2018年05月20日

【今週の風考計】5.20─出版界を脅かすアマゾン膨張と「デジタル課税」の必要性

★アマゾン膨張が激しい。日本での2017年度売上高が1兆3335億円(前年比14.4%増)となった。そのうち出版物の売上げは5400億円を超す。日本の出版物販売額の30%を占める。
★しかしアマゾンジャパンへの課税は1割でしかない。日本で生じた売上高の約9割を米国本社に計上し、日本での課税を逃れているからだ。いまやアマゾンは税金を払わない企業のトップをいく。日本のみならず世界中で問題になっている。

★世界各国にあるアマゾンの子会社は、本社からの「物流・管理業務の委託」であり、販売業務はしていないという契約形態をとり、海外で稼いだ利益の9割を、アメリカ本社に収めるカラクリを取っているためだ。販売による利益がないのだから、現地国へ法人税を支払う必要はないという論理だ。
★しかも日本の税法では恒久的施設がなければ、事業利得には課税されない。アマゾンは、この税法をずる賢く使い、日本に設置したネット通販事業用の物流センターは単なる倉庫だと主張し、課税を逃れている。

★アマゾン本社は、子会社を税金の安いタックスヘイブンに置き、グループ全体の利益をそこに集中させて、節税をしている。アメリカ本国でもアマゾンの年間売り上げが10兆円をこえるのに、税金は560億円ほど。これではアマゾンのジェフ・ベゾスCEOに非難が集まるのも無理はない。
★国際的な課税逃れに走るアマゾンやグーグルから、どうやって税金を徴収するか。3月中旬、EUは国際的な巨大ネット企業を対象とした「デジタル課税」の導入を加盟国に提案した。売上高の3%を課税する案である。日本も急ぎ検討すべきだ。(2018/5/20)
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2018年05月16日

≪おすすめ本≫ 青木 理『情報隠蔽国家』─国家権力による情報隠蔽と市民監視の実態を鋭く抉る=倉重篤郎(毎日新聞専門編集委員)

 『日本会議の正体』(平凡社新書)、『安倍三代』(朝日新聞出版)と、安倍一強・右傾化社会の深部を抉るノンフィクションを、立て続けに出した著者が、今度は日本国家の防衛省、公安調査庁、警察庁といった諜報組織の実態と、その情報隠蔽体質を俎上に上げた。
 冒頭の「現職自衛官実名告白」の項が興味深い。防衛省情報本部で、ある情報漏洩事件が発覚、漏洩元と疑われた3等陸佐が無罪を訴え、ついには国を相手取り損害賠償請求訴訟を起こした。
 フットワークのいい著者はこれを見逃さない。被疑自衛官にインタビューし、国家機密の中枢で何が起きているかを浮き彫りにし、漏洩されたとする黒塗り機密文書(自衛隊統幕長と米陸軍参謀総長の会談記録)から米側から命じられ、日本側が摺り寄っていく日米同盟の本質を読み込む。
 「日本の公安警察」(講談社現代新書)という著作もある筆者だ。加計問題を告発した前川喜平前文部事務次官が、出会い系バーに通っていた、と読売新聞に報道されたことにも切り込む。

 読売報道以前に前川氏は首相官邸の杉田和博副長官から警告を受けていた。となると官邸からのリークによる読売報道ではなかったか。著者はその答えを断定しないが、杉田氏の出身母体である公安警察という組織が、左翼勢力の監視だけでなく、幅広い政治情報の収集に路線を変え、それを利用することで存在感を誇示するようになった、との背景を抉っている。
 保坂正康氏との対談では、この情報隠蔽社会では、告発する第二、第三の前川氏を生み出すような環境作りが大切だと、一致した意見だ。私も同感だ。
(河出書房新社1600円)
「情報隠蔽国家」.jpg
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2018年05月13日

【今週の風考計】5.13─「加計疑惑」への柳瀬答弁に加え、改ざん前の「森友文書」公開で、進退窮まった安倍政権!

「加計疑惑」をめぐる国会での柳瀬答弁が、もう出鱈目でズタズタにされた。愛媛県の中村時広知事が、面会した日付のある柳瀬氏の名刺と柳瀬発言をまとめた職員メモを公開し、反論したからたまらない。
柳瀬氏と打ち合わせをし、白々しい芝居を打たせ嘘をつかせているのは、加計孝太郎氏と腹心の友である安倍首相に他ならない。「膿を出し切る」どころか、いかに加計学園が“特別な厚遇”を受けてきたか、さらに浮き彫りとなった。

暴言居士・麻生太郎財務相の進退も窮まった。「セクハラ罪っていう罪はない」の発言、二次被害など眼中にない。「森友文書」改ざんでは「どの組織だって改ざんはありえる話。個人の問題ではないか」と応ずる。
公文書改ざんという国家的犯罪をしでかしたのに、そのトップが堂々と開き直る始末だ。しかもこれに関わった職員が自殺する事件まで出たというのに、責任を「個人」に押しつける。政治家が最低限もち合わせるべき倫理観すらない。

18日には改ざん前の「森友文書」が国会に提出される。改ざんは14件の文書で確認され、改ざん前文書の全文は本省分1件のみ公表されていたが、残る近畿財務局分の13件についての全文が提示される。かつ森友学園側とのやりとりを記した近畿財務局のメールなども数百ページ分、残っていたという。
ともあれ改ざんの動機について、どのように言及するのか。安倍首相への忖度があったのは間違いない。当時の佐川宣寿理財局長に虚偽答弁を強要し、行政だけでなく国会さえも歪めてきた安倍首相の責任は重大だ。このまま逃がすわけにはいかない。(2018/5/13)
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2018年05月10日

≪出版界の動き≫ 4月─海賊版「漫画村」サイトの遮断に潜む危険

●3月の書籍・雑誌販売金額1625億円(前年比8.0%減)。雑誌608億円(同15.0%減)、返品率は書籍27.1%、雑誌42.0%。
●KADOKAWAが、東京・飯田橋の自社ビル9階にレストラン「INUA」を開業。スウエーデンの高級料理店「noma」のシェフが調理責任者となり、同社の100%子会社Ks Labが運営する。
●講談社は5月からスカイマークの機内誌を全面プロデュースする。毎月1日発行。スカイマークの月間搭乗者70万人に向け、空の旅が充実する上質で魅力的な誌面づくりを目指す。
●CCCは大阪と東京の旭屋書店と資本提携し、2社が発行する株式の3割強を取得。計14店舗を運営する。CCCの脇尊裕氏が新代表取締役社長に。

●出版協が4月25日、自民党文教議員と文部官僚による前川氏講演への言論弾圧と教育現場への不当介入に抗議する声明を発表。 3月11日には東京都迷惑条令の「改正」案は、捜査機関による恣意的運用が拡大される危険、および言論表現の自由、知る権利などが脅かされるとして、廃案を求める声明を発表した。 

●海賊版「漫画村」サイトの遮断に潜む危険─政府は漫画が無料で読める海賊版サイトの「ブロッキング認可」方針を打ち出した。法整備に至る間の緊急措置として、著作権などの権利保護ができない以上、刑法37条の「緊急避難」を適用すれば、憲法違反にはならないと判断している。
しかし憲法第21条2項には「検閲はしてはならず、通信の秘密を侵してはならない」とあり、電気通信事業法でも事業者に2つの厳守を義務づけている。政府が憲法違反になりかねないブロッキングを、民間のプロバイダーに直接要請する措置は、経済的利益の侵害を優先するあまり、司法面からの検討も仰がず、関係する現場の意見や議論を抜きにした拙速な措置だ。
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2018年05月06日

【今週の風考計】5.6─北東アジアの平和と安倍政権の視野狭窄、北朝鮮への圧力一辺倒の愚かさ

西武新宿駅沿い職安通りの手前に、ジャージャー麺の美味しい店がある。料理人も給仕も中国人、狭い店内は若い中国人客で溢れる。
そこへ珍しく中年の在日韓国人・女性二人が訪れ、小生と円卓で隣り合わせになった。日本語も理解し喋れるので、おすすめメニューなどを教える。

さらに話が弾んで、南北首脳会談の「板門店宣言、おめでとう」と声をかけると、「ありがとう、日本人からお祝いの言葉をかけられたのは、あなたが初めて」と、握手された。このやり取りや会話が理解できたのか、向かいの中国人も頷いている。心和む出会いとなった。

9日、日中韓首脳会談が東京で開かれる。中国・韓国がそろって、北朝鮮の非核化に向けて対話を重視しているのに対し、日本は圧力政策の維持を訴えるばかり。
安倍政権は「非核化が検証可能かつ不可逆的な方法で実現するまで圧力を維持すべきだ」と、この1年叫び続けてきた経済制裁の路線を変えようとしない。これでは建設的な提言や仲介の役割など、できるはずがない。

中韓両国は「朝鮮戦争の終戦宣言や休戦協定の平和協定への転換」を目指し、朝鮮半島の平和的枠組みの構築、ひいては北東アジアの安全保障まで視野に入れ、米朝会談に備える。いまや米国のトランプ大統領すら、2万3500人に及ぶ在韓米軍の縮小を念頭に、大胆な発言をしている。
日本は米国との「異様な隷属関係」に准じているうち、国際的な激動の舞台から蚊帳の外に置かれ、今や肝心の拉致問題でも、米国・韓国にすがって、北朝鮮に取り次いでもらう体たらく。

「キャンドル革命」で誕生した韓国の文在寅大統領は、ノーベル平和賞の候補にもなり、10日には就任1周年を迎える。翻って安倍首相は、この1年、改ざん・隠蔽・セクハラのウミまみれ。哀しくないか!(2018/5/6)
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2018年04月29日

《焦点》 日本は「ギャンブル依存症大国」へまっしぐら=橋詰雅博

 安倍晋三首相は日本でのカジノ解禁に前のめりだ。カジノを「経済成長戦略」と言い放ち、2016年末にカジノ解禁推進法を成立させた。そして与党の公明党を抱き抱き込んでカジノ実施法案を4月末に国会に提出し、強行成立を目論む。同法案のポイントは日本人及び国内在住外国人を対象とした入場料は6000円、日本人の入場回数は週3回、月10回まで、設置は最大3カ所だ。
 パチンコ店があちこちにある日本は、ギャンブル依存症の割合は成人の3・6%と推定されている。欧米諸国の1%台に比べて突出して高い。そこにカジノが出現したら、入場回数制限などの規制があっても、ギャンブル依存症がさらに増えると懸念されるのは当然だ。
 カジノで思い出すのは大王製紙前会長の井川意高さん。マカオやシンガポールのカジノで丁半バクチと同じようなルールのトランプゲーム・バカラの虜になった彼は、なんと106億8000円もスッてしまった。借金を返済するため子会社から金を借り入れ、特別背任容疑で11年11月に東京地検特捜部に逮捕される。最高裁で懲役4年の実刑判決が確定し、16年12月に仮出所。昨年10月に刑期が満了した。著書「熔ける」(幻冬舎文庫)によると、数百万円から20億円まで勝つなど〈億単位の勝利を収めた成功体験は忘れがい快哉をもたらした〉ことが破滅まで突き進んだ原因と書いている。
 先月取材した鶴見大学名誉教授でカジノ誘致反対横浜連絡会共同代表の後藤仁敏さん(歯学博士=解剖学)は「バクチでの勝利の味は頭から消えない」と前置きした上で、理由をこう述べた。
 「バクチで勝つと脳から快楽物質≠ェどんどんと出ます。世の中で自分ほど幸せな人間はいないという陶酔感にひたる。負けた記憶は消えるが、陶酔感はいつまでも残る。だからバクチにのめり込んで、ギャンブル依存症に陥る」
 カジノ解禁で日本はギャンブル依存症大国≠ヨまっしぐらだ。


 
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【今週の風考計】4.29─いま、若き2人の民権家の足跡を辿り、民衆憲法の原点に寄り添う。

●先週、夏を思わせる一日だが、めげずに武蔵五日市へ遠出をした。新井勝紘『五日市憲法』(岩波新書)に触発されて、その源郷を見ておきたかったからだ。

●JR五日市線の終点を下車して北西に向かい、三内川を遡るようにして約50分、大内橋の手前を右に行くと、黒い板塀と白漆喰の壁がある屋敷に辿りつく。むせるような新緑に覆われ、静かな佇まいを見せていた。
●そこが深沢家の屋敷跡地である。なんと50年前の8月27日、その土蔵から千葉卓三郎が起草した、いわゆる「五日市憲法草案」が見つかったのだ。約135年前、明治15年頃にまとめた草案は、和紙24枚に細かな文字で清書され、5篇204条から構成されていた。

●なんで深沢家にあったのか? 深沢家は江戸時代の中頃に名主を務め山林地主として財をなした旧家。その長兄・権八も、村民を集め学芸懇談会を組織するなど、自由民権の普及活動に専心。さらに地元の勧能学校を通して千葉卓三郎と出会い、彼の学識を深く敬愛し憲法研究におしげもなく資金をつぎ込んだという。
●千葉卓三郎とはどんな人物なのか。その生涯がユニークだ。仙台藩の下級武士として、16歳で戊辰戦争に従軍したが敗退し、明治維新後に上京し、ロシア宣教師ニコライから洗礼を受けたり、安井息軒に入門したり、精神的遍歴を重ねた。明治13年には五日市町の小学校である勧能学校に赴任し、その後、校長になった。

●土地の平民など多くの人が憲法論議に加わることによって、「国民の権利、人権の尊重、教育権の保障、地方自治権の確立」など、今の憲法に匹敵するか、それ以上に明確な考え方を、憲法草案に盛り込むことが可能となった。
●千葉卓三郎は明治16年(1883)11月12日に31歳で、深沢権八も明治23年(1890)12月24日に29歳で夭折している。若き民権家の魂に黙祷。(2018/4/29)
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2018年04月28日

≪おすすめ本≫ 佐古忠彦『瀬長亀次郎の生涯 「米軍が恐れた不屈の男」 』 ─沖縄県民の基地問題へのこだわりと“オール沖縄”の絆の力強さ=諌山 修

 写真が一枚―敗戦の7年後に首里城跡地で開かれた琉球政府創立式典。当選したばかりの立法院議員全員が起立脱帽するなか、ただ一人、鳥打帽をかぶったまま最後列に着席し宣誓を拒否する男。トップ当選の瀬長亀次郎だ。「米民政府と琉球住民に厳粛に誓います」の“米民政府”という文言への抗議であった。
 沖縄人民党、立法院議員、那覇市長、衆院議員。あるいは戦前に治安維持法違反で旧制高校を放校、米軍事裁判で懲役2年の実刑など、米軍事基地反対、本土復帰を目指す波乱の人生の中で「理屈の通らないことには絶対従わない」という、この《不屈》の生き方は、終生変わらなかった。

 那覇市長時代の第5章が圧巻。1956年暮れの那覇市長選で、カメジローがまさかの当選。米軍は那覇市への補助金打ち切り、水道供給を止めた。市議会保守派が瀬長市長の不信任案可決。議会解散による出直し選挙で保守派が議席を減らすと、米軍は過去に投獄された者は立候補不可の「布令」まで作って亀次郎を締め出す。だが1958年始めの市長選で勝ったのは、瀬長の身代わり統一候補だった。
 沖縄県民の基地問題へのこだわりと、“オール沖縄”の絆の力強さのルーツが、よく分かる。

 この本の著者・佐古忠彦君はTBS報道局で、年齢的には親子といってもいい私の後輩である。仕事熱心で存在感のある若手キャスターだった。彼自身が監督した長編映画「米軍(アメリカ)が最も恐れた男」も見たが、テンポのいい編集で、当時の空気を見事に表現していた。
 今度はテレビでも本でも、日本や世界が直面する「今」の新しいテーマに取り組んで欲しい。
(講談社1600円)
「瀬永亀次郎の生涯」.jpg
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2018年04月22日

【今週の風考計】4.22─「核廃棄」はチェルノブイリから板門店へ、熱い視線が注がれる!

4月26日午前1時23分44秒、原子炉が爆発。放射性物質を大量に吹き上げる。32年前のチェルノブイリだ。今は巨大な「石棺」で覆われ、周辺地域はゴーストタウンと化したまま。
ウラジーミル・グーバレフ『石棺─チェルノブイリの黙示録』(リベルタ出版1987年)が、史上最大の悲劇と事故の真相に迫る。避難者32万6千人、被曝後4〜5年目から子どもの甲状腺がんが急増する。

そして7年前の3・11福島原発事故、その当時、誕生した子どもは小学校に入学する。子どもの甲状腺検査は約38万人を対象に行なわれ、甲状腺がんが発見された子どもは197人に上る。しかし、政府は稼働40年の老朽原発・東海第二原発の再稼働を始め、「原発ゼロ」の世論に背を向け続ける。

こうした「核」の悲劇は世界に拡がる。27日、板門店で11年ぶりの南北首脳会談が行われる。まさに朝鮮半島の“非核化”がテーマとなる。北朝鮮・金正恩委員長の「核実験・ミサイル試射の中止」宣言を踏まえ、韓国は1992年の南北非核化宣言の実効と朝鮮戦争の終結から平和協定へと、会談を進展させたいと願っている。
それには粘り強い対話によって、「約束対約束・行動対行動」の積み上げを図り、6カ国も共同して努力するのが要だ。性急な「核放棄」のロードマップ作りに突っ走って、これまで繰り返された愚に陥ってはならない。

果たして今の安倍政権は、その責務が担えるのか。こうまでウミがたまっている総身の立場では、世界から信用されまい。(2018/4/22)

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2018年04月20日

≪おすすめ本≫ 内田博文『治安維持法と共謀罪』─国民の人権と個人の尊厳を奪う 「準戦時治安法制」の危険=増本一彦(治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟中央本部会長)

 1941年、アジア・太平洋戦争に突入する前夜、天皇制政府は、治安維持法を全面改悪して、「非日本的な共産主義、社会主義、民主主義、自由主義、個人主義、反戦主義を根こそぎ奪う」ために、「国体の変革、「私有財産制度否認の目的の結社」のみならず、これを「準備する結社」「支援する結社」の「目的遂行のためにする行為」までも厳罰に処することにしました。こうして、「自由な言論も、自由な社会」もなくなりました。

 著者は、本書において刑法学の立場から、「歴史的なものを理論化する」方法論を用い、この戦前・戦中の治安維持法など戦時治安法を俎上にのせて、果敢にその運用を検証し総括します。
 そして、日本国憲法の下でも、違憲立法審査権、三審制、弁護権などが国民の人権と個人の尊厳を擁護し救済する機能を果たしていないことを、私たちの前に赤裸々に告発して、特定秘密保護法、共謀罪など「準戦時治安法制」のいっそうの危険を訴えています。
 著者は、別著(『刑法と戦争』みすず書房2015年)で、「量の民主主義(多数決)は「悪法」を作る」といい、人間の尊厳と少数者の権利を守るための「質の民主主義」をどう立ち上げるかと問いかけていますが、本書では、日本国憲法の保障する諸権利を行使して、反対し抵抗する意欲と力と勇気を持とうと結んでいます。
 平和、自由、民主、正義と真理を尊ぶ皆さんに是非ご一読をお勧めしたい一冊です。
(岩波新書840円)
「治安維持法と共謀罪」.png
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2018年04月16日

《遠吠え》人々の関心を問題の大本から表層的な議論へと逸らしてしまう「うさん臭い物言い」=田悟恒雄

 昨夕、さるTV報道番組にコメンテーターとして出演していた若い書道家が、このところ噴出する「◯◯問題」に対し、一見もっともらしい意見を述べ立てていました─。

 「国会で議論しなければならないことは、他にももっとある」

 と、何だか最近、あちこちでよく聞くセリフです。
 そういえばコレ、一時メディアからチヤホヤされた「みんなの党」の渡辺喜美氏がしょっちゅう口にしていたセリフでした。でも、「他にももっと」の中身を明らかにしないまま、渡辺氏も党も、スキャンダルにまみれて轟沈してしまいました。
 そしていままた流行の兆しをみせる「うさん臭い物言い」ですが、つまるところ満身創痍の政権を擁護するための方便でしかありません。
 けさの朝日新聞「政治断簡」の高橋純子編集委員によれば、これは〈嘆息〉であって、それに「私は『中立』だ」という〈弁解〉と、「野党は対案を出せ、政策論議をせよ」という〈すり替え〉が加わり、3点の「基本セット」をなしているという。なーるほど。
 そうやって人々の関心を、問題の大本から表層的な議論へと逸らしてしまう。しかも人々は、「他に代わるべき選択肢が見当たらない」などと言いながら、沈むのがわかっていても、沈み行く舟にしがみつこうとする─。
 これが「現下の政治を取り巻く状況」だと。私もそう思う。

(「零細出版人の遠吠え」04/16より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年04月15日

【今週の風考計】4.15─政府主導で進める海賊版「漫画村」サイトの遮断に潜む危険

漫画が無料で読める海賊版サイトが横行している。著作権を無視し勝手にアップロードし配信する海賊版サイトによる漫画家・出版社の被害は、3千億円を超えるという。

こうした経済的利益の侵害を防ぐため、一般の人がアクセスできないようにする「ブロッキング」対策が急浮上している。政府は、早ければ秋の臨時国会にも関連法案を提出するという。
その法整備に至る間の緊急措置として、「漫画村」「Anitube」「MioMio」の3海賊版サイトおよび類似サイトに対し、「ブロッキングを認める」方針を打ち出した。この3サイトは、削除や検挙など従来の対策では、著作権などの権利保護ができない以上、政府は刑法37条の「緊急避難」を適用すれば、憲法違反にはならないと判断している。

しかし、政府が特定内容の情報通信を根拠なく制限できること自体が大問題だ。憲法第21条2項には「検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない」とあり、電気通信事業法でも事業者に対して、上記2つの厳守を義務づけている。
政府が憲法違反になりかねないブロッキングを、民間のプロバイダーに直接要請する措置は、きわめて深刻な問題をはらんでいる。7年前から始まった児童ポルノサイトのブロッキングは、重大な人格権侵害や名誉棄損などを基本に、民間業者団体の自主的な判断で行っている。

だが今回の政府主導による「海賊版サイト」のブロッキングは、経済的利益の侵害を優先するあまり、司法面からの検討も仰がず、関係する現場の意見や議論を抜きにした拙速な措置だ。
ひいては政府にとって都合の悪い情報サイトは、閣議決定のみで自由に遮断できる道を拓く。それこそ中国やエジプトのようになりかねない。民主主義の危機だ。(2018/4/15)
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2018年04月14日

≪おすすめ本≫ 望月衣塑子・森ゆうこ『追及力 権力の暴走を食い止める』─今こそ大切なシンプルに核心を突くこと=廣瀬 功

 森友・加計問題、詩織さん事件…。安倍政権の「国家の私物化3点セット」疑惑に新聞記者、野党議員それぞれの立場で鋭く切り込む対談。
 「『追及力』は政治家や記者だけのものではない」と、2人が語る問題意識と姿勢は、立場を超えて共通する。それが本書を、国会の一強多弱に乗じて暴走する権力に抗す記者と野党議員の奮闘記に終わらないものにしている。
 序章「私たちの原点」から第一章「森友・加計の真実を求めて」、第二章「権力の暴走を食い止めるために」、第三章「問う技術」、第四章「『国難』の本質を衝く」、終章「出る杭として打たれても」の各章で語りあう内容は、この国を覆う歴史修正主義勢力がもたらした現実の生々しい証言だ。
 加計問題で菅官房長官への鋭い追及で注目を浴びた望月記者は、バッシングや脅迫、ネトウヨに加え一部の新聞にはネガティブキャンペーンの標的にされた。国会で加計問題を追及した森議員もまた、ネットで叩かれ、非通知電話やFAXで組織的な攻撃にさらされた。だが、2人はめげない。
 間違いを見つけたとき、それを糺すには勇気が必要だ。最初は孤独でも、頑張って声を出す。次第に弱気は克服され、シンプルにストレートに核心を突く力が湧いてくる。それが「追及力」だ。
 本書は「おかしいをおかしいと言い続ける大切さ」を教えてくれる。ジャーナリストを目指す若者から、暮らしの場で問題に取り組む多くの市民まで、何よりも主権者として、日本が民主主義の国であることを願う全ての人に、一読を勧めたい。
(光文社新書760円)
「追及力」.jpg
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2018年04月08日

【今週の風考計】4.8─たいへん! 殺人ロボットがやってくる? 禁止へ国際世論を!

◆9日から「殺人ロボット兵器」規制について話し合う国連公式専門家会議が、スイス・ジュネーブで13日まで開催される。「殺人ロボット兵器」の定義や、人間の関与、技術的な問題、規制の必要性などを協議する。
◆しかし、武器輸出大国の米国やロシアは規制に後ろ向きだ。米国のトランプ政権は、あれだけ若い高校生らが通常の銃使用規制を訴えても、イエスと言わない。「殺人ロボット兵器」まで、NOと言わなくなったらもうおしまいだ。

◆この事態を理解するうえで、まず1冊の本を紹介したい。川崎哲+畠山澄子『マンガ入門 殺人ロボットがやってくる?!』(合同出版)。恐ろしい現実を、マンガを使って平明に解説した好著である。
◆いまやドローンが軍事目的で、戦略攻撃の一環として戦場で使われているのは、まぎれもない事実だ。さらにロボット技術や人工知能を駆使した「殺人ロボット兵器」の実現が近づいている。これらの自律型致死兵器は、目標をピンポイントで攻撃し「被害を最小化する」兵器と喧伝されている。

◆だが本当に“スマート”で“ピンポイント”なのか。実態に基づけば基づくほど、疑問は拡大する。ひとたび自動的に敵を分別し殺傷する兵器が開発されたら、とんでもない厄災が世界に広がるのは明らかだ。
◆独裁者やテロリストたちが、「自爆ドローン」や自動運転車やロボット技術を応用した自律型致死兵器を開発し、罪のない人たちに使ったらどうなるか。加えてこれらの技術がハッキングされ密売されていったらどうなるか。今や世界に普及したカラシニコフと同様、誰もが扱える兵器になりかねない。(2018/4/8)
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2018年04月06日

《遠吠え》死んだはずだよお富さん…「切られ晋三内閣」には、その手の台本がいかにも多過ぎる=田悟恒雄

 ここにきて「イラク日報隠ぺい疑惑」が急浮上。それにしてもこの内閣、「疑惑」にかけては事欠くことがありません。
 いきなり「お富さん」なんて持ちだすと、いかにも古めかしくなってしまいますが、お若い向きのために、JASRACから文句が出ない程度に歌詞を引かせていただくと─、

 「死んだはずだよお富さん、生きていたとはお釈迦様でも知らぬ仏のお富さん…」

 歌舞伎「与話情浮名横櫛」(俗に「切られ与三」)の一場面を歌ったとされる歌謡曲なのですが、「切られ晋三内閣」には、この手の台本がいかにも多過ぎる。
 「イラク日報」問題をめぐっては、昨年2月の衆院予算委員会でその存否を問われた稲田朋美防衛相(当時)は、

 「見つけることは出来ませんでした」
 「日報は残っていないことを確認している」

 などと国会で明確に否定したが、事務方に「探索」を指示したのは、その2日後。陸自研究本部はいったんは「保管していない」と回答。1カ月後になって、これを「発見」(コロンブスと同じで、とうの昔から存在するものを「発見」して大騒ぎ!)。
 その後もあれやこれや「涙ぐましい隠ぺい工作」が続くのですが、ばかばかしくでフォローしきれません─。と、そんな話。
 いったん「ない」と明言していたものが、後になって出てくるというのは、財務省も、文科省も、防衛省もおんなじ。つまりは、これが「アベ政治」ってこと。

(「零細出版人の遠吠え」04/06より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年04月04日

≪お知らせ≫ 出版部会・総会は4月7日(土)13:00〜

JCJ出版部会の会員の皆さん!
下記の通り、2018年度・JCJ出版部会 総会を開催します。
万障繰り合わせ、出席してください。
いま直面する出版界の危機にどう立ち向かうか、
知恵を集めようではありませんか。


日時:4月7日(土)13:00〜
場所:JCJ事務所
地下鉄「神保町」下車 A5出口 千石屋ビル4F
千代田区神田神保町1-18-1千石屋ビル402

なお総会後、14:30〜 4月例会
講演: <出版危機の深層を抉る─「アマゾン膨張」と出版界>
講師: 星野 渉 氏(「文化通信」編集長)
参加費:500円(会員・学生300円)

出版部会・世話人会
電話03-3291-6475 メルアドoffice@jcj.sakura.ne.jp

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2018年04月02日

《遠吠え》傷ついたスズメを見つけたらどうしたら? ン十年前の子どもが得た「後知恵」=田悟恒雄

 きのうから新年度がスタート。だからってわけでもないのですが、きょうは、いつもとは一風違った話題で行きましょう。
 けさの毎日新聞「質問なるほドリ」に、「スズメの飼育、ダメなの?」とありました(回答は矢澤秀範さん)。
 何でも、最近、弱ったスズメを保護・飼育していたタレントが鳥獣保護法に抵触するとかで、東京都から指導を受けたそうなのです。あっ、そうだったの!? ぜーんぜん知りませんでした。
 何を隠そう零細出版人こと私めも、子どもの頃、そんなスズメの面倒をみたつもりで、鳥カゴに入れてエサやりをしたことがあるのですが、わずか数日で死なせてしまいました。
 やっぱり野生の生き物は、カゴに閉じ込めたりしちゃいけないのかなぁ?─。子どもなりに得た「後知恵」でした。
 では、傷ついたスズメを見つけたらどうしたらいいのでしょう? 「自治体に連絡し、指示に従ってください」というのが、その解答。
 そして、地面に落ちたヒナは、巣立ちしたばかりでうまく飛べないだけで、「近くに親鳥がいる可能性が多いので、そっと見守ってください」とのことでした。
 そういえばだいぶ前に、信州の川原で高い橋げたの上の巣から真下に堕ちたイワツバメの幼鳥を見つけ、困ったことがありました。
 あちこち回って、近所の公民館の軒下にもイワツバメの巣があることを聞きつけ、そこの2階の窓から巣の中へそっと幼鳥を入れてあげたのでした。
 そして公民館前の道路から見上げていると、しばらくして親鳥がエサを運んできたのですが、どうやら事なきを得たようで、胸をなで下ろしました。というのも、その件で相談にのっていただいた「日本野鳥の会」の会員の方から、「親鳥にはじき出されてしまうかもしれませんよ」と聞いていたものですから…、ホッ。

(「零細出版人の遠吠え」04/02より。 http://www.liberta-s.com/
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カジノ誘致 横浜市「白紙」に転換 ドン≠ェ反対の急先鋒 市民団体共同代表に聞く=橋詰雅博

 2016年12月に成立のカジノ解禁推進法に続き安倍晋三内閣は、カジノ実施法案を4月にも国会に提出する構え。日本人と国内在住外国人を対象とした入場料は2000円とか入場回数を1週間のうち3回まで、設置を5カ所に拡大などの案が提示されている。しかし、ギャンブル依存症への対策が心もとないなど批判の声は相変わらず強い。各種世論調査でもカジノ反対が圧倒的に多い。それでも安倍内閣はカジノ実現への強行突破を狙う。菅義偉官房長官(神奈川2区選出)のおひざ元の横浜市も誘致に名乗りを上げている。4年前に結成のカジノ誘致反対横浜連絡会共同代表の後藤仁敏さん(鶴見大学名誉教授・歯学博士=71)にいまの状況などを聞いた。
☆    ☆
――林文子横浜市長(71)は2014年初頭にカジノ誘致推進を表明したが、方針は変わっていないのか。
 林市長のあの表明にはビックリ仰天しました。だが、3選を目指した昨年7月の市長選では、2人の対抗馬がカジノ誘致反対を訴えたので、彼女は「白紙」に転換。今まで通りカジノ誘致推進を主張したら当選が危ういと思い方針を変えた。なにしろ横浜市民の多くはカジノ反対ですからね。林市長は当選後も「白紙」の姿勢を変えていません。菅官房長官の圧力もあるだろうから、カジノ誘致推進に戻る可能性はありますよ。
――カジノの有力候補地はどこですか。
市が再開発を目指す山下ふ頭が最有力地。しかし、港湾運送業者でつくる横浜港運協会の藤木幸夫会長(87)は「山下ふ頭にカジノはつくらせない」と宣言した。「横浜市に土地を売るな」と港湾業者にハッパをかけている。赤旗インタビュー(今年1月25日付)でも「山下ふ頭はばくち場ではありません」とキッパリ答えています。14日には同協会主催で「ギャンブル依存症を考える」をテーマにした公開勉強会も開いた。藤木会長は横浜エフエム放送社長や横浜スタジアム会長も務めるいわば横浜のドン=Bそのような人が相当な覚悟でカジノに反対しているので、山下ふ頭へのカジノ誘致は困難な状況です。横浜みなとみらい21(MM21)地区も候補地ですが、藤木会長は真面目に働いた人が報われる社会をつくるという考え方。従って根っからカジノに反対だと思います。
――政府の実施法案をどう見ますか
 入場者がギャンブル依存症やすってんてんになるのを防ぐため賭ける金額に制限を設けるのが一番重要だが、実施法案にはありません。そもそも併設されるホテルや国際会議場、イベント会場などの運営費の80%は、カジノの収益で賄われる。当然、収益アップが必要ですから、入場料はモデルとしたシンガポールより6000円も安く設定し、金額の制限はせず、ATMが設置され金融機関の出先もあってお金が容易に引き出せる。カジノ不要を唱える静岡大の鳥畑与一教授は「毒性の強いカジノ」と指摘しています。私もそう思います。
――反対運動をどう展開しますか。
 連絡会結成以降、不定期ながら市役所前でカジノ誘致に反対するスタンディング宣伝≠行っている。20日にも実施。累計約3万人の誘致反対署名を市役所に提出しています。スタンディング宣伝や署名活動は今後も続けます。林市長がカジノ誘致撤回を表明するまで粘り強く活動します。
聞き手 橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年3月25日号

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2018年04月01日

【今週の風考計】4.1─放送局がネットに乗っ取られる! この危機の元凶を作ったのは誰か

急に安倍首相が「放送事業の大胆な見直しが必要」と強調しだした。その背景に何があるか。「森友文書改ざん、加計学園問題」を巡る批判報道に、ご本人の積もり積もった不満がある。さらには改憲への道筋を拓く「政権に都合の良いテレビ局を増やしたい」との思惑も透けて見える。
この6月に答申する<放送制度の規制改革>は、放送法4条の「番組編集準則」を撤廃し、インターネットと放送を一本化する内容だ。情報流通の中心にインターネットを置いて、放送の社会的影響力を削ぐ狙いもある。

現に4条で詠う「番組の公序良俗」「政治的公平」「多角的報道」などの倫理規定すら放棄するのだから深刻だ。規制がないネット世界ではフェイクニュースが広がり、過激な性的映像や暴力シーンが横行する。放送番組の質が低下するだけでなく、極端に政治的に偏ったテレビ局が出現する可能性は大きい。米国での実態がはっきり示している。
放送を所管する野田聖子総務相すら、「公序良俗を害する番組や事実に基づかない報道が増加する可能性が考えられる」と批判的だ。政治的な公平性や公益を守る規制がなくなれば、当然ながら放送は市場原理・利益優先に拍車がかかり、提供番組もセンセーショナリズムに走るのは目に見えている。

参入競争も激化する。雨後のタケノコのように、ネットテレビ事業へ進出しようとする企業に対し、安倍政権は電波の利用権を競争入札にかけ、高値で売買する「電波オークション制」の導入すら構想している。家電メーカーも4Kや8Kテレビの販路拡大に虎視眈々である。
まさに国民共有の電波を、権力の統制願望と私企業の儲けを充たすために法律まで改悪してしまう。エイプリルフールではない。(2018/4/1)

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2018年03月29日

≪おすすめ本≫上原公子・小川ひろみ・窪田之喜・田中隆編『国立景観裁判・ドキュメント17年 私は「上原公子」』─市民の景観保全運動とカンパで不当な判決を乗り越えた記録=栩木 誠

 一橋大学や桐朋学園など、多くの学園が点在する閑静な文教都市、東京・国立(くにたち)市。JR国立駅南口から真っ直ぐ延びる大学通りなど、緑豊かなこの町は、「まちづくり」という言葉を誕生させた地ともいわれる。
 この地での高層マンション建設と美しい景観を巡る幾多の裁判は、最終的に上原公子市長(当時)個人に損害賠償約4500万円が課せられるという、極めて理不尽な結果になった。
 だが不当な司法判断に対する市民の怒り、「上原公子さん個人の責任にしない」という運動は、燎原の火のように全国で燃え広がった。わずか9か月間で5千万円を超えるカンパが集まり、第3者弁済するという成果に結実した。本書は、こうした17年間にわたる市民運動の足跡をまとめた、貴重な記録集である。

 この裁判を通して浮き彫りにされたのは、都市景観を守る権利の確立と運動が、欧州などに比べ大幅に遅れている日本、主権者たる市民の声ではなく権力の言いなりで自らの判断を回避する司法の残念な姿、その厳しい現実である。
 その一方で、本書が指摘するように、「判決や決定を乗り越えて『市民の拠出での解決を実現した市民の運動』は、(政治を変える)歴史的なたたかいのさきがけと言える」のは確かである。それはまた、憲法が希求する「地方自治の本旨」の具体的な実践例でもある。
 スラップ(恫喝)訴訟によって、市民運動や自治体の自立的な運営などの手を縛ろうとする権力側の企みが、一段と強まっている。そうした中でも、ひるむことなく前へ進もうとする市民たちに明日への展望と、大きなエールを送る1冊だ。
(自治体研究社1300円)
「国立景観裁判」.jpg
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2018年03月27日

《遠吠え》"国権の最高機関" の劣化をまざまざと示す国会議員の発言を議事録から削除してはならない=田悟恒雄

 「国会の議事録から発言を削除するな!」との東京新聞・豊田洋一論説委員の「私説」(同紙、3月26日)に両手を挙げて賛成。
 零細出版人こと筆者も、かねてより同じ疑問を抱いてきたのですが、内容はどうあれ、国会での議員の発言はきちんと記録に残しておくべきでしょう。
 最近では、過労死遺族の前で「週休7日が幸せなのか」と信じ難い暴言を吐いた渡辺美樹参院議員(「ブラック企業」として知られる某居酒屋の創立者)や、「森友文書改ざん問題」で太田充財務省理財局長に「安倍政権を陥れるために意図的に答弁しているのではないか」と詰め寄った和田政宗参院議員(いずれも自民党)の発言が、全会一致で削除されています。
 いずれも、「アベ一強体制」のもとで「国権の最高機関」がどこまで劣化しきってしまったかをまざまざと示す象徴的な事例です。後の歴史検証のためにも、これを残しておかない手はないでしょう。
 議事録から削除されたのは、このようなアホな事例ばかりではありません。1995年「米軍用地特別措置法改正案」の衆院通過後、衆院特別委員会で委員長を務めた野中広務さんが衆院本会議の壇上で述べた以下の補足意見までも削除されてしまったことを、決して忘れるわけにはゆきません─。

 「この法律がこれから沖縄県民の上に軍靴で踏みにじるような、そんな結果にならないことを、そして、私たちのような古い苦しい時代を生きてきた人間は、再び国会の審議が、どうぞ大政翼賛会のような形にならないように若い皆さんにお願いをして、私の報告を終わります」

 国会での議員の発言というのは、おとといの自民党大会で配布された「アベ首相のイラスト入りマグネットシート」の吹き出し(改ざん自由=いつでも書いたり消したりできる)なぞとは違って、格段の重みを持っていることを肝に銘じるべきです。

(「零細出版人の遠吠え」03/27より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年03月25日

《焦点》電通が憲法改正国民投票を支配する=橋詰雅博

 2017年に新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなどで費やした日本の総広告費は約6兆3900億円で、6年連続プラス。業界最大手の電通は国内売上高が1兆5600億円、海外も含む連結ベースの総売上高は約5兆2000億円だ。電通の総売上高は日本の総広告費の8割ほどに当たる。まさに巨大企業で、単体では世界一の広告代理店。
 だが一方では新入女性社員を過労自殺に追い込んだことで社会から糾弾され、16年末にブラック企業大賞≠ニして名指しされた。社員を酷使することで、ナンバーワンの地位を維持してきたゆがんだ構図が露呈した。
 そんな電通がここにきて注目されている。年内にも実施という憲法改正国民投票を巡り、電通が長年、広報戦略を担う自民党の改憲広告≠仕切るからだ。業界第二位の博報堂で18年間営業をしてきた著述家・本間龍さんは「電通が国民投票を支配する」と断言している。
 2月末に都内で講演した本間さんはこう指摘した。
 「国民投票運動ではテレビCMの影響力が大きい。インターネットとは違い、テレビCMは『ながら視聴』されるので、繰り返し行われると、視聴者への『刷りこみ効果』は絶大です。特に視聴率が高い夕方から夜11時台に流れるスポットCM(局が定めた時間帯に15秒間流れる)が勝負のカギになる。この時間帯にいかに大量にCMを流すかだ。これを実現するには巨額なお金が必要。また、このCMワクを事前に抑えなければならない。 
 改憲勢力の中心である自民党の資金力は護憲勢力のそれを圧倒している。政権党の自民を支える電通は、テレビCMでのシェアは35%とダントツ。加えて戦略立案もCM制作もCMワク購入も1社だけですべてやれる。従って自民党などの改憲勢力が国民投票で勝つ可能性は高い」
国民投票では有料テレビCMは投票日前2週間だけ禁止。規制を強化しないと自民党・電通の思うつぼだ。
橋詰雅博
JCJ月刊機関紙「ジャーナリスト」2018年3月25日号
 
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【今週の風考計】3.25─東京都・迷惑防止条例の極まりない危険性、7月から実施される人権侵害の恐怖

「こちらは麹町警察署です。国会周辺をうろつき、コールを挙げる皆さん! 迷惑防止条例に違反しています。もし指示に従わなければ懲役1年以下、または100万円以下の罰金が課されます」─これが7月以降、現実になる。

警視庁が東京都に提案した迷惑防止条例案が、今月末にも成立するからだ。その内容の恐ろしさは極まりない。既存のストーカー規制法の厳罰化を盾に、「みだりにうろつくこと」「監視していると告げること」「名誉を害する事項を告げ、その知り得る状態に置くこと」「電子メール(SNS含む)を送信すること」などなどが、迷惑の範囲とされ処罰の対象となる。

解釈も含め恣意的な運用の危険は大きい。たとえば国会前に三々五々あつまり、「アベ政治を許さない」の声を挙げ、チラシをまくなどの行為が、「名誉を害する」行為として処罰の対象となりうるのだ。
メールで「昭恵夫人は証人喚問に応じよ!」と、官邸や官公庁に要請する内容の電文を、何度も送信すれば引っかかりかねない。しかも名誉棄損であるとの本人告訴がなくとも、警察や司法の判断で逮捕・起訴、そして処罰ができるのだ。

私たちジャーナリストの活動も、「その行動を監視し…、又はその知り得る状態に置く」行為とみなされ、かつ取材も「住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと」と解釈されれば、刑事罰の対象となる。
国会での「森友文書改ざん」、佐川証人喚問の関心事に紛れて、「排除」の言辞を弄した小池都知事の下、言論・報道・表現の自由、知る権利など、憲法上の権利が侵される、危険な迷惑防止条例案が独り歩きする。(2018/3/25)
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2018年03月22日

《焦点》 国民投票での有料テレビCMのルール作りを呼びかける著述家・本間龍さん=橋詰雅博

 自民党は3月25日党大会で憲法改正の方向性を提示する。党総裁を兼ねる安倍晋三首相の主張通り、9条に自衛隊を明記するなどの中身になる見込み。国会での改憲発議を経て年内にも憲法改正国民投票が実施される。4月に共著『国民投票と広告』(仮題 集英社新書)を出す著述家・本間龍さん(55)は、このまま国民投票に突入すれば、「自民党を中心とした改憲勢力が勝つ」と前置きし、こう警鐘を鳴らす。
「国民投票法では、投票日2週間前から賛成か反対かを呼びかける有料テレビCMは禁止。これ以外に規制はほとんどなく、テレビ・ラジオCMや新聞・雑誌への広告、ネット空間でのPR、戸別訪問など自由です。また『改憲に賛成(反対)です』といった意見表明CM≠ヘ許されていて、投票日でも流れる。運動費用も上限はありません。自民党は受け取っている政党交付金が一番多く、経済団体や大企業からも運動資金を集められる。潤沢な資金で改憲宣伝をバンバン打つと国民投票で賛成票が多数を占める可能性が高い」
 ではどうすればいいのか。
「少なくても影響力が非常に強いテレビCMは大幅に規制する必要がある。07年に国民投票法が成立した当時、付帯決議として有料広告のルール作りをメディアに求めている。しかし、自主ルールをつくると表明した日本民間放送連盟(民放連)はこの10年間、何もしていない。国民投票特需≠当て込んでいるからだ。自民党の船田元代議士や民進党の桜井充参院議員ら超党派の国民投票改正議連を立ち上げて、自主ルールをつくるよう民放連に働きかけてもらうつもりです」

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2018年03月20日

《遠吠え》「寝言か独り言のような弁明」を信じるのは「アベ一族」と一握りの取り巻き諸君くらいのもの=田悟恒雄

 つい先だってまでは「盤石」とされてきた「アベ一強体制」が、ガラガラ音を立てて崩れ始めました。株価とともにアベ氏が「頼みの綱」と縋ってきた内閣支持率ですが、どのメディアの調査結果とも、軒並み一気に10%以上も下落しています。
 「裸の王様」は、この期に及んでもなお「書き換え前の文書を見ても、私や私の妻が関わっていないということは明らか」などと、どう首をひねっても承服しがたい「寝言か独り言のような弁明」を続けています。
 でも、そんなことを信じるのは「アベ一族」と一握りの取り巻き諸君くらいのものでしょう。圧倒的な人々が、物事の本質を鋭く見抜きはじめているのです。
 ちなみに朝日新聞の世論調査では、そんな「答弁」に「納得できる」人はたったの17%しかおらず、72%もの人が「納得できない」と答えています。
 あぁ、こりゃもうだめだー。今度ばかりは、「ほとぼり冷めれりゃ、また戻るさー」なんて言ってはいられません。

 で、突然ですが、零細出版人は、きのうの朝日新聞に掲載された高橋純子編集委員の「政治断簡」(「怒るべき時、それは今」の次のくだりに強く共感を覚えました─。

 「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対に腐敗する。
 ゆえに権力に対しては、怒るべき時にきっちり怒らなければならない。公文書が改ざんされる国に成り下がったのだからなおさら、自分の身体をさらし、声を張って、この時代を歴史に刻むしかない。」

(「零細出版人の遠吠え」03/20より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年03月18日

【今週の風考計】3.18─佐川証人喚問から文書改ざんの根源へ! 国政調査権を行使して真相を究明せよ!

◆「森友文書」改ざんが安倍政権を直撃し、支持率は39.3%、2月より9.4ポイント急落した。土壇場になっても、官邸は国交省から提出された改ざん前の文書を6日間も放置し、“虚偽答弁”を繰り返す。
◆官邸ぐるみで<改ざん隠蔽工作>を続ける安倍首相への嫌悪感は、いまや燎原の火のように広がる。1年以上、ウソと虚偽の答弁を繰り返してきたツケが、安倍政権を侵す毒のように、全身に回ってきている。

◆文書改ざんは200項目を超える。削除された箇所を見れば、昭恵・首相夫人の称揚や政治家の陳情などを受け、国民の財産を8億円の値引き・10年分割払いにした、前代未聞の特例扱いに至る経緯が如実に辿れる。
◆しかも、この事案が“安倍案件”であるにも関わらず、安倍首相が「私や妻が関係していれば首相も国会議員も辞める」と言い切った国会答弁がある以上、なんとしても経緯を削除し、「つじつま合わせ」をしなければならない。

◆財務省が組織として意思決定した証拠の決裁文書ですら、改ざんする罪を犯すのだから問題の根は深い。それを理財局の一部の職員や佐川宣寿・元理財局長に責任転嫁してゴマかすなど、許されることではない。国会での佐川証人喚問はもとより、財務省から独立した機関を設けて調査しなければ、問題究明などできるはずがない。司直の手が伸びる前に国政調査権を行使し、与野党問わず政府の責任を徹底追及すべきだ。

◆7年前に制定された公文書管理法は、中央省庁の意思決定に至る「過程」を合理的に跡づけ、検証できるよう文書作成を義務づけ、いつでも政府が説明責任を果たせるようにするのが前提になっている。
◆かつ公文書は「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」であり、「主権者である国民が主体的に利用し得るものである」とし、かつ「将来の国民にも責任を持つ」法律であると位置づけている。アベさん、熟読玩味せよ!(2018/3/18)
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2018年03月16日

≪お知らせ≫ 出版部会4月例会:出版危機の深層を抉る─「アマゾン膨張」と出版界

出版危機の深層を抉る
─「アマゾン膨張」と出版界─

いま出版界は未曽有の危機に直面しています。
売り上げは13年連続して減少・最大の落ち込み。
<町の本屋さん>はつぶれ、出版流通が深刻な事態です。
「アマゾン商法」が出版界を席捲し、版元との直取引が横行!
出版文化が危うい事態を、どう打開するか。


講演:星野 渉氏 (「文化通信」編集長)
日時:4月7日(土)14:30〜
場所:JCJ事務所 地下鉄「神保町」駅下車 A5出口 千石屋ビル4F
参加費:500円 (JCJ会員・学生300円)

日本ジャーナリスト会議(JCJ)出版部会
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2018年03月13日

《遠吠え》森友文書改ざん事件の核心は「誰が誰の指示で、何のために改ざんしたのか?」にある=田悟恒雄

 「森友文書改ざん疑惑」で世論の批判に追い詰められた財務省は、ついに12日、計14件の決裁文書に改ざんがあったことを白状せざるをえなくなりました。
 公文書改ざんの「犯行」に及んだ時期は、国有地払い下げ疑惑が国会で問題化した昨年2月下旬から4月にかけてのこと。改ざんされたのは、首相夫人・安倍昭恵氏の関与を窺わせる部分、事前の価格交渉に触れた部分、それに「本件の特殊性」「特例」などの記述、等々でした。
 麻生太郎財務相は、「財務省理財局の一部の職員が行なった」「最終責任者は佐川〔前理財局長〕だ」などと、「トカゲの尻尾切り」を地で行く責任逃れの弁を弄しています。でも、そもそもそんなレベルの判断で、これだけのことをやってのけられるはずがありません。
 「犯行」の解明には「動機」の解明が欠かせません。問題の核心は、「誰が誰の指示で、何のために改ざんしたのか?」というところにあります。
 麻生氏の説明では、「佐川の国会答弁と整合性を図るため」だなんて話でしたが、これではいかにも根拠薄弱。そこで当時のクロニクルを繰ってみると、「2017年2月17日」あたりが何やら怪しい。
 その日の衆院予算委員会で、野党議員の執拗な追及にブチギレたアベ首相、正気を失ってしまったのか、ついついこんなことを口走ったのでした─。

 「私や妻が関係していたということになれば、これは、まさに私は間違いなく、総理大臣も国会議員も辞めるということははっきりと申し上げておきたいっ!」

 ところがその後、「瑞穂の国記念小学院名誉校長 安倍昭恵氏」の事件への深いコミットが次々明るみに出てくるにつれ、「ヤバイ」と思い始めたのは、誰あろうアベノ強シンゾー氏ではなかったのでしょうか?

(「零細出版人の遠吠え」03/13より。 http://www.liberta-s.com/
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2018年03月11日

【今週の風考計】3.11─「森友文書」改ざんの陰で急ピッチで進む9条改憲の妄動

朝日新聞の「森友文書」書き換えスクープ報道から、10日間あがいてみたものの、ついに財務省は改ざんを認めた。決裁文書にあった「契約の特殊性」「特例的な内容」「価格提示を行う」などの記述が削除されていた。
国会を欺き、国民にウソをつく悪質な犯罪行為に他ならない。麻生財務相の進退は極まった。「朝日のフェイク報道」と叩いていた安倍首相の責任も重大だ。麻生派の領袖が政権から離れれば、総裁3選の戦略は危うくなる。そのため9日に辞任した佐川宣寿・国税庁長官に、全責任をおっかぶせる魂胆だというから始末に負えない。

そもそも財務省による改ざんの動機や目的は何だったのか。「不都合な事実」を隠すため、言い逃れ、詭弁、虚偽答弁、さらには文書改ざん、あげくに担当職員が重要な遺書を残しての自殺、そして佐川宣寿・国税庁長官の辞任。このウソの上塗りと痛ましい死へとつながった負の連鎖はどこから来たのか。
その発端となった「森友疑惑」は、安倍首相や昭恵夫人の意向を忖度し、特例的な扱いをしたところから生じた。改ざんは、まさに安倍首相への忖度を、政官癒着して重ねた行為の行き着いた結果だ。南スーダンPKO部隊の日報隠し、厚労省の裁量労働制データねつ造など、「安倍政権の隠蔽・改ざん体質」は底なし。

そのうえ「自衛隊」を明記する9条改憲に加え、「教育の充実」「合区解消」「緊急事態への対処」の3項目で甘いオブラートに包み、9条つぶしの狙いを隠す。かつ4項目を一括して、年末にも国民投票にかけるハラだという。
14日には自民党憲法改正推進本部が、9条改憲案を決める。その日の夕には、「日本会議」のフロント組織「美しい日本の憲法をつくる国民の会」が、東京・憲政記念館で<憲法改正賛同1000万人達成!中央大会>を開く。(2018/3/11)
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2018年03月09日

≪おすすめ本≫ 高橋源一郎『ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた』─目がハッと見開かれる子供たちが作る「くに」の姿=鈴木耕(編集者)

 おもしろい! なんてったっておもしろい。子どもたちが「くに」を作っちゃうって話。「国」じゃなくて「くに」を。
 主人公はいちおうランちゃん。おとうさんは小説家で、おかあさんは昔、シブヤやショウナンではちょいと知られた存在。弟のキイちゃんは、ちょっとひ弱という家族。
 ランちゃんは、学校仲間のアッちゃん、ユウジシャチョウ、リョウマと4人で、なんと「くにづくりプロジェクト」を立ち上げちゃう。この子どもたちの学校ってのが、またおもしろくて、そんなプロジェクトを自由にやらせてくれるんだ。

 ここのおとなたち(先生)もステキだ。園長のハラさん、いつもヒマそうに居眠りしている。でもなんとなくいつでもみんなのそばにいてくれる。なんかあると必ずやってきて、別になにを話すでもなく、じっとその子の話に耳を傾けてくれる。
 それに肝太先生と理想先生。いいこと言うんだなあ。こんな学校があったら、だれだって入りたくなる。例えば運動会、整列も行進もなし。みんな一緒だけれど、みんな違うんだからそれでいい。いいでしょ?
 「くに」には「憲法」が必要。というわけでみんなで「憲法づくり」に精を出す。すると、憲法9条のことや無人島で争う尖閣諸島や竹島のもんだいも絡んできちゃう、という仕掛け。そして、4人だけだった「くに」に@アイと雪の女王ちゃんが連絡して来て、やがて「名前のないくに(仮)」が建国される。

 最後に書かれている「建国のことば」までたどりついたとき、読む人たちの目がハッと見開かれるのは間違いない。著者が言うように、これはいまの時代の『君たちはどう生きるか』なんだよ。
(集英社新書860円)
「ぼくたちは…」.jpg
posted by ロバの耳 at 16:15| Comment(0) | おすすめBOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする