2017年07月23日

≪メディア時評≫ 「加計ありき」の裏に「日本会議」あり!

 「国民なめるな こんな人たち」にと、逆襲の痛罵が投げつけられる安倍政権。支持率29.2%と急落し、土壇場に追いこまれた。
 衆参両院での閉会中審査でも、獣医学部の新設に「加計ありき」を慫慂した官邸の圧力や要請、山本地方創生相の発言の経緯、さらには稲田防衛相の失言や日報隠しへの虚偽答弁など、どう真摯に答えるのか。言いわけ、居直り、記憶にないを連発するのは目に見えている。

 「森友」疑惑に続き、そこに見え隠れするのは「日本会議」につながる面々だ。安倍首相の「腹心の友」である加計孝太郎理事長は、“日本会議の別動隊”といわれる、育鵬社の教科書発行団体「教科書改善の会」の賛同者に名を連ねている。現に系列の岡山理科大付属中では、歴史修正主義的な育鵬社の教科書を歴史と公民で使っている。
 獣医学部の新設を推進してきた今治市長・菅良二氏と前愛媛県知事・加戸守行氏は、安倍首相と同じく「日本会議」の活動に参加し、憲法改正を訴えてきた。

 この「日本会議」とは、天皇を元首とする戦前回帰に向け、憲法改悪を目指すウルトラ右翼団体だ。この5月3日、「日本会議」系の憲法集会で、安倍首相は憲法9条に自衛隊を明記し、2020年までに改憲を行うと明言。まさに同会議の改憲案そのものだ。

 「戦後最悪の政権」といわれる「安倍一強」政権、3年前の総選挙で自民党は290議席を得たが比例得票率は33%でしかない。ひきかえ野党4党は合計で98議席、しかし比例得票率は34%と自民党を上回る。
 民意を歪める小選挙区制の弊害は明白だが、それでも比例得票率の数字から見て、今の安倍政権そのものが、「架空の多数」でしかないのは間違いない。
【今週の風考計】7.23より
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2017年07月19日

《遠吠え》自らを獄に繋いだ人々の職業と人格を尊重する劉暁波さんに「意思のオプティミスト」を見た!=田悟恒雄

 「国家政権転覆扇動罪」のかどで長らく中国当局に拘禁されていたノーベル平和賞作家で人権活動家の劉暁波さんが、囚われの身のまま肝臓がんで亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします。
 2009年12月、劉さんが裁判審理に向けて記した陳述書「私には敵はいない:私の最後の陳述」が、「HuffPost Japan」に掲載されていたので、読ませていただきました。これは2010年12月、主役不在のまま行なわれたノーベル平和賞授賞式でも代読されたそうで、読む者の心を強く打つ文章です。
 「私には敵はおらず、憎しみの気持ちもない」として、彼を監視、逮捕し、尋問した警察官、起訴した検察官、判決を下した裁判官に対しても、その職業と人格を尊重する姿勢には、ある種、宗教的な神々しさすら感じさせます。
 そして、「高い塀を越え、鉄格子を貫く太陽の光」たる妻・劉霞さんとの変わることのない愛もさることながら、祖国・中国が「表現の自由がある場所となることを。全ての国民の発言が同等に扱われるようになることを」強く希う劉暁波さんの以下の文章には、ファシスト監獄に囚われながら、「知のペシミスト」であり「意思のオプティミスト」たらんとしたアントニオ・グラムシを思い起こさざるをえません─。

 「…そこでは異なる価値観、思想、信仰、政治的見解が互いに競い合い、平和的に共存できる。多数意見と少数意見が平等に保障され、特に権力者と異なる政治的見解も、十分に尊重され、保護される。ここではあらゆる政治的見解が太陽の光の下で民衆に選ばれ、全ての国民が何も恐れず、政治的意見を発表し、異なる見解によって迫害を受けたりしない。
 私は望んでいる。私が中国で綿々と続いてきた「文字の獄〔言論弾圧のこと〕」の最後の犠牲者となることを。そして今後、言論を理由に罪に問われる人が二度と現れないことを。
 表現の自由は人権の基礎であり、人間性の根源、真理の母である。言論の自由を封殺することは、人権を踏みにじり、人間らしさを閉じ込め、真理を抑圧することなのだ。
 憲法によって付与された言論の自由を実践するためには、公民としての社会的責任を果たさねばならない。私がしてきたあらゆることは罪ではない。たとえ罪に問われても、恨みはない。
皆さんに感謝を。」

(「零細出版人の遠吠え」07/18より。 http://www.liberta-s.com/
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≪おすすめ本≫三山 喬『国権と島と涙─沖縄の抗う民意を探る』「沖縄の保守」の葛藤と「オール沖縄」の必然、その背景を探る=菅原正伯

 俳優・菅原文太さんの足跡をたどる週刊誌の連載のために、著者は19年ぶりに沖縄を訪問し、「沖縄の変貌」を目の当たりにする。翁長知事誕生と沖縄保守のあり方への関心から、以来、著者は2年近く、沖縄の「地殻変動」の背景を訪ね歩いた。そのルポが本書である。

 描かれているのは、新基地建設を進める本土への沖縄の人々の複雑な思いである。「沖縄差別だ」と漏らす居酒屋の常連客もいれば、本土からのネトウヨ的なバッシングに涙ぐむ<シールズ琉球>の女性もいる。
 鳩山首相の「最低でも県外」発言は、県民意識を覚醒させ、沖縄の自立を促す「自己決定権」「アイデンティティー」が新しいキーワードとなった。自民党県連も「県外移設」を掲げ、安倍政権の強権的な新基地路線との矛盾が、抜き差しならないものになった。
 石破茂幹事長(当時)と沖縄選出の5人の衆参議員による会見がおこなわれ、沖縄県連の方針を転換し、事実上、辺野古移設を容認することが公表された。沖縄では「平成の琉球処分」といわれる党本部への屈服であった。

 ルポは、県議会で新基地反対を求める「建白書」が全会一致で採択され、島ぐるみ会議による「オール沖縄」が結成されたことが、「保守分裂」を招いた経過を綿密な取材で明らかにしている。
保守陣営の2つの流れのうち、翁長氏らは島ぐるみ会議に残り、自民党側は離脱した。
 離脱した側の要人に繰り返し取材したが、自民党側の大義≠ヘ、ついぞ明確に語られることはなかった、という。

(朝日新聞出版1500円)
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2017年07月14日

《出版界の動き》6月─7月 書店の新規オープンと多角化

●丸善ジュンク堂書店が8月10日、東京・池袋に都内最大級の文具専門店をオープン。売場面積400坪。文具は地下1階と地上2階、ブック&ステーショナリーカフェ「ほんのひととき」を地上1・2階で展開する。本はほとんど置かない。

●今年5月期の月刊誌・返品率51%(前年同月比+3.8%)。1950年の調査開始以来、初めて50%を超えた。ムック・コミックスの大幅な返品増が要因。

●有隣堂が立川の「ららぽーと立川立飛」に、売場面積181坪の53店舗目をオープン。文具、雑貨の併売に加え、カフェ「STORY CAFE」や児童書コーナー「Do! Kids」もつくる。

●アマゾンの「バックオーダー発注」─取次に在庫がない本の取り寄せサービスが、6月末で全面停止。アマゾンは「e託販売サービス」など、出版各社に直接取引への参加を働きかけている。「e託販売」は出版社が年間9000円の登録料を払って契約すると、アマゾンが一定の在庫を持って販売し、売れた金額の60%を翌月に支払う。6月までに全点登録した場合、正味は65%にするという。

●『週刊東洋経済』(6/24)の特集「アマゾン膨張」が注目されている。ヤマト運輸との問題、地域限定配達業者の「デリバリープロバイダ」などを追った内容。2016年のアマゾン売上げ1兆2千億円、毎年2割を超えるペースで増収を続け、全国8都道府県20ヵ所の物流センターを駆使する。出版物の年間売上高1500億円、日本最大の書店となっている。800万人に及ぶアマゾン・プライム会員(年会費3900円)を擁し、雑誌や書籍など全てアマゾンによる購読者が急増。このサービスはヤマト運輸に強いる最低運賃に加え、消費税を納めないアマゾン優遇税制に支えられている。
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2017年07月13日

《焦点》 沖縄へのデマや誤解を解く―沖縄タイムス東京支社報道部長の西江昭吾さん=橋詰雅博

 沖縄タイムス社の西江昭吾さん(42)は、この4月に東京支社報道部長として赴任。実は西江さん、東京支社勤務は2度目で、最初は08年から4年間、防衛省などを担当。09年8月の民主党(現民進党)政権誕生から12年12月の崩壊までを目の当たりにした。那覇市の本社に戻った後、在沖米軍基地などをメインに記者活動をした。沖縄タイムス社編集局による編著「これってホント!?誤解だらけの沖縄基地」(高文研)がこの3月に出版された。昨年1月から8月の沖縄タイムスの連載記事「誤解だらけの沖縄基地」を再構成したもので、沖縄の米軍基地問題が明快にわかると評判を呼んでいる。
 「連載記事に取り組むきっかけは、作家・百田尚樹さんの『普天間飛行場は田んぼの中に出来た』とか『基地地主は年収何千万円で、六本木ヒルズに住んでいる』などの発言でした。沖縄の米軍基地をめぐるこうしたデマや誤解を解くため毎回1つのテーマを設定して、具体的なデータや文献などよって反証、38回連載した。本は沖縄情報に接する機会が少ない県外向けを意識して出しました。反応はよく、出版社などに問い合わせが続々来ていて、重版になっています。また、NHK番組『クローズアップ現代+』(5月15日に放送)に本が紹介され、石川達也編集局長がコメントしました」
 沖縄ヘイトデマ放送した東京MXテレビの「ニュース女子」について「地上波であのような内容で放送したのは、大きな問題だ。ネット空間での誹謗中傷と併せ、フェイクニュースへの対処が課題」と指摘した。
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2017年07月12日

《遠吠え》閉会中審査をやり過ごし、最後の「外遊」日程を繰り上げた首相の目先に揺らぐシンキロー=田悟恒雄

 政治家の「外遊」という言葉には前々から違和感を抱いていたのですが、今回の首相訪欧の顛末を見て、「ああやっぱり "外遊" ってアリなんだぁ」と思い直しました。
 今月7-8日にハンブルクで開かれたG20サミットの後、我らが宰相は、九州北部豪雨での激甚被害をしり目に、いまとくに喫緊の課題があるわけでもない北欧3カ国、スウェーデン、フィンランド、デンマークへと(おそらく涼みに?)行っていました。これぞ「れっきとした外遊」と言うべきか、いえいえ「バカのバカンス」と言った方がよろしいかもしれません。
 ところが世間様から批判が高まり始めた9日夜になって急遽、最後に予定されていたエストニア訪問を取りやめ、11日に帰国すると発表しました。
 「九州北部豪雨で被害が出ているため」なんて言っていましたが、もしも本気で被災地の心配をしているのなら、G20閉幕の8日に出発し、9日には日本に帰っていることもできたはず。だけど、そうはしませんでした。そうはできない、何かよんどころない事情があったのでしょう。
 何せ、どこまでも姑息な男の考えることです。誰しも思いつくように、9日に帰ってしまえば、せっかく開催日をぶつけて、まんまと逃げ出した10日の国会閉会中審査に出なければならなくなってしまうからです。そこで、閉会中審査の終わった「11日に帰国」という線が出てきたわけ。
 とんだとばっちりを受けたのが小国エストニアです。同国駐日大使館の公式ツイッターが、首相の前倒し帰国を報じるNHKニュースについて以下のようにツイートした一般ユーザーを、異例のリツイートしたそうです(「リテラ」)─。

 「NHK『安倍が被災地思い予定繰り上げ帰国』 9日夜7時・8時45分報じる  3か国中、最後のエストニアだけ削るという 北欧2国も削っちゃうと、閉会中審査出られない理由がなくなる」

 2001年、ゴルフ場でハワイ沖での「えひめ丸事故」の報を受けながらプレイを続け、世論の猛批判を浴びて辞任を余儀なくされた森喜朗(シンキロー)元首相の故事を、ついつい思い出してしまいました。
 「外交で失点回復」の目論見どころか、これでまた支持率が、支持率が…、あーあ。

(「零細出版人の遠吠え」07/12より。 http://www.liberta-s.com/
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≪メディア時評≫「都民ファーストの会」代表・野田数氏の活動履歴に要注意!

 「都民ファーストの会」は、何をめざすのか。会を取り仕切る野田数・代表は、「日本国憲法破棄、大日本帝国憲法の復活を提唱していた御仁。今も変わりはないのか…、チェックする必要がある」(橋下徹‏のツイッターより)─まさに、その通り。

 検証してみよう。野田氏は7年前に「日本維新の会」公認で都議選に出馬し当選。都議会では「東京維新の会」を立ち上げ、偏向右翼ウルトラ請願に賛同した人物。
 その請願とは「『我々臣民としては、国民主権という傲慢な思想を直ちに放棄』すべきであり、憲法無効論に基づく大日本帝国憲法の復活確認を求める」という内容。
 これに賛成した人物が、いまは「都民ファーストの会」代表を務め、小池百合子都知事が、もっとも信頼する影法師として、都議会最大会派55人の議員を、がっちり統率しているのだ。

 だからこそ「都民ファースト」の新人議員は、本部を通さないと取材に応じられない事態に陥り、自由に発言できない不健全な事態が続く。メディアからも疑問が数多く出てきている。
 とりわけ都知事の特別秘書が代表に就く、当事者二人で決めたやり方は、民主的な手続きといえるのか。情報公開をうたいながらもブラックボックス化している実態は、問いただされねばならない。

 9月に開催の都議会定例会では、議長人事や豊洲移転問題、東京五輪の経費負担など、すぐにも対応・解決しなければならぬ緊急テーマが目白押しだ。国政進出に向け「国民ファースト」の野望どころじゃない。

【今週の風考計】7.9より
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2017年07月11日

≪おすすめ本≫雨宮処凛『自己責任社会の歩き方─生きるに値する世界のために』“生きづらさを生きざるを得ない”この弱者を丸ごと肯定する社会へ=鈴木耕(編集者)

 徹底的に弱者に寄り添うという姿勢を、これほど鮮明にしている本も珍しい。それは、著者自身が弱者としての自己を必死に肯定し、そこからの生き方を模索してきたからに他ならない。
 副題の「生きるに値する世界のために」とは、強者が弱者に「自己責任論」を押し付ける今の世の中の仕組みを変えたいという、著者の切ないほどの宣言なのだ。

 著者の鮮烈なデビュー作『生き地獄天国』(2000年・太田出版)からすでに17年。名著『生きさせろ!』(2007年・同)からでも10年が過ぎた。
 だが「生きづらい世の中」は変わらないどころか、安倍政権下でますます息苦しくなっている。懸命に抗う著者は“生きづらさを生きざるを得ない”弱者に、とことん伴走する。

 相模原事件とその背景にある石原慎太郎の唾棄すべき差別意識。生活保護への行政サイドからのバッシング、過労死に追い込まれる若者たち、秋葉原事件の切なさ。働く権利さえ低賃金によって否定される若者たちとの連帯「エキタス」の活動。「家賃を下げろデモ」。
 さらに著者の目はアジアにも飛ぶ。韓国の兵役拒否者との交流や台湾や香港と結ぶ“まぬけな大作戦”など、独特のユーモア感には癒される。

 ここに通底するのは「自己責任なんかないんだ!」─生きることを丸ごと肯定することが、「生きるに値する世界」なのだと。本書はウェブサイト「マガジン9」(http://maga9.jp/)の連載をまとめたもの。今も連載中、アクセスしてほしい。
(七つ森書館1500円)
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2017年07月07日

《遠吠え》「個の確立」のできない日本社会は、あるべき市民社会の入口に立って戸惑っている=田悟恒雄

 けさの朝日新聞〈耕論〉は、今年の流行語大賞の有力候補「忖度」に焦点を当て、ユニークなお三方にインタビューしています(「暴走する忖度」)。
 なかでも強く共感を覚えたのは、国際基督教大学のドイツ人政治学者ヴィルヘルム・フォッセさんのお話でした(「先回りした服従、悲劇生む」)。
 よく「忖度」というのは外国語に訳しにくい言葉だと言われますが、フォッセさんは、ドイツ語に も似たような言葉 "vorauseilender Geholsam"(「先回りした服従」)がある、と指摘します。
 ドイツでは、「周囲に波風を立てないよい隣人で、異議を唱えようとしない態度が、結果として非人道的な悲劇を生む土壌になった」というヒトラー時代の苦い教訓から、「疑問を公的に発する成熟した市民になることが重要だという考えが共有され」るようになった、と言うのです。
 しかも、そのような意識転換が1968年の世界的な「若者の叛乱」をきっかけとしていたというのは、それ自体、とても興味深いことです。でも、その頃同様の社会的体験を経たはずのこの国では、その後も「先回りした服従」がしぶとく生き永らえているというのは、なぜでしょう?
 いささか古めかしくはなりますが、ジャーナリストの原寿雄さんがたいへん興味深いデータを紹介しています(『市民社会とメディア』、p. 33)─。

 「1997年11月のNHK世論調査『放送の役割』は、人々の公共性意識について『生活信条』を庶民的、市民的、私民的の三つに分類して調査しているが、『市民的意識』を持つものは回答者2543人中の2割弱にとどまっている。『庶民的意識』は『周囲の人たちとなごやかな生活を送り、世間に迷惑をかけないことや義理人情を大切にするように心がけている』で57.1%、『市民的意識』は『社会はこうあるべきだという自分なりの考え方を持ち、みんなと話し合いながら、世の中をよくするように心がけている』で17.7%、『私民的意識』は『自分の生活や楽しみを充実させることを第1に考え、他の人の生活や考え方に深く立ち入らないように心がけている』で22.0%となっている(『放送研究と調査』1998年5月号)。」

 この国の人々の意識は、おそらくその後もさほど変わっていないのかもしれません。「個の確立」のできない日本社会は、依然として「あるべき市民社会の入口に立って戸惑っている」(同書、p. 30)というわけです。

(「零細出版人の遠吠え」07/07より。 http://www.liberta-s.com/
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≪おすすめ本≫ 山崎雅弘『「天皇機関説」事件』─アジア太平洋戦争へと突っ走ったウルトラ・ナショナリズムの猛威=橋本進(ジャーナリスト)

 大日本帝国憲法公布(1989年)以来、天皇の位置づけをめぐって、@ドイツ国法流に、国家を法人とみて、天皇の権力(主権)は憲法の制限を受けるとする天皇機関説、A天皇を際限なく神格化し、天皇の権力を無制限とする天皇主権説(神権説)があった。
 1912年、@の立場の美濃部達吉とAの立場の上杉慎吉のあいだで論争があり、美濃部が圧倒した。その後、天皇機関説が憲法学の定説となった(昭和天皇も肯定)。

 ところが満州事変下、日中戦争開始前の1935年2月、貴族院で軍人出身の議員が、美濃部 (貴族院議員)の天皇機関説を非難する演説を行った。美濃部は理路整然と反論し、機関説の意義を力説した。
 だが、国会内外の右翼勢力、現役および退役(在郷軍人会)の軍人らが一体となって猛反撃を行い、35年3月、「国体に関する決議案」を、衆議院で満場一致で可決させ、天皇機関説を撲滅した。さらに8月に入ると、第1次国体明徴声明を政府に表明させた。

 明けて36年2月21日には、右翼暴漢が美濃部を襲い、26日に2・26事件が起きる。この潮流はウルトラ・ナショナリズムの典型として、その後、文部省は「国体の本義」(37年3月)、「臣民の道」(41年7月)を発行し、そしてアジア太平洋戦争へと行きつく。

 本書は、このような暴力的な言論・学問の禁圧、「立憲主義」の蹂躙、国家主義による自由主義の駆逐、理性・知性の圧殺へと行きつくプロセスを的確に描き出している。立憲主義を壊す、アベ政治の暴走が止まらない今日、示唆するところが多く感銘深く読んだ。

(集英社新書760円)
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2017年07月04日

《遠吠え》猿でもすると言われる「反省!」を絶対にできない人類もいる。それは、我らが戴く宰相=田悟恒雄

 選挙民からあれだけ厳しい審判を下されながら、自らの疑惑をよそに、「深刻に受け止め」とか、「謙虚に丁寧に」とか、「しっかり、丁寧に」とか、他人事のように「うわべだけの反省」を口にできるというのは、それはそれで「人並み外れた能力」なのかもしれません─。

 「自民党に対する、厳しい叱咤と深刻に受け止め、深く反省しなければならない」

 そんな言葉をにわかに信じてしまう人は、よほどのお人好しか、おっちょこちょいでしょう。
 猿でもすると言われる「反省!」ですが、そんなことも絶対にできないという人類もいるのです。それが、我らの戴く宰相です。
 都議選最終盤の秋葉原駅頭で「アベ辞めろ!」を叫ぶ聴衆に激高したこの方が叫んだ言葉は、ご当人がなぜ「反省のできない人」なのかをよーく物語っています─。

 「こんな人たちに負けるわけにはいかないっ!」

 自分への批判は絶対に許さない。楯突く者にはどこまでも攻撃的に、おべんちゃらを言いながらすり寄ってくる人(「オトモダチ」)にはどこまでも面倒見よく振る舞うのです。
 こうしていつの間にか、まわりは「おべっか使い」ばかりになってしまいます。「1強の正体」とは、そんなものなのでしょう。
 そういえばきのうの記者会見で、秋葉原の一件を「有権者軽視では?」と問われた官房長官氏が、相も変わらぬ調子でこう答えていましたっけ─。

 「全く問題ありません。きわめて常識的な発言じゃないですか」と。

(「零細出版人の遠吠え」07/04より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年07月03日

≪メディア時評≫80年前の七夕と安倍暴走「一強政権」の行方

 今年の七夕は、心して迎えたい。夜空の天の川に目を凝らすより、いま地上で起きている事態に、胸騒ぎが走って仕方がないからだ。
 この日、ニューヨークの国連本部で核兵器禁止条約が採択される。しかし、唯一の戦争被爆国である日本政府は、条約交渉の国際会議にも参加せず、核兵器を「持つ国」と「持たざる国」のブリッジ役すら放棄して恥じない。
 政府が参加しない理由に挙げる、核の傘・核抑止力の考え方こそ、核兵器の拡散を招いた原因に他ならない。

 しかも、この会議に参加しない「核兵器を持つ大国」は、同日、ドイツ・ハンブルグでG20サミットを開く。
 これには環境や難民問題・人種差別への抗議など、多様なデモが企画され15万人の参加が見込まれる。<G20-Welcome to Hell>も計画されているという。

 わが永田町に目を戻すと、憲法9条つぶしの策動が勢いを増す。超党派の「日本会議国会議員懇談会」も、安倍提案に沿って、この秋の改憲発議に向けハッパをかける。
 そして丁度80年前の7日夜、盧溝橋事件が勃発。北京郊外の盧溝橋で夜間演習中の日本軍が実弾射撃音を聞いたとの理由で、近くの中国軍と戦闘になった。
 11日未明には停戦が成立したものの、軍部内の戦線拡大派に押し切られ、28日には北京・天津総攻撃を始め、日中全面戦争に突入した。

 あとは一瀉千里、10月中旬には国民に戦時意識を徹底し戦争に協力させる国民精神総動員運動が始まり、12月13日には日本軍は南京大虐殺へと走る。
 つい先日、強行可決された「共謀罪」法が、あと10日足らずして施行される。安倍暴走「一強政権」が、いつか来た道を歩む─この轍を断じて踏ませてはならない。

【今週の風考計】7.2より
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2017年06月30日

《おすすめ本》藤原聰・宮野健男『死刑捏造─松山事件・尊厳をかけた戦いの末に』自白の強要・証拠改ざんにより、死刑判決に追い込んだ警察と司法=大石芳野(写真家)

 本書は松山事件の膨大な記録とインタビューを盛り込み、他の事件にも触れつつ冤罪死刑事件の経緯と問題点を綿密に綴る。事件が決して過去になっていないと迫る。

 死刑判決を受けた斎藤幸夫は最終陳述で「逮捕された当時二十四歳、今は五十二歳です。…私のように社会的地位も名誉もない者でも真実はたった一つです」と述べた。
 彼は警察に別件逮捕され、自白を強要され、アリバイを潰され、証拠類をずさんに取り扱われ、捜査当局による捏造によって死刑判決に追い込まれた。彼の犯罪を信じ切れない両親や兄弟たち家族は離散し、財産を失いながらも懸命に立ち向かった。
 とりわけ母親の息子への深い愛情と強い信念は感動的だ。弁護士や救済者たちの熱意ある応援にも引き込まれる。

 その反面、警察権力の横暴さや悍ましさは「刑事ドラマ」さながらだ。私たちは「捜査当局による捏造」や「公正さを欠いた裁判」の実態に愕然とする。幸夫を強要自白に追い込んだ担当取調官は「これで署長になれる」と喜び、実現した。
 不安と怒りの幸夫を支えたのは「真実」だった。けれど失われた歳月は取り返しがつかないし、精神的な苦痛は拭えない。自由の身となっても世間の「犯罪者」というレッテルは付いて回り、就職もままならず、家族はその汚名に悩まされた。

 警察に疑われたら最後、なかなか逃れられないことを、本書は教えている。「共謀罪」法が強行採決された今、偏見と見込み捜査で疑われたら「一般人」でも一夜にして犯罪者に仕立てあげられかねない恐怖を抱く。冤罪が付きまとう死刑制度の根本が同時に問われている。
(筑摩書房2200円)
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2017年06月29日

《焦点》富山県議会「政活費」問題をスクープした同県チューリップテレビ報道制作局記者の砂沢智史さん=橋詰雅博

 2017年度日本記者クラブの特別賞は、富山県のチューリップテレビ報道制作局政務活動費取材チームが受賞した。市議が14人も辞職した富山市議会政活費不正取得をスクープした調査報道が評価された。最近、同取材チームの著書「富山市議はなぜ14人も辞めたか」が岩波書店から出版された。
 このチームの中心メンバーが砂沢智史さん(38)だ。広告、編成を経て記者2年目の昨年、チームの一員としてこの調査報道を手がけた。きっかけとなったのは、昨年4月中旬の議員報酬を10万円引き上げる問題だった。
 「市長の諮問機関『報酬等審議会』は、非公開の会議を2回開いただけで議員報酬の引き上げを決めた。市職員が会長のコメントを打ち切りにさせようとした。なぜここまでするのかと不信感を覚え、取材を加速。審議会会議録と、『打てる手は打ちましょう』と私の発案で不透明な全市議の政活費などの情報公開を請求した」
 これによって市議会のドンと言われた自民党の中川勇市議の白紙領収書を使った架空請求による政活費の不正取得疑惑が浮かび上がった。ハイライトは8月早朝の自宅での中川市議への直撃インタビュー。市政報告会を公民館で本当に開いたのかと砂沢記者の質問に対して中川議員は「『別なところで開いた』と自信ありげだった。答えを用意していた風に感じたが、心臓に当てた彼の手が小刻みに震えていたのが印象的でした」。
 辞職ドミノの後の市議会は政活費の閲覧など数々の議会改革を進めた。砂沢さんらのスクープの成果である。


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2017年06月28日

《焦点》 近づく国民投票 自民党、大量CMで改憲誘導 放送ワク押さえる電通=橋詰雅博

 本来なら国民に憲法改正の賛否を問う国民投票はやらない方がいい。しかし、国会は改憲勢力が衆参両院で3分の2以上を占めていて、改憲発議ができる状態だ。この勢いに乗じた安倍晋三首相の憲法九条への「自衛隊明記」発言を受けて、与党・自民党は年内に憲法改正原案を作成する。我が国初の国民投票の実施が現実味を増している。そこで「国民投票のルール改善(国民投票法の改正)を考え求める会」のメンバーでノンフィクション作家の本間龍氏(54)に国民投票法の改正点などを聞いた。
             ☆        ☆
――10年前に法制化された国民投票法に基づく投票運動はどんな内容なのか。
 投票できる年齢は来年6月から20歳から18歳に引き下げられる。また、運動が過熱するのを防ぐため投票日前14日間は改憲賛成、反対の有料テレビCMは禁止だ。禁止規定はこれだけです。この14日間以外は有料テレビ・ラジオCM、新聞・雑誌への広告、ネット空間でのPR、戸別訪問、ビラ・チラシの配布、夜間の街頭演説、街宣カーの使用など自由で、運動費用の上限もありません。国民投票に向けて立ち上がる国民投票広報協議会に登録(政党を除く)すれば、個人、企業、団体は賛成と反対の運動を展開できる。

欧州は全面禁止

――14日間だけだが、なぜ有料テレビCMが禁止になったのだろうか。
 法制化するにあたり与野党の国会議員が国民投票を行った欧州各国を視察し、各国ともテレビCMの禁止や規制を行っていた。国民投票の経験から影響力が強いテレビCMに縛りをかけた。フランス、英国、イタリア、スペインはテレビ・ラジオでのCMをほぼ全面的に禁止している。ただし、これらの国では国営と民間の両放送局は、放送時間を賛成派と反対派を平等に扱ったCM放送ワクを政府の資金で設定している。こうしたことで日本は14日間のテレビCM禁止を国民投票法に盛り込んだと思う。だが、これには抜け道がある。賛成と反対に勧誘するCMは禁止だが、『私は改憲に賛成(反対)です』といった自分の意見を言う「意見表明CM」は許されます。だから著名人や有力タレント、社会的に影響力を及ぼす団体が登場すると、広告効果はとても大きい。
――有料テレビCMに限っても、資金力のある陣営は大量に流せるが、運動資金の乏しい陣営は限られる。

潤沢な運動資金

 改憲陣営の中心は自民党です。受け取っている政党交付金は、一番多く、経団連などの経済団体や大企業などからも運動資金を短時間で相当な金額を集めることができる。豊富な運動資金を使ってテレビCMや高額なギャラを支払う有名タレントなどを起用した意見表明CMをバンバン流せば、世論を改憲ムードに傾けさせることは十分できる。
 片や、護憲陣営の運動資金は、個人カンパや安倍政権に不満を持つ中小・零細企業の寄付金がメイン。運動資金は少なく、テレビCMなどの本数は改憲陣営の足元に及ばないでしょう。金のある改憲陣営の方が圧倒的に有利だ。
――元博報堂社員で広告業界に詳しいからか、本間さんが、自民党の広報宣伝戦略担う電通に注目している理由は。
 電通はテレビのスポットCM(局が定めた時間帯に15秒間流れる)とタイムCM(スポンサーのついた番組の中で30秒間流れる)のワクを抑えている。自民党から得られる発議スケジュール情報をにらんで、改憲勧誘のテレビCMや意見表明CMをどこのワクに入れ込むかを決める。発議の翌日からテレビCMを放送できる。電通はこのほかにも新聞や雑誌、ラジオ、ネット、交通機関の広告ワクを持っていて、これらにも改憲賛成PRを流せる。一方、メディアには大きな広告収入が入る。論調が改憲賛成に向く可能性が出てくる。メディアがあからさまではないが、改憲賛成の論調をつくると、流れは加速します。
 3・11以前、原子力ムラが徹底的に流布した原発広告と記事によって多くの国民は国の原発推進政策を肯定してしまった。電通が広告テクニックを用いれば、国民を洗脳し、改憲賛成に走らせることができる。

主な改正は2点

――ではどうすれば不公平をなくせるのか。
 まず広告宣伝費のアッパーつまり上限を定める。その範囲内で改憲陣営と護憲陣営は、テレビCMや新聞、雑誌などに広告を打つ。テレビCMがもうひとつの問題。全面禁止にしたいが、現実的ではない。従って両陣営の放送回数は同じで、同一時間帯に流す。この最低2点を入れた国民投票法改正案を提案したい。日本民間放送連盟に動いてもらうよう働きかけます。民法連は自主ルールをつくると表明したが、今まで何もしていませんからね。
聞き手 橋詰雅博
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2017年06月26日

《遠吠え》2つの「学園スキャンダル」から人々の耳目を逸らさせようと血税4億円のバラマキ=田悟恒雄

 「政府から、お知らせします。弾道ミサイルが、日本に落下する可能性がある場合…」

 先週末から全国の民放43局で、いかにも取ってつけたように「弾道ミサイル落下時の行動」という政府広報CMが流され始めました。もちろん新聞各紙にも、「Jアラートで緊急情報が流れたら、慌てずに行動を。」との政府広報が…。
 これには、CM制作費と放送料に1.4億円、新聞広告料にも同じく1.4億円、ウェブ広告料に8000万と、締めて約4億円の血税が気前よくばらまかれます。
 で、その言わんとするところは、

  1)屋外スピーカーなどから国民保護サイレンと緊急情報が流れます。
  2)屋外では頑丈な建物や地下に避難を。
  3)近くに建物がなければ、物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守る。

 と、何やら「トンカラリンの隣組レベルのお触れ」です。こんなんで「ミサイル危機」なるものをやり過ごせるというのなら、そもそも「危機」なんて存在しないと白状しているも同然。
 現に、4月の金日成生誕150周年記念日には、官邸がいまにも日本にミサイルが飛んでくるかの「危機」を煽る一方、当のアベ氏は「桜を見る会」に興じていたのですよ。
 では、結局のところ何の意味があるのかといえば、想定外の支持率急降下をもたらした2つの「ハレンチ学園スキャンダル」から人々の耳目を逸らさせ、同時に、マスメディアに4億円からの税金をばらまくことによって、その追及の手を緩めてもらおうという浅はかな魂胆なのでしょう。
 そんな無駄金をはたくのなら、日本列島にひしめく原発をすべて廃炉にすることの方がよっぽど、「ミサイル対策」として有効なんじゃないかと思うのですがねぇ。

(「零細出版人の遠吠え」06/26より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年06月25日

《焦点》 団塊の世代は老後破産の予備軍=橋詰雅博

 100歳を超える高齢者は現在、約6万6000人(女性が約88%占める)もいる。46年連続増加。医療の進歩などが理由で、この先も増加する見込み。日本は超高齢化社会に入っているのだ。となると子どもが親の面倒みる期間が長くなる。20年以上親の介護をする人も少なくない。子ども自身も親と共に年老いていくから「共倒れ」だって起り得る。
 超高齢化社会の到来で、親の介護をしなければならない団塊の世代(1947年から49年に生まれた約800万人)は、「老後破産予備軍」となっている。貯蓄が尽きた高齢者の貧困生活を映像化し、大きな反響を呼んだNHKスペシャル番組「老後破産シリーズ」のチーフプロデュサーの板垣淑子さんは5月中旬に都内で講演した際、予備軍の実例をこう紹介した。
 「91歳の母親の介護をしている元自営業の67歳の男性のケースです。奥さんとは死別し、6年前から母親の面倒をみている。当初2000万円ほどの貯蓄があり、老後の生活は十分やっていけると思っていた。母親は週5日の訪問介護サービスや週2回のデイサービスなどを受け、介護費用を含め月の支出は15万円で7万円の赤字。重度の認知症の母親は徘徊を繰り返しているので、働きに出ることもできない。5年間貯蓄を取り崩してきた。自分の老後の蓄えは減る一方。少しでもお金を残しておかないと大変なことになるとわかっているが、支出は減らない。男性は『貯蓄が底をついたとき、自殺を考えるのではないか』と漏らしていた。
 母親を献身的に介護する男性は明るくふるまって居ましたが、将来への不安に襲われ魔が差し、母親を殺し、自分も自殺する可能性を感じました。団塊の世代は厳しい状況に追い込まれている」
 親の介護加えて定職につけない非正規雇用の団塊ジュニアを抱えていたら、老後破産は速まる。
 長寿社会がもたらす意外な「ひずみ」はこれからもいろいろ出てきそうだ。

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2017年06月24日

≪部会レポート≫「日米合同委員会」の正体を暴く─講演&クロストーク:吉田敏浩+末浪靖司

 出版部会は、9日、都内で〈日本の憲法より上にある「日米合同委員会」─その正体を暴く〉というテーマで、講演&クロストークを開催した。
 第1部で吉田敏浩(立教大学特任教授)さんが講演。自著『「日米合同委員会」の研究』をもとに、詳細なレジメと資料を参加者に配布し熱弁をふるった。以下、講演要旨。

 戦後70年、今もって日本政府は、在日米軍の基地や活動を規制することができず、事実上の治外法権下に置かれ、真の独立国といえない状態にある─この現実を直視することが肝心。
 米軍機が墜落事故を起こしても日本は手が出せない。米軍人・軍属の犯罪は公務中であれば、第1次裁判権は米軍側にある。これら米軍の特権を担保する裏の仕組みが、秘密に包まれた「日米合同委員会」である。

月に2回開かれる密室会議
 1952年に発足し、日本の高級官僚と在日米軍の高級軍人で構成。日本側代表は外務省北米局長、アメリカ側代表は在日米軍司令部副司令官。11の分科委員会と5つの部会を持ち、米軍基地の運用や米軍人・軍属に関する全ての問題が協議される。
 本会議は毎月、隔週の木曜日午前11時から、外務省の会議室と、ニューサンノー米軍センター(東京都港区南麻布・米軍の高級宿泊施設)にある在日米軍司令部専用の会議室で、交互に開かれる。関係者以外立ち入り禁止の密室で協議が重ねられ、議事録や合意文書は非公開だ。
 まさに日本の主権を侵害し、日本の「憲法体系」を無視して、米軍に特権を認める「日米合同委員会」の密約は膨大な数にのぼる。

米軍の特権を保障する密約
 たとえば米軍人の「身柄引き渡し密約」は、刑事特別法という国内法の規定に違反しているにもかかわらず、裏マニュアルで米軍に有利に処理する仕組みがある。
 「航空管制委任密約」も、日本の飛行機が自由に飛べず、米軍・戦闘機の訓練飛行や輸送機の発着などに独占的に使用することを認めている。
 「日米合同委員会」の密約は、憲法にもとづく国権の最高機関・国会にすら公開せず、主権者である国民・市民に対して秘密にしたまま「日米両政府を拘束」し、日本の立憲主義を侵食する闇の核心部となっている。
 まず私たちは、国政調査権を行使し、「日米合同委員会」の合意文書や議事録を全面公開させる。そして米軍の特権を認める合意・密約を廃棄し、「日米合同委員会」そのものを廃止する。真の主権回復と主権在民を実現する要だ、と強調した。

ジャーナリズムの原点にある体験
 第2部で『対米従属の正体』を著わした末浪靖司さんとのクロストークが行われ、貴重な体験が披露された。
 吉田さんはビルマの辺境民族を取材した『森の回廊』(NHK出版)で、1996年に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞されている。なぜ彼が「日米合同委員会」をテーマにするのか、貴重な体験を披露してくださった。
 今から27年前、ビルマ(ミャンマー)北部のカチン族を取材する中で、政府軍とカチン独立軍が内戦を繰り広げ、人びとが死や苦難に追いこまれる現実に遭遇してきた。また今も語り継がれる「ジャパン・マジャン」(日本語に直すと「日本戦争」)による悲惨な体験を耳にしてきた。フィリピンでは「キャプテン・ヨシダ」の部隊が村人を殺した話を聞かされ、「その親戚か?」と詰問された苦い思いがある。
 旧日本軍によるアジア侵略の爪痕を見聞するにつけ、再び日本が他国の人びとを殺傷し、苦しめる事態にしてはいけないと痛感した。「海外派兵して戦争のできる国」にさせないためにも、「日米合同委員会」の追求は欠かせない、という。
 末浪さんは米国公文書館での地道な英文書類の精読の日々を語り、「自衛隊が米軍の指揮下で戦争する〈指揮権密約〉の存在」を指摘され、危険性を訴えた。(文責:守屋龍一)
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2017年06月20日

《遠吠え》首相のウソ臭い独演会ををオビでダラダラ流していては、まるでどこかの独裁国みたいに=田悟恒雄

 昨夕、急遽もたれたアベ首相記者会見。テレビ東京のアニメ以外は、TV各局どこもこれ。同じ「役者」が同じ顔して、早口でしゃべりまくっています。
 「率直な反省」だの、「真摯な説明責任」だの、「丁寧に説明する努力」だの、およそこの男には似つかわしくないフレーズが、いかにも軽くあたりを浮遊しています。如何せん、「所詮は儚いシャボン玉」のようなものですから、じきにパチンとはじけます。
 えっ、何ですって? 「政策とは関係のない議論ばかりに多くの審議時間が割かれた」ですって? 「印象操作のような議論に対して、つい強い口調で反論してしまう」ですって?
 冗談言っちゃいけません。そんな議論の原因を作ったのは、あんた方「アベ一族」と「アベ一強政治」じゃないですか? しかも、ひたすらその疑惑の解明を妨げるために、あるものをないとするなど、見苦しいあがきを続けたんじゃないですか? 自分の非をすぐ他人になすりつけようとする「幼児的印象操作」は、そろそろ止めにしてはいかが?

 で、視聴者が「もういい加減にしたら?」と思い始めた頃合いを見計らったわけでもないでしょうが、テレビ朝日とTBSはほどなくCMに入り、その後は別のニュースに。念のため他局も覗いてみると、NHK、日本テレビ、フジテレビは、まだ飽きがこないよう。
 でも、しばらくしてまた覗くと、民放はすべて撤退、NHKの独壇場となっていました。そりゃそうですよねぇ、こんな「ウソ臭い独演会」をオビでダラダラ流していたのでは、どこかの独裁国みたいですもんね。いや待てよ、この国はもう、そんな地点に来ているのかもしれませんよ。

(「零細出版人の遠吠え」06/20より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年06月15日

≪おすすめ本≫ 三上智恵『風(かじ)かたか 「標的の島」撮影記』─沖縄の島々を<風よけ>にするのは誰か=鈴木耕(編集者)

 私は長年、雑誌や書籍の編集という仕事をしてきた。だから、作家やジャーナリストなど物書きの方々の知人友人も多い。そういう方の本の書評を頼まれることもよくある。親しい人の本の書評は難しい。書きながら、著者の顔が浮かぶからだ。
 本書の著者とは、もう十年来の友人。だが本書の書評はまったく難しくない。とにかく素晴らしいのだから、素直に推奨すればいい。

 表題は、沖縄方言で「風よけ」のことをいう。誰のために、何から何を守るための風よけなのか。それが痛いほど伝わってくる。帯に「辺野古・高江・宮古・石垣―島々を“風よけ”にしようとするのは誰なのか?」とある。それが本書の叫びだ。
 著者は<標的の島>という優れたドキュメンタリー映画を撮りながら、ウェブ上の「マガジン9」に、リアルタイムの報告と現場の怒りの声を連載。それが本書となった。

 冒頭に掲げられる、まるで詩のような美しい文章に胸がつまる。「この本を辺野古の平和運動の象徴だった嘉陽宗義さんに捧げます」とあるように、著者の心の支えでもあった、おじいへのオマージュ。それはまた、屈せぬ著者の決意の詩でもある。闘う人に著者の目はフォーカスされる。

 高江の大弾圧、辺野古での座り込み、宮古島要塞化計画、ヒロジさんや文子おばあの闘い、素知らぬ顔をし続ける本土、翁長知事の決意……そして「残酷な12月」の辺野古工事再開。
 どこを開いても、私は拳を握り締め、また沖縄へ行かなければ…と思うのだ。

(大月書店1500円)
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2017年06月13日

《遠吠え》「アマゾンのインセンティブ」に目が眩んでしまう前に、よーく心しておきたい2つのポイント=田悟恒雄

 いま、わが出版界を揺るがすのは、何と言っても「アマゾンのバックオーダー発注終了」問題でしょう。と言っても、業界外の方には何のことやらさっぱりわかりません。
 そこで、ごく大ざっぱな「絵解き」を試みますと─、

 アマゾン社は日本の出版物の調達を、書籍は主として日販(一部は大阪屋)から、雑誌・コミックはトーハンからというように、取次店(出版物問屋)を使い分けています。つまりアマゾンは、出版取次業界1〜3位の取次店を束ねた "3頭立ての馬車" を操っていると言えます。
 うち、日販を通じた既刊書の取引には、在庫商品仕入(スタンダード発注)と、非在庫商品の取り寄せ(バックオーダー発注)とがあります。
 で、たとえばリベルタの本のようにあまり動きの芳しくない本は、常時在庫は無駄ということで、アマゾンが受注してから、まずは日販に「バックオーダー発注」がかけられます。そして、この方式を今月でやめてしまうという、突然の通告なのです。
 では、その後はどうしたら? アマゾン社はしきりと、同社との直接取引「e託」なるものに出版社を引き込もうとしています。つまりは、「取次外し」というわけです。
 そんなアマゾンの「お触れ」が、連休直前、零細出版社にも届いたのですが、休み明けになるとこんどは、これに対する日販の「見解」が追い討ちをかけます─。

 「今回のお申し入れのままでは、出版社の取引の選択が狭められ、対応ができない社が出ることも懸念されます」

 というのです。さもありなん。真っ先に「対応できなくなりそうな」零細出版者としては、尻に火がついた格好です。
 ところで、このたびアマゾンがこのように乱暴とも思える挙に出た背景には、「取次の足元を見た」こともあるのかもしれません。というのは、とりわけ1980年代以降に創業した「新規出版社」の間には、取次によるさまざまな「差別取引」に苦しめられてきたところが多いからです。
 そんな中小零細版元にしてみれば、アマゾンが鼻先に突き付ける直取引の条件は、あからさまな「差別」は見えにくく、一見「好条件」と映らなくもありません。
 しかし、「アマゾンのインセンティブ」に目が眩んでしまう前に、よーく心しておきたい2つのポイントを、零細出版人の歯に衣を着せぬ "恨み節"「前門のアマゾン、後門の取次」から引いておきましょう─。

 「まずは、その初期の契約条件がせいぜい1〜2年限りのものでしかないこと。先方の間尺に合わなくなれば、いつでも無慈悲に破棄されることを覚悟しておかなければならない。
 そして、くだんの『e託販売サービス規約』第7条には、『甲(アマゾン)は単独の裁量で、乙(出版社)のタイトルの小売価格を決定します』と、白昼堂々『再販制崩し』を宣言していることも、見逃してはなるまい。」

(「零細出版人の遠吠え」06/12-13より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年06月10日

≪おすすめ本≫ 後藤政子『キューバ現代史 革命から対米関係改善まで』─「社会主義」キューバの歩み、原点にあるホセ・マルティの思想=吉原功(明治学院大学名誉教授)

 1959年、カリブ海の島国キューバで革命運動が勝利した。当初、社会主義をめざしたわけではない革命政府は、米国による反革命攻撃、経済的締め付け、ソ連の援助申し出などがあり、やがて社会主義を宣言する。
 米国フロリダからわずか145qの小国。米国の厳しい経済封鎖、絶え間ない政府転覆策謀や指導者フィデル・カストロの暗殺計画にもかかわらず、この国の「社会主義」が、半世紀を超えて生きながらえている謎に答えてくれるのが本書だ。

 キーポイントは「(19世紀末の独立運動の指導者)ホセ・マルティの思想」、「人間は自由な存在」であり「自由とは他者の自由の拡大」であり、独立後の社会は「すべての人びとの幸せ」「最も虐げられた人びとの解放が最優先」などを核とする思想が「キューバ革命の基本理念」にある。
 「貧困層の生活向上や黒人や女性の平等」「教育や医療の無償化」などが、革命後の政策に具体化されている。

 ソ連圏の崩壞によってキューバの社会主義は存亡の危機に直面するが、克服できたのは80年代を通して「社会主義見直し」運動による、という指摘は興味深い。
 20年の経験を総括し、キューバの特性・課題に適合した社会主義、マルティの人間主義的思想に、さらに近づく社会主義への道を、模索しはじめたのである。

 トランプ政権の誕生により米国との「正常化交渉」は不透明になったが、マルティ思想を活かしつつ経済的豊かさをも享受できる社会を目指すキューバ社会の動向は、人間社会全体にとっても重要な意味をもっていよう。本書は格好の教材だ。

(明石書店2800円)
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2017年06月07日

《遠吠え》私らの戴く政府は「印象操作」で議論を閉ざし、5歳児レベルの同義反復フレーズにしがみつく=田悟恒雄

 えっ、ナニ !? 5日夜のNHKのニュースを視ていて、思わず耳の穴をほじくってしまいました─。

 「『加計学園』が計画している獣医学部をめぐり、『官邸の最高レベルが言っていること』などと記された文書は文部科学省内の複数の課の少なくとも10人以上の職員にメールで複数回、送信され、今も個人のパソコンの中などに保管されていることがNHKの取材でわかりました。」

 「加計学園疑惑」が公になってから、どうにも煮え切らない報道ぶりが目に付いたアノNHKが、ようやく本気になって追及し始めたのでしょうか?

 「職員の1人は『専門教育課が大臣の説明資料として作成したもので、私も文書を持っている』と話しています。これまで文部科学省は文書について職員に聞き取ったほか、共有フォルダーなどを調べた結果、『文書の存在は確認できなかった』と発表し、個人のパソコンについては今後も調べるつもりはないと述べていました」とも。

 何せ世論調査では、この問題での政府の説明に「納得できる」人はたったの16%、「納得できない」人は72%にも及びます(JNN)。視聴者・国民のほとんどは、ナントカの一つ覚えの「印象操作」に惑わされなくたって、「王様は裸」に気づいているということ。
 だからNHKだって、いつまでも「裸の王様」の行列のお供をしているわけにもゆかなくなったのでしょう。

 で、翌6日の東京新聞夕刊によると、このNHK報道について、松野博一文科相はこう語っています─。

 「報道があったことは承知しているが、実際にそれが文部科学省の職員から発言があったかどうかについて確認することができないので、それを前提にした質問に答えることは差し控えたい」と。

 もう「何が何でも調べたくない」ってことなのでしょう。でも、こうも言っています─。

 「こういったところから出て、ということが明らかになれば、調査に関して対応をしっかり検討する」

 つまり、実名を明かして顔出ししてくれれば「対応を検討」してやろうか、というわけです。どこまでも「不正の内部告発はさせまい」という不誠実な態度に終始しています。おそらくは前川喜平さんの言うとおり、文科省は「ヘビに睨まれたカエル」で、情けないことに竦みきっているのでしょう。
 「官邸の最高レベル」から「劣化閣僚」の面々に至るまで、アベ政権のこの間の一連の対応を見ていて、私は昔、5歳の息子が書いた日記のフレーズを思い出してしまいました─。

 「きょうは、つまらないからつまらなかった。」

 私らの戴く政府は、「印象操作だっ!」の連発で議論をシャットアウトしたうえで、「5歳児レベルの同義反復フレーズ」にしがみついている、といった格好なのかもしれません。

(「零細出版人の遠吠え」06/06-07より。 http://www.liberta-s.com/
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≪出版界の動き≫ 「アマゾンのバックオーダー発注中止」の波紋

●アマゾンジャパンは一部の既刊本について日販への発注を6月末で取りやめる。日販に在庫がない書籍を調達する場合は、アマゾンが出版社から直接取り寄せる方式に順次改める。書店がアマゾンに蚕食されつつあるなか、取次という物流までもがアマゾンに支配される。

●新栄堂書店は池袋サンシャイン店を5月28日に閉店、約38年間の営業を閉じる。その後は、くまざわ書店が出店の予定。新栄堂書店は新宿パークタワー店だけとなるが、7月には東京・南池袋に新規出店の計画がある。

●取協・雑協が「12月31日特別発売、年末年始キャンペーン」の総括を発表。12月29日〜1月4日の販売実績を前年比で調査。12月31日特別発売の「雑誌」は17.3%増、発売日が設定されない1月4日の販売は「雑誌」22.2%減。7日間の年末年始の総計では「雑誌」1.5%増。

●4月の返品率は書籍26.5%(278億円)、雑誌40.0%(286億円)。雑誌返品率は3ヵ月連続40%を超える。週刊誌・月刊誌は断裁。紙の浪費・資源問題にリンクしかねない。

●「朝日新聞『押し紙率32%』に愕然」の記事(『FACTA』5月号)は、1999年の発行部数829万4千部、実売771万3千部、残紙58万1千部。2016年の発行部数654万部、実売444万7千部、残紙209万3千部・残紙率32%となり、3部に1部が毎日廃棄されているという。2020年には発行部数463万部、実売部数324万部まで落ちこむと予測。なにも押し紙は朝日のみならず読売や日経も同じで、毎日新聞や産経新聞はさらに深刻といわれている。

●ブックオフ─2017年3月期第3四半期(H28.4.1〜同12.31)の売上高600億(前年同期比7.0%増)。しかしアルバイト増員による人件費、新規出店費用の増加などで、営業損失5億1200万円。2年連続の赤字で社長交代。
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2017年06月05日

≪お知らせ≫ 講演&クロストーク《日本の憲法より上にある「日米合同委員会」の正体を暴く》=出版部会6月例会

 日本のエリート官僚と在日米軍の幹部が集まり、「日米合同委員会」という名の会議が、毎月2回、開かれている。
 その協議は、厚い秘密のベールに包まれたまま。決まった内容は、国会も関与できず、憲法よりも優先される。
 1952年の発足以来、日本の主権を侵害し続ける、“影の政府”の実像と権力構造の正体に迫る。

日時:6月9日 (金) 18時15分〜20時50分
会場:YMCAアジア青少年センター3階会議室
  (東京都千代田区猿楽町 2-5-5 ☎03−3233−0611 JR水道橋駅・東口改札出る)
講演:吉田敏浩(立教大学特任教授)
クロストーク:末浪靖司(ジャーナリスト)&吉田敏浩
資料代:500円(会員・学生300円)

<主催>日本ジャーナリスト会議(JCJ)出版部会
連絡先:電話03-3291-6475 メールアドレス:office@jcj.gr.jp
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2017年06月03日

≪メディア時評≫ 内心の自由を「黙示的共謀」で縛る危険な狙い= 守屋龍一

 安倍政権・自公両党と別働隊日本維新の会は、「共謀罪」法案を強行可決。この暴挙を許すな!
 あらためて確認しよう。「共謀罪」法は、犯罪行為の「予備」や「未遂」よりも前の行為を処罰する法律だ。その法でいう「準備行為」とは何か。「組織の変質」は誰が判断するのか。「一般人」に及ばないという規定は、どこにあるのか。

 それらの認定や判断は、全て捜査機関や裁判所に委ねられている。「内心」や「準備行為」を探るには、日常的な監視、メール・LINE の盗み読みが不可欠。さらには逮捕、自白の強要、証拠のねつ造すらありうる。「共謀罪」は死刑から懲役4年以上。誰でも犯罪者や死刑囚になりうる。

 藤原聡・宮野健男『死刑捏造─松山事件・尊厳をかけた戦いの末に』(筑摩書房)は、24歳の若者が逮捕され、自分の留置場に送りこまれた警察ダミーに「自白」をそそのかされ、殺人犯にデッチあげられ死刑が確定。だが獄中29年の闘いで、無罪を勝ちとる軌跡を追う。
 共著者の一人・藤原聡さんは「足利事件の無罪といい、袴田事件の冤罪も含め、死刑まで捏造して、無実の人間がズタズタにされる悲劇を繰り返してはならない。今も代用監獄での取り調べ・自白の強要が続き、捜査や刑事司法の在り方が問われている」と言う。

 最近でも、風力発電所の建設に反対する一般市民の言動や集まりを警察が監視する大垣事件が起きている。刑事が情報収集を目的に忍びこみ、内容を電力会社に提供していた。まさに「一般人」がターゲット。

 日本の刑法では、犯罪が成り立つには「共謀」や「準備行為」だけではダメ。最低「実行に移した」という「事実」が必要となる。
 しかし「共謀罪」が成立すれば、「共謀」「準備行為」で犯罪となるから、捜査機関は監視、盗聴、潜入、密告奨励、挑発へと拡大させ「内心」捜査に必死となる。

 くわえて「共謀」の概念に、「未必の故意」の「黙示的共謀」まで、取りこむ危険性がある。現に昨年9月の静岡地裁は、立候補予定者のチラシを配布した事件に対し、「黙示的な共謀があった」と認定、6人全員に有罪判決を出した。
 「あうんの呼吸、暗黙の了解」すら「共謀」とみなし、犯罪とするのだから、冤罪事件が発生するのは目に見えている。

 〈森友疑惑〉や〈加計学園問題〉が象徴するように、政治家・官僚の「忖度」がはびこる。「共謀」と勘繰られてもおかしくない。だからか政治家が関係する犯罪は「共謀罪」の適用から外されている。
 しかし「共謀」の概念を恣意的に使い、「一般人」への適用に及べば、「テロ防止」など吹っ飛び、「政治権力にとって目障りな人々や組織を、監視・処罰する」法律へ一変する。
 力を合わせ廃案へ追いこもう。
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2017年06月02日

《遠吠え》「ウソやごまかし」で汚濁しきった永田町・霞が関界隈にも、これほどの人格者が潜んでいた!=田悟恒雄

 昨夜の「報道ステーション」の「加計学園問題…前川前次官に単独取材」。富川キャスターのインタビューを受ける前川さんの受け答えは、実に誠実かつ堂々たるものでした。
 なかでも零細出版人の関心を引きつけたいくつかの論点─。

▽「政治主導」と「官邸主導」
 小泉政権時は「総理指示」は明確に言われたが、それに対して明確に反対することもできた。しかし、「報復人事」のようなものはなかった。現在は、「指示」があいまいな形で伝わってくる。意思決定が踏むべきステップを踏んでいない。

▽「情報公開」と「守秘義務」
 国民のコントロールの及ばない権力はダメ。それには国民が知っている必要がある。それを知らせるのはメディアの役割。よく公務員の「守秘義務」が言われるが、そもそも「秘」にしてはいけないものを「秘」にしてしまうことこそが問題。

▽「文科省文書」
 文科省は問題の文書は「確認できなかった」と言っているのであって、「なかった」とは言っていない。おそらく「確認できないような探し方」をしたのだろうが、それは「ウソ」とはならないギリギリの説明。

▽「表現の自由」
 私の座右の銘は「面従腹背」。これは役人の心得として必要なもの。官僚を辞めたいまは「面従」は不要になったので、「面背腹背」。「表現の自由を100%享受できる喜び」は大変なもの。

いやー、すっかり圧倒されてしまいました。「ウソやごまかし」で汚濁しきった永田町・霞が関界隈にも、これほどの人格者が潜んでいたっていうことです。

(「零細出版人の遠吠え」06/02より。 http://www.liberta-s.com/
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2017年06月01日

≪おすすめ本≫沖縄タイムス編集局 編『これってホント? 誤解だらけの沖縄基地』─沖縄の現実から目をそらし基地撤去の願いに背く風潮を問う=川村史子(JCJ北海道支部)

「広辞苑」によると「誤解」とは、意味をとり違えること、間違った理解をすること−と定義されている。日々の生活に米軍基地が関わり合う沖縄の人々に対し、単に誤解で済ませてよい問題だろうか。読み進むうちにそんな気持ちになってきた。

 本書は昨年1月から8月まで沖縄タイムスで連載された「誤解だらけの沖縄基地」をベースに再構成し加筆したものだ。文章は平易で図表なども多く、基地問題は苦手な人でも読みやすい。

 ネットや口コミで流される各種の誤解を「在日米軍」「基地経済」「普天間」「海兵隊の抑止力」などにジャンル分け。「地理的に重要だから沖縄に海兵隊を置くのか?」「日本防衛の義務、在日米軍にあるのか?」「基地がなければ沖縄経済は破綻?」などの質問に、公表された統計データや史実を基に丁寧に反証する。

 ところでこれらの「誤解」は、どこから生まれるのか。沖縄に行った経験がない人でも、沖縄に米軍基地が集中し犯罪や騒音などで沖縄県民が苦しんでいる現状は知っているはずだ。そして日米安全保障条約に基づく日米同盟のため在日米軍基地が不可欠なことも。
だから国民も自分の近くに米軍基地が来ないよう沖縄の現実から目をそらし、話題にするのを避けているように思う。

 本土メディアにも責任はないのか。「辺野古移設が唯一の解決策」を固持する日本政府の方針も広い意味では「誤解」だ。辺野古の新基地建設に根強く反対する沖縄の人々の視点に立ち解決策を探る報道がもっと多くあってもよい。

(高文研1700円)
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2017年05月29日

《焦点》 「押し紙」国会で35年ぶりに論議、新聞の弱み握る安倍政権、メディア操作に利用=橋詰雅博

 国会で35年ぶりに「押し紙」問題が論議された。新聞配達もしたことがある日本共産党の清水忠史衆院議員が、3月末の衆院消費者問題委員会と4月中旬の経済産業委員会で取り上げた。清水議員は、所管する経済産業省に実態調査を提案。世耕弘成大臣は「(新聞販売店を束ねる)日本新聞販売協会から相談があれば、対応したい」と答弁した。新聞社が部数を水増しするため販売店に無理やり買い取らせる読者のいない新聞「押し紙」を長年追及してきたジャーナリストの黒薮哲哉さん(59)に聞いた。

全国紙で30%

――「押し紙」の現状はどうなっているのか。
 昨年3月24日に公正取引委員会は、朝日新聞社に対して(押し紙)は独占禁止法違反につながる恐れがあるとして、違法行為(不公正な取引方法)の未然防止を図る観点から注意をしている。その朝日の「押し紙」の割合だが、清水議員はある朝日新聞販売店のケースでは約30%と指摘していた。私が入手している複数の資料でも30%程度なので、朝日の押し紙の割合を推測する目安になります。朝日以外の全国紙の押し紙も少なくても30%はあると見ています。また、清水議員は読売の販売店では、押し紙が混ざって、前日の新聞が誤って配られた事例や毎日が現在、販売店との間で押し紙裁判を抱えている事実も明らかにした。
――販売店に買い取らせている押し紙で新聞社はどのくらいの収入を得ているのか。
 少し古い数字だが、2004年に外部に漏れた毎日新聞の「朝刊発証数(読者に発行される領収書の数)推移」をもとに試算した。02年10月当時、毎日新聞の発行部数は約395万部。発証数251万分を差し引くと144万部が押し紙。144万部をすべて朝刊だけと前提にする。毎月の購読料約3000円の半分を販売店は新聞社に上納し、残る1500円が収入になる。144万部の押し紙を徴収した場合の毎日の収入は月額21億4000万円。年間では259億2000万円にのぼる。ただし、本当にすべての押し紙について、集金が完了しているかどうか分からない。担当者の裁量である程度、免除されていることもある。ともあれ、押し紙を介して巨額の資金が販売店から新聞社に流れるシステムが構築されている。

90年代から変質

――世耕大臣が名指した日本新聞販売協会(日販協)はなぜ動かないのか。
 日販協は80年代のころまでは、押し紙問題解決に向けて熱心に取り組んでいた。ところが90年代ころから変質。再販売価格維持制度(再販)の指定から新聞を除外しようと政府が動き出したのが主因。再販の指定から外れたら購読料は自由競争になり、業界は大混乱に陥る。新聞社の経営は大打撃を受ける。再販維持のため日販協は、結成した日販協政治連盟を通じて自民党や公明党の国会議員にかなりの額の政治献金をしている。選挙では自公候補者を推薦。14年暮れの総選挙は、139人推薦し、131人が当選。こうした政界工作の背景には19年10月に実施される消費税10%の値上げに際して、新聞を軽減税率の対象に加えてほしいという狙いもあります。
――押し紙を買い取る代わりに新聞社から補助金を受け取る販売店が押し紙拒否の訴訟を起こすのはなぜか。
 折り込みチラシ広告が急減し、読者は減り続け、押し紙をさばき切れない。そっくりそのまま古紙にしている現状はまともな商売ではないと考える店主は増えている。押し紙を断り正常な商売をしたいという思いが訴訟に踏み切らせている。ただ、訴訟になっても販売店と新聞社が和解するケースが目立ってきた。敗訴の判例を残したくない新聞社が和解金を販売店に支払っている。裁判官も新聞社を批判した判決文を書きたくないので、和解をすすめる。和解を受け入れると大喜びする裁判官もいます。

新聞社つぶしも

――押し紙は読者にどんな不利益をもたらすのか。
 安倍首相は、小泉内閣時代に官房長官を務めていた06年3月の国会答弁で、押し紙があることを認める発言をしている。経産省も公取委も実態を知っている。それなのになぜ公取委は押し紙排除措置命令を出さないのか。弱みの押し紙を握ることで、新聞社に無言の圧力をかけて意のままに操ろうと安倍政権は考えている。メディアコントロールです。反政府的言動が強まれば、押し紙問題にメスを入れて、新聞社潰しが可能な状態にしているのだ。これでは言いたいことが言えない紙面になってしまい、本当のことが読者に伝わらない。ジャーナリズムの役割を果たしていません。正確な情報を得られない読者は不利益を被っている。押し紙に加えて再販維持、軽減税率は新聞社の3大弱みだ。
聞き手 橋詰雅博
posted by ロバの耳 at 13:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月27日

《焦点》 やくざは取材対象者と押し切る=橋詰雅博

 ドキュメンタリー映画で観客動員数が1万人を超えるとヒットというのが業界の見立てだ。その4倍の4万人の観客を動員したのが東海テレビ制作の「ヤクザと憲法」(2016年1月公開)。異例の大ヒットだが、長編アニメ映画「君の名は。」は1500万人だから同じ映画なのに置かれている状況は雲泥の差。それでも東海テレビはドキュメンタリー映画の制作に情熱を燃やし続けている。
 4月下旬に都内でこの傑作「やくざと憲法」の上映会が開かれた。主催した憲法と表現の自由を考える出版人懇談会から招かれたプロデューサーの阿武野勝彦さんと監督の土方宏史さんが映画制作の舞台裏を語った。指定暴力団「二代目東組」の二次団体「二代目清勇会」の大阪府堺市にある事務所内に撮影カメラが入ったこの映画は、やくざの日常生活を完全密着取材。やくざの生態が洗いざらい映っている。暴力団対策法(91年)に続く自治体の暴力団排除条例によってやくざは「すべての国民は法の下に平等」とうたった憲法14条の埒外に置かれ、人権がない捨てられた国民≠ノなっている。しかし人間であることに変わりない。映画はそうした視点が内在しているのだが、制作前の15年3月末に東海テレビで72分間に編集されたものが放送された。
 実は局内では放送するかやめるかで揉めたそうだ。なぜならば日本民間放送連盟は、暴排条例が全国の自治体で施行された11年10月に「出演契約における反社会的勢力排除についての指針」を発表し、やくざの出演を禁じたからだ。
阿武野さんはこう言った。
「放送反対派は『やくざと憲法』は指針にふれるのではないかいう意見でした。結局、『彼らは出演者ではなく取材対象者だ』という我々の主張が受け入れられた。やくざを取材対象者にしただけで、同調も同化もない。ジャーナリズムの役割を果たせたと自負している」


posted by ロバの耳 at 11:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする