2023年12月04日
【焦点】インボイス導入が生んだ「悲痛な声」ピックアップ=橋詰雅博
「STOP! インボイス事務局」が11月13日に発表したインボイス緊急意識調査に寄せられた「悲痛な声」をピックアップしてみた。
◆免税事業者守られず
「企画・制作の仕事です。仲の良い社長から『未登録の相手とは今後、取引しない』と言われた。交渉の余地はなかった」(40代、東京都北区)
「フリーランスのSEです。『(課税事業者に)登録しないなら契約は継続しない』と元請けから言われ、事実上の強制だと困惑した。年末までの契約なので年明けからはどうなるのか不安です」(50代、東京都)
◆誹謗中傷や差別
「取引先から着服、ネコババし続けるつもりか』と言われ、精神的ダメージになっている。あまりにひどい税制だ」(50代、北海道札幌市)
「『インボイスに登録するつもりはない』と言ったら、会社の社長は『脱税の手伝いはできないからちゃんとしろ』と言われ、『脱税ではない』と反論。そうしたらケンカになった」(40代、神奈川県藤沢市)
◆相談窓口の問題
「経理部のメンバーも完ぺきに制度を理解している人はいない。インボイスコールセンターもほぼ繋がらないうえに税務署にたらい回しされる」(30代、東京都八王子市)
◆会社員も仕事激増
「障害者雇用で経理業務を担当。複雑な対応を覚えるのにも疲れ、精神的にもダメージを受けている状態。挫けそうになっている」(40代、神奈川県)
「制度を理解しない学ばない経営陣、取引先、同僚によって実務的にも負担が増え、発狂しそう。それもあって退職を決めた。税制全て見直すべきだ」(40代、愛知県清須市)
◆進むサイレント排除
「下請け会社がほぼ個人事業主なので、廃業しないか心配。彼らが廃業したら弊社も施工部門を閉じなくてはならない。伝統や文化を支えてくれている職人さんが消えた世界に継続も発展もない」(40代、山口県岩国市)
「取引先の担当者は経理や税理士から『インボイスに登録していないところとの取引はなるべくしないように』と言われたそうです。未登録者には経理や税理士の事務手数料を上乗せもするそうです」(40代、東京都稲城市)
インボイス制度導入で、社会全体が混乱をきたしていることを十分につかめる調査報告だ。