2023年12月14日

【余生私語録】第9回─安倍派の裏金づくり・大阪万博の「カネとカジノ」=守屋龍一

裏金づくり10億円
 「しんぶん赤旗」日曜版(2022年11月6日号)のスクープがきっかけで、上脇博之・神戸学院大学教授が、自民党の政治資金パーティーの不記載問題を刑事告訴し、問題が表面化して1年がたつ。今や東京地検特捜部は、臨時国会が閉会したのを機に、安倍派議員への聴取を本格化させ、他の4派閥にも捜査のメスを入れる事態となった。
 あらためて自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派99人)の政治資金パーティーによる裏金づくりを知るにつけ、開いた口がふさがらない。時効にかからない5年間だけでも裏金の総額は5億円、いや10億円余とも言われ、所属議員の大半にキックバックされていたという。
 個々の議員が得た裏金は5千万円〜数万円の差があるとはいえ、その規模の大きさ、組織性・故意性の悪質さから見ても、政治資金規正法違反での立件は当然である。

安倍派の膿が噴きだす
 安倍政権10年の膿″が一気に噴きだしたというほかはない。アベノミクス推進、日銀と共同してのマイナス金利政策、国有地払い下げや設置認可を巡る「森友・加計学園」問題、公文書改ざん、「桜を見る会」への参加者・費用負担への疑惑、統一教会との癒着などなど、自民党内派閥の<一強多弱>に驕り、勝手放題に「政治とカネ」を使いまわしていたと言わざるを得ない。
 安倍派というが、正式には「清和政策研究会」という。由来は中国における諸葛恢の統治を<政清人和>、すなわち「清廉な政治は人民を穏やかにする」と称賛した故事から名づけたといわれる。
 だが実態はどうか。「清廉」どころか、カネに汚いだけでなく、保守タカ派の集まりで改憲を叫び、杉田水脈議員を筆頭にジェンダー平等に背を向け、国民を怒らせている。
 それなのに岸田政権は発足時から安倍派にしっぽを振り、安倍首相の銃撃事件による死という事態に「国葬」で対応し、さらに後継の安倍派幹部を、政権内の重要ポストに充てて優遇するという始末。やっと安倍派の閣僚4人・副大臣5人を交代させ、政務官6人は自主判断に任せるとした。
 とはいえ政権を、どう構成するのか、青写真すら描けていない。今や岸田政権の支持率は23%、レームダック状態に陥っている。しかも足もとの岸田派にも、数千万円のパーティー収入不記載の疑いが浮上している。

政治資金規正法の抜け穴
 政治にはカネがかかると、よく言う。この「政治とカネ」問題をクリアーにするため政党交付金の導入を含む政治資金規正法が、小選挙区制と抱き合わせで1994年に制定された。まず導入された政党交付金の実態を見てみると、国民の税金総額315億円余を9政党に交付している。日本共産党は、この制度に反対し交付金を受け取っていない。
 自民党は159億1千万円の政党交付金を受け取っているうえに、企業・団体からの政治献金24億5千万円(2022年分)を手にし、さらに各派閥が政治資金パーティーを随時開催し、億とか何千万の単位でカネを集めている。まさに「3重取り」しているのだ。
 次に問題なのは、政治家個人への寄付は禁止されたが、政党への寄付は認め、「年間5万円超の寄付者および20万円を超える政治資金パーティー券の購入者は、政治資金収支報告書に氏名・金額などの明細を記載する」と規定したため、5万・20万の寄付をこえないよう分割するなど、明細隠しのカラクリ操作がはびこったのだ。
 さらに「政党本部からの寄付」は、受け取った議員は、その使途や明細について報告する義務がない。
 まさに政治資金規正法がザル法になっていた。共産党が「企業・団体献金(パーティー券の購入も含む))の全面禁止法案」を提出しているが、政党助成金制度も廃止し、抜本的な改正が急がれる。

日本維新の会・政治資金パーティーはボロ儲け
 大阪・関西万博の開催に猛進する日本維新の会。かつてそこの代表を務め、いま私人と称する橋下徹氏が、テレビ番組で「政治とカネ」の問題に触れ、「企業・団体から一切お金をもらっていない野党はないんです」と、「デマ」を飛ばし、翌日アナウンサーが謝罪する事態となった。
 日本共産党は政党交付金を受け取らず、企業・団体献金を禁じ、政治資金パーティーも開いていないのは常識だ。それすら知らないというのでは、お里(さと)が知れる。
 それどころか日本維新の会・幹部の国会議員が開く政治資金パーティーは1回で1000万円のボロ儲けだという。リテラのWEB記事(11/30)を参照し要約すると、以下のようになっている。
<藤田文武幹事長は2022年11月23日に「藤田文武を応援する会」を開催。この日だけで1518万円の収入、会場費・食事代などの支出510万9825円、利益は1007万8215円(利益率66.3%)である。
 続いて遠藤敬・国対委員長も、2022年12月12日に「議員活動10周年記念パーティー」を開催。1227万9615円の収入、支出263万8640円、964万975円の利益(利益率78.5%)。
 さらに、使途の報告義務がないのをいいことに政策活動費が、日本維新の会・馬場伸幸代表に、2016年から2021年の5年間に約2億4300万円が支出されている。
 2022年11月に公開された2021年分の収支報告書では、「政策活動費」として馬場代表に5600万円、2022年分では藤田文武幹事長に5057万5889万円を支出している。その使途は不明なまま>

大阪・関西万博─無駄遣い止めるのがさき
 日本維新の会が必死になる大阪・関西万博は、2025年に人工島「夢洲(ゆめしま)」で開催される。だが遅々として進まない。無駄遣いと批判される「大屋根リング」に350億円もかけ、会場建設費だけでも最大2350億円、当初予算より約1.9倍になる。半年間のイベントのために、国民の税金で賄う国費まで使って運営に1360億円以上も投入する。
 夢洲へのアクセスのため鉄道建設や上下水道整備などを加えれば、万博関連事業費は8900億円、カジノ事業や夢洲の地盤補強など加えた全体では、なんと1兆2千億円にのぼる。
 万博が終わればパビリオンも大屋根もすべて撤去。一方、2030年に夢洲に開設されるカジノは未来永劫、営業を続ける。大阪・関西万博のレガシーはカジノ! そこに何百億円、何千億円もの税金が使われる。国民の納得など得られるはずがない。
 何よりも日本維新の会は、「カネとカジノ」が絡む、この無駄遣いを止めるのがさき。(2023/12/14)
posted by ロバの耳 at 05:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 余生私語録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする