は、危険な「軍学共同」の動きに対し、いち早く警鐘を鳴らし、その企みに反対する活動をけん引してきた池内了・名古屋大学名誉教授など、研究者による共著。
 ここには「軍事研究を加速させる二つの技術戦略と『軍・産官学』体制へと進む動き」など、科学が戦争に加担した戦前の負の遺産を学び、今起きている問題と危険性を浮き彫りにした7つの論文が収められている。
 さらに‟学者の国会„日本学術会議が3月24日の幹事会で決めた「軍事的安全保障研究に関する声明」と報告も収録。こうした積極的な反対行動により、「安全保障技術研究推進制度」の応募数を、大幅に減少させるなど、実を結びつつある。

 今や常態化してしまった「産学共同」の苦い経験に学び、学者・研究者と共に「軍学共同」の狙いや企てを報道することは、ジャーナリストの責務でもある。
(新日本出版社2000円)

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2017年08月31日

《焦点》 権力批判記事を掲載し続けるユニークな雑誌「通販生活」編集人がインタビューに答えた=橋詰雅博

 通販生活は(カタログハウス発行)ユニークな雑誌だ。販売する商品紹介に加えて読み物記事が約250ページの半分を占める。しかも脱原発や安保法制、集団的自衛権行使容認、米軍基地の沖縄一極集中などに反対した記事が目立つ。今年の春・夏・盛夏号では憲法改正の是非を問う国民投票法の問題点に取り組んだ特集を各号で掲載。読み物編集担当編集人の平野裕二さん(51)に3回連続で掲載した狙いなどを聞いた。
☆  ☆
――なぜ国民投票法にテーマを絞ったのですか。
 国民投票の実施が近づいていると考えたからです。安倍晋三内閣は、集団的自衛権行使容認を閣議決定して、安保法制を成立させた。これによって南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣された陸上自衛隊は戦闘に巻き込まれる可能性がある駆け付け警護の新任務を負わされた。現行9条は実質的に改正されてしまったと考えています。その上に自衛隊を憲法九条に明記する改憲案を安倍首相は提示した。これで改憲されたら自衛隊は海外に出て行き戦争する危険性が高まる。通販生活はこれには断固反対の立場です。にもかかわらず国民投票法の中身や問題点を国民の多くは知りません。改憲は国民の生活スタイルや生き方にまで影響を及ぼす一大事です。このため3回続けて特集を組んだ。

スイス取材夏号で

――2007年の国民投票法成立前から特集を掲載していたそうですが……。
 国民投票が法制化されそうだというので、05年に重要な問題を国民投票で決めるスイスに取材に行き夏号で6ページ特集を組んだ。特に有料テレビCMの実態に力を入れた。メディアでは国民投票での有料テレビCMを一番早く扱ったと思う。その後、07年夏号、11年と14年にそれぞれ秋・冬号で掲載した。
――今年夏号で有料テレビCMは、「全面禁止にすべき」と主張していますが、なぜですか。
 投票日14日前以外は、テレビCMは自由ですからお金を持っている側は影響力の強いテレビCMをバンバン流せるが、お金をあまり持っていない側は限られる。資金が潤沢な改憲側が賛成テレビCMを大量に打てば、国民は洗脳されて改憲側が勝ってしまう可能性が高い。負けた護憲側は「金の力に負けた」と思い結果に納得できない。国民の間に分断が生まれます。だから全面禁止と訴えたが、最低でも賛成側と反対側が公平になるようなルールをつくる必要がある。

民放5社に質問書

――国民投票法の付帯決議では、有料広告のルール作りをメディアに求めているが、業界では何か動きがあるのか。
 国民投票成立後に放送事業者の業界団体の日本民間放送連盟(民放連)は「自主・自律による取り組みに委ねられるべき」と声明を出しました。それから10年が経過。編集部は今年3月16日に民放連に自主ルール作りについて問い合わせたところ、番組部は『ルール作りについては社会の動静を見ながら進めるべきだと考えている』と回答してきた。これは夏号に載せました。また、その後、在京の民放キー局5社に有料テレビCMの公平性の確保について『局内で検討されたことがありますか』と質問書を送付。『個別事案について従来からお答えしておりません』と各局ともほぼ同じ文言での横並び拒否回答でした(盛夏号に掲載)。民放連や民放各社に任せていてもルールづくりはなかなか進みません。

改憲は遠のいたか

――「森友」と「加計」の両疑惑などで安倍内閣の支持率が急落、改憲は遠のいたという見方があるが、どう見ているか。
改憲勢力が衆参両院で3分の2以上を占めている国会の下では、改憲発議ができます。遠のいたとは言えない。安倍首相が退陣しても、自民党政権が続けば、改憲はついて回る。安倍がいなくなったからもういいやと安心はできません。確かに野党が国政選挙で3分1以上の議席を獲得すれば、発議を阻止できる。そうした運動もあるが、改憲反対側が国民投票で勝てるように戦略を立てることも重要。その一つが国民投票における有料テレビCMの規制です。通販生活は今後もこれを記事で主張し続けていきます。
――ところで通販雑誌が反権力的な記事を載せる理由は。
 買い物は暮らしそのものであり、暮らしは政治に直接影響を受けます。戦争に突入したら、真っ先に制限されるのが買い物です。だから憲法や安全保障などの問題を積極的に取り上げるべきだと考えています。カタログハウス創業者・斉藤駿(現相談役)の理念です。
聞き手 橋詰雅博
☆   ☆
通販生活
 創刊は1982年。9割以上が定期購読者(定価180円)。60代以上の主婦が購読者の中心で、発行部数は110万〜120万部。年4回発行。

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2017年08月30日

《焦点》 2017年度JCJ賞を獲得した「日米合同委員会の研究」の著者・吉田敏浩さん=橋詰雅博

 2017年度の日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞の出版部門でJCJ賞を獲得したのは、「日米合同委員会の研究」(創元社)だ。
その著者でジャーナリストの吉田敏浩(59)さんは1966年にビルマ(現ミャンマー)北部のカチンなど少数民族が自治権を求めた生活と文化を取材した「森の回廊」(NHK出版)で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した。他に「密約 日米地位協定と米兵犯罪」(毎日新聞社)などの著書がある。現在、立教大大学院特任教授も兼ねている。
 吉田さんは1952年に発足した「日米合同委員会」について2008年から調査してきた。同委員会は、日本の外務省北米局長などエリート官僚6人と、米国の在日米軍司令部副司令官など7人の合計13人で構成される。毎月2回開く会議では、米軍の基地使用や軍事活動の特権、米軍関係者の法的地位などを定めた日米地位協定の解釈と運用を協議している。
 「合同委員会の議事録や合意文書は原則非公開。このため省庁や最高裁などの秘密資料・部外秘資料、在日米軍の内部文書、米国政府の解禁秘密文書などを入手して調べたところ、米軍優位を保障する数々の密約があることが分かりました」
 「裁判権放棄密約」もその一つ。米軍人・軍属・それらの家族が関わった犯罪事件で、日本にとって著しく重要な事件以外は、日本側は裁判権を行使しないとしている。
「密約は米軍に事実上の治外法権を認めたものです。日本の主権を侵害している。安倍政権は、この問題に手をつけて、真の主権回復を目指すべきだ」

 
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2017年08月29日

《遠吠え》通勤客を苛立たせる「Jアラート」は、「アベ内閣支持率瞬時浮揚システム」じゃないのか?=田悟恒雄

 零細出版人はこのところ、「仕事は涼しく明るいうちに」ということで、「早朝出勤・早時退散」をモットーとしています。そうすれば、あまり原発の世話にならなくて済む、というわけです。
 けさも6時前に最寄り駅に着くと、何だか様子がおかしい。すると駅のアナウンスが、「安全確認のため全線、運転を見合わせております」と繰り返し始めます。でも、その理由については、何の説明もありません。
 20分ほど待たされてから運転再開。社内アナウンスで初めて、理由を知らされることになります。「北朝鮮がミサイルを発射したので、安全確認のため運転を見合わせました」と。ちなみにそれは、10分に1回の割りで放送されました。
 では、いったいどんな「安全確認」をしたというのでしょう? 保線区員が出て線路の点検をした形跡もありません。
 「Jアラート(全国瞬時警報システム)」なるものが出ると、いつもこうなるってことなのでしょう。まるで戦時中の「空襲警報」の復活といった塩梅です。
 で、今回は「自衛隊法にもとづく破壊措置」は実施しなかったということです。そんなもの実施したところで当たりゃしないでしょうし、命中しようがしまいが、下界の住民にとってはかえって危なっかしいことになるだけでしょう。
 そう考えていくと、「Jアラートはアベ内閣支持率瞬時浮揚システムじゃないのか?」なんて思いたくもなります。

(「零細出版人の遠吠え」08/29より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年08月27日

【今週の風考計】8.27─東芝の「泥沼」に続く、もっと重大な危機に注意せよ!

WH買収からWDへ売却─東芝の哀れな結末である。11年前、6200億という破格の値段で、米国原子炉メーカー・ウエスチングハウス(WH)を買収した。それが「躓きの石」となって、経営危機に陥ったあげく、ついに米国の半導体大手ウエスタンデジタル(WD)連合に、大切な「東芝メモリ」を2兆円で売却する。

いま<東芝問題>で問われなければならないのは何か。「原子力立国」を謳い、原発の国内増設・海外への輸出拡大プランを、国策として推進した安倍政権の責任である。とりわけ<3・11フクシマ>後も、経産省がとり続けた原発政策の罪は重い。

「国策」の泥沼による悲劇は、なにも東芝だけではない。「アベノミクス」そのものも「泥沼」じゃないか。安倍政権の言いなりになる日銀<黒田バズーカ>は、異次元緩和政策をブッパなして4年以上が経つ。物価上昇2%は幻と消え、発行国債の4割も使って日銀が購入する、上場株の異常な「爆買い」は拡大する一方だ。保有額は時価ベースで16兆円に上る。

日銀が日本企業の独占株主となり、経営を支配しかねない異常事態だ。これを見越してコバンザメのように、ついて離れない投資家や便乗する銀行も出てきている。現に不動産取引のJリート市場は、日銀が年920億円も買い増しをしている結果、地方銀行は低金利のあおりを回収しようと、販路を求めてJリート市場へのノメリコミが進む。いまや新バブル状況となり、コケた時の経済不安が言われている。まさに「アベノミクス」が始まって10年、10年周期の経済大変動が近い。(2017/8/27)

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2017年08月25日

《焦点》 「築地ブランド」はよみがえれない=橋詰雅博

 東京都の小池百合子知事は、豊洲に市場を移転させた後、築地跡地を売却せず、5年後をメドに再開発し、「食のテーマパーク」にする方針だ。これは「築地ブランド」を守るためだと説明するが、築地ブランドとは何を指すのか。市場関係者は、それは「築地の魚」を指すという。築地の魚というだけで値段は高めだが、消費者は納得する。だから築地の魚というブランドを残したいため2つの市場の併存を小池知事は思いついたのだろう。
 築地の魚が世間から高く評価されるようになったのは、品質を見抜き、それに応じた値段を設定する目利き≠ノ優れた仲卸業者いたからだ。仲卸は卸業者から鮮魚などを買い、それを小売店や飲食店など「買い出し人」に売るのが仕事。
 築地で30年、鮮魚を扱う仲卸として働く東京中央卸売市場組合長の中澤誠さんは、こう言う。
 「かつて沖縄のマグロが高額でセリ落とされたことがある。ブロンド力のない生産者でも築地に持ち込めば、仲卸業者がちゃんとした値段をつけて買ってくれるという信頼性が広まった。従って漁師は『いい魚をとろう』とする。出荷する際もぞんざいに扱わない。目利きができる仲卸業者が取引する値段に信頼を置くから築地にいい魚が集まる。これが『築地の魚』というブランドが生まれた背景です」
 市場と言えば、威勢のいい掛け声が場内に響きわたるセリをイメージするが、築地では現在その割合は1割程度。卸業者と仲卸業者が話し合って値段や量を決める相対取引がメインだ。
 「仲卸はこの鮮魚ならこの値段であの小売店が買ってくれると頭で思い描きながら取引する。セリが少なくなっても、目利きの重要性は変わらない。しかし、土壌汚染の無害化ができない豊洲に市場が移転すると、豊洲を嫌う仲卸業者や小売店の廃業は続出します。移転した時点で、築地ブランドは消えます」(中澤さん)
 小池知事が守るといった築地ブランドは甦らない。


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2017年08月24日

《遠吠え》ちっぽけな出版の世界にも露骨に現われてきた「一強支配」は、この国の「文化の危機」でもある=田悟恒雄

 「書店ゼロの自治体、2割強に」という、けさの朝日新聞記事には、商売柄、さすがに驚きを隠せません。
 「書店ゼロ自治体」は4年前より1割増え、北海道58、長野41、福島28… いやいや、もう結構。なかでも、従来から読書人口が多いと見られてきた信州の「41自治体」は、ショッキングでした。
 書店調査会社アルメディアの調べでは、この5月現在、全国の書店数は1万2526軒で、2000年の2万1654軒から「4割強も」減っているとのこと。
 お題目のように唱えられてきた「活字離れ」はもとより、「読書人口」どころか、そもそもの「人口」が減っている。そして何より、雑誌はインターネットに食われ、書籍も、アマゾンなどネット書店の鼻息の荒さを前に為す術を失ってしまった。
 そして、最盛期(1986年)の半分ほどに落ち込んでしまったパイをめぐり、大手書店チェーンによる「仁義なき出店競争」が展開され、「街の書店」は次々弾き出されるばかり。
 その結末が、「書店ゼロ自治体」となるわけです。
 そんなこともあり、最近になってようやく、わが出版界のあちこちから、アマゾンの芳しからぬ風評が頻繁に聞こえてくるようになりました。
 つい最近の出来事でも、公取に目を付けられて「見直し」を余儀なくされた「電子書籍契約の最安値条項」や、「日販への突然のバックオーダー発注終了通告」(Cf.「前門のアマゾン、後門の取次」)など、「一強の横暴」は枚挙にいとまがありません。
 「一強支配の弊害」は、べつに政治の世界の専売特許ではありません。このちっぽけな出版の世界にも、同じ弊害(独占)が露骨に現われてきた、ということなのでしょう。
 では、この国の「文化の危機」ともいえる状況を前に、読者は何をなしうるのでしょう?
 まずは、「リアル書店」で本の実物を確かめる習慣を取り戻したいこと。そして「ネット通販」を利用するにせよ、他の「ネット書店」にも広く目配りするなど、アマゾンへの一極集中を避ける試みも考慮されるべきかもしれません。

(「零細出版人の遠吠え」08/24より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年08月20日

【今週の風考計】8.20─共謀罪の導入と「エックスキースコア」が忍びよる恐怖

19日に行われたJCJ賞贈賞式の記念講演で、小笠原みどり氏は「監視社会とメディア」と題し、衝撃的な報告をされた。その内容を多くの人と共有したい。米空軍横田基地で09年から2年間勤務していたエドワード・スノーデンが暴いた文書の中身である。アメリカ国家安全保障局(NSA)は、60年以上にわたり違法な監視システムを、日本にも秘密裏に導入し、私たちの日常生活に関わる全ての情報や通信を盗聴し収集してきた事実である。

しかも日本政府は、これら米国の施設や運用を財政的に支援するため、膨大な金額を負担してきた。その見返りにNSAは、ネット上の電子情報を幅広く収集・検索できる「エックスキースコア」、別名<スパイのグーグル>といわれるシステムを、防衛省情報本部電波部に提供している。東京の米軍横田基地に諜報活動の通信機器を修理・製造する施設を造る際、7億円の建設費を日本側が負担したという。ここで製造されたアンテナなどの機器は「アフガニスタンでのアルカイダ攻撃を支えた」と記載されている。

また沖縄にある米軍の諜報・通信施設「象のオリ」を、キャンプ・ハンセンに移設する600億円の費用も、日本は全額負担している。しかもスノーデンは「秘密保護法は実はアメリカがデザインした」と証言しているように、共謀罪法を始め、安倍政権の異常ともいえる数々の監視法制の強行は、日米両政府の共通目標なのだ。不都合な真実を消そうとする権力、それに抗う声をつぶすための監視─メディアに携わる私たちは、秘密を暴露し真実を知らせる作業を強めねばならない。(2017/8/20)
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2017年08月18日

≪私と仕事≫ 私がなぜ「日本ナショナリズムの歴史」にとりくんだのか─梅田正己

 1945年の敗戦の年、私は国民学校(小学校)4年生でした。 教育勅語を暗誦させられた最後の世代です。 一学期、やっと暗記できたと思ったら、夏休みに8・15を迎え、以後は一度も暗誦させられずに終わりました。 ナショナリズムは、したがって私には過去の遺物で終わっていました。
 それが今日の問題として立ち現われてきたのは、私が出版社に入り、高校生対象の月刊誌の編集を担当するようになってからです。 1965年、文部大臣の諮問機関・中教審は高校生世代に向けて「期待される人間像」中間草案を発表しました。 その中にこんな言葉があったのです。
 「われわれは日本の象徴として国旗をもち、国歌を歌い、また天皇を敬愛してきた。…われわれは祖国日本を敬愛することが、天皇を敬愛することと一つであることを深く考えるべきである」
 戦前日本の青少年にとって最高の命題は「忠君愛国」でした。 表現はソフトになっていますが、指し示している方向は同じです。

 この翌々年、「神話史観」にもとづく戦前の紀元節が「建国記念の日」として復活しました。
 その後、月刊誌が会社の方針で廃刊とされたため、72年、仲間と共に出版社・高文研(当初の社名は高校生文化研究会)を設立、『月刊・考える高校生』(後に『月刊ジュ・パンス』と改題)を創刊しました。市販の条件はなかったため創刊時のマニフェスト「生徒と教師を主権者とする高校教育の創造をめざす」に共鳴した全国の先生たちの同志的〞熱意に支えられての出発でした。
 月刊誌の刊行とあわせて教育書を中心に人文書の単行本の刊行も開始し、以後、低空飛行ながら出版活動を続けることができました。
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《遠吠え》「北朝鮮の弾道ミサイル」騒ぎの裏に蠢く怪しげな連中の思惑から目を離してはいけない!=田悟恒雄

 キム・ジョンウン氏が米領グアム周辺への弾道ミサイル発射計画をぶち上げれば、ドナルド氏は「炎」だの「怒り」だの、思いっきり物騒な言葉を並べ立て、果ては「斬首作戦」なる究極の脅しまで繰りだしました。
 「嗚呼、理性というものはこの世界から消え失せてしまったのか?」などと思っていたら、急転直下、キム氏が「賢明な判断を下した」のだそうです。
 一方、そんな馬鹿げたやりとりを「千載一遇のチャンス」とばかり蠢き出した、怪しげな連中がいたのを見逃すわけにはまいりません。いつだかもありました。「軍事評論家」と称する何やらうさん臭い人たちが、TV画面を占拠したかに思えた時期が。
 で、このドサクサに紛れ、防衛省は「北朝鮮の弾道ミサイルへの対処」を口実に、陸上配備型の新迎撃システム「イージス・アショア」の導入を決めました。
 「北朝鮮の弾道ミサイル」を言えば、何でもあり。1基800億円といわれる新迎撃システムは、2基で1600億円。その裏には、「アンメリカファースト」を叫ぶドナルド氏や米国の軍産複合体の思惑、そして日本政界の国防族や、「千載一遇のチャンス」に敏感な大手商社の思惑が蠢いているに違いありません。
 「火事場泥棒」とはこのことです。

(「零細出版人の遠吠え」08/18より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年08月13日

【今週の風考計】8.13─日米共同の軍事訓練「ノーザン・ヴァイパー」が狙う危険な企み

◆今日13日は、普天間飛行場に隣接する沖縄国際大学に米軍ヘリが墜落してから13年。普天間基地の返還が実現されるどころか、ちょうど8カ月前の13日には、同基地所属のオスプレイが名護市の海岸に墜落。◆その後もオスプレイは低空・夜間飛行訓練、物資つり下げ訓練を繰り返し、ますます傍若無人に沖縄の空を飛び回る。県民の怒りは限界を超え、基地撤去の決意は高まっている。

◆目を北に向ければ、北海道では「ノーザン・ヴァイパー」が展開中だ。10日から始まったアメリカ海兵隊2000人と陸上自衛隊1300人が参加する日米共同の実動訓練である。ここにもオスプレイが参加する。◆5日、オーストラリア沖で沖縄・普天間基地所属のオスプレイが墜落事故を起こしたにもかかわらず、わずか6日後にはオスプレイ4機が普天間基地を出発、青森・米軍三沢基地に着陸した。「ノーザン・ヴァイパー」に参加するのは明白だ。

◆かつ怖いのは、陸上自衛隊の海兵隊化を図り、離島奪還のみならず世界のあらゆるところへ殴り込み・侵略に向けて、オスプレイと一緒に即応機動する陸上自衛隊づくりを、大目的にしていることだ。◆72回目の終戦記念日が来る。だが日本の上空は昼夜・所かまわず、いまだにオスプレイを始め米軍機が我が物顔に飛び交っている。日本の主権を主張するどころか、米軍の横暴を追認して恥じない安倍首相、どこの国の総理か。(2017/8/13)
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