2018年04月20日

≪おすすめ本≫ 内田博文『治安維持法と共謀罪』─国民の人権と個人の尊厳を奪う 「準戦時治安法制」の危険=増本一彦(治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟中央本部会長)

 1941年、アジア・太平洋戦争に突入する前夜、天皇制政府は、治安維持法を全面改悪して、「非日本的な共産主義、社会主義、民主主義、自由主義、個人主義、反戦主義を根こそぎ奪う」ために、「国体の変革、「私有財産制度否認の目的の結社」のみならず、これを「準備する結社」「支援する結社」の「目的遂行のためにする行為」までも厳罰に処することにしました。こうして、「自由な言論も、自由な社会」もなくなりました。

 著者は、本書において刑法学の立場から、「歴史的なものを理論化する」方法論を用い、この戦前・戦中の治安維持法など戦時治安法を俎上にのせて、果敢にその運用を検証し総括します。
 そして、日本国憲法の下でも、違憲立法審査権、三審制、弁護権などが国民の人権と個人の尊厳を擁護し救済する機能を果たしていないことを、私たちの前に赤裸々に告発して、特定秘密保護法、共謀罪など「準戦時治安法制」のいっそうの危険を訴えています。
 著者は、別著(『刑法と戦争』みすず書房2015年)で、「量の民主主義(多数決)は「悪法」を作る」といい、人間の尊厳と少数者の権利を守るための「質の民主主義」をどう立ち上げるかと問いかけていますが、本書では、日本国憲法の保障する諸権利を行使して、反対し抵抗する意欲と力と勇気を持とうと結んでいます。
 平和、自由、民主、正義と真理を尊ぶ皆さんに是非ご一読をお勧めしたい一冊です。
(岩波新書840円)
「治安維持法と共謀罪」.png
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2018年04月16日

《遠吠え》人々の関心を問題の大本から表層的な議論へと逸らしてしまう「うさん臭い物言い」=田悟恒雄

 昨夕、さるTV報道番組にコメンテーターとして出演していた若い書道家が、このところ噴出する「◯◯問題」に対し、一見もっともらしい意見を述べ立てていました─。

 「国会で議論しなければならないことは、他にももっとある」

 と、何だか最近、あちこちでよく聞くセリフです。
 そういえばコレ、一時メディアからチヤホヤされた「みんなの党」の渡辺喜美氏がしょっちゅう口にしていたセリフでした。でも、「他にももっと」の中身を明らかにしないまま、渡辺氏も党も、スキャンダルにまみれて轟沈してしまいました。
 そしていままた流行の兆しをみせる「うさん臭い物言い」ですが、つまるところ満身創痍の政権を擁護するための方便でしかありません。
 けさの朝日新聞「政治断簡」の高橋純子編集委員によれば、これは〈嘆息〉であって、それに「私は『中立』だ」という〈弁解〉と、「野党は対案を出せ、政策論議をせよ」という〈すり替え〉が加わり、3点の「基本セット」をなしているという。なーるほど。
 そうやって人々の関心を、問題の大本から表層的な議論へと逸らしてしまう。しかも人々は、「他に代わるべき選択肢が見当たらない」などと言いながら、沈むのがわかっていても、沈み行く舟にしがみつこうとする─。
 これが「現下の政治を取り巻く状況」だと。私もそう思う。

(「零細出版人の遠吠え」04/16より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年04月15日

【今週の風考計】4.15─政府主導で進める海賊版「漫画村」サイトの遮断に潜む危険

漫画が無料で読める海賊版サイトが横行している。著作権を無視し勝手にアップロードし配信する海賊版サイトによる漫画家・出版社の被害は、3千億円を超えるという。

こうした経済的利益の侵害を防ぐため、一般の人がアクセスできないようにする「ブロッキング」対策が急浮上している。政府は、早ければ秋の臨時国会にも関連法案を提出するという。
その法整備に至る間の緊急措置として、「漫画村」「Anitube」「MioMio」の3海賊版サイトおよび類似サイトに対し、「ブロッキングを認める」方針を打ち出した。この3サイトは、削除や検挙など従来の対策では、著作権などの権利保護ができない以上、政府は刑法37条の「緊急避難」を適用すれば、憲法違反にはならないと判断している。

しかし、政府が特定内容の情報通信を根拠なく制限できること自体が大問題だ。憲法第21条2項には「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」とあり、電気通信事業法でも事業者に対して、上記2つの厳守を義務づけている。
政府が憲法違反になりかねないブロッキングを、民間のプロバイダーに直接要請する措置は、きわめて深刻な問題をはらんでいる。7年前から始まった児童ポルノサイトのブロッキングは、重大な人格権侵害や名誉棄損などを基本に、民間業者団体の自主的な判断で行っている。

だが今回の政府主導による「海賊版サイト」のブロッキングは、経済的利益の侵害を優先するあまり、司法面からの検討も仰がず、関係する現場の意見や議論を抜きにした拙速な措置だ。
ひいては政府にとって都合の悪い情報サイトは、閣議決定のみで自由に遮断できる道を拓く。それこそ中国やエジプトのようになりかねない。民主主義の危機だ。(2018/4/15)
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2018年04月14日

≪おすすめ本≫ 望月衣塑子・森ゆうこ『追及力 権力の暴走を食い止める』─今こそ大切なシンプルに核心を突くこと=廣瀬 功

 森友・加計問題、詩織さん事件…。安倍政権の「国家の私物化3点セット」疑惑に新聞記者、野党議員それぞれの立場で鋭く切り込む対談。
 「『追及力』は政治家や記者だけのものではない」と、2人が語る問題意識と姿勢は、立場を超えて共通する。それが本書を、国会の一強多弱に乗じて暴走する権力に抗す記者と野党議員の奮闘記に終わらないものにしている。
 序章「私たちの原点」から第一章「森友・加計の真実を求めて」、第二章「権力の暴走を食い止めるために」、第三章「問う技術」、第四章「『国難』の本質を衝く」、終章「出る杭として打たれても」の各章で語りあう内容は、この国を覆う歴史修正主義勢力がもたらした現実の生々しい証言だ。
 加計問題で菅官房長官への鋭い追及で注目を浴びた望月記者は、バッシングや脅迫、ネトウヨに加え一部の新聞にはネガティブキャンペーンの標的にされた。国会で加計問題を追及した森議員もまた、ネットで叩かれ、非通知電話やFAXで組織的な攻撃にさらされた。だが、2人はめげない。
 間違いを見つけたとき、それを糺すには勇気が必要だ。最初は孤独でも、頑張って声を出す。次第に弱気は克服され、シンプルにストレートに核心を突く力が湧いてくる。それが「追及力」だ。
 本書は「おかしいをおかしいと言い続ける大切さ」を教えてくれる。ジャーナリストを目指す若者から、暮らしの場で問題に取り組む多くの市民まで、何よりも主権者として、日本が民主主義の国であることを願う全ての人に、一読を勧めたい。
(光文社新書760円)
「追及力」.jpg
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2018年04月08日

【今週の風考計】4.8─たいへん! 殺人ロボットがやってくる? 禁止へ国際世論を!

◆9日から「殺人ロボット兵器」規制について話し合う国連公式専門家会議が、スイス・ジュネーブで13日まで開催される。「殺人ロボット兵器」の定義や、人間の関与、技術的な問題、規制の必要性などを協議する。
◆しかし、武器輸出大国の米国やロシアは規制に後ろ向きだ。米国のトランプ政権は、あれだけ若い高校生らが通常の銃使用規制を訴えても、イエスと言わない。「殺人ロボット兵器」まで、NOと言わなくなったらもうおしまいだ。

◆この事態を理解するうえで、まず1冊の本を紹介したい。川崎哲+畠山澄子『マンガ入門 殺人ロボットがやってくる?!』(合同出版)。恐ろしい現実を、マンガを使って平明に解説した好著である。
◆いまやドローンが軍事目的で、戦略攻撃の一環として戦場で使われているのは、まぎれもない事実だ。さらにロボット技術や人工知能を駆使した「殺人ロボット兵器」の実現が近づいている。これらの自律型致死兵器は、目標をピンポイントで攻撃し「被害を最小化する」兵器と喧伝されている。

◆だが本当に“スマート”で“ピンポイント”なのか。実態に基づけば基づくほど、疑問は拡大する。ひとたび自動的に敵を分別し殺傷する兵器が開発されたら、とんでもない厄災が世界に広がるのは明らかだ。
◆独裁者やテロリストたちが、「自爆ドローン」や自動運転車やロボット技術を応用した自律型致死兵器を開発し、罪のない人たちに使ったらどうなるか。加えてこれらの技術がハッキングされ密売されていったらどうなるか。今や世界に普及したカラシニコフと同様、誰もが扱える兵器になりかねない。(2018/4/8)
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2018年04月06日

《遠吠え》死んだはずだよお富さん…「切られ晋三内閣」には、その手の台本がいかにも多過ぎる=田悟恒雄

 ここにきて「イラク日報隠ぺい疑惑」が急浮上。それにしてもこの内閣、「疑惑」にかけては事欠くことがありません。
 いきなり「お富さん」なんて持ちだすと、いかにも古めかしくなってしまいますが、お若い向きのために、JASRACから文句が出ない程度に歌詞を引かせていただくと─、

 「死んだはずだよお富さん、生きていたとはお釈迦様でも知らぬ仏のお富さん…」

 歌舞伎「与話情浮名横櫛」(俗に「切られ与三」)の一場面を歌ったとされる歌謡曲なのですが、「切られ晋三内閣」には、この手の台本がいかにも多過ぎる。
 「イラク日報」問題をめぐっては、昨年2月の衆院予算委員会でその存否を問われた稲田朋美防衛相(当時)は、

 「見つけることは出来ませんでした」
 「日報は残っていないことを確認している」

 などと国会で明確に否定したが、事務方に「探索」を指示したのは、その2日後。陸自研究本部はいったんは「保管していない」と回答。1カ月後になって、これを「発見」(コロンブスと同じで、とうの昔から存在するものを「発見」して大騒ぎ!)。
 その後もあれやこれや「涙ぐましい隠ぺい工作」が続くのですが、ばかばかしくでフォローしきれません─。と、そんな話。
 いったん「ない」と明言していたものが、後になって出てくるというのは、財務省も、文科省も、防衛省もおんなじ。つまりは、これが「アベ政治」ってこと。

(「零細出版人の遠吠え」04/06より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年04月04日

≪お知らせ≫ 出版部会・総会は4月7日(土)13:00〜

JCJ出版部会の会員の皆さん!
下記の通り、2018年度・JCJ出版部会 総会を開催します。
万障繰り合わせ、出席してください。
いま直面する出版界の危機にどう立ち向かうか、
知恵を集めようではありませんか。


日時:4月7日(土)13:00〜
場所:JCJ事務所
地下鉄「神保町」下車 A5出口 千石屋ビル4F
千代田区神田神保町1-18-1千石屋ビル402

なお総会後、14:30〜 4月例会
講演: <出版危機の深層を抉る─「アマゾン膨張」と出版界>
講師: 星野 渉 氏(「文化通信」編集長)
参加費:500円(会員・学生300円)

出版部会・世話人会
電話03-3291-6475 メルアドoffice@jcj.sakura.ne.jp

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2018年04月02日

《遠吠え》傷ついたスズメを見つけたらどうしたら? ン十年前の子どもが得た「後知恵」=田悟恒雄

 きのうから新年度がスタート。だからってわけでもないのですが、きょうは、いつもとは一風違った話題で行きましょう。
 けさの毎日新聞「質問なるほドリ」に、「スズメの飼育、ダメなの?」とありました(回答は矢澤秀範さん)。
 何でも、最近、弱ったスズメを保護・飼育していたタレントが鳥獣保護法に抵触するとかで、東京都から指導を受けたそうなのです。あっ、そうだったの!? ぜーんぜん知りませんでした。
 何を隠そう零細出版人こと私めも、子どもの頃、そんなスズメの面倒をみたつもりで、鳥カゴに入れてエサやりをしたことがあるのですが、わずか数日で死なせてしまいました。
 やっぱり野生の生き物は、カゴに閉じ込めたりしちゃいけないのかなぁ?─。子どもなりに得た「後知恵」でした。
 では、傷ついたスズメを見つけたらどうしたらいいのでしょう? 「自治体に連絡し、指示に従ってください」というのが、その解答。
 そして、地面に落ちたヒナは、巣立ちしたばかりでうまく飛べないだけで、「近くに親鳥がいる可能性が多いので、そっと見守ってください」とのことでした。
 そういえばだいぶ前に、信州の川原で高い橋げたの上の巣から真下に堕ちたイワツバメの幼鳥を見つけ、困ったことがありました。
 あちこち回って、近所の公民館の軒下にもイワツバメの巣があることを聞きつけ、そこの2階の窓から巣の中へそっと幼鳥を入れてあげたのでした。
 そして公民館前の道路から見上げていると、しばらくして親鳥がエサを運んできたのですが、どうやら事なきを得たようで、胸をなで下ろしました。というのも、その件で相談にのっていただいた「日本野鳥の会」の会員の方から、「親鳥にはじき出されてしまうかもしれませんよ」と聞いていたものですから…、ホッ。

(「零細出版人の遠吠え」04/02より。 http://www.liberta-s.com/
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カジノ誘致 横浜市「白紙」に転換 ドン≠ェ反対の急先鋒 市民団体共同代表に聞く=橋詰雅博

 2016年12月に成立のカジノ解禁推進法に続き安倍晋三内閣は、カジノ実施法案を4月にも国会に提出する構え。日本人と国内在住外国人を対象とした入場料は2000円とか入場回数を1週間のうち3回まで、設置を5カ所に拡大などの案が提示されている。しかし、ギャンブル依存症への対策が心もとないなど批判の声は相変わらず強い。各種世論調査でもカジノ反対が圧倒的に多い。それでも安倍内閣はカジノ実現への強行突破を狙う。菅義偉官房長官(神奈川2区選出)のおひざ元の横浜市も誘致に名乗りを上げている。4年前に結成のカジノ誘致反対横浜連絡会共同代表の後藤仁敏さん(鶴見大学名誉教授・歯学博士=71)にいまの状況などを聞いた。
☆    ☆
――林文子横浜市長(71)は2014年初頭にカジノ誘致推進を表明したが、方針は変わっていないのか。
 林市長のあの表明にはビックリ仰天しました。だが、3選を目指した昨年7月の市長選では、2人の対抗馬がカジノ誘致反対を訴えたので、彼女は「白紙」に転換。今まで通りカジノ誘致推進を主張したら当選が危ういと思い方針を変えた。なにしろ横浜市民の多くはカジノ反対ですからね。林市長は当選後も「白紙」の姿勢を変えていません。菅官房長官の圧力もあるだろうから、カジノ誘致推進に戻る可能性はありますよ。
――カジノの有力候補地はどこですか。
市が再開発を目指す山下ふ頭が最有力地。しかし、港湾運送業者でつくる横浜港運協会の藤木幸夫会長(87)は「山下ふ頭にカジノはつくらせない」と宣言した。「横浜市に土地を売るな」と港湾業者にハッパをかけている。赤旗インタビュー(今年1月25日付)でも「山下ふ頭はばくち場ではありません」とキッパリ答えています。14日には同協会主催で「ギャンブル依存症を考える」をテーマにした公開勉強会も開いた。藤木会長は横浜エフエム放送社長や横浜スタジアム会長も務めるいわば横浜のドン=Bそのような人が相当な覚悟でカジノに反対しているので、山下ふ頭へのカジノ誘致は困難な状況です。横浜みなとみらい21(MM21)地区も候補地ですが、藤木会長は真面目に働いた人が報われる社会をつくるという考え方。従って根っからカジノに反対だと思います。
――政府の実施法案をどう見ますか
 入場者がギャンブル依存症やすってんてんになるのを防ぐため賭ける金額に制限を設けるのが一番重要だが、実施法案にはありません。そもそも併設されるホテルや国際会議場、イベント会場などの運営費の80%は、カジノの収益で賄われる。当然、収益アップが必要ですから、入場料はモデルとしたシンガポールより6000円も安く設定し、金額の制限はせず、ATMが設置され金融機関の出先もあってお金が容易に引き出せる。カジノ不要を唱える静岡大の鳥畑与一教授は「毒性の強いカジノ」と指摘しています。私もそう思います。
――反対運動をどう展開しますか。
 連絡会結成以降、不定期ながら市役所前でカジノ誘致に反対するスタンディング宣伝≠行っている。20日にも実施。累計約3万人の誘致反対署名を市役所に提出しています。スタンディング宣伝や署名活動は今後も続けます。林市長がカジノ誘致撤回を表明するまで粘り強く活動します。
聞き手 橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年3月25日号

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2018年04月01日

【今週の風考計】4.1─放送局がネットに乗っ取られる! この危機の元凶を作ったのは誰か

急に安倍首相が「放送事業の大胆な見直しが必要」と強調しだした。その背景に何があるか。「森友文書改ざん、加計学園問題」を巡る批判報道に、ご本人の積もり積もった不満がある。さらには改憲への道筋を拓く「政権に都合の良いテレビ局を増やしたい」との思惑も透けて見える。
この6月に答申する<放送制度の規制改革>は、放送法4条の「番組編集準則」を撤廃し、インターネットと放送を一本化する内容だ。情報流通の中心にインターネットを置いて、放送の社会的影響力を削ぐ狙いもある。

現に4条で詠う「番組の公序良俗」「政治的公平」「多角的報道」などの倫理規定すら放棄するのだから深刻だ。規制がないネット世界ではフェイクニュースが広がり、過激な性的映像や暴力シーンが横行する。放送番組の質が低下するだけでなく、極端に政治的に偏ったテレビ局が出現する可能性は大きい。米国での実態がはっきり示している。
放送を所管する野田聖子総務相すら、「公序良俗を害する番組や事実に基づかない報道が増加する可能性が考えられる」と批判的だ。政治的な公平性や公益を守る規制がなくなれば、当然ながら放送は市場原理・利益優先に拍車がかかり、提供番組もセンセーショナリズムに走るのは目に見えている。

参入競争も激化する。雨後のタケノコのように、ネットテレビ事業へ進出しようとする企業に対し、安倍政権は電波の利用権を競争入札にかけ、高値で売買する「電波オークション制」の導入すら構想している。家電メーカーも4Kや8Kテレビの販路拡大に虎視眈々である。
まさに国民共有の電波を、権力の統制願望と私企業の儲けを充たすために法律まで改悪してしまう。エイプリルフールではない。(2018/4/1)

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2018年03月29日

≪おすすめ本≫上原公子・小川ひろみ・窪田之喜・田中隆編『国立景観裁判・ドキュメント17年 私は「上原公子」』─市民の景観保全運動とカンパで不当な判決を乗り越えた記録=栩木 誠

 一橋大学や桐朋学園など、多くの学園が点在する閑静な文教都市、東京・国立(くにたち)市。JR国立駅南口から真っ直ぐ延びる大学通りなど、緑豊かなこの町は、「まちづくり」という言葉を誕生させた地ともいわれる。
 この地での高層マンション建設と美しい景観を巡る幾多の裁判は、最終的に上原公子市長(当時)個人に損害賠償約4500万円が課せられるという、極めて理不尽な結果になった。
 だが不当な司法判断に対する市民の怒り、「上原公子さん個人の責任にしない」という運動は、燎原の火のように全国で燃え広がった。わずか9か月間で5千万円を超えるカンパが集まり、第3者弁済するという成果に結実した。本書は、こうした17年間にわたる市民運動の足跡をまとめた、貴重な記録集である。

 この裁判を通して浮き彫りにされたのは、都市景観を守る権利の確立と運動が、欧州などに比べ大幅に遅れている日本、主権者たる市民の声ではなく権力の言いなりで自らの判断を回避する司法の残念な姿、その厳しい現実である。
 その一方で、本書が指摘するように、「判決や決定を乗り越えて『市民の拠出での解決を実現した市民の運動』は、(政治を変える)歴史的なたたかいのさきがけと言える」のは確かである。それはまた、憲法が希求する「地方自治の本旨」の具体的な実践例でもある。
 スラップ(恫喝)訴訟によって、市民運動や自治体の自立的な運営などの手を縛ろうとする権力側の企みが、一段と強まっている。そうした中でも、ひるむことなく前へ進もうとする市民たちに明日への展望と、大きなエールを送る1冊だ。
(自治体研究社1300円)
「国立景観裁判」.jpg
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2018年03月27日

《遠吠え》"国権の最高機関" の劣化をまざまざと示す国会議員の発言を議事録から削除してはならない=田悟恒雄

 「国会の議事録から発言を削除するな!」との東京新聞・豊田洋一論説委員の「私説」(同紙、3月26日)に両手を挙げて賛成。
 零細出版人こと筆者も、かねてより同じ疑問を抱いてきたのですが、内容はどうあれ、国会での議員の発言はきちんと記録に残しておくべきでしょう。
 最近では、過労死遺族の前で「週休7日が幸せなのか」と信じ難い暴言を吐いた渡辺美樹参院議員(「ブラック企業」として知られる某居酒屋の創立者)や、「森友文書改ざん問題」で太田充財務省理財局長に「安倍政権を陥れるために意図的に答弁しているのではないか」と詰め寄った和田政宗参院議員(いずれも自民党)の発言が、全会一致で削除されています。
 いずれも、「アベ一強体制」のもとで「国権の最高機関」がどこまで劣化しきってしまったかをまざまざと示す象徴的な事例です。後の歴史検証のためにも、これを残しておかない手はないでしょう。
 議事録から削除されたのは、このようなアホな事例ばかりではありません。1995年「米軍用地特別措置法改正案」の衆院通過後、衆院特別委員会で委員長を務めた野中広務さんが衆院本会議の壇上で述べた以下の補足意見までも削除されてしまったことを、決して忘れるわけにはゆきません─。

 「この法律がこれから沖縄県民の上に軍靴で踏みにじるような、そんな結果にならないことを、そして、私たちのような古い苦しい時代を生きてきた人間は、再び国会の審議が、どうぞ大政翼賛会のような形にならないように若い皆さんにお願いをして、私の報告を終わります」

 国会での議員の発言というのは、おとといの自民党大会で配布された「アベ首相のイラスト入りマグネットシート」の吹き出し(改ざん自由=いつでも書いたり消したりできる)なぞとは違って、格段の重みを持っていることを肝に銘じるべきです。

(「零細出版人の遠吠え」03/27より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年03月25日

《焦点》電通が憲法改正国民投票を支配する=橋詰雅博

 2017年に新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなどで費やした日本の総広告費は約6兆3900億円で、6年連続プラス。業界最大手の電通は国内売上高が1兆5600億円、海外も含む連結ベースの総売上高は約5兆2000億円だ。電通の総売上高は日本の総広告費の8割ほどに当たる。まさに巨大企業で、単体では世界一の広告代理店。
 だが一方では新入女性社員を過労自殺に追い込んだことで社会から糾弾され、16年末にブラック企業大賞≠ニして名指しされた。社員を酷使することで、ナンバーワンの地位を維持してきたゆがんだ構図が露呈した。
 そんな電通がここにきて注目されている。年内にも実施という憲法改正国民投票を巡り、電通が長年、広報戦略を担う自民党の改憲広告≠仕切るからだ。業界第二位の博報堂で18年間営業をしてきた著述家・本間龍さんは「電通が国民投票を支配する」と断言している。
 2月末に都内で講演した本間さんはこう指摘した。
 「国民投票運動ではテレビCMの影響力が大きい。インターネットとは違い、テレビCMは『ながら視聴』されるので、繰り返し行われると、視聴者への『刷りこみ効果』は絶大です。特に視聴率が高い夕方から夜11時台に流れるスポットCM(局が定めた時間帯に15秒間流れる)が勝負のカギになる。この時間帯にいかに大量にCMを流すかだ。これを実現するには巨額なお金が必要。また、このCMワクを事前に抑えなければならない。 
 改憲勢力の中心である自民党の資金力は護憲勢力のそれを圧倒している。政権党の自民を支える電通は、テレビCMでのシェアは35%とダントツ。加えて戦略立案もCM制作もCMワク購入も1社だけですべてやれる。従って自民党などの改憲勢力が国民投票で勝つ可能性は高い」
国民投票では有料テレビCMは投票日前2週間だけ禁止。規制を強化しないと自民党・電通の思うつぼだ。
橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年3月25日号
 
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【今週の風考計】3.25─東京都・迷惑防止条例の極まりない危険性、7月から実施される人権侵害の恐怖

「こちらは麹町警察署です。国会周辺をうろつき、コールを挙げる皆さん! 迷惑防止条例に違反しています。もし指示に従わなければ懲役1年以下、または100万円以下の罰金が課されます」─これが7月以降、現実になる。

警視庁が東京都に提案した迷惑防止条例案が、今月末にも成立するからだ。その内容の恐ろしさは極まりない。既存のストーカー規制法の厳罰化を盾に、「みだりにうろつくこと」「監視していると告げること」「名誉を害する事項を告げ、その知り得る状態に置くこと」「電子メール(SNS含む)を送信すること」などなどが、迷惑の範囲とされ処罰の対象となる。

解釈も含め恣意的な運用の危険は大きい。たとえば国会前に三々五々あつまり、「アベ政治を許さない」の声を挙げ、チラシをまくなどの行為が、「名誉を害する」行為として処罰の対象となりうるのだ。
メールで「昭恵夫人は証人喚問に応じよ!」と、官邸や官公庁に要請する内容の電文を、何度も送信すれば引っかかりかねない。しかも名誉棄損であるとの本人告訴がなくとも、警察や司法の判断で逮捕・起訴、そして処罰ができるのだ。

私たちジャーナリストの活動も、「その行動を監視し…、又はその知り得る状態に置く」行為とみなされ、かつ取材も「住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと」と解釈されれば、刑事罰の対象となる。
国会での「森友文書改ざん」、佐川証人喚問の関心事に紛れて、「排除」の言辞を弄した小池都知事の下、言論・報道・表現の自由、知る権利など、憲法上の権利が侵される、危険な迷惑防止条例案が独り歩きする。(2018/3/25)
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2018年03月22日

《焦点》 国民投票での有料テレビCMのルール作りを呼びかける著述家・本間龍さん=橋詰雅博

 自民党は3月25日党大会で憲法改正の方向性を提示する。党総裁を兼ねる安倍晋三首相の主張通り、9条に自衛隊を明記するなどの中身になる見込み。国会での改憲発議を経て年内にも憲法改正国民投票が実施される。4月に共著『国民投票と広告』(仮題 集英社新書)を出す著述家・本間龍さん(55)は、このまま国民投票に突入すれば、「自民党を中心とした改憲勢力が勝つ」と前置きし、こう警鐘を鳴らす。
「国民投票法では、投票日2週間前から賛成か反対かを呼びかける有料テレビCMは禁止。これ以外に規制はほとんどなく、テレビ・ラジオCMや新聞・雑誌への広告、ネット空間でのPR、戸別訪問など自由です。また『改憲に賛成(反対)です』といった意見表明CM≠ヘ許されていて、投票日でも流れる。運動費用も上限はありません。自民党は受け取っている政党交付金が一番多く、経済団体や大企業からも運動資金を集められる。潤沢な資金で改憲宣伝をバンバン打つと国民投票で賛成票が多数を占める可能性が高い」
 ではどうすればいいのか。
「少なくても影響力が非常に強いテレビCMは大幅に規制する必要がある。07年に国民投票法が成立した当時、付帯決議として有料広告のルール作りをメディアに求めている。しかし、自主ルールをつくると表明した日本民間放送連盟(民放連)はこの10年間、何もしていない。国民投票特需≠当て込んでいるからだ。自民党の船田元代議士や民進党の桜井充参院議員ら超党派の国民投票改正議連を立ち上げて、自主ルールをつくるよう民放連に働きかけてもらうつもりです」

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2018年03月20日

《遠吠え》「寝言か独り言のような弁明」を信じるのは「アベ一族」と一握りの取り巻き諸君くらいのもの=田悟恒雄

 つい先だってまでは「盤石」とされてきた「アベ一強体制」が、ガラガラ音を立てて崩れ始めました。株価とともにアベ氏が「頼みの綱」と縋ってきた内閣支持率ですが、どのメディアの調査結果とも、軒並み一気に10%以上も下落しています。
 「裸の王様」は、この期に及んでもなお「書き換え前の文書を見ても、私や私の妻が関わっていないということは明らか」などと、どう首をひねっても承服しがたい「寝言か独り言のような弁明」を続けています。
 でも、そんなことを信じるのは「アベ一族」と一握りの取り巻き諸君くらいのものでしょう。圧倒的な人々が、物事の本質を鋭く見抜きはじめているのです。
 ちなみに朝日新聞の世論調査では、そんな「答弁」に「納得できる」人はたったの17%しかおらず、72%もの人が「納得できない」と答えています。
 あぁ、こりゃもうだめだー。今度ばかりは、「ほとぼり冷めれりゃ、また戻るさー」なんて言ってはいられません。

 で、突然ですが、零細出版人は、きのうの朝日新聞に掲載された高橋純子編集委員の「政治断簡」(「怒るべき時、それは今」の次のくだりに強く共感を覚えました─。

 「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対に腐敗する。
 ゆえに権力に対しては、怒るべき時にきっちり怒らなければならない。公文書が改ざんされる国に成り下がったのだからなおさら、自分の身体をさらし、声を張って、この時代を歴史に刻むしかない。」

(「零細出版人の遠吠え」03/20より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年03月18日

【今週の風考計】3.18─佐川証人喚問から文書改ざんの根源へ! 国政調査権を行使して真相を究明せよ!

◆「森友文書」改ざんが安倍政権を直撃し、支持率は39.3%、2月より9.4ポイント急落した。土壇場になっても、官邸は国交省から提出された改ざん前の文書を6日間も放置し、“虚偽答弁”を繰り返す。
◆官邸ぐるみで<改ざん隠蔽工作>を続ける安倍首相への嫌悪感は、いまや燎原の火のように広がる。1年以上、ウソと虚偽の答弁を繰り返してきたツケが、安倍政権を侵す毒のように、全身に回ってきている。

◆文書改ざんは200項目を超える。削除された箇所を見れば、昭恵・首相夫人の称揚や政治家の陳情などを受け、国民の財産を8億円の値引き・10年分割払いにした、前代未聞の特例扱いに至る経緯が如実に辿れる。
◆しかも、この事案が“安倍案件”であるにも関わらず、安倍首相が「私や妻が関係していれば首相も国会議員も辞める」と言い切った国会答弁がある以上、なんとしても経緯を削除し、「つじつま合わせ」をしなければならない。

◆財務省が組織として意思決定した証拠の決裁文書ですら、改ざんする罪を犯すのだから問題の根は深い。それを理財局の一部の職員や佐川宣寿・元理財局長に責任転嫁してゴマかすなど、許されることではない。国会での佐川証人喚問はもとより、財務省から独立した機関を設けて調査しなければ、問題究明などできるはずがない。司直の手が伸びる前に国政調査権を行使し、与野党問わず政府の責任を徹底追及すべきだ。

◆7年前に制定された公文書管理法は、中央省庁の意思決定に至る「過程」を合理的に跡づけ、検証できるよう文書作成を義務づけ、いつでも政府が説明責任を果たせるようにするのが前提になっている。
◆かつ公文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」であり、「主権者である国民が主体的に利用し得るものである」とし、かつ「将来の国民にも責任を持つ」法律であると位置づけている。アベさん、熟読玩味せよ!(2018/3/18)
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2018年03月16日

≪お知らせ≫ 出版部会4月例会:出版危機の深層を抉る─「アマゾン膨張」と出版界

出版危機の深層を抉る
─「アマゾン膨張」と出版界─

いま出版界は未曽有の危機に直面しています。
売り上げは13年連続して減少・最大の落ち込み。
<町の本屋さん>はつぶれ、出版流通が深刻な事態です。
「アマゾン商法」が出版界を席捲し、版元との直取引が横行!
出版文化が危うい事態を、どう打開するか。


講演:星野 渉氏 (「文化通信」編集長)
日時:4月7日(土)14:30〜
場所:JCJ事務所 地下鉄「神保町」駅下車 A5出口 千石屋ビル4F
参加費:500円 (JCJ会員・学生300円)

日本ジャーナリスト会議(JCJ)出版部会
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2018年03月13日

《遠吠え》森友文書改ざん事件の核心は「誰が誰の指示で、何のために改ざんしたのか?」にある=田悟恒雄

 「森友文書改ざん疑惑」で世論の批判に追い詰められた財務省は、ついに12日、計14件の決裁文書に改ざんがあったことを白状せざるをえなくなりました。
 公文書改ざんの「犯行」に及んだ時期は、国有地払い下げ疑惑が国会で問題化した昨年2月下旬から4月にかけてのこと。改ざんされたのは、首相夫人・安倍昭恵氏の関与を窺わせる部分、事前の価格交渉に触れた部分、それに「本件の特殊性」「特例」などの記述、等々でした。
 麻生太郎財務相は、「財務省理財局の一部の職員が行なった」「最終責任者は佐川〔前理財局長〕だ」などと、「トカゲの尻尾切り」を地で行く責任逃れの弁を弄しています。でも、そもそもそんなレベルの判断で、これだけのことをやってのけられるはずがありません。
 「犯行」の解明には「動機」の解明が欠かせません。問題の核心は、「誰が誰の指示で、何のために改ざんしたのか?」というところにあります。
 麻生氏の説明では、「佐川の国会答弁と整合性を図るため」だなんて話でしたが、これではいかにも根拠薄弱。そこで当時のクロニクルを繰ってみると、「2017年2月17日」あたりが何やら怪しい。
 その日の衆院予算委員会で、野党議員の執拗な追及にブチギレたアベ首相、正気を失ってしまったのか、ついついこんなことを口走ったのでした─。

 「私や妻が関係していたということになれば、これは、まさに私は間違いなく、総理大臣も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたいっ!」

 ところがその後、「瑞穂の国記念小学院名誉校長 安倍昭恵氏」の事件への深いコミットが次々明るみに出てくるにつれ、「ヤバイ」と思い始めたのは、誰あろうアベノ強シンゾー氏ではなかったのでしょうか?

(「零細出版人の遠吠え」03/13より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年03月11日

【今週の風考計】3.11─「森友文書」改ざんの陰で急ピッチで進む9条改憲の妄動

朝日新聞の「森友文書」書き換えスクープ報道から、10日間あがいてみたものの、ついに財務省は改ざんを認めた。決裁文書にあった「契約の特殊性」「特例的な内容」「価格提示を行う」などの記述が削除されていた。
国会を欺き、国民にウソをつく悪質な犯罪行為に他ならない。麻生財務相の進退は極まった。「朝日のフェイク報道」と叩いていた安倍首相の責任も重大だ。麻生派の領袖が政権から離れれば、総裁3選の戦略は危うくなる。そのため9日に辞任した佐川宣寿・国税庁長官に、全責任をおっかぶせる魂胆だというから始末に負えない。

そもそも財務省による改ざんの動機や目的は何だったのか。「不都合な事実」を隠すため、言い逃れ、詭弁、虚偽答弁、さらには文書改ざん、あげくに担当職員が重要な遺書を残しての自殺、そして佐川宣寿・国税庁長官の辞任。このウソの上塗りと痛ましい死へとつながった負の連鎖はどこから来たのか。
その発端となった「森友疑惑」は、安倍首相や昭恵夫人の意向を忖度し、特例的な扱いをしたところから生じた。改ざんは、まさに安倍首相への忖度を、政官癒着して重ねた行為の行き着いた結果だ。南スーダンPKO部隊の日報隠し、厚労省の裁量労働制データねつ造など、「安倍政権の隠蔽・改ざん体質」は底なし。

そのうえ「自衛隊」を明記する9条改憲に加え、「教育の充実」「合区解消」「緊急事態への対処」の3項目で甘いオブラートに包み、9条つぶしの狙いを隠す。かつ4項目を一括して、年末にも国民投票にかけるハラだという。
14日には自民党憲法改正推進本部が、9条改憲案を決める。その日の夕には、「日本会議」のフロント組織「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が、東京・憲政記念館で<憲法改正賛同1000万人達成!中央大会>を開く。(2018/3/11)
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2018年03月09日

≪おすすめ本≫ 高橋源一郎『ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた』─目がハッと見開かれる子供たちが作る「くに」の姿=鈴木耕(編集者)

 おもしろい! なんてったっておもしろい。子どもたちが「くに」を作っちゃうって話。「国」じゃなくて「くに」を。
 主人公はいちおうランちゃん。おとうさんは小説家で、おかあさんは昔、シブヤやショウナンではちょいと知られた存在。弟のキイちゃんは、ちょっとひ弱という家族。
 ランちゃんは、学校仲間のアッちゃん、ユウジシャチョウ、リョウマと4人で、なんと「くにづくりプロジェクト」を立ち上げちゃう。この子どもたちの学校ってのが、またおもしろくて、そんなプロジェクトを自由にやらせてくれるんだ。

 ここのおとなたち(先生)もステキだ。園長のハラさん、いつもヒマそうに居眠りしている。でもなんとなくいつでもみんなのそばにいてくれる。なんかあると必ずやってきて、別になにを話すでもなく、じっとその子の話に耳を傾けてくれる。
 それに肝太先生と理想先生。いいこと言うんだなあ。こんな学校があったら、だれだって入りたくなる。例えば運動会、整列も行進もなし。みんな一緒だけれど、みんな違うんだからそれでいい。いいでしょ?
 「くに」には「憲法」が必要。というわけでみんなで「憲法づくり」に精を出す。すると、憲法9条のことや無人島で争う尖閣諸島や竹島のもんだいも絡んできちゃう、という仕掛け。そして、4人だけだった「くに」に@アイと雪の女王ちゃんが連絡して来て、やがて「名前のないくに(仮)」が建国される。

 最後に書かれている「建国のことば」までたどりついたとき、読む人たちの目がハッと見開かれるのは間違いない。著者が言うように、これはいまの時代の『君たちはどう生きるか』なんだよ。
(集英社新書860円)
「ぼくたちは…」.jpg
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2018年03月08日

《焦点》都政版森友疑惑を追及「晴海選手村土地投げ売りを正す会」事務局長・市川隆夫さん=橋詰雅博

 東京都民33人が晴海の都有地を東京五輪選手村名目で、9割引きでたたき売りしたとして差額分の約1209億円の損害賠償の支払いを小池百合子知事や選手村開設を行う開発会社11社などに対して都が求めるべきだとする住民訴訟は、27日に第2回口頭弁論が行われた。
 この「都政版森友疑惑」裁判を多くの都民に知ってもらうため原告が中心となって2017年4月に結成されたのが「晴海選手村土地投げ売りを正す会」(略称=晴海・正す会)だ。市川隆夫さん(78)はその事務局長。
 「私たちは2014年ごろから晴海の五輪選手村用地に注目していた。16年3月の都議会で女性野党議員が、選手村に使う都有地(約13・4f)が約130億円で投げ売りした問題を追及。これをきっかけに都に情報開示請求を行った」
 しかし一番肝心な土地の評価にかかわる金額などはすべて黒塗り。このため晴海・正す会の結成後に都に住民監査請求を行ったが、同年7月に棄却。
「ただし、住民監査結果に『意見』が付記されていた。それは土地を巡る一連の手続きが、中立性かつ公正な監視や牽制のもとで行われないとの懸念を生む状況が生じたと書かれていた。異例ともいえるこの意見に強く後押しされて8月、東京地裁への住民訴訟に踏み切った」
 9割引きになった最大の理由は何か。
「都と選手村モデルプランを作成した設計会社、大手開発会社、売却価格を調査した会社の4者による究極の官民癒着がそれを可能にした」
 元都港湾局職員の市川さんは今まで6回住民訴訟を提起。「すべて敗訴したが、都政を改善させた成果もありました」


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2018年03月05日

《遠吠え》「財務省の文書書き換え疑惑」スクープは「森友疑惑」解明の決定打となるかもしれない=田悟恒雄

 財務省の「森友文書書き換え疑惑」を解明するには、国会に提出された文書の「元となった文書」の開示が欠かせません。
 2日の参院予算委員会では、これを求めた野党議員に対し、麻生太郎財務相も財務省・太田充理財局長も、何を聞いても「大阪地検で捜査中なので、答弁は差し控える」の一点張り。
 しかし、「元の文書」が存在することまでは、否定しようにも否定しきれません。
 でも、そんなものが公になってしまえば、「政治家の関与」や「政治家への忖度」を濃厚に窺わせることになりますし、これまで国会で全否定してきた「森友側との事前価格交渉」のウソまで、バレてしまいます。ああ、困った困った。
 ところで、この「書き換え」が行なわれたと思われる時期の財務省理財局長は、あのサガワさん。国税庁長官就任後、記者会見もせず、いまだにマスコミから逃げ回っています。
 「納税者一揆」の呼びかけ人、醍醐聰・東大名誉教授は、そんなサガワさんを「トカゲの尻尾」に見立て、「安倍、麻生、佐川 "悪代官三人組" を許してはならない」と訴えています─。

 「佐川氏の場合は国税庁長官を辞任する。それ以外にもう納税者が納得する方法はないと思います。問題は、佐川氏が辞めて、そこで尻尾切りで終わらせてしまうかどうか。…もともと佐川氏というのは安倍さんをかばうための盾に使われたわけですよね。しかも『使われた』という受け身だけでなく、自分も積極的にその役を引き受けることによって出世させてもらった。安倍首相と麻生大臣を含め、ドミノ的な責任の取り方にしていかねばならないと思っています」

(「零細出版人の遠吠え」03/05より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年03月04日

【今週の風考計】3.4─反骨の「荒凡夫」として生きた俳人・金子兜太さんを悼む

★俳人・金子兜太さんの葬儀・告別式があった2日、あらためて心から哀悼の意を捧げた。「アベ政治を許さない」の紙ボードを掲げ、国会前で抗議の声が響きあう、あの熱気が甦る。いつも金子さんがそばにいた。

★40年以上も前のことだが、金子さんが日本銀行を退職される前年、「種田山頭火」について、その生涯をたどる書き下ろしをお願いしたときの緊張も忘れられない。
★「書きたいと思っていたところだ」と快諾され、退職4カ月後の1974年8月末に『種田山頭火─漂泊の俳人』(講談社現代新書)として刊行することができた。
★この中にも「存在者の生粋の有り態を曝していた山頭火は、<弱者の眼>といおうか、体の奥に潜む眼光は鋭かった」と、泥酔や無頼、放浪と行乞の一生を送った者であれ、その根底にある眼光を、正確に掬いあげている。戦争体験、日銀時代の組合活動や定年近くになれば金庫番、窓際族ならぬ「窓奥族」の日々が下敷きになっているのは間違いない。

★その後、二冊目として「小林一茶」の執筆をお願いした。これも快諾され、東京・新宿住友ビルでの朝日カルチャーセンター主催の俳句講座の先生として、秩父から出てくるたびに1章分ずつ原稿を渡してくださった。兜太名入りの原稿用紙に、あのしっかりした文字がマス目いっぱいに書かれていた。1980年9月中旬、『小林一茶─〈漂鳥〉の俳人』(講談社現代新書)刊行。
★本書で「<荒凡夫>の生命を俳句にぶつけてきた一茶のなかには、<弱きもの>への感応の世界が人一倍色濃く宿っている」と書いた金子さんも、反骨の「荒凡夫」として、98歳の生涯を閉じた。(2018/3/4)
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2018年03月02日

《焦点》「私は断固、闘い続ける」17年働き突然雇い止めに、派遣労働者・渡辺照子さんに聞く=橋詰雅博

 派遣・契約社員やパート、アルバイトなどといった非正規労働者にとって今年は大きな転換点になる。2013年4月1日施行された改正労働契約法により同じ職場で仕事して通算5年を超えると、有期雇用から無期雇用に切り替えることができるのだ。この5年ルール≠ノ該当する無期雇用の人が4月1日以降、出現する。対象者は約400万人とみられ、雇用の安定が守られる。
一方、簡単にクビを切れなくなるので、5年ルールを前に雇い止めに走る企業が多い。16年8カ月同じ職場で事務の仕事をしてきた派遣労働者の渡辺照子さん(58)も昨年10月に雇い止め通告され、昨年末失職した。渡辺さんに改正労働契約法の問題点などを聞いた。
   ☆    ☆
――今の心境と、どういう風に生活していますか。
ダメージは大きい
 約17年間、同じ職場で働いてきました。仕事がなくなってしまったので、心身のバランスが崩れてしまった。同居する88歳の母親の面倒を見ていて、介護疲れもあってうつ状態。茫然自失ですね。失職は人生にとってダメージが大きいと言われていますが、まさにその通りです。
 無職ですが、雇い止めの当事者として体験を話してほしいなどの講演依頼が労働組合から、雇用問題をテーマにした原稿依頼もあります。でも講演料も原稿料も食べていける額ではありません。蓄えを取り崩して生活しています。ただ、住んでいる新宿の家は両親の持ち家ですので、家賃がないのが助かります。家賃があったらとても生活できません。
――派遣元(「パーソナルテンプスタッフ」)と派遣先(「地球科学総合研究所」)に対しどういう行動をとっていますか。
22日に社前抗議
 昨年11月に労組「派遣ユニオン」に個人加盟しました。専従で労働争議の経験が豊富な関根(秀一郎)書記長のアドバイスを受け、派遣元と団体交渉を2回行い、派遣先にも団体交渉を2回申し入れた。派遣先が団体交渉を拒否したので、事前に通告した通り22日に社前で関根書記長らと抗議行動をしました。法的手段に踏み出すかどうは企業側の対応しだいです。派遣ユニオンをバックアップする女性弁護士と相談はしています。
――改正労働契約法をどう見ていますか。
 私の場合、3カ月ごとに雇用契約を更新していました。雇い止めにならないか内心、ビクビクしながら働いていた。13年4月の施行後、5年間クビがつながれば、晴れて無期雇用に転換でき、雇用の不安からやっと逃れられると思った。そうしたらこういうひどい目にあわされた。
 そもそも無期雇用とっても、直ちに正社員になれるわけではない。待遇も同じになるとは限らない。改正法は正社員と非正規労働者の待遇格差を埋めるものではない。しかも無期雇用に転換するには労組を通じて実現可能です。私のような派遣労働者が派遣ユニオンに入ったことが企業側に知れたら雇い止めは必至。だから知っていてもユニオンに入れなかった。私は無期雇用後にユニオンに入り、団体交渉で待遇改善を要求して行こうと計画していた。計画倒れになってしまった。
罰則規定を設ける
改正法ではあの手この手で無期雇用に転換させない企業への罰則規定を設けるべきです。また、契約のない期間が6カ月以上ある場合、それより前は通算期間に含まれない(クーリング期間)とする抜け穴があります。無期逃れを許さないよう法律でしばりをかけてほしい。
――企業側の仕打ちをどう思いますか。
 仕事の過程でハラスメントを受け、サービス残業を強要され、ハードワークのため過労で職場に倒れるなど不当な目にあってきた。「次の契約更新はしない」という一言で派遣先から切られ、「ハイ、そうですか」と受け入れることはとうていできない。企業側は、派遣労働者は使い捨てでいい、まるでモノ扱いしている。絶対に許せない。私は闘い続けます。
聞き手 橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年2月25日号
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2018年02月28日

添田孝史『東電原発裁判 福島原発事故の責任を問う』─原発の津波対策をサボった東電の責任=川村フミコ

 昨年6月、福島原発事故の東京電力の刑事責任を追及する唯一の裁判が東京地裁で始まった。原告は、福島県民ら1万4千人からなる「福島原発告訴団」。検察が2度不起訴処分にしたが、検察審査会の議決で、やっと公判の道が開かれた。
 本書は、事故後に政府や国会が行った調査やこれまでの裁判、著者自らの情報公開請求などで明らかになった資料を基に東電がどのように津波対策を先送りしてきたかを検証した調査報道だ。

 東日本大震災に先立つ2002年、政府の「地震調査研究推進本部」が福島県沖でM8・2前後の津波地震が30年以内に20%の確率で発生する可能性を公表した。2006年、原子力安全委員会は原発の「建築基準法」にあたる「耐震指針」を28年ぶりに改訂した。
 全国の電力会社で原発の耐震安全性を見直す「バックチェック」が始まった。2008年、東電の子会社が「地震本部」の長期評価に従えば、福島第一原発に約15メートルの津波が押し寄せると計算していた。
 しかし2007年に発生した新潟県中越沖地震で、東電の柏崎刈羽原発は全基停止。二期連続で赤字を計上した東電は津波対策の先延ばしを続けた。本書では国策のプルサーマル推進のため、政府機関が東電の「サボり」を見ぬふり、そう疑われる事例も紹介している。

 著者は元朝日新聞科学部記者のサイエンスライター。1997年から原発と震災の取材を続け、2011年からフリーランスに。福島原発事故の国会事故調査委で協力調査員として津波分野を担当した経歴を持つ。
(岩波新書780円)
「東電原発裁判」.jpg
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2018年02月26日

《遠吠え》「ガンバレ、ニッポン!」の唱和にはどうにもなじめない零細出版人のささやかな提案=田悟恒雄

 平昌五輪が閉幕しました。この間、新聞もテレビも、「ピョンチャン、ピョンチャン…」。おかげで零細出版人のメディア接触時間は、いつもと比べ、だいぶ減ったようです。
 そんなことを言っていると、どこかから「コクゾクー!」なんて罵声が飛んできそうなご時世ではあります。それでもやっぱり、あの「ガンバレ、ニッポン!」の唱和には、どうにもなじめない人も多いのではないでしょうか?
 国別にメダル獲得数を競い合うなぞ、愚の骨頂。そんな中でも、スピードスケート女子500メートルでトップに立った小平奈緒選手が、競技後、2位となった韓国の李相花(イサンファ)選手に歩み寄って肩を抱き寄せた、というエピソードには、何かホッとさせられるものがありました。

 で、零細出版人の提案─。
 ドーピング疑惑のために今回は国としての参加を許されなかったロシアは、OAR(Olympic Athlete from Russia)を名乗り、あるいは個人の資格で参加しました。そこで今後は、その手の疑惑があろうがなかろうが、みんなこの先例に倣う、というのはいかがでしょう?

 さしずめ日本なら「OAJ」で、政府はカネは出しても、決してクチは出さない。いわんや、首相が「スーパーマリオ」なぞに扮して閉会式にしゃしゃり出る、なんて所業はいっさい禁止する。そして、運営はすべて競技団体に委ねる─。
 そうすれば、「第2、第3の小平選手」が続々出てくることになること、間違いありません。

(「零細出版人の遠吠え」02/26より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年02月25日

【今週の風考計】2.25─あらためて<築地でええじゃないか!>、豊洲移転の欠陥を見よ!

「築地は守る、築地の後は築地」と言明してきた小池百合子都知事が、「築地に市場をつくる考えはない」と仰天発言。
これまで都知事は、築地には<セリ>などの市場機能を残し、豊洲には流通センターの役割を担ってもらう─両市場“併存”構想を声高に語ってきた。その約束を反故にする、まさにチャブダイ返しの暴言である。

豊洲移転に反対する<築地女将さん会>の一員である鈴木理英子さんをガイドに、このほどJCJ会員メンバーは「築地」を実地見学した。建物の6階屋上から一望すると、隅田川へ扇子を広げたように昭和モダンの棟屋が伸びる。その湾曲したカーブは鉄道の引き込み線に対応しトラック輸送にも便利だったという。

地上に降りると、セリも終わり仲卸の人たちが買荷保管所へ運ぶターレが勢いよく行きかう。仲卸は約500社、目利きの技を支えに、現物を見てもらい値段を決める建値市場の魅力。健全な価格が形成され、漁師や農業生産者への利益還元と品質向上に結びつくという。ちなみに鹿児島県産のアカヤガラがキロ1700円、千葉県産キンメがキロ3600円。
さらに場内・場外を回わる首都圏からの買出人は、毎日1万人を超える。加えて海外からの観光客が場内の市場メシや場外の御鮨に長蛇の列をなす。築地ブランドここにあり。<築地でええじゃないか!>。わざわざ10月11日、なぜ豊洲へ移転させるの?

いま豊洲では、ベンゼン・シアン・水銀などの有害物質がしみこむ地下水のコントロールに躍起だ。海抜より1.8メートルまでの水位に抑えないと、汚染物質の漏出も大地震による液状化現象も防げない。現実は地下水の水位は、最高で海抜より4.6メートル。地下水を抜き取るポンプの稼働費用は巨額になるのは必定だ。
40ヘクタールもの広大で、かつ複雑に入り組んだ土地の地下水を、1.8メートル以下に管理するのは至難の業。“安全宣言”が出せなければ移転はとん挫。危ない橋を渡るより、築地を守るほうがずっといい。(2018/2/25)
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《焦点》 ICAN、金融機関にアプローチ=橋詰雅博

 国連での核兵器禁止条約の採択に貢献したことで、昨年、ノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)。その事務局長のベアトリス・フィンさん(スウェーデン出身)は1月来日し、広島、長崎、東京で講演した。 
 フィン事務局長は「格兵器を持つことが力の象徴ではなく、恥の象徴だと認識させて、核兵器を持つ国に悪の烙印を押すことができれば、核保有国ももっと理にかなった考え方をするようになる」と訴えた。
 核保有国は「恥だ」という認識を世界に定着させるためICANは、さまざまな活動を展開する。1月初旬に本紙のインタビューを受けた(1月25日号に既報)ICAN国際運営委員の川崎哲さんは、その活動を四つに分ける。
 第一は核禁止条約の署名・批准を世界的に促進するため広島と長崎の被爆者による証言活動とメッセージ発信だ。第二が核武装国の「核の傘」の下にある日本のような協力国の核政策見直しを求める積極的なロビー活動。第三は将来の核武装国の核禁止条約参加を視野に入れて、核武装廃棄や検証措置をさらに精緻する議論を行う。第四が民間の金融機関などへの働きかけだ。核禁止条約が発効されれば、核兵器は国際法上、非人道兵器として認定される。そのような兵器の製造に関わる企業に融資することは社会的な責任を欠いたものと見なされる。対人地雷もクラスター爆弾も禁止条約発効(地雷は99年3月、爆弾は2010年8月)で、企業への融資が引き上げられて兵器の生産や貿易が大幅に縮小した。
 川崎さんはこう語った。
 「三菱UFJファイナンシャルグループは、『非人道兵器』のクラスター爆弾を製造する企業に対して今後、その資金使途にかかわらず、融資しない方針を昨年12月に発表した。例えば三菱UFJに核兵器の製造では、どう考えているのか≠ニいったアプローチは重要です」
 企業が相手ならば方針の転換は期待できそうだ。


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2018年02月19日

《遠吠え》「今だけ、金だけ、自分だけ」の風潮が蔓延する中、背筋を伸ばし続ける注目の経済人=田悟恒雄

 「こんな経済人がもっといたらなぁ」─。
 『日刊ゲンダイ Digital』の「注目の人 直撃インタビュー」(「吉原毅氏突く原発推進の矛盾 "自然エネは儲かる" が新常識」)を読んで、そんな思いをいたしました。
 今回「注目される人」は、原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟会長の吉原毅さん。先月、小泉純一郎元首相らと「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表しています。
 ところがこれに対し、政権ご用達の産経新聞が、1月14日付社説で、「自然エネルギー=高コスト論」という使い古された謬論を盾に噛みつきます。曰く、「亡国基本法案だ」「夢想の虚論だ」「これでは国が立ちゆかぬ」と。
 しかし、そこは「コスト計算」が専門の元城南信用金庫理事長氏。一知半解の産経社説子に、含んで聞かせます─。

 「海外で言ったら、笑われますよ。世界の常識を全くご存じない。自然エネ価格は世界規模で急速に低下し、比較的低コストの石炭や天然ガスよりも安くなっています。太陽光の最安値は1キロワット当たり1.77セント。円換算で2円を切る。風力も肉薄しています」と。

 なのにこの国は、いまだに「原発はベースロード電源」などと言い続けているものですから、自然エネルギー開発では世界に大きく後れをとるばかり。
 では何で、政府はそこまで「原発」に固執するのでしょう?

 「原子力ムラのエゴイズムです」

 吉原さんはこう言いきります。それは「今だけ、金だけ、自分だけ」の発想だ、と。

 「政官財ともリーダー不在で、誰もが政策転換の責任を負うのを恐れている。戦前の日本軍も…時代遅れの『大艦巨砲主義』に固執し、…この国は一度、滅びたのです。現政権は同じ轍を踏んでいるように見えます。」

(「零細出版人の遠吠え」02/19より。 http://www.liberta-s.com/
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