「名医はこんな『健康食品』『サプリ』を使っている」(「週刊現代」2018年7月7日号)と、健康食品ブームをあおってきた週刊誌が「『紅麹』だけじゃない 本当は怖い『サプリ・健康食品』」(同誌2024年4月6日・13日合併号)と、手のひらを返すように、小林製薬が製造・販売した「機能性表示食品」の危険を緊急特集している。「はて?」である。
命に関わる問題を取り上げるのは当然としても、無責任に健康食品の広告を掲載し、副作用に注意を喚起してこなかった過去に沈黙するのは、いかがなものか。週刊誌が電力会社の原発推進広告を掲載してきたことへの反省がないのと似ている。
「小林製薬の紅麹健康被害 6つの疑問」の特集を組んだ「サンデー毎日」4月21日号によると、健康被害の報告があったのは1月15日で、小林製薬が自主回収を発表したのが3月22日。2カ月余りも放置していたとは呆れる。
「機能性表示食品」とは、事業者の責任により、論文などをもとにして科学的根拠を示し、開発して、効用性や機能性を表示できる食品だという。2013年、安倍元首相は「アベノミクス」成長戦略第3弾で、「機能性表示食品」の解禁を宣言した。機能性表示導入の裏に、アメリカや財界の圧力を指摘した週刊紙「しんぶん赤旗」日曜版4月14日号の記事は注目に値する。
「週刊ポスト」4月26日号は、「健康食品の『副作用』50品目リスト」と、厚労省がホームページから削除した情報を復元している。老化予防サプリ≠ニして宣伝されているコエンザイムQ10は、吐き気、嘔吐、下痢などの副作用が報告されている。
また「関節痛を和らげる」と大宣伝されているグルコサミンも、膨満感、吐き気、下痢、便秘の副作用がある。その他、アロエで急性肝炎、マテ茶にがんリスク、ビタミンDで腎不全などの危険があるという。
「ブルーレット」「ナイシトール」「熱さまシート」などのCMで知られる小林製薬の企業体質について、「週刊文春」4月11日号や「週刊新潮」4月18日号が、小林一族が株、不動産、馬など資産1600億円を有し、「治験データ改ざん」に手を染め、売れればいい≠ニいう姿勢が強いとの識者の証言を紹介している。
社名に「製薬」と銘打っているものの、医療用医薬品は取り扱っていないとは、恐るべき企業である。
週刊誌は、国民の命を大切にする報道姿勢に徹するべきだ。過ちを繰り返してはならない。
2024年05月02日
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