2023年03月23日

【おすすめ本】岸本聡子『地域主権という希望─欧州から杉並へ、恐れぬ地方自治体の挑戦』─世界に広がるミニシュパリズム 岸本・杉並区政の大いなる挑戦=村田安弘(もと講談社・杉並区在住)

 「杉並は希望だ」と全 国から注目されている。昨年6月、市民と野党の共闘が実り現職の区長を破り、岸本聡子氏が当選した。東京都・杉並区では初めてのリベラル系・女性区長の誕生である。
 新区長、岸本聡子氏はどういう人なのか。岸本氏はベルギーに在住し、NGOの調査研究スタッフとして仕事をし、今、 世界で同時多発的に起きている地域自治主義(ミニシュパリズム)を日本語で発信してきた。その体験を生かして日本に戻り地域に貢献することを考えていたという。

 本書は、ドイツ、スペインからアルゼンチンまで世界で起きている住民運動を紹介している。ベルリンの住宅革命は必読。この動きは「杉並区で始まった変革」につながっていると、岸本氏は語っている。
 新自由主義は世界中で国や自治体が持っていた公共的な役割を縮小、民営化していった。それを住民が連帯して取り戻していこうという動きが広がっているのだ。
 同じ状況だった杉並区も、わずか半年だが大きな変化をしている。区民説明会が開かれるようになり、区長も出席し、区 民の参加も増え、出席者が生き生きと発言している。区のすべての施設は57万人区民の共有財産であるとして、住民無視の道路計画、施設の再編の見直し、学校給食の値下げ、補聴器、 家賃の助成など、矢継ぎ早に区政の転換が進む。
 「日本一透明性の高い自治体を目指す!」とい う。岸本区政の理解と支持は急速に拡がる。本書は「杉並再生」の旗印で あり、自治体から日本を変える壮大な展望に満ちている。(大月書店16 00円)
「地域主権という希望」.jpg
posted by ロバの耳 at 09:35| Comment(0) | TrackBack(0) | おすすめBOOK | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする