国連人権理事会が任命した「報道の自由」を調査する特別報告者の米国人デービッド・ケイさんは、昨年12月1日から8日の日程で訪日し、調査を行う予定だったが、直前の11月に日本政府から延期の要請があり、取りやめたのは記憶に新しい。
ケイさんは「失望した」とコメントし、彼と面談して情報を提供することになっていたNGOなどは「まるで独裁国家。民主主義国家ではありえない」と政府を強く批判した。そしてNGOは政府に早期の訪日実現を求める行動をとったのだ。
これが功を奏したのか、ケイさんの訪日が決まったと、ヒューマン・ライツ・ナウ事務局長の伊藤和子弁護士や秘密保護法対策弁護団の海渡雄一弁護士などが公表した。時期は4月12日から19日だ。この間にケイさんは、@秘密保護法の実施状況Aメディアの自由と独立性をどのように実施しているのかB市民の知る権利がどう担保されているのかC個人が公共の場やインターネット上で自由に発言できているか否か―などを調査する。
伊藤弁護士らは「表現の自由に関する状況の改善に確実につながる機会とな るよう、日本政府が特別報告者の調査に誠実に協力するよう求める。また、私た ちも政府機関とも協力し、公正かつ十分な調査が実現できるようにしたい」と述べている。
今年夏には参院選挙が行われる。もしかしたら衆院選挙もあり得る。国政選挙前に日本の「報道の自由」がどのレベルに位置しているのかをぜひ知りたい。ちなみに世界のジャーナリストの人権を守るための組織「国境なき記者団」が公表した2015年「報道の自由度」ランキング(対象180カ国)では、日本は14年の59位からさらに2つ下げ61位と大きく後退。これは秘密保護法成立と施行がもたらした結果だ。
ケイさんの調査が注目される。(橋詰雅博)