2023年12月25日

【焦点】カナダに亡命した香港民主化の活動家、アグネス・チョウ(周庭)さんのプロフィール=橋詰雅博

 カナダ・トロントの大学院に留学していた香港民主化の活動家、アグネス・チョウ(周庭、27歳)さんは、「おそらく一生香港には戻らない」と12月3日に発言し、カナダに事実上、亡命した。
 彼女は香港で2020年末に違法集会を扇動したとの罪に問われ、禁錮10カ月の実刑判決を受けた。この時、最初は普通の刑務所に収監されたが、その後、重犯罪者が入る女性刑務所に移送された。この刑務所は殺人や薬物の密売などを犯した受刑者が多く、特に監視が厳しい。
 移送された理由は、彼女が収監後もツイッターやフェイスブックで近況を発信していたため、外部への影響力を保持していると当局が判断したからだ。

 さて、アグネス・チョウ(周庭)さんは、どんな人物なのか。本稿の筆者は、2021年1月9日付の【焦点】で、彼女のプロフィールを紹介した。ほぼ2年前になるので、改めて、その本文をここに載せておきたい。

<一時は香港の民主の女神≠ネどと日本のメディアが持ち上げた周さんは、改めてどんな人なのだろうか。朝日新聞GLOBE編集部が昨年(2020年)9月に主催したオンラインイベントのコメンテーターとして登場した朝日の益満雄一郎・香港支局長と、フリーライターの伯川星矢(はくかわせいや)さんは、数回の取材から周さんの人物像をこう述べていた。
「オンとオフの切り替えが早く、英語も日本語も上手な努力家」
 ちなみに伯川さんは、父親が日本人、母親が香港人で、香港で生まれて育ち18歳で来日。獨協大学外国学部交流文化学を卒業している。
 香港国家安全法違反で逮捕され、昨年(2020年)8月に釈放された際、周さんは「今回(4回目の逮捕)が一番怖かった、きつかった」と記者のインタビューに答えていたが、このコメントについて伯川さんは「彼女から『怖い』という言葉を初めて聞いた」そうだ。伯川さんは続けて言う。
 「これまで違法な集会で逮捕されても、どのくらいの刑か想定できて、ある程度リスクが予測できた。ところが国家安全法が導入されたことで、何をしたら罰せられるのか、どのくらい罰せられるのか、不確かなままです。周庭から『怖い』と言われ、改めて事の大きさ、国安法の不条理さを感じた」
 伯川さんによると、彼女は「オフのときは楽天的で、アイドルが大好き。どこか遊びに行こうという普通の子です。初めて香港で会ったとき、僕を見た彼女が『おなかすいた』といきなり言った。僕は『えー』と戸惑いましたが、彼女に『シュウマイ食べる?』と聞くと、『うん、食べる』という。するとなぜか僕の財布から20香港ドルをもっていった。結局、僕がシュウマイを食べさせてあげたというオチです。その後、すぐに取材したらビシッと人が変わり真面目な態度で臨み、チャンネルも日本語に切り替わった。オンとオフの切り替えがはっきりしているのです」
 益満さんも「普段は、彼女、ふわっとした感じ。しかし、デモの現場で会い、取材で声をかけてもあまり答えてくれません。彼女の頭の中はデモに集中しており、メディアからの取材など考えていないよう。きっとスイッチが入っていたのでしょうね」と語った。そして努力家だと指摘する。
 「彼女の日本語は初めて会った4年前と比べて、明らかに上手になっていた。本人は『そんなことないです』と謙遜していたが、日本のアニメを見て勉強したそうです。英語も上手。語学の才能があるだけでは、あそこまでうまくならない。忙しいので1日の睡眠3、4時間と言っていたが、そんな中でも努力したからだと思う」(益満さん)
 移った女子刑務所で周庭さん、今は何を思っているのだろうか。>

 その後、2021年6月に釈放された周庭さんは、香港警察に決められた期日に出頭することを条件にカナダに留学した。2023年12月下旬までに出頭しなければ「逃亡犯となり、指名手配する」と、香港警察は周庭さんに迫っている。
posted by ロバの耳 at 06:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 焦点 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする