9日、大津地裁が下した「高浜原発─運転差し止め」の決定は、私たちにとって、大きな励みになるものでした。
福島原発事故の原因究明すら道半ば、こうした状況で、新規制基準の妥当性にも、疑問を投げかけ、さらには事故が起きた際の避難計画もズサンとの指摘は、誰しも頷く、まっとうなものです。「安全神話」が復活し、原発再稼働の動きが、大手をふってまかり通る風潮に、警鐘を乱打する内容です。
満5年を迎えた「東日本大震災」は、いまだにイチエフのメルトダウンした炉心の状態がどうなっているか、わかっていません。燃料デブリが、どこに、どれだけあり、どうやって取り出すか、そしてどこに持っていって処分するのか、まったく手を打てていないのが実態です。廃炉までの40年、私たちは、絶えず不安にさらされ続けます。
放射能汚染による健康被害も、いまだ続いています。被曝線量年間20ミリシーベルト基準にしても、日本全国の基準・年間1ミリシーベルトと比較したら、おかしな基準です。被災地の人たちには20倍の基準を強いてもいい、こんなダブルスタンダードは許されません。健康や命の重みに格差をつけるなど、許されません。
いまメディアは、さまざまな角度から、<東日本大震災5年>を特集しています。貴重なレポートもたくさんあります。傾聴に値する提言も多々あります。
しかし、どうしても気になるのは、「東京電力の責任」追及の弱さです。第1義的に、東電の製造者責任(PL)や管理責任は免れません。炉心溶融の判定基準を定めた社内マニュアルを見過ごし、事故発生後3日のうちに、対応できたにもかかわらず、5年もたって、東電社内で、見過ごしのあった事実を認め、やっと謝罪する体質は、あまりにもひどすぎます。まだ隠ぺいしている事実や資料が、たくさんあるのではと疑いたくなります。
もっともっと、東電の責任が追及されてしかるべきです。メディアがやるべき仕事でもあります。
2016年03月11日
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