◆2025年11月期の紙書籍・雑誌の推定販売金額771億円・5.5%減
直販ルートを除く取次ルート軽油で771億3700万円(前年同月比5.5%減)、書籍477億9300万円(同1.4%減)、雑誌293億4400万円(同11.5%減)。雑誌の内訳は、月刊誌が同8.4%減、週刊誌が同28.4%減。返品率は書籍が同1.2ポイント減の31.3%、雑誌は同0.7ポイント増の44.7%。
書店店頭での売れ行きは、書籍が約3%増で、文芸約6%増、文庫本約5%増、ビジネス書約6%増、学参約8%増、児童書約2%増、新書本約3%増。雑誌は定期誌が約5%減、雑誌扱いコミックスが約6%減、ムックが約5%増。
◆“生成AI×知的財産の保護”の新ルール案へのパブコメ募集
内閣府は生成AIと知的財産権の保護に関する規制案=「プリンシプル・コード」について、パブリックコメントの募集を始めた。
これは「AI事業者コーポレートサイトで使用モデルの名称や設計仕様、AIのトレーニング法、学習データの種類などを開示する」など、生成AIサービスの基本情報を誰にでも見える形で開示するよう求めている。プリンシプル・コードは強制開示を求めるものではないものの、これに則らないAI事業者はその理由を説明する必要があるという。
提出方法は、Webと郵送に対応。募集期間は2026年1月26日まで。
◆無書店自治体の島根・大田市が書店事業者を公募
開設資金として最大500万円支援。加えて家賃や販売促進費などの費用を1年につき最大500万円、10年間通して助成。同市役所で2026年1月30日午後5時まで受け付け。
主な応募条件は以下の通り。
1. 一般書から専門書まで多様な分野・ジャンルにわたる書籍を取り扱うこと
2. 書籍・雑誌に係る売り場面積が100u以上あること
3. 所定の定休日を除き、常時継続的かつ安定的に営業する店舗であること。不定期な営業形態によらないこと。
4. 計画認定の日(概ね2月頃)から1年以内に事業開始する見込みがあること
◆スマートニュース、KADOKAWAと業務提携
スマートニュースは自社のアプリで、KADOKAWAの漫画サイト「カドコミ」から厳選した作品の紹介コンテンツを順次配信をスタート。本取り組みを通じて、ユーザーが“知らなかった漫画に出会える”新しい読書体験の創出を目指す。
あらすじや見どころを伝えるテキストとビジュアルを組み合わせ、ユーザーが気になる作品を見つけられる構成としている。取り上げる代表的な作品は以下のとおり。
『文豪ストレイドッグス』(原作:朝霧カフカ / 漫画:春河35)
『義妹生活』(原作:三河ごーすと / 漫画:奏ユミカ/ キャラクター原案:Hiten)
『夜は猫といっしょ』(著者:キュルZ)
◆有隣堂「年間ベストセラー」1位は『大ピンチずかん3』
有隣堂が「2025年間ベストセラー」ランキングを発表。書籍1位は『大ピンチずかん3』(小学館)、2位は『TOEIC L&R TEST 出る単特急 金のフレーズ』(朝日新聞出版)、3位は『カフネ』(講談社)。
有隣堂のシステム「Book Store Central」のデータをもとに算出。集計期間は24年12月〜25年11月。有隣堂全店における雑誌・文庫・コミックを除いた販売数上位をランキング化。
◆「直木賞」の候補作決まる
日本文学振興会が直木賞の候補作を下記の通り発表。受賞作は1月14日に決定。
嶋津輝『カフェーの帰り道』(東京創元社)
住田祐『白鷺立つ』(文藝春秋)
大門剛明『神都の証人』(講談社)
葉真中顕『家族』(文藝春秋)
渡辺優『女王様の電話番』(集英社)
◆NHK出版「夏の100分de名著フェア」が好成績をあげる
7月から9月末にかけて行った同フェアの売上金額が、本体価格ベースで4026万円、4000万円の大台を突破。前年の約2480万円から1.6倍規模となり好調だった。参加書店は981店(前年は669店)で、受注金額は約1億0800万円(同約5800万円)。売上ベスト3の書店は、1位:丸善丸の内本店(東京)2位:紀伊國屋書店新宿本店 3位:ジュンク堂書店池袋本店。
2026年01月01日
2025年12月04日
【出版界の動き】12月 日本のコンテンツ産業支援に予算350億円
◆日販の営業赤字16億円 物流費高騰響く
日販の2025年4〜9月期の連結決算は、売上高1633億円(前年同期比12%減)、営業損益16億円の赤字(前年同期は2400万円の赤字)。本業の取次事業でトラックなどの運搬物流コストが高騰、赤字幅が広がったことが要因。
純利益は前年同期比3倍の3億3600万円。コンビニエンスストア向けの雑誌配送をトーハンに順次移管し、6月にコンビニ向けの物流から完全撤退。そのため閉鎖した物流拠点の不動産売却益21億円の計上が大きい。
◆トーハンの決算もまた8億円の最終赤字
トーハンの単独決算(2025年4〜9月期)によると、最終損益8億9200万円の赤字(前年同期は6億4300万円の黒字)。赤字となるのは3年ぶり。書店やコンビニへの運賃費が高騰し、キロ当たり62円。25年3月期比で3割も高くなっている。
26年3月期通期の経常損益は4億1000万円の赤字を見込む。27年3月期は経常黒字への転換を目指す。なお子会社を含めた25年4〜9月期の連結決算は、売上高1977億円(前年同期比5%増)、最終損益15億円の赤字(前年同期は2億7600万円の黒字)。
◆漫画海賊版に対し5億円の賠償を命令
講談社、集英社、小学館、KADOKAWAの出版大手4社が、「ONE PIECE(ワンピース)」など、人気漫画を無断で掲載する海賊版サイトへデータ配信サービスを提供した米IT企業「クラウドフレア」を相手取り、権利侵害を訴えていた。このほど東京地裁は約5億円の賠償を命じた。「権利侵害を幇助した」として、配信業者に賠償を認めた初の司法判断である。
東京地裁はクラウド社が、出版社から著作権侵害と通知された後もサービス提供を続けた事態を「提供を停止する義務を怠った」と重くみた。クラウド社は「インターネットの効率、信頼性に深刻な影響を及ぼす」とし控訴する意向だというが、悪用を許していいわけはない。IT企業側はネットの利活用を進める上でも重い責任を自覚すべきだ。
出版社などでつくる海賊版対策団体「ABJ」によると、被害額は推計で年約8兆5000億円にも上る。
◆経産省補正予算案でコンテンツ産業支援に約350億円
アニメや漫画などのコンテンツ産業支援に向け、大規模映像作品の制作や日本発海外向け配信サービスの流通網の整備など、日本発のコンテンツの海外展開を後押しする。これまでコンテンツ産業に関する日本の予算規模は約252億円、米国は6176億円、中国は1238億円、韓国は762億円と比べても、出遅れている。
日本発コンテンツは現在、アニメやゲームが中心となっている。経産省の支援では、マンガ・アニメコンテンツだけに限らず、日本のすべての出版コンテンツが、世界中の読者に届けやすくなる環境を整備し、日本のコンテンツ産業を底上げする方向で取り組むべきである。
◆マンガに続け! 小説や実用書など輸出に奔走 出版大手
「漫画を除いた書籍の海外売り上げは、2019年比で3倍ほどになっている」。こうした状況を踏まえ、日本の出版各社が書籍の海外展開に力を入れている。11月初旬に開かれた商談会には過去最多の108社が出展し、海外の出版社と翻訳の交渉に臨んだ。漫画以外のジャンルでも海外からの関心が高まっている。それを捉えようと情報発信を強化するほか、マイナビ出版では自前で市場開拓する動きも出ている。
◆講談社 好調な北米事業 コロナ前の2倍に拡大
講談社は、コロナ禍以降の世界的なアニメ、マンガブームの隆盛を受け、昨年6月に海外ライツ事業と海外拠点をサポートするグローバル統括室を新設。海外、特に同社が現地に出版社を置き、直接出版活動を行っている北米では、日本マンガに対する需要が盛り上がり、『進撃の巨人』英語版が1千万部を超える。
◆紀伊国屋書店の25年8月期決算、純利益37%増
売上高は1407億円(前期比4%増)だが、純利益が47億円(前期比37%増)、3期連続で最高益を更新。売り上げの25%を占める海外事業が好調だったほか、24年12月に完全子会社化した老舗書店「旭屋書店」と「東京旭屋書店」の業績が貢献した。
とりわけ北米と東南アジアを軸にした海外店舗は11月末で47店舗になる。さらに26年8月期中までに10店舗以上の開業を見込む。26年春にはバングラデシュへの初出店を予定し、インド進出への足掛かりとする。
◆出版ネッツが神保町と護国寺で常駐フリーへの呼びかけチラシを配布
先月11月に、神保町交差点および地下鉄護国寺駅・講談社前にて、幟を立てハンドマイクで呼びかけをしながら、チラシを配布、年1回実施し今回で3回目となる。チラシの内容は、常駐フリーで働く人に向けての情報提供と、「働くうえで困っていることや不安なことはありませんか?」と呼びかけるもの。解決・交渉事例や、アンケート調査等で寄せられた常駐フリーの声(不安や要望)、相談窓口の連絡先も載せている。
配布チラシは下記からダウンロードできる。
https://union-nets.org/wp-content/uploads/2025/11/a4b2484ae748d3e4341dad3a5027de78.pdf
日販の2025年4〜9月期の連結決算は、売上高1633億円(前年同期比12%減)、営業損益16億円の赤字(前年同期は2400万円の赤字)。本業の取次事業でトラックなどの運搬物流コストが高騰、赤字幅が広がったことが要因。
純利益は前年同期比3倍の3億3600万円。コンビニエンスストア向けの雑誌配送をトーハンに順次移管し、6月にコンビニ向けの物流から完全撤退。そのため閉鎖した物流拠点の不動産売却益21億円の計上が大きい。
◆トーハンの決算もまた8億円の最終赤字
トーハンの単独決算(2025年4〜9月期)によると、最終損益8億9200万円の赤字(前年同期は6億4300万円の黒字)。赤字となるのは3年ぶり。書店やコンビニへの運賃費が高騰し、キロ当たり62円。25年3月期比で3割も高くなっている。
26年3月期通期の経常損益は4億1000万円の赤字を見込む。27年3月期は経常黒字への転換を目指す。なお子会社を含めた25年4〜9月期の連結決算は、売上高1977億円(前年同期比5%増)、最終損益15億円の赤字(前年同期は2億7600万円の黒字)。
◆漫画海賊版に対し5億円の賠償を命令
講談社、集英社、小学館、KADOKAWAの出版大手4社が、「ONE PIECE(ワンピース)」など、人気漫画を無断で掲載する海賊版サイトへデータ配信サービスを提供した米IT企業「クラウドフレア」を相手取り、権利侵害を訴えていた。このほど東京地裁は約5億円の賠償を命じた。「権利侵害を幇助した」として、配信業者に賠償を認めた初の司法判断である。
東京地裁はクラウド社が、出版社から著作権侵害と通知された後もサービス提供を続けた事態を「提供を停止する義務を怠った」と重くみた。クラウド社は「インターネットの効率、信頼性に深刻な影響を及ぼす」とし控訴する意向だというが、悪用を許していいわけはない。IT企業側はネットの利活用を進める上でも重い責任を自覚すべきだ。
出版社などでつくる海賊版対策団体「ABJ」によると、被害額は推計で年約8兆5000億円にも上る。
◆経産省補正予算案でコンテンツ産業支援に約350億円
アニメや漫画などのコンテンツ産業支援に向け、大規模映像作品の制作や日本発海外向け配信サービスの流通網の整備など、日本発のコンテンツの海外展開を後押しする。これまでコンテンツ産業に関する日本の予算規模は約252億円、米国は6176億円、中国は1238億円、韓国は762億円と比べても、出遅れている。
日本発コンテンツは現在、アニメやゲームが中心となっている。経産省の支援では、マンガ・アニメコンテンツだけに限らず、日本のすべての出版コンテンツが、世界中の読者に届けやすくなる環境を整備し、日本のコンテンツ産業を底上げする方向で取り組むべきである。
◆マンガに続け! 小説や実用書など輸出に奔走 出版大手
「漫画を除いた書籍の海外売り上げは、2019年比で3倍ほどになっている」。こうした状況を踏まえ、日本の出版各社が書籍の海外展開に力を入れている。11月初旬に開かれた商談会には過去最多の108社が出展し、海外の出版社と翻訳の交渉に臨んだ。漫画以外のジャンルでも海外からの関心が高まっている。それを捉えようと情報発信を強化するほか、マイナビ出版では自前で市場開拓する動きも出ている。
◆講談社 好調な北米事業 コロナ前の2倍に拡大
講談社は、コロナ禍以降の世界的なアニメ、マンガブームの隆盛を受け、昨年6月に海外ライツ事業と海外拠点をサポートするグローバル統括室を新設。海外、特に同社が現地に出版社を置き、直接出版活動を行っている北米では、日本マンガに対する需要が盛り上がり、『進撃の巨人』英語版が1千万部を超える。
◆紀伊国屋書店の25年8月期決算、純利益37%増
売上高は1407億円(前期比4%増)だが、純利益が47億円(前期比37%増)、3期連続で最高益を更新。売り上げの25%を占める海外事業が好調だったほか、24年12月に完全子会社化した老舗書店「旭屋書店」と「東京旭屋書店」の業績が貢献した。
とりわけ北米と東南アジアを軸にした海外店舗は11月末で47店舗になる。さらに26年8月期中までに10店舗以上の開業を見込む。26年春にはバングラデシュへの初出店を予定し、インド進出への足掛かりとする。
◆出版ネッツが神保町と護国寺で常駐フリーへの呼びかけチラシを配布
先月11月に、神保町交差点および地下鉄護国寺駅・講談社前にて、幟を立てハンドマイクで呼びかけをしながら、チラシを配布、年1回実施し今回で3回目となる。チラシの内容は、常駐フリーで働く人に向けての情報提供と、「働くうえで困っていることや不安なことはありませんか?」と呼びかけるもの。解決・交渉事例や、アンケート調査等で寄せられた常駐フリーの声(不安や要望)、相談窓口の連絡先も載せている。
配布チラシは下記からダウンロードできる。
https://union-nets.org/wp-content/uploads/2025/11/a4b2484ae748d3e4341dad3a5027de78.pdf
2025年11月03日
【出版界の動き】読書の秋━<本との出会い>へ各種イベント始まる
◆25年9月期・紙の出版物販売額936億5200万円(前年同月比1.8%減)
その内訳は、書籍597億3100万円(同1.0%増)、雑誌339億2000万円(同6.5%減)。雑誌では月刊誌が同6.9%減、週刊誌が同4.3%減。返品率は書籍が29.3%(同1.6%減)、雑誌は41.2%(同0.9%減)。
書店店頭での売れ行きは、書籍2%減で、文芸3%増、文庫本ほぼ前年並み、ビジネス書2%増、学参3%減、児童書3%減、新書本7%増。雑誌は定期誌3%減、雑誌扱いコミックス19%減、ムック2%減。
なお、出版科学研究所による上記の販売金額は取次ルートのみで、近年増加している出版社と書店の直接取引や出版社による直接販売は含まれていない。電子出版市場は1月と7月の年2回発表される。
◆「日刊ゲンダイ」創刊50年 政権批判を恐れぬタブロイド紙
1975(昭和50)年10月27日に創刊し、このほど50年を迎えた、永久保存版「創刊50周年特別号」を発売した。
「日刊ゲンダイ」といえば一面の長〜い見出し。最近号でも庶民の声を反映し政権批判の<世にもおぞましい短命連立><高市も玉木もろくでなし まともな首相候補はいないのかと庶民の悲鳴><有権者はこの連立に呆然だ>と一面に踊る。ライバルとみなされる「夕刊フジ」は、56年の歴史に幕を閉じ、今年2月6日に休刊したが、「日刊ゲンダイ」は、なぜイエロージャーナリズムが悪い? と意気軒高だ。
作家の五木寛之さんは、創刊1号から「流されゆく日々」を執筆、10月27日から51年目に入ったことを記念して、漫画家ちばてつや氏と特別対談を行っている。
◆「小学一年生」創刊100年 世相反映した付録の歴史
1925年に創刊し、今年100周年を迎えた小学館の学習雑誌「小学一年生」。やさしい文章とわかりやすい図解で、子どもたちの学びと好奇心に応え、ピーク時には発行部数128万部を記録した。小学校に入学するピカピカの1年生が読んで楽しい雑誌。毎号、ワクワクするふろく、人気キャラのまんが・パズル、旬の話題など、さまざまなテーマの記事を収載。11月号には創刊&昭和100年━節目記念の付録<組み立て・くろでんわ>をつけている。
◆「オール読物新人賞」休止、藤沢周平ら人気作家を生む
文芸春秋は、伝統ある公募文学賞「オール読物新人賞」を今年度の第105回で休止すると発表。同賞は優れた短編小説に贈られる文学賞で、1952年の創設。藤沢周平など多くのエンターテインメント系の人気作家を生んだ。
1962年からはミステリーを対象とした「オール読物推理小説新人賞」も実施し、赤川次郎さんや宮部みゆきさんらを輩出した。2021年の第101回からは、歴史・時代小説に特化した賞になっていた。
◆政府の書店支援の取り組みに対する「評価」70%、期待が募る
読売新聞社が「秋の読書推進月間」に合わせて実施した、全国世論調査の結果が出た。政府が書店の経営や新たな出店を支援する取り組みを「評価する」と答えた人は70%、「評価しない」の27%を大きく上回った。
政府は6月、街の書店を地域の重要な文化拠点と位置づけ、減少に歯止めをかける「書店活性化プラン」を公表した。書店の経営効率化を支援し、自治体や図書館を含めた連携を促す取り組み。
具体的な支援策に関しても、日本の文学作品がもっと世界で知られるよう、外国語への翻訳や海外発信を支援する政府の方針を「評価する」は86%。絵本の知識や読み聞かせの技術を身につけた「絵本専門士」が、子どもの読書活動を推進するために活躍することに「期待する」は87%に上った。
◆「読書の秋の国内最大級イベント」始まる
「本との新しい出会い、はじまる」をスローガンに今年も「BOOK MEETS NEXT」が始まった。書店が減少し、読書離れが進む時代の中でも、「本が好きな人」をこれまで以上にワクワクさせ、「本との距離感が遠い人」には魅力的な出会いを届けるため、出版業界が一丸となって実施する。今年で4回目を迎える。
開催期間:2025年10月25日(土)〜11月23日(日) 主なイベントは以下の通り
BOOKスタンプラリー:全国3千の書店ポスターに表示のQRコードを読み取り、LINEアカウントを友達追加するとスタンプがもらえる。スタンプを貯めると本にちなんだ商品に応募することができる。
「最強王図鑑」シリーズ店頭フェア:「最強王図鑑」シリーズ(書籍・雑貨)を1冊買うと1枚もらえる。どのデザインが当たるかは引いてのお楽しみ! コレクションしたくなるキラキラカードくじ(全10種、うちレア2種)。配布期間:2025年11月7日(金)〜なくなり次第終了。
◆電通3期連続の赤字見通し━AIで代理店が不要な時代に
2025年12月期は193億円の最終利益を予想していたものの、660億円もの損失見込みに一転。2023年も赤字の上に、2024年12月期は1922億円もの損失を出していた。その結果、3期連続の赤字見通しとなった。その苦戦の主要な要因はアメリカ事業で、人員削減などに必要な構造改革費用、さらにのれんの減損損失が甚大な影響を与えている。
アメリカではデジタル広告を中心に広告代理店を通さないインハウス化が進み、その背景にはAIの浸透によって、自前での製作が容易となり、コスト削減へシフトしている。日本の広告業界の未来も暗示しているようだ。
その内訳は、書籍597億3100万円(同1.0%増)、雑誌339億2000万円(同6.5%減)。雑誌では月刊誌が同6.9%減、週刊誌が同4.3%減。返品率は書籍が29.3%(同1.6%減)、雑誌は41.2%(同0.9%減)。
書店店頭での売れ行きは、書籍2%減で、文芸3%増、文庫本ほぼ前年並み、ビジネス書2%増、学参3%減、児童書3%減、新書本7%増。雑誌は定期誌3%減、雑誌扱いコミックス19%減、ムック2%減。
なお、出版科学研究所による上記の販売金額は取次ルートのみで、近年増加している出版社と書店の直接取引や出版社による直接販売は含まれていない。電子出版市場は1月と7月の年2回発表される。
◆「日刊ゲンダイ」創刊50年 政権批判を恐れぬタブロイド紙
1975(昭和50)年10月27日に創刊し、このほど50年を迎えた、永久保存版「創刊50周年特別号」を発売した。
「日刊ゲンダイ」といえば一面の長〜い見出し。最近号でも庶民の声を反映し政権批判の<世にもおぞましい短命連立><高市も玉木もろくでなし まともな首相候補はいないのかと庶民の悲鳴><有権者はこの連立に呆然だ>と一面に踊る。ライバルとみなされる「夕刊フジ」は、56年の歴史に幕を閉じ、今年2月6日に休刊したが、「日刊ゲンダイ」は、なぜイエロージャーナリズムが悪い? と意気軒高だ。
作家の五木寛之さんは、創刊1号から「流されゆく日々」を執筆、10月27日から51年目に入ったことを記念して、漫画家ちばてつや氏と特別対談を行っている。
◆「小学一年生」創刊100年 世相反映した付録の歴史
1925年に創刊し、今年100周年を迎えた小学館の学習雑誌「小学一年生」。やさしい文章とわかりやすい図解で、子どもたちの学びと好奇心に応え、ピーク時には発行部数128万部を記録した。小学校に入学するピカピカの1年生が読んで楽しい雑誌。毎号、ワクワクするふろく、人気キャラのまんが・パズル、旬の話題など、さまざまなテーマの記事を収載。11月号には創刊&昭和100年━節目記念の付録<組み立て・くろでんわ>をつけている。
◆「オール読物新人賞」休止、藤沢周平ら人気作家を生む
文芸春秋は、伝統ある公募文学賞「オール読物新人賞」を今年度の第105回で休止すると発表。同賞は優れた短編小説に贈られる文学賞で、1952年の創設。藤沢周平など多くのエンターテインメント系の人気作家を生んだ。
1962年からはミステリーを対象とした「オール読物推理小説新人賞」も実施し、赤川次郎さんや宮部みゆきさんらを輩出した。2021年の第101回からは、歴史・時代小説に特化した賞になっていた。
◆政府の書店支援の取り組みに対する「評価」70%、期待が募る
読売新聞社が「秋の読書推進月間」に合わせて実施した、全国世論調査の結果が出た。政府が書店の経営や新たな出店を支援する取り組みを「評価する」と答えた人は70%、「評価しない」の27%を大きく上回った。
政府は6月、街の書店を地域の重要な文化拠点と位置づけ、減少に歯止めをかける「書店活性化プラン」を公表した。書店の経営効率化を支援し、自治体や図書館を含めた連携を促す取り組み。
具体的な支援策に関しても、日本の文学作品がもっと世界で知られるよう、外国語への翻訳や海外発信を支援する政府の方針を「評価する」は86%。絵本の知識や読み聞かせの技術を身につけた「絵本専門士」が、子どもの読書活動を推進するために活躍することに「期待する」は87%に上った。
◆「読書の秋の国内最大級イベント」始まる
「本との新しい出会い、はじまる」をスローガンに今年も「BOOK MEETS NEXT」が始まった。書店が減少し、読書離れが進む時代の中でも、「本が好きな人」をこれまで以上にワクワクさせ、「本との距離感が遠い人」には魅力的な出会いを届けるため、出版業界が一丸となって実施する。今年で4回目を迎える。
開催期間:2025年10月25日(土)〜11月23日(日) 主なイベントは以下の通り
BOOKスタンプラリー:全国3千の書店ポスターに表示のQRコードを読み取り、LINEアカウントを友達追加するとスタンプがもらえる。スタンプを貯めると本にちなんだ商品に応募することができる。
「最強王図鑑」シリーズ店頭フェア:「最強王図鑑」シリーズ(書籍・雑貨)を1冊買うと1枚もらえる。どのデザインが当たるかは引いてのお楽しみ! コレクションしたくなるキラキラカードくじ(全10種、うちレア2種)。配布期間:2025年11月7日(金)〜なくなり次第終了。
◆電通3期連続の赤字見通し━AIで代理店が不要な時代に
2025年12月期は193億円の最終利益を予想していたものの、660億円もの損失見込みに一転。2023年も赤字の上に、2024年12月期は1922億円もの損失を出していた。その結果、3期連続の赤字見通しとなった。その苦戦の主要な要因はアメリカ事業で、人員削減などに必要な構造改革費用、さらにのれんの減損損失が甚大な影響を与えている。
アメリカではデジタル広告を中心に広告代理店を通さないインハウス化が進み、その背景にはAIの浸透によって、自前での製作が容易となり、コスト削減へシフトしている。日本の広告業界の未来も暗示しているようだ。
2025年10月02日
【出版界の動き】ガンバレ! 出版振興に向けての地道な取り組み
◆25年8月期・紙の出版物販売額630億円(前年同月比5.0%減)
その内訳は、書籍365億7400万円(同0.1%減)、雑誌264億7900万円(同10.9%減)。雑誌では月刊誌が同8.4%減、週刊誌が同23.8%減。返品率は書籍が36.6%(同1.2%減)、雑誌は46.3%(同0.3%増)。
書店店頭での売れ行きは、書籍が5%増で、文芸6%増、文庫本8%増、ビジネス書11%増、学参5%増、児童書4%増、新書本4%増と、主要ジャンルすべてで前年を上回った。雑誌は定期誌が3%減、雑誌扱いコミックスが8%減、ムックは15%増。
なお、出版科学研究所による上記の販売金額は取次ルートのみで、近年増加している出版社と書店の直接取引や出版社による直接販売は含まれていない。電子出版市場は1月と7月の年2回発表される。
◆「書店」がない上郡町とトーハンが地域連携協定を結ぶ
書店がない自治体の解消を目指すトーハンと兵庫県上郡町が、書店の創業支援や地域の活性化にむけ、ともに取り組む「地域連携協力に関する協定」を結んだ。トーハンによると県内では初めて、全国では7例目になるという。
上郡町内では2018年に店舗を構える書店が姿を消し、「無書店自治体」になった。図書館はあるが、町民からは「本を買う機会がほしい」という声が根強い。上郡町とは昨年春から話し合いを始め、トーハンが町主催の催しに移動販売車を派遣するなど、関係を築き上げてきた。協定では、教育、地域の活性化、産業振興、書店の創業など7項目で協力する。
◆“本のまち”青森・八戸━恒例の「ブックフェス」にぎわう
「本のまち」を掲げる青森県八戸市で、本に親しむ毎年恒例のイベント「ブックフェス」が
9月最終日の土日に実施された。全国でも珍しい公営の書店、八戸ブックセンターが毎年開いている。市の中心部にあるブックセンターと近くの市の施設などに、市内外の書店が古本を販売するコーナーや、全国の小規模な出版社がおすすめの本を展示・販売するコーナーが設けられた。訪れた人たちは、本を次々に手に取って買い求めた。
◆神保町が<世界で最もクールな街>ランキング第1位
世界各地の活気に満ちた魅力的な街を選出する、タイムアウトの「世界で最もクールな街」ランキングが発表された。2025年版では、東京の神保町が堂々の第1位に輝いた。
この調査は、タイムアウトの現地ライターや編集者による広範なネットワークを通じて得られた地域の知見と内側からの専門的視点に基づき、世界各都市の街を評価したもの。基準となったのは、文化・コミュニティー・住みやすさ・ナイトライフ・飲食店・街のにぎわい、そして「今らしさ」といった要素である。その結果、神保町は「世界で最もクールな街」という枠を超え、「世界で最も活気にあふれた街」として頭角を現した。
東京の知識人たちに何世代にもわたり愛されてきた神保町は、歴史ある大学街であり、書店好きにとっての楽園だ。東京のビジネス街からほど近い距離にありながら、独特の雰囲気を保っている。最大の魅力は約130軒に及ぶ古書店で、「小宮山書店」や「北沢書店」といった老舗もその中に含まれる。これらの店の多くは、昔ながらの喫茶店やカレー店と同じ建物に入った、やや古めかしい低層の雑居ビルに軒を連ねている。
◆「次にくるマンガ大賞 2025」1位に「魔男のイチ」「サンキューピッチ」
「次にくるマンガ大賞」は、これからのブレイクが予想される作品を発掘し紹介するという趣旨で2014年に創設された賞。一般ユーザーからの投票で大賞が決定する。このほど結果が発表された。コミックス部門の1位は、西修原作による宇佐崎しろ「魔男のイチ」、Webマンガ部門の1位は住吉九「サンキューピッチ」が受賞。
「魔男のイチ」は、山暮らしをしている狩人の少年・イチを主人公に描く“魔法ハンティングファンタジー”。週刊少年ジャンプ(集英社)で連載中。「サンキューピッチ」は、少年ジャンプ+で連載中だが、「ハイパーインフレーション」の住吉が描く野球譚。1日3球しか全力投球できない天才投手と、野球部員たちの物語だ。
◆ナンバーナイン、漫画ジャンルで出版事業に参入
9年ほど前に創業したナンバーナインは、すべての漫画を電子コミック配信するデジタル配信サービスを業務としてきたが、「漫画で待ち遠しい未来をつくる。」をモットーに掲げ、自社で発掘・育成するオリジナル作品の価値を最大化するため、紙書籍出版事業へ新規参入する。新レーベル「No.9 Comics」「Blend Comics」を創刊し、第一弾5作品を10月28日に発売する。
今回の紙書籍出版事業への参入は、デジタルでヒットした作品や有望なクリエイターの活躍の場をリアル書店へと広げ、デジタルとリアルの両軸で作品を盛り上げていくことを目的としている。
◆ニュース情報源で「陰謀論的思考の傾向」に差が出る
スマートニュース社の社内シンクタンク・スマートニュース メディア研究所は、日本国内の政治的・社会的分断や、人々のメデイア接触状況を概観する「スマートニュース・メディア価値観全国調査」(郵送方式)の結果を公表した。
主なニュース情報源に、ユーチューブなどの動画系SNSを多く利用している人ほど、陰謀論的な思考をする傾向があり、新聞を多く利用している人は逆の傾向があるという。調査では陰謀論的思考の強さを測るため、5項目の内容について、どの程度正しいと思うかをそれぞれ5段階で尋ねた。
「思う」と答えた割合が、最も高かった項目は「一般の人には決して知らされない、とても重大なことが世界で数多く起きている」の87%、最も低かったのは「政府当局が、すべての市民を厳重に監視している」の22%だった。
ここには主なニュースの情報源として、ユーチューブ、インスタグラム、TikTokを週4日以上見ると答えた人、すなわち動画系SNSでニュースを視聴する頻度が高い人ほど、陰謀論的思考が強い傾向がみられた。一方、主に新聞を週4日以上見ると答えた人では、陰謀論的思考が薄かった。
陰謀論的思考は、社会的孤立や生活上の不満と結びついている可能性があり、特定の層に限られた現象ではない。特に動画プラットフォームでは、視聴履歴に基づいて感情的・扇情的なコンテンツがアルゴリズムによって優先的に表示されやすく、それが陰謀論的な認識を強化する構造になっている可能性がある。
その内訳は、書籍365億7400万円(同0.1%減)、雑誌264億7900万円(同10.9%減)。雑誌では月刊誌が同8.4%減、週刊誌が同23.8%減。返品率は書籍が36.6%(同1.2%減)、雑誌は46.3%(同0.3%増)。
書店店頭での売れ行きは、書籍が5%増で、文芸6%増、文庫本8%増、ビジネス書11%増、学参5%増、児童書4%増、新書本4%増と、主要ジャンルすべてで前年を上回った。雑誌は定期誌が3%減、雑誌扱いコミックスが8%減、ムックは15%増。
なお、出版科学研究所による上記の販売金額は取次ルートのみで、近年増加している出版社と書店の直接取引や出版社による直接販売は含まれていない。電子出版市場は1月と7月の年2回発表される。
◆「書店」がない上郡町とトーハンが地域連携協定を結ぶ
書店がない自治体の解消を目指すトーハンと兵庫県上郡町が、書店の創業支援や地域の活性化にむけ、ともに取り組む「地域連携協力に関する協定」を結んだ。トーハンによると県内では初めて、全国では7例目になるという。
上郡町内では2018年に店舗を構える書店が姿を消し、「無書店自治体」になった。図書館はあるが、町民からは「本を買う機会がほしい」という声が根強い。上郡町とは昨年春から話し合いを始め、トーハンが町主催の催しに移動販売車を派遣するなど、関係を築き上げてきた。協定では、教育、地域の活性化、産業振興、書店の創業など7項目で協力する。
◆“本のまち”青森・八戸━恒例の「ブックフェス」にぎわう
「本のまち」を掲げる青森県八戸市で、本に親しむ毎年恒例のイベント「ブックフェス」が
9月最終日の土日に実施された。全国でも珍しい公営の書店、八戸ブックセンターが毎年開いている。市の中心部にあるブックセンターと近くの市の施設などに、市内外の書店が古本を販売するコーナーや、全国の小規模な出版社がおすすめの本を展示・販売するコーナーが設けられた。訪れた人たちは、本を次々に手に取って買い求めた。
◆神保町が<世界で最もクールな街>ランキング第1位
世界各地の活気に満ちた魅力的な街を選出する、タイムアウトの「世界で最もクールな街」ランキングが発表された。2025年版では、東京の神保町が堂々の第1位に輝いた。
この調査は、タイムアウトの現地ライターや編集者による広範なネットワークを通じて得られた地域の知見と内側からの専門的視点に基づき、世界各都市の街を評価したもの。基準となったのは、文化・コミュニティー・住みやすさ・ナイトライフ・飲食店・街のにぎわい、そして「今らしさ」といった要素である。その結果、神保町は「世界で最もクールな街」という枠を超え、「世界で最も活気にあふれた街」として頭角を現した。
東京の知識人たちに何世代にもわたり愛されてきた神保町は、歴史ある大学街であり、書店好きにとっての楽園だ。東京のビジネス街からほど近い距離にありながら、独特の雰囲気を保っている。最大の魅力は約130軒に及ぶ古書店で、「小宮山書店」や「北沢書店」といった老舗もその中に含まれる。これらの店の多くは、昔ながらの喫茶店やカレー店と同じ建物に入った、やや古めかしい低層の雑居ビルに軒を連ねている。
◆「次にくるマンガ大賞 2025」1位に「魔男のイチ」「サンキューピッチ」
「次にくるマンガ大賞」は、これからのブレイクが予想される作品を発掘し紹介するという趣旨で2014年に創設された賞。一般ユーザーからの投票で大賞が決定する。このほど結果が発表された。コミックス部門の1位は、西修原作による宇佐崎しろ「魔男のイチ」、Webマンガ部門の1位は住吉九「サンキューピッチ」が受賞。
「魔男のイチ」は、山暮らしをしている狩人の少年・イチを主人公に描く“魔法ハンティングファンタジー”。週刊少年ジャンプ(集英社)で連載中。「サンキューピッチ」は、少年ジャンプ+で連載中だが、「ハイパーインフレーション」の住吉が描く野球譚。1日3球しか全力投球できない天才投手と、野球部員たちの物語だ。
◆ナンバーナイン、漫画ジャンルで出版事業に参入
9年ほど前に創業したナンバーナインは、すべての漫画を電子コミック配信するデジタル配信サービスを業務としてきたが、「漫画で待ち遠しい未来をつくる。」をモットーに掲げ、自社で発掘・育成するオリジナル作品の価値を最大化するため、紙書籍出版事業へ新規参入する。新レーベル「No.9 Comics」「Blend Comics」を創刊し、第一弾5作品を10月28日に発売する。
今回の紙書籍出版事業への参入は、デジタルでヒットした作品や有望なクリエイターの活躍の場をリアル書店へと広げ、デジタルとリアルの両軸で作品を盛り上げていくことを目的としている。
◆ニュース情報源で「陰謀論的思考の傾向」に差が出る
スマートニュース社の社内シンクタンク・スマートニュース メディア研究所は、日本国内の政治的・社会的分断や、人々のメデイア接触状況を概観する「スマートニュース・メディア価値観全国調査」(郵送方式)の結果を公表した。
主なニュース情報源に、ユーチューブなどの動画系SNSを多く利用している人ほど、陰謀論的な思考をする傾向があり、新聞を多く利用している人は逆の傾向があるという。調査では陰謀論的思考の強さを測るため、5項目の内容について、どの程度正しいと思うかをそれぞれ5段階で尋ねた。
「思う」と答えた割合が、最も高かった項目は「一般の人には決して知らされない、とても重大なことが世界で数多く起きている」の87%、最も低かったのは「政府当局が、すべての市民を厳重に監視している」の22%だった。
ここには主なニュースの情報源として、ユーチューブ、インスタグラム、TikTokを週4日以上見ると答えた人、すなわち動画系SNSでニュースを視聴する頻度が高い人ほど、陰謀論的思考が強い傾向がみられた。一方、主に新聞を週4日以上見ると答えた人では、陰謀論的思考が薄かった。
陰謀論的思考は、社会的孤立や生活上の不満と結びついている可能性があり、特定の層に限られた現象ではない。特に動画プラットフォームでは、視聴履歴に基づいて感情的・扇情的なコンテンツがアルゴリズムによって優先的に表示されやすく、それが陰謀論的な認識を強化する構造になっている可能性がある。
2025年02月17日
【出版界の動き】2月:書店の活性化に向けた多様な取り組み
◆アマゾン日本事業・売上高は約4.1兆円(前期比5.4%増)
2024年アマゾン日本事業の売上高(ドルベース)は、274億100万ドル(約4.1兆円・前期比5.4%増)となった。2ケタ増収は2016年から2021年まで続いたが、直近3年は1ケタ増収にとどまっている。全売上高に占める日本事業の割合は4.3%、2023年比で0.2ポイント減った。世界各国における2024年の売上高は以下の通り。
アメリカ → 4380億1500万ドル(前期比10.7%増)
ドイツ → 408億5600万ドル(同8.7%増)
イギリス → 378億5500万ドル(同12.7%増)
日本 → 274億100万ドル(同5.4%増)
その他 → 938億3200万ドル(同14.5%増)
◆書店の活性化に向けた<読売新聞社・講談社共同提言>の内容
読売新聞グループ本社と講談社は2月7日、全国各地で書店が衰退し、無書店エリアが拡大している現状に歯止めをかけたいと、書店の活性化へ向けた共同提言を発表した。その内容は、1. キャッシュレス負担軽減 2. ICタグで書店のDX化 3. 書店と図書館の連携 4. 新規書店が出やすい環境 5. 絵本専門士などの活用 この5項目にまとめることができる。
すでに経産省からはアクションプラン案(PDF)が出ており、ICタグ(RFID)関連の環境整備は進んでいる。キャッシュレス負担軽減は、決済事業者に対する補助が必要だから不透明。書店と図書館の連携は、いままさに文科省「図書館・学校図書館の運営の充実に関する有識者会議」で議論が行われている。
この5つの他に、不公正な競争環境等の是正、出版物への消費税・軽減税率の適用などは、この読売新聞社・講談社共同提言にはない。こうした課題はどうするのか。検討が必要なのは間違いない。
◆フジグループ傘下の「扶桑社」で早期退職募集!
フジテレビは、元タレントの女性トラブルに端を発した問題で、スポンサー離れが加速し業績が悪化している。「扶桑社」の早期退職募集は、フジテレビの不振が影響しているのではないか。グループ各社に波及する“業績悪化ドミノ”の恐れも言われだしている。
フジグループは子会社89社、関連会社50社を擁するメディア界の“巨大帝国”だ。放送局や制作プロダクションのほか、出版・音楽事業、不動産やホテル事業を行う会社などがある。グループ各社への打撃も甚大である。1月30日には2025年3月期の業績を大幅に下方修正すると発表した。放送収入は前期から233億円減の1252億円まで落ち込む見通し。
いち早く人員整理に動いたのは出版子会社の「扶桑社」だった。すでに産経新聞社が発行する「夕刊フジ」は、2025年1月31日をもって休刊となっている。スマートフォンの普及など、生活スタイルの変化で発行部数が減少傾向だったことに加え、新聞用紙の高騰などが理由で、1969年2月の創刊から約56年の歴史に幕を下ろした。
◆個人書店「狐弾亭」が東京・立川市に開業
トーハンの小型書店開業サービス「HONYAL」を利用して、「狐弾亭(こびきてい)」が2月8日、東京・立川市羽衣町1-21-2にオープンした。初の個人による開業で、「物語を通して妖精と出会える場所」をコンセプトとするブックティーサロン。
23坪の売場に、アイルランドの妖精譚や妖精関連の専門書、妖精が登場するコミックスなど約3000冊(古書含む)を揃え、カフェを併設。
店主の高畑吉男さんは、アイルランドを中心とした妖精譚の専門家で著書も多く、自ら選書した書目を並べ、また所蔵する貴重な文献資料も置き、非売品だが紅茶をオーダーすると店内で閲覧が可能。
◆「大阪ほんま本大賞」で未来の読者や作家も育てる
地域ゆかりの一冊を書店員らが選んで表彰するご当地文学賞、そのなかでもユニークなのが「大阪ほんま本大賞」だ。それぞれの書店の店頭で受賞作を大々的にアピールし、少しでも書店の黒字を増やす狙いはもちろん、売り上げの一部は、児童養護施設の子どもたちのプレゼント本に使われる仕組みになっている。
ほんま本大賞を主催しているのは、大阪府内の書店のほか、トーハン、日販、楽天ブックスネットワークといった出版取次会社の有志らでつくる団体「Osaka Book One Project」。実行委員として20人が活動する。「大阪からベストセラーを出したい」という思いで2013年に始まり、第3回までは「大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本」、第4回からは「大阪ほんま本大賞」としてお薦めの一冊を選んで表彰している。
選考の対象とするのは、条件@ 大阪が舞台の物語、あるいは作者が大阪にゆかりあること、条件A 文庫本であること、条件B 著者が生存していること の3つを満たす作品に限っている。
それに加えて「ほんま本大賞」の特徴は、受賞作の売り上げの一部で、児童養護施設の子どもたちに欲しい本をプレゼントし続けていることだ。初回から2024年の第12回を合わせると、1000万円近くの本を寄贈している。
◆「ぐりとぐら」を生んだ「母の友」が最終号
福音館書店が発行する月刊誌「母の友」3月号(2/3発行)をもって、72年の歴史を閉じる。 1953年に「幼い子と共に生きる人への生活文化雑誌」と位置づけて創刊し、子育ての「ハウツー本」というより、作家や画家の書き下ろしの童話やエッセー、インタビュー、寄稿、読者の投稿などを通して、「言葉」に光を当ててきた。
他社の広告を載せないのも雑誌としては珍しかったが、「昨今の情報メディアをめぐる環境の大きな変化」を理由に、休刊に踏み切った。
最終号のテーマは「『生きる』を探しに」。2022年に亡くなった松居直(ただし)さんが創刊号の編集長として、このテーマを立ち上げた。松居さんは、3人の兄を戦中戦後に戦場や病気で亡くした経験から「生きるということを皆さんと考えたいと思って、この雑誌を作った」と生前に繰り返していたという。
◆イスラエル警察が書名に「パレスチナ」とつく100冊を書店から押収
イスラエル警察は2月9日、東エルサレムのパレスチナ人が経営する「エデュケーショナル書店」を扇動容疑で捜索し、書名に「パレスチナ」とつく約100冊の本を押収、店主ら2人を逮捕した。警察当局は「扇動とテロ支援を含む本を販売した」との理由を挙げた。
1984年に開店した書店は、パレスチナ問題を扱う本を多くそろえ、学者や外交官、記者のたまり場であり、「イスラエル人とパレスチナ人が出会う文化の発信拠点であった。警察の行為は恥ずべきだ」と、多くの人々が憤り書店の「略奪」を非難する公式声明を発表した。
2024年アマゾン日本事業の売上高(ドルベース)は、274億100万ドル(約4.1兆円・前期比5.4%増)となった。2ケタ増収は2016年から2021年まで続いたが、直近3年は1ケタ増収にとどまっている。全売上高に占める日本事業の割合は4.3%、2023年比で0.2ポイント減った。世界各国における2024年の売上高は以下の通り。
アメリカ → 4380億1500万ドル(前期比10.7%増)
ドイツ → 408億5600万ドル(同8.7%増)
イギリス → 378億5500万ドル(同12.7%増)
日本 → 274億100万ドル(同5.4%増)
その他 → 938億3200万ドル(同14.5%増)
◆書店の活性化に向けた<読売新聞社・講談社共同提言>の内容
読売新聞グループ本社と講談社は2月7日、全国各地で書店が衰退し、無書店エリアが拡大している現状に歯止めをかけたいと、書店の活性化へ向けた共同提言を発表した。その内容は、1. キャッシュレス負担軽減 2. ICタグで書店のDX化 3. 書店と図書館の連携 4. 新規書店が出やすい環境 5. 絵本専門士などの活用 この5項目にまとめることができる。
すでに経産省からはアクションプラン案(PDF)が出ており、ICタグ(RFID)関連の環境整備は進んでいる。キャッシュレス負担軽減は、決済事業者に対する補助が必要だから不透明。書店と図書館の連携は、いままさに文科省「図書館・学校図書館の運営の充実に関する有識者会議」で議論が行われている。
この5つの他に、不公正な競争環境等の是正、出版物への消費税・軽減税率の適用などは、この読売新聞社・講談社共同提言にはない。こうした課題はどうするのか。検討が必要なのは間違いない。
◆フジグループ傘下の「扶桑社」で早期退職募集!
フジテレビは、元タレントの女性トラブルに端を発した問題で、スポンサー離れが加速し業績が悪化している。「扶桑社」の早期退職募集は、フジテレビの不振が影響しているのではないか。グループ各社に波及する“業績悪化ドミノ”の恐れも言われだしている。
フジグループは子会社89社、関連会社50社を擁するメディア界の“巨大帝国”だ。放送局や制作プロダクションのほか、出版・音楽事業、不動産やホテル事業を行う会社などがある。グループ各社への打撃も甚大である。1月30日には2025年3月期の業績を大幅に下方修正すると発表した。放送収入は前期から233億円減の1252億円まで落ち込む見通し。
いち早く人員整理に動いたのは出版子会社の「扶桑社」だった。すでに産経新聞社が発行する「夕刊フジ」は、2025年1月31日をもって休刊となっている。スマートフォンの普及など、生活スタイルの変化で発行部数が減少傾向だったことに加え、新聞用紙の高騰などが理由で、1969年2月の創刊から約56年の歴史に幕を下ろした。
◆個人書店「狐弾亭」が東京・立川市に開業
トーハンの小型書店開業サービス「HONYAL」を利用して、「狐弾亭(こびきてい)」が2月8日、東京・立川市羽衣町1-21-2にオープンした。初の個人による開業で、「物語を通して妖精と出会える場所」をコンセプトとするブックティーサロン。
23坪の売場に、アイルランドの妖精譚や妖精関連の専門書、妖精が登場するコミックスなど約3000冊(古書含む)を揃え、カフェを併設。
店主の高畑吉男さんは、アイルランドを中心とした妖精譚の専門家で著書も多く、自ら選書した書目を並べ、また所蔵する貴重な文献資料も置き、非売品だが紅茶をオーダーすると店内で閲覧が可能。
◆「大阪ほんま本大賞」で未来の読者や作家も育てる
地域ゆかりの一冊を書店員らが選んで表彰するご当地文学賞、そのなかでもユニークなのが「大阪ほんま本大賞」だ。それぞれの書店の店頭で受賞作を大々的にアピールし、少しでも書店の黒字を増やす狙いはもちろん、売り上げの一部は、児童養護施設の子どもたちのプレゼント本に使われる仕組みになっている。
ほんま本大賞を主催しているのは、大阪府内の書店のほか、トーハン、日販、楽天ブックスネットワークといった出版取次会社の有志らでつくる団体「Osaka Book One Project」。実行委員として20人が活動する。「大阪からベストセラーを出したい」という思いで2013年に始まり、第3回までは「大阪の本屋と問屋が選んだほんまに読んでほしい本」、第4回からは「大阪ほんま本大賞」としてお薦めの一冊を選んで表彰している。
選考の対象とするのは、条件@ 大阪が舞台の物語、あるいは作者が大阪にゆかりあること、条件A 文庫本であること、条件B 著者が生存していること の3つを満たす作品に限っている。
それに加えて「ほんま本大賞」の特徴は、受賞作の売り上げの一部で、児童養護施設の子どもたちに欲しい本をプレゼントし続けていることだ。初回から2024年の第12回を合わせると、1000万円近くの本を寄贈している。
◆「ぐりとぐら」を生んだ「母の友」が最終号
福音館書店が発行する月刊誌「母の友」3月号(2/3発行)をもって、72年の歴史を閉じる。 1953年に「幼い子と共に生きる人への生活文化雑誌」と位置づけて創刊し、子育ての「ハウツー本」というより、作家や画家の書き下ろしの童話やエッセー、インタビュー、寄稿、読者の投稿などを通して、「言葉」に光を当ててきた。
他社の広告を載せないのも雑誌としては珍しかったが、「昨今の情報メディアをめぐる環境の大きな変化」を理由に、休刊に踏み切った。
最終号のテーマは「『生きる』を探しに」。2022年に亡くなった松居直(ただし)さんが創刊号の編集長として、このテーマを立ち上げた。松居さんは、3人の兄を戦中戦後に戦場や病気で亡くした経験から「生きるということを皆さんと考えたいと思って、この雑誌を作った」と生前に繰り返していたという。
◆イスラエル警察が書名に「パレスチナ」とつく100冊を書店から押収
イスラエル警察は2月9日、東エルサレムのパレスチナ人が経営する「エデュケーショナル書店」を扇動容疑で捜索し、書名に「パレスチナ」とつく約100冊の本を押収、店主ら2人を逮捕した。警察当局は「扇動とテロ支援を含む本を販売した」との理由を挙げた。
1984年に開店した書店は、パレスチナ問題を扱う本を多くそろえ、学者や外交官、記者のたまり場であり、「イスラエル人とパレスチナ人が出会う文化の発信拠点であった。警察の行為は恥ずべきだ」と、多くの人々が憤り書店の「略奪」を非難する公式声明を発表した。
2025年01月20日
【出版界の動き】いかに出版活動をアクティブ化するか、真に問われる2025年
◆2024年の紙の出版物・総売上は1兆円を確保か?
日本の出版界、今年はどうなるか。昨年2024年1〜11月期の紙の出版物売り上げは9172億円(前年同期比5.7%減)。書籍は5471億円(同4.2%減)、雑誌は3702億円(同7.4%減)。12月期の実績額によるが、「年間での販売金額1兆円割れを回避できそうだ」といわれている。
日販の「出版物販売額の実態」最新版(2024年版)によると、売り上げの構成比が、この17年間(2006年〜2023年)でコミック、文庫、児童書は増えたが、雑誌、新書、文芸は減っている。
注目すべきは児童書ジャンルである。2023年における売上は推計で953億円、総売上に占める構成比は7.1%。構成比・売上ともに増加している。その一方、雑誌は2006年比で6割強も減らしている。
◆2024年度の電子出版市場
出版科学研究所による2024年度の電子出版市場の売り上げは集計中だが、上半期(1〜6月)の電子出版市場は2697億円(同6.1%増)。電子書籍・電子雑誌ともにはプラス成長だった。下半期が上半期と同じ成長率と仮定すると、1年間では電子コミック5145億円、電子書籍450億円、電子雑誌85億円、計5679億円となる。
◆マンガの海外輸出は2240億円
マンガ・アニメIP市場調査によると、マンガの海外輸出は2022年の時点で2240億円に達したという。ヒューマンメディア「日本と世界のメディア×コンテンツ市場データベース」を基に、日本の出版物の海外市場3200億円のうち7割がマンガであると仮定して算出したもの。
また海外向けマンガは「前年比15〜18%(推定値)程度で拡大している」との推定もあり、さらに拡大しているのは間違いない。
◆通販雑誌『ハルメク』が15万部(2017年)→48万部(2024年)へ
「ハルメク」は定期購読型の月刊誌。50代以上の女性を対象に、65歳くらいから80代をコアの読者にしている。60代になると、配偶者やご本人が退職を迎え、年金受給が始まり、生活や人付き合いに変化が訪れる。この世代に向けて悩みや願望に寄り添う情報を届ける内容が、驚異の部数増につながった。
工夫の1つは本誌に綴じ込みの読者ハガキを付け、自由に書き込めるコメント欄を設け、月2000通ほど編集部に届く。重要な意見はすぐ共有し、特にコメントの多い500通ほどは毎月データベース化をして、いつでも読者の考えを誌面に活かせるようにした。
2つは社内シンクタンク「生きかた上手研究所」が行う読者満足度調査。毎号、雑誌を読み終わったころを見計らってアンケートを送付し、年間約3000人の読後の満足度や閲読率を調べる。この結果を雑誌作りに反映し、広告制作や商品開発にも活かす。
3つめは受容度調査。雑誌の企画を立てる際、興味を持って受け容れてもらえるかを編集部とマーケティング課で調べる。ハルメクを読んだことのない方を対象に、バイアスのかからない意見を集める。
これら3つの工夫が効果を発揮しているという。
◆2024年度・今年売れた本 昨年と同じ著者・著作が目白押し
今年も発表された書籍の年間ベストセラーランキングを振り返ると、日販の1位:雨穴『変な家』、2位:鈴木のりたけ『大ピンチずかん』が、どちらも人気シリーズの第2作だったことだ。
『変な家』はウェブメディアで発表され、YouTubeで人気が爆発した後に書籍化された。しかもシリーズ第2弾がベストセラーとなるのは前代未聞である。『変な家』は、2024年3月15日に映画が公開され、追い風をうけ第2弾が上半期ベストセラーランキング1位となる。映画と連動して書店店頭での動きが大きくなれば、10代の若年層にも大きく影響した可能性がある。
『大ピンチずかん』は7月9日に発行部数が100万部を超え、同時にシリーズ累計が167万部といわれる。
◆書店・紀伊国屋が「キノベス!2025」を発表
紀伊國屋書店で働く全スタッフが、自分で読んでみて本当に面白いと思った本へのコメントをもとに、選考委員19名の投票で「おすすめ本ベスト30」を決定。2月1日(土)から全国の紀伊國屋書店およびウェブストアでフェアが開催される。
そのうち「ベスト5」は、1位:朝井リョウ『生殖記』(小学館)、2位:間宮甲改衣『ここはすべての夜明けまえ』(早川書房)、3位:野崎まどか『小説』(講談社)、4位:かまど/みくのしん『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む―走れメロス・一房の葡萄・杜子春・本棚』(大和書房)、第5位:三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)
◆読書バリアフリーへの対応
2023年に芥川賞を受賞した市川沙央『ハンチバック』の広げた波紋は大きく、2024年は読書バリアフリーやアクセシビリティに関する取り組みが進んだ。
4月には、日本文芸家協会、日本推理作家協会、日本ペンクラブが「読書バリアフリーに関する三団体共同声明」を発表。6月には日本書籍出版協会、日本雑誌協会、デジタル出版者連盟(旧・電書協)、日本出版者協議会、版元ドットコムが「読書バリアフリーに関する出版5団体共同声明」を発出している。
しかし、制作プロセスだけの対応ではダメで、流通や利用の過程も変わっていく必要がある。つまり電子取次・電子書店・電子図書館の対応が伴わなければ、普及はとん挫する。利用者へのガイドも含め、対策が求められている。
図書館振興財団は、視覚に障がいがある方や、紙の本の読書が難しい方に読んでもらうために、まずは機関誌『図書館の学校』を、音声読み上げ等に対応したリフロー型電子書籍として公開。
公開方法:当財団ウェブサイトhttps://toshokan.or.jpやSNSを通じて各電子書籍にアクセスする。
これから公開する電子書籍には、例えばリフロー型電子書籍に印刷版ページ番号情報を入れ、一般的な用途にも役立てるよう改善するなど、より利用しやすい電子書籍を模索していくという。
日本の出版界、今年はどうなるか。昨年2024年1〜11月期の紙の出版物売り上げは9172億円(前年同期比5.7%減)。書籍は5471億円(同4.2%減)、雑誌は3702億円(同7.4%減)。12月期の実績額によるが、「年間での販売金額1兆円割れを回避できそうだ」といわれている。
日販の「出版物販売額の実態」最新版(2024年版)によると、売り上げの構成比が、この17年間(2006年〜2023年)でコミック、文庫、児童書は増えたが、雑誌、新書、文芸は減っている。
注目すべきは児童書ジャンルである。2023年における売上は推計で953億円、総売上に占める構成比は7.1%。構成比・売上ともに増加している。その一方、雑誌は2006年比で6割強も減らしている。
◆2024年度の電子出版市場
出版科学研究所による2024年度の電子出版市場の売り上げは集計中だが、上半期(1〜6月)の電子出版市場は2697億円(同6.1%増)。電子書籍・電子雑誌ともにはプラス成長だった。下半期が上半期と同じ成長率と仮定すると、1年間では電子コミック5145億円、電子書籍450億円、電子雑誌85億円、計5679億円となる。
◆マンガの海外輸出は2240億円
マンガ・アニメIP市場調査によると、マンガの海外輸出は2022年の時点で2240億円に達したという。ヒューマンメディア「日本と世界のメディア×コンテンツ市場データベース」を基に、日本の出版物の海外市場3200億円のうち7割がマンガであると仮定して算出したもの。
また海外向けマンガは「前年比15〜18%(推定値)程度で拡大している」との推定もあり、さらに拡大しているのは間違いない。
◆通販雑誌『ハルメク』が15万部(2017年)→48万部(2024年)へ
「ハルメク」は定期購読型の月刊誌。50代以上の女性を対象に、65歳くらいから80代をコアの読者にしている。60代になると、配偶者やご本人が退職を迎え、年金受給が始まり、生活や人付き合いに変化が訪れる。この世代に向けて悩みや願望に寄り添う情報を届ける内容が、驚異の部数増につながった。
工夫の1つは本誌に綴じ込みの読者ハガキを付け、自由に書き込めるコメント欄を設け、月2000通ほど編集部に届く。重要な意見はすぐ共有し、特にコメントの多い500通ほどは毎月データベース化をして、いつでも読者の考えを誌面に活かせるようにした。
2つは社内シンクタンク「生きかた上手研究所」が行う読者満足度調査。毎号、雑誌を読み終わったころを見計らってアンケートを送付し、年間約3000人の読後の満足度や閲読率を調べる。この結果を雑誌作りに反映し、広告制作や商品開発にも活かす。
3つめは受容度調査。雑誌の企画を立てる際、興味を持って受け容れてもらえるかを編集部とマーケティング課で調べる。ハルメクを読んだことのない方を対象に、バイアスのかからない意見を集める。
これら3つの工夫が効果を発揮しているという。
◆2024年度・今年売れた本 昨年と同じ著者・著作が目白押し
今年も発表された書籍の年間ベストセラーランキングを振り返ると、日販の1位:雨穴『変な家』、2位:鈴木のりたけ『大ピンチずかん』が、どちらも人気シリーズの第2作だったことだ。
『変な家』はウェブメディアで発表され、YouTubeで人気が爆発した後に書籍化された。しかもシリーズ第2弾がベストセラーとなるのは前代未聞である。『変な家』は、2024年3月15日に映画が公開され、追い風をうけ第2弾が上半期ベストセラーランキング1位となる。映画と連動して書店店頭での動きが大きくなれば、10代の若年層にも大きく影響した可能性がある。
『大ピンチずかん』は7月9日に発行部数が100万部を超え、同時にシリーズ累計が167万部といわれる。
◆書店・紀伊国屋が「キノベス!2025」を発表
紀伊國屋書店で働く全スタッフが、自分で読んでみて本当に面白いと思った本へのコメントをもとに、選考委員19名の投票で「おすすめ本ベスト30」を決定。2月1日(土)から全国の紀伊國屋書店およびウェブストアでフェアが開催される。
そのうち「ベスト5」は、1位:朝井リョウ『生殖記』(小学館)、2位:間宮甲改衣『ここはすべての夜明けまえ』(早川書房)、3位:野崎まどか『小説』(講談社)、4位:かまど/みくのしん『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む―走れメロス・一房の葡萄・杜子春・本棚』(大和書房)、第5位:三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)
◆読書バリアフリーへの対応
2023年に芥川賞を受賞した市川沙央『ハンチバック』の広げた波紋は大きく、2024年は読書バリアフリーやアクセシビリティに関する取り組みが進んだ。
4月には、日本文芸家協会、日本推理作家協会、日本ペンクラブが「読書バリアフリーに関する三団体共同声明」を発表。6月には日本書籍出版協会、日本雑誌協会、デジタル出版者連盟(旧・電書協)、日本出版者協議会、版元ドットコムが「読書バリアフリーに関する出版5団体共同声明」を発出している。
しかし、制作プロセスだけの対応ではダメで、流通や利用の過程も変わっていく必要がある。つまり電子取次・電子書店・電子図書館の対応が伴わなければ、普及はとん挫する。利用者へのガイドも含め、対策が求められている。
図書館振興財団は、視覚に障がいがある方や、紙の本の読書が難しい方に読んでもらうために、まずは機関誌『図書館の学校』を、音声読み上げ等に対応したリフロー型電子書籍として公開。
公開方法:当財団ウェブサイトhttps://toshokan.or.jpやSNSを通じて各電子書籍にアクセスする。
これから公開する電子書籍には、例えばリフロー型電子書籍に印刷版ページ番号情報を入れ、一般的な用途にも役立てるよう改善するなど、より利用しやすい電子書籍を模索していくという。
2024年12月16日
【出版界の動き】出版社「秀和システム」の動きとソニーがKADOKAWA買収
◆11月期の出版物・店頭売り上げは前年比101.5%
週刊誌が前年超えとなり、「ジャンプ GIGA 2024 AUTUMN」が売上げを牽引。書籍は実用書・ビジネス書・専門書・学参が前年超え。実用書では『梅津瑞樹セカンド写真集 飛べ、現へ』(主婦と生活社)、『前田拳太郎 Personal Photo Book 藍色』(KADOKAWA)などの写真集が好調。コミックは「ONE PIECE 110」が売上を伸ばしたものの、前年には及ばない結果となった。
◆小学館の新しい文芸誌『GOAT』が発売初日から完売続出で重版
11月27日発売の『GOAT』が大好評で、「売れない」といわれる文芸誌としては異例の大重版を決定し、累計3万部になる。本文に色上質紙を使用するため時間を要し、2刷りは12月27日頃より店頭に並ぶという。大ヒットの要因は、小説ファンだけでなく小説を読まない人たちから注目されたことにある。
12月6日発売の小学館文庫には、『GOAT』の表紙にいる“ゴートくん”の特製しおりを作成し封入する。ゴートくんが手に持っているハートを、ページに挟んで活用してほしい!と意気込む。
◆船井電機の倒産と出版社「秀和システム」
10月24日に倒産した船井電機の負債総額は470億円。実質的な負債は800億円に上るとも言われている。同社の迷走は、2017年に創業者の船井哲良氏が亡くなり、2021年5月に船井電機を出版社「秀和システム」が買収。この出版社は1974年に設立され、ITエンジニア向けの専門書を中心に、幅広いジャンルの書籍を発行している。
船井電機を買収した秀和システムの社長・上田智一氏は、新たに持株会社の船井電機・ホールディングスをつくり、“新事業”として、なんと脱毛サロンのミュゼプラチナムを買収する。その原資は船井電機の本社不動産などを担保にした借金によるといわれ、分かっているだけでも50億円が流出した。
船井電機HDの事業報告書を見ると、3年間で純資産が300億円も減少、急速に財務が悪化していた。破産を選んだのはこれ以上の被害を防ぐためとみられている。仮差し押さえの前に脱毛サロンのミュゼプラチナムは売却され、上田氏は9月に退任。会長には原田義昭元環境相が就任し、船井電機の復活を目指すという。
◆ソニーがKADOKAWAを買収する動き
現在、ソニーはKADOKAWA株を2.1%保有している。KADOKAWAの株総額は、現在の時価で約6000億円。ソニーがKADOKAWAの完全子会社化を狙う場合、ここ数年の国内エンタメ業界では最大規模のM&Aとなるだろう。
すでに両社は2021年、ソニーのアニメやゲームの世界的な展開力とKADOKAWAのコンテンツ力を組み合わせた、長期的な関係強化を目的にして資本提携がなされている。それ以降、提携の度合いは加速し、関係は深まっていた。
とはいえ近年、KADOKAWAが力を入れる教育事業(N高・ZEN大学など)や「ニコニコ動画」はどうするのか。ソニーはKADOKAWA買収に当たって、これらの事業も継承し経営戦略に入れているのか。不透明であるのは間違いない。
さらにここにきて、韓国IT大手のカカオが、KADOKAWAの株を買い増し、24年4月には実質的な筆頭株主(11.37%)となっている。その成果として、つい最近KADOKAWAがカカオピッコマと業務提携し、画期的電子マンガマガジン「MANGAバル」を共同で立上げ、国内最大級のIP創出装置に発展させ、無料で読める連載作品の最新話を毎日更新するという。
今やカカオのKADOKAWA株占有率は、ドワンゴの創業者である川上量生氏(5.00%)や、22年まで会長を務めていた角川歴彦氏(23年3月まで2.06%)も大きく上回っている。ソニーはKADOKAWAの筆頭株主であるカカオを、どのように攻略するのか。これらの株主の動きが激しくなるにつれ、KADOKAWA株の安定性や信用度がふらつく危険も浮上している。
割安な日本企業の株を、海外資本が買う動きはKADOKAWAに限った話ではない。セブンイレブンを運営するセブン&アイ・ホールディングスがカナダ流通大手から買収提案を受けているし、エンタメ企業に対しても買収、資本参加が相当数行われているのは確実だ。
◆今村翔吾さんの店が1年 「出版復活」へ挑戦続く
全国で書店が減っていく中、直木賞作家・今村翔吾さんが昨年12月3日、JR佐賀駅にオープンした「佐賀之書店」が、この3日で1年を迎えた。同駅内では2020年に書店が閉店したが、全国の書店減少に危機感を抱く今村さんが新たな形で復活させた。
開店1年を記念したイベントが11月24日に開かれた。佐賀駅の飲食街に設けられた会場のトークショー第1部で、今村さんは愛野史香さんと対談。愛野さんは嬉野市在住で桜田光のペンネームで書いた『真令和復元図』が今年の角川春樹小説賞を受賞した。第2部では2019年に本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんと対談。軽妙な掛け合いに、何度も笑いが起きた。
今年4月27日、東京・神保町に今村さんがオープンした書店「ほんまる」も好評だ。本を売りたい人に書棚を貸し出す「シェア型」の店で、1階と地下1階に364棚を備える。「本好きのサポートにより、書店の減少に歯止めをかけたい」と願いを込める。
週刊誌が前年超えとなり、「ジャンプ GIGA 2024 AUTUMN」が売上げを牽引。書籍は実用書・ビジネス書・専門書・学参が前年超え。実用書では『梅津瑞樹セカンド写真集 飛べ、現へ』(主婦と生活社)、『前田拳太郎 Personal Photo Book 藍色』(KADOKAWA)などの写真集が好調。コミックは「ONE PIECE 110」が売上を伸ばしたものの、前年には及ばない結果となった。
◆小学館の新しい文芸誌『GOAT』が発売初日から完売続出で重版
11月27日発売の『GOAT』が大好評で、「売れない」といわれる文芸誌としては異例の大重版を決定し、累計3万部になる。本文に色上質紙を使用するため時間を要し、2刷りは12月27日頃より店頭に並ぶという。大ヒットの要因は、小説ファンだけでなく小説を読まない人たちから注目されたことにある。
12月6日発売の小学館文庫には、『GOAT』の表紙にいる“ゴートくん”の特製しおりを作成し封入する。ゴートくんが手に持っているハートを、ページに挟んで活用してほしい!と意気込む。
◆船井電機の倒産と出版社「秀和システム」
10月24日に倒産した船井電機の負債総額は470億円。実質的な負債は800億円に上るとも言われている。同社の迷走は、2017年に創業者の船井哲良氏が亡くなり、2021年5月に船井電機を出版社「秀和システム」が買収。この出版社は1974年に設立され、ITエンジニア向けの専門書を中心に、幅広いジャンルの書籍を発行している。
船井電機を買収した秀和システムの社長・上田智一氏は、新たに持株会社の船井電機・ホールディングスをつくり、“新事業”として、なんと脱毛サロンのミュゼプラチナムを買収する。その原資は船井電機の本社不動産などを担保にした借金によるといわれ、分かっているだけでも50億円が流出した。
船井電機HDの事業報告書を見ると、3年間で純資産が300億円も減少、急速に財務が悪化していた。破産を選んだのはこれ以上の被害を防ぐためとみられている。仮差し押さえの前に脱毛サロンのミュゼプラチナムは売却され、上田氏は9月に退任。会長には原田義昭元環境相が就任し、船井電機の復活を目指すという。
◆ソニーがKADOKAWAを買収する動き
現在、ソニーはKADOKAWA株を2.1%保有している。KADOKAWAの株総額は、現在の時価で約6000億円。ソニーがKADOKAWAの完全子会社化を狙う場合、ここ数年の国内エンタメ業界では最大規模のM&Aとなるだろう。
すでに両社は2021年、ソニーのアニメやゲームの世界的な展開力とKADOKAWAのコンテンツ力を組み合わせた、長期的な関係強化を目的にして資本提携がなされている。それ以降、提携の度合いは加速し、関係は深まっていた。
とはいえ近年、KADOKAWAが力を入れる教育事業(N高・ZEN大学など)や「ニコニコ動画」はどうするのか。ソニーはKADOKAWA買収に当たって、これらの事業も継承し経営戦略に入れているのか。不透明であるのは間違いない。
さらにここにきて、韓国IT大手のカカオが、KADOKAWAの株を買い増し、24年4月には実質的な筆頭株主(11.37%)となっている。その成果として、つい最近KADOKAWAがカカオピッコマと業務提携し、画期的電子マンガマガジン「MANGAバル」を共同で立上げ、国内最大級のIP創出装置に発展させ、無料で読める連載作品の最新話を毎日更新するという。
今やカカオのKADOKAWA株占有率は、ドワンゴの創業者である川上量生氏(5.00%)や、22年まで会長を務めていた角川歴彦氏(23年3月まで2.06%)も大きく上回っている。ソニーはKADOKAWAの筆頭株主であるカカオを、どのように攻略するのか。これらの株主の動きが激しくなるにつれ、KADOKAWA株の安定性や信用度がふらつく危険も浮上している。
割安な日本企業の株を、海外資本が買う動きはKADOKAWAに限った話ではない。セブンイレブンを運営するセブン&アイ・ホールディングスがカナダ流通大手から買収提案を受けているし、エンタメ企業に対しても買収、資本参加が相当数行われているのは確実だ。
◆今村翔吾さんの店が1年 「出版復活」へ挑戦続く
全国で書店が減っていく中、直木賞作家・今村翔吾さんが昨年12月3日、JR佐賀駅にオープンした「佐賀之書店」が、この3日で1年を迎えた。同駅内では2020年に書店が閉店したが、全国の書店減少に危機感を抱く今村さんが新たな形で復活させた。
開店1年を記念したイベントが11月24日に開かれた。佐賀駅の飲食街に設けられた会場のトークショー第1部で、今村さんは愛野史香さんと対談。愛野さんは嬉野市在住で桜田光のペンネームで書いた『真令和復元図』が今年の角川春樹小説賞を受賞した。第2部では2019年に本屋大賞を受賞した瀬尾まいこさんと対談。軽妙な掛け合いに、何度も笑いが起きた。
今年4月27日、東京・神保町に今村さんがオープンした書店「ほんまる」も好評だ。本を売りたい人に書棚を貸し出す「シェア型」の店で、1階と地下1階に364棚を備える。「本好きのサポートにより、書店の減少に歯止めをかけたい」と願いを込める。
2024年11月18日
【出版界の動き】11月:トランプの「トリプルレッド」が招く不安
◆<トランプ勝利>で影響力が低下する米国大手メディアの苦悩
今回の大統領選挙で、トランプが「トリプルレッド」を手にした背景には、戦いの場を新たなメディアの戦場に移したからだとも言われている。ポッドキャスト(Podcast)やゲーム配信、サブスタック(Substacks)やティックトック(TikTok)などでのニュース配信や討論も含め、活用メディアが多様化し、新たな情報環境を作り出している。
選挙報道などでは、これまで主流だった新聞やテレビなどの大手メディアが、試練に立たされている。米国の成人の14%がティックトックから定期的にニュースを入手。18〜29歳の若年層に限れば、2023年には32%(2020年9%)へと跳ね上がっている。
こうした新メディアの多くは選挙期間中に、視聴者に向けて自信に満ちた解説をし、候補者への支持をバックアップするなど、従来にない役割りを果たした。その一方、一部の主流メディアは、どの候補者を支持するか、社説や論調をどうするか、内部での混乱や対立や苦悩が顕在化し、改めてジャーナリズムの誠実性や経営陣と現場の自主性をめぐる論争が巻き起っている。
◆驚くべきトランプ政権の閣僚人事─イーロン・マスク氏の狙い
来年1月から発足する第2次トランプ政権の閣僚人事が、次々に公表されている。わかっただけでも、その驚くべき経歴のメンバーが登用されている。まさにトランプ独裁・お気に入りの私的人事そのものだ。
典型がイーロン・マスク氏。「政府効率化省」トップに就く。大統領選では自らが所有するX(旧ツイッター)で約2億人のフォロワーに向け、連日トランプ氏への支持を訴え、巨額の政治献金までしている。彼は米電気自動車大手テスラ、米宇宙企業スペースXなどを経営する世界有数の起業家。
おそらく彼は自社の業績・利潤の拡大に向け、政府と一体となって、辣腕を振るうだろう。ブラジルや英国、カナダなど世界からXへの批判や規制・停止の動きが強まっているだけに、まずは「効率化」をタテに米国内のXからの撤退・批判封じの画策に手をつけるだろう。
そのためにはヘイトニュースの意識的な拡散、メディアの再編、さらには「言論・表現・出版の自由」にまで介入する危険は大いにある。米国だけではない、世界に波及しかねない。楽観は決して許されない。
◆10月期の書店・店頭売上げ96.0%(前年10月比)
10月期は、雑誌部門で週刊誌が前年超えとなり、特にゲーム実況者のキヨが表紙を飾る週刊誌「anan (アンアン)」(マガジンハウス・2024 年10月9日号)が、<ときめきカルチャー2024>と題した特集が好評で、雑誌全体の売上げを牽引し、前年10月比98.5%となった。雑誌の落ち込みを防ぐ結果となった。
書籍は前年10月比97.2%、総記・ビジネス書が前年超えし、ビジネス書では安藤広大『パーフェクトな意思決定』(ダイヤモンド社 9/25刊)などが好調。コミックは、芥見下々「呪術廻戦28」(ジャンプコミックス)など、人気作品の新刊が売上げを伸ばしたが、前年には及ばない結果となった。
◆地元の図書館でも本が買える?「販売窓口」設置へ
全国的に書店が減少し、店舗がない自治体もある中、図書館で本を販売する実証実験が来年から始まる。図書館の利便性を向上させ、地域の人が本に親しむ機会を増やすことが狙い。実証実験は、各地で図書館サービスを手がける図書館流通センター(TRC)と出版取次大手の日本出版販売(日販)が、複数の図書館で行う。
図書館の貸出窓口とは別に、購入用の窓口を設ける。販売用の書籍を用意したり、図書館で読んで気に入った本を注文できたりする仕組みを整え、インターネット通販を利用しにくい児童生徒や高齢者が手軽に本を購入できるようにする。
◆小学館から文芸誌「GOAT」(月刊)が創刊・11/27発売
電子書籍・デジタル化の時代に、あえて紙の文芸誌「GOAT」を刊行! 紙を愛してやまない《ヤギ》にちなんで誌名をGOATとし、<Greatest Of All Time(=史上最高の)>文芸誌を目指す。ジャンルや国境を越えて素晴らしい執筆陣が結集。
小説、詩、短歌、エッセイ、哲学……など充実したコンテンツに加え、第1号の特集「愛」をテーマに、作家の小池真理子さんと俳優の東出昌大さんの対談も。さらに「愛と再生」をテーマに気鋭の詩人・作家6名が詩を書くスペシャル企画に、最果タヒさんの参加も決定。用紙は米のもみ殻を再利用して作ったサステナブルな紙を使用している。
◆朝日出版社の買収を巡る不可解な動きと労組結成
東京・九段下にある朝日出版社で、不可解な買収騒動が起きている。これまで大学向けの教科書や書籍を刊行し実績を上げてきた。その創業者の会長・原雅久氏が昨年4月に死亡。遺族(2名)が創業者100%保有の株を相続。今年の5月、合同会社戸田事務所が買収の意向を示し、現社長に遺族からの株式譲渡と買収金額などを提示。
だが当時の取締役会は全員一致で、この買収の不透明さや低い金額などを理由に、株式譲渡に反対。従業員も反対の意思を会社側に伝え、労働組合を結成し出版労連に加盟した。ところが9月に入って取締役6名全員の解任。労働組合も新たな経営役員に団交を再三申し入れているがナシのつぶて。
しかもいつの間にか「朝日出版社HD」という会社が、朝日出版社と同じ住所で新規に設立登記されていたのだ。今後の動きがどうなるか、予断を許さない緊迫した状況が続く。
今回の大統領選挙で、トランプが「トリプルレッド」を手にした背景には、戦いの場を新たなメディアの戦場に移したからだとも言われている。ポッドキャスト(Podcast)やゲーム配信、サブスタック(Substacks)やティックトック(TikTok)などでのニュース配信や討論も含め、活用メディアが多様化し、新たな情報環境を作り出している。
選挙報道などでは、これまで主流だった新聞やテレビなどの大手メディアが、試練に立たされている。米国の成人の14%がティックトックから定期的にニュースを入手。18〜29歳の若年層に限れば、2023年には32%(2020年9%)へと跳ね上がっている。
こうした新メディアの多くは選挙期間中に、視聴者に向けて自信に満ちた解説をし、候補者への支持をバックアップするなど、従来にない役割りを果たした。その一方、一部の主流メディアは、どの候補者を支持するか、社説や論調をどうするか、内部での混乱や対立や苦悩が顕在化し、改めてジャーナリズムの誠実性や経営陣と現場の自主性をめぐる論争が巻き起っている。
◆驚くべきトランプ政権の閣僚人事─イーロン・マスク氏の狙い
来年1月から発足する第2次トランプ政権の閣僚人事が、次々に公表されている。わかっただけでも、その驚くべき経歴のメンバーが登用されている。まさにトランプ独裁・お気に入りの私的人事そのものだ。
典型がイーロン・マスク氏。「政府効率化省」トップに就く。大統領選では自らが所有するX(旧ツイッター)で約2億人のフォロワーに向け、連日トランプ氏への支持を訴え、巨額の政治献金までしている。彼は米電気自動車大手テスラ、米宇宙企業スペースXなどを経営する世界有数の起業家。
おそらく彼は自社の業績・利潤の拡大に向け、政府と一体となって、辣腕を振るうだろう。ブラジルや英国、カナダなど世界からXへの批判や規制・停止の動きが強まっているだけに、まずは「効率化」をタテに米国内のXからの撤退・批判封じの画策に手をつけるだろう。
そのためにはヘイトニュースの意識的な拡散、メディアの再編、さらには「言論・表現・出版の自由」にまで介入する危険は大いにある。米国だけではない、世界に波及しかねない。楽観は決して許されない。
◆10月期の書店・店頭売上げ96.0%(前年10月比)
10月期は、雑誌部門で週刊誌が前年超えとなり、特にゲーム実況者のキヨが表紙を飾る週刊誌「anan (アンアン)」(マガジンハウス・2024 年10月9日号)が、<ときめきカルチャー2024>と題した特集が好評で、雑誌全体の売上げを牽引し、前年10月比98.5%となった。雑誌の落ち込みを防ぐ結果となった。
書籍は前年10月比97.2%、総記・ビジネス書が前年超えし、ビジネス書では安藤広大『パーフェクトな意思決定』(ダイヤモンド社 9/25刊)などが好調。コミックは、芥見下々「呪術廻戦28」(ジャンプコミックス)など、人気作品の新刊が売上げを伸ばしたが、前年には及ばない結果となった。
◆地元の図書館でも本が買える?「販売窓口」設置へ
全国的に書店が減少し、店舗がない自治体もある中、図書館で本を販売する実証実験が来年から始まる。図書館の利便性を向上させ、地域の人が本に親しむ機会を増やすことが狙い。実証実験は、各地で図書館サービスを手がける図書館流通センター(TRC)と出版取次大手の日本出版販売(日販)が、複数の図書館で行う。
図書館の貸出窓口とは別に、購入用の窓口を設ける。販売用の書籍を用意したり、図書館で読んで気に入った本を注文できたりする仕組みを整え、インターネット通販を利用しにくい児童生徒や高齢者が手軽に本を購入できるようにする。
◆小学館から文芸誌「GOAT」(月刊)が創刊・11/27発売
電子書籍・デジタル化の時代に、あえて紙の文芸誌「GOAT」を刊行! 紙を愛してやまない《ヤギ》にちなんで誌名をGOATとし、<Greatest Of All Time(=史上最高の)>文芸誌を目指す。ジャンルや国境を越えて素晴らしい執筆陣が結集。
小説、詩、短歌、エッセイ、哲学……など充実したコンテンツに加え、第1号の特集「愛」をテーマに、作家の小池真理子さんと俳優の東出昌大さんの対談も。さらに「愛と再生」をテーマに気鋭の詩人・作家6名が詩を書くスペシャル企画に、最果タヒさんの参加も決定。用紙は米のもみ殻を再利用して作ったサステナブルな紙を使用している。
◆朝日出版社の買収を巡る不可解な動きと労組結成
東京・九段下にある朝日出版社で、不可解な買収騒動が起きている。これまで大学向けの教科書や書籍を刊行し実績を上げてきた。その創業者の会長・原雅久氏が昨年4月に死亡。遺族(2名)が創業者100%保有の株を相続。今年の5月、合同会社戸田事務所が買収の意向を示し、現社長に遺族からの株式譲渡と買収金額などを提示。
だが当時の取締役会は全員一致で、この買収の不透明さや低い金額などを理由に、株式譲渡に反対。従業員も反対の意思を会社側に伝え、労働組合を結成し出版労連に加盟した。ところが9月に入って取締役6名全員の解任。労働組合も新たな経営役員に団交を再三申し入れているがナシのつぶて。
しかもいつの間にか「朝日出版社HD」という会社が、朝日出版社と同じ住所で新規に設立登記されていたのだ。今後の動きがどうなるか、予断を許さない緊迫した状況が続く。
2024年10月21日
【出版界の動き】「TikTok」がリアル本の出版・販売に乗り出す
◆トーハン「HONYAL」サービスを開始
このほどトーハンは、小型書店の開業をサポートする少額取次サービス「HONYAL(ホンヤル)」を開始し受付を始めた。本の流通フローを簡略化し、少額の取引先とも持続的に取引が可能となる。書籍販売への新規参入を促進し、無書店自治体を失くす流れを作る。
取扱いは書籍の注文品のみ、返品は仕入額の15%まで、配送は週1回。想定月商は30万〜100万円で、連帯保証人や信認金は原則不要。初期在庫費用も分割払いの相談を受ける。
トーハンの一般的な取引書店と同じで、3000社以上の国内出版社からの商品調達が可能になる。トーハン桶川センター(埼玉・桶川市)で注文に対応し、70万点500万冊から随時ピッキング、非在庫品は出版社に発注する。トーハンの全国配送網を活用し、全国エリアに対応。一般的な書店と同程度のマージン率になるという。
◆メディアドゥ中間決算、増収増益で推移
メディアドゥの2024年3月〜8月までの累計売上高は510億5700万円(前年同期比10.0%増)、経常利益は10億3400万円(同10.3%増)。
2月に獲得した新規商流が業績に寄与したほか、既存商流の売上成長により電子書籍流通事業の売上高が好調に推移。またIP・ソリューション事業の利益改善が進んだ戦略投資事業において営業赤字が縮小したことで、増収増益となった。
ジャンル別成長率は、売上の8割強を占めるコミック(前年同期比13.7%増)が、大手書店を中心としたキャンペーン展開の拡大により、メディアドゥの成長をけん引した。書籍(前年同期比8.4%増)も3月以降、書店のキャンペーン実施や好調な作品の影響により前年比で安定的に成長した。
◆ノーベル文学賞に韓国人作家のハン・ガンさん、アジア出身女性で初の受賞
彼女は『菜食主義者』で2016年にイギリスの文学賞「ブッカー国際賞」を受賞。日本では、韓国文学を中心に手掛けてきた出版社「クオン」が同作のほか『少年が来る』『そっと静かに』『引き出しに夕方をしまっておいた』を刊行。
河出書房新社が『すべての、白いものたちの』、晶文社が『ギリシャ語の時間』、白水社が『別れを告げない』の邦訳版を出版している。注文が殺到しているが、現在すべて品切れ中で、重版の準備に入っている。
◆長くなる本のタイトル。ネット文化の波及で「埋もれない」工夫か
本の書名が長くなっている。2023年までの直近5年間に刊行された本の上位30冊は、タイトルが平均10.3字となり、1960年代と比べ2倍近くになる。ひらがなや熟語を使った簡潔な書名の文芸書から、本文の文章とみまがうような説明調の実用書・ビジネス書の長いタイトル本へと、売れ筋が変化している。
とりわけ大量のウェブ情報が交錯し、ネット文化が浸透する中で、埋没を避けるには本のタイトルも、訴求力のある分かりやすい説明調の書名がベストセラーを占めるようになった。人生・お金など生き方に関する言葉も増加している。たとえば最近刊では、下記の1書は典型である。
横道誠『なぜスナフキンは旅をし、ミイは他人を気にせず、ムーミン一家は水辺を好むのか』集英社 9/26刊
◆「TikTok」がリアル本の出版に乗り出す
世界で10億人のユーザーがいる中国発祥の多国籍企業「TikTok」は、「#BookTok」の運営を通して、世界中から多くの動画閲覧者を集めている。米国ではそこからベストセラーも生まれている。その影響力は無視できない。
「TikTok」の関連事業として発足した、デジタル本の出版社「8th Note Press」は、「Zando」という出版社と提携して、リアル書籍の販売を拡大していく計画だという。扱うジャンルはロマンス、ロマンチック、ヤングアダルト小説が中心。毎年10〜15冊の本をリリースする予定。
すでにエージェント経由で契約をしている著者もいるらしく、契約では「TikTok」のインフルエンサーを使って、プロモーションを行うという。日本ではスターツ出版が「TikTok」を活用した出版の事例もあり、新しい印刷版レーベルが立ち上がるかもしれない。
◆いま子どもに人気のスターツ出版<野いちごジュニア文庫>
若者の間で人気を集めているのが、スターツ出版(本社:東京都中央区)が刊行する<野いちごジュニア文庫>。5年間で売上高を3倍に伸ばした。もともとは2007年に立ち上げた「野いちご」という小説投稿サイトに始まる。
会員登録をすれば誰でも無料で小説を読んだり書いたりすることができ、投稿された作品で人気の高いものは、本として刊行されるので注目が集まった。しかも子ども自身が買いたくなる本の出版を基本に運営されている。テーマの多くは「恋愛」だ。電子出版よりも紙媒体の方が人気は高い。装丁が可愛くコレクション目的で本棚に並べたくなる、そんな気持ちをかきたてるのも人気のひとつ。
◆出版労連が『早わかり教科書制度 教科書Q&A 』(改訂新版)発行
すべての子どもたちが使う「教科書」。だが「検定」「採択」については、複雑でわかりにくい制度がたくさん。「教科書」の制度・問題点について、旧版を大幅増補改訂し、新たにデジタル教科書やQRコンテンツについても扱う。A5判28ページ。頒価:1部200円、送料:ゆうパック実費。
※申込先:出版労連 FAX03(3816)2980/メールsumi@syuppan.net
このほどトーハンは、小型書店の開業をサポートする少額取次サービス「HONYAL(ホンヤル)」を開始し受付を始めた。本の流通フローを簡略化し、少額の取引先とも持続的に取引が可能となる。書籍販売への新規参入を促進し、無書店自治体を失くす流れを作る。
取扱いは書籍の注文品のみ、返品は仕入額の15%まで、配送は週1回。想定月商は30万〜100万円で、連帯保証人や信認金は原則不要。初期在庫費用も分割払いの相談を受ける。
トーハンの一般的な取引書店と同じで、3000社以上の国内出版社からの商品調達が可能になる。トーハン桶川センター(埼玉・桶川市)で注文に対応し、70万点500万冊から随時ピッキング、非在庫品は出版社に発注する。トーハンの全国配送網を活用し、全国エリアに対応。一般的な書店と同程度のマージン率になるという。
◆メディアドゥ中間決算、増収増益で推移
メディアドゥの2024年3月〜8月までの累計売上高は510億5700万円(前年同期比10.0%増)、経常利益は10億3400万円(同10.3%増)。
2月に獲得した新規商流が業績に寄与したほか、既存商流の売上成長により電子書籍流通事業の売上高が好調に推移。またIP・ソリューション事業の利益改善が進んだ戦略投資事業において営業赤字が縮小したことで、増収増益となった。
ジャンル別成長率は、売上の8割強を占めるコミック(前年同期比13.7%増)が、大手書店を中心としたキャンペーン展開の拡大により、メディアドゥの成長をけん引した。書籍(前年同期比8.4%増)も3月以降、書店のキャンペーン実施や好調な作品の影響により前年比で安定的に成長した。
◆ノーベル文学賞に韓国人作家のハン・ガンさん、アジア出身女性で初の受賞
彼女は『菜食主義者』で2016年にイギリスの文学賞「ブッカー国際賞」を受賞。日本では、韓国文学を中心に手掛けてきた出版社「クオン」が同作のほか『少年が来る』『そっと静かに』『引き出しに夕方をしまっておいた』を刊行。
河出書房新社が『すべての、白いものたちの』、晶文社が『ギリシャ語の時間』、白水社が『別れを告げない』の邦訳版を出版している。注文が殺到しているが、現在すべて品切れ中で、重版の準備に入っている。
◆長くなる本のタイトル。ネット文化の波及で「埋もれない」工夫か
本の書名が長くなっている。2023年までの直近5年間に刊行された本の上位30冊は、タイトルが平均10.3字となり、1960年代と比べ2倍近くになる。ひらがなや熟語を使った簡潔な書名の文芸書から、本文の文章とみまがうような説明調の実用書・ビジネス書の長いタイトル本へと、売れ筋が変化している。
とりわけ大量のウェブ情報が交錯し、ネット文化が浸透する中で、埋没を避けるには本のタイトルも、訴求力のある分かりやすい説明調の書名がベストセラーを占めるようになった。人生・お金など生き方に関する言葉も増加している。たとえば最近刊では、下記の1書は典型である。
横道誠『なぜスナフキンは旅をし、ミイは他人を気にせず、ムーミン一家は水辺を好むのか』集英社 9/26刊
◆「TikTok」がリアル本の出版に乗り出す
世界で10億人のユーザーがいる中国発祥の多国籍企業「TikTok」は、「#BookTok」の運営を通して、世界中から多くの動画閲覧者を集めている。米国ではそこからベストセラーも生まれている。その影響力は無視できない。
「TikTok」の関連事業として発足した、デジタル本の出版社「8th Note Press」は、「Zando」という出版社と提携して、リアル書籍の販売を拡大していく計画だという。扱うジャンルはロマンス、ロマンチック、ヤングアダルト小説が中心。毎年10〜15冊の本をリリースする予定。
すでにエージェント経由で契約をしている著者もいるらしく、契約では「TikTok」のインフルエンサーを使って、プロモーションを行うという。日本ではスターツ出版が「TikTok」を活用した出版の事例もあり、新しい印刷版レーベルが立ち上がるかもしれない。
◆いま子どもに人気のスターツ出版<野いちごジュニア文庫>
若者の間で人気を集めているのが、スターツ出版(本社:東京都中央区)が刊行する<野いちごジュニア文庫>。5年間で売上高を3倍に伸ばした。もともとは2007年に立ち上げた「野いちご」という小説投稿サイトに始まる。
会員登録をすれば誰でも無料で小説を読んだり書いたりすることができ、投稿された作品で人気の高いものは、本として刊行されるので注目が集まった。しかも子ども自身が買いたくなる本の出版を基本に運営されている。テーマの多くは「恋愛」だ。電子出版よりも紙媒体の方が人気は高い。装丁が可愛くコレクション目的で本棚に並べたくなる、そんな気持ちをかきたてるのも人気のひとつ。
◆出版労連が『早わかり教科書制度 教科書Q&A 』(改訂新版)発行
すべての子どもたちが使う「教科書」。だが「検定」「採択」については、複雑でわかりにくい制度がたくさん。「教科書」の制度・問題点について、旧版を大幅増補改訂し、新たにデジタル教科書やQRコンテンツについても扱う。A5判28ページ。頒価:1部200円、送料:ゆうパック実費。
※申込先:出版労連 FAX03(3816)2980/メールsumi@syuppan.net
2024年09月26日
【出版界の動き】読書離れを防ぐ多様な取り組みが進む
◆1カ月に本を1冊も読まない人が62.6%!
文化庁が17日に発表した2023年度「国語に関する世論調査」の1項目、<読書に関する調査>(雑誌や漫画を除き電子書籍を含む)で、1カ月に本を1冊も読まない人が62.6%!―そんな結果が明らかとなった。
同様の調査は2008年度から5年ごとだが、過去の調査で「ゼロ冊」が5割を超えたことはなく、前回の2018年度は47.3%だった。コロナ禍前の前回までは面接調査だったため、今回は郵送調査なので単純比較はできないが、憂慮すべき事態であるのは間違いない。
本を読む人は、どのように本を選ぶかを尋ねると、書店に行って手に取りながら選ぶ人は57.9%(前回66.7%)と減っている。その一方、インターネット情報により選ぶ人は33.4%(前回27.9%)と増えている。
読書量は69.1%が「減っている」(前回67.3%)と回答し、その理由はスマホやゲーム機など「情報機器で時間が取られる」と答えた人が43.6%(前回36.5%)で最多となった。これまでの調査では「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」回答が多数だったが、今回は38.9%(同49.4%)に減っている。
◆「朝の読書大賞」が発表される
文字・活字文化振興法の理念にもとづき、読書推進に貢献し、顕著な業績をあげた学校を顕彰するため毎年表彰している。今年の受賞・学校は以下の通り。
●大江学園 福知山市立大江小学校・大江中学校(京都)、
●学校法人開成学園 大宮開成中学校(埼玉)
●愛知県立豊橋高等学校
「朝の読書運動」は、主に学校在学中から読書を大切にしようと、授業の始まる前の10分から15分ほど読書の時間を設け、読む習慣づくりに貢献してきた。1970年代から始まり、1988年の船橋学園女子高校(現:東葉高等学校)の実践を機に、日本全国に広まった。
特に出版社・高文研(当時の代表・梅田正己)が、同校編『朝の読書が奇跡を生んだ』(同社1993年刊)などで協力し、1996年には「朝の読書」運動が第44回菊池寛賞を受賞した。
◆「無書店」自治体27.9%、1書店以下は47.7%
出版文化産業振興財団(JPIC)の調査によると、今年8月末時点で15道県24市が「書店ゼロ」となり、北海道芦別市や千葉県白井市、熊本県合志市など市名を公表した。また全国の書店数は前回調査(24年3月時点)より145軒減って7828軒に減少した。
その一方で、大型書店がターミナル駅周辺などに大規模な出店を図り、近郊の青年・児童・主婦層を視野に、新たな読者拡大に傾注している。その際、紙媒体の本もさることながら、電子出版物・教育玩具などに売り場面積を拡充し、新規販路の開拓を試みている。
◆丸善ジュンク堂書店、所沢市に97店舗目出店へ
9月24日、「ジュンク堂書店エミテラス所沢店」が、埼玉・所沢市の商業施設「エミテラス所沢」(西武線「所沢駅」西口)の3階に新規出店した。97店舗目。売場面積304坪。240坪の本売場では、ファミリー層に向けて児童書や学参書を充実させて約20万冊を揃え、知育玩具を体験できるエリアも設ける。
店内には所沢市在住の漫画家・安彦良和氏のコミック『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の複製原画を展示するなど、「所沢」という地域を意識した企画を随時展開する。
◆JR貨物の不正が招く出版流通への影響
JR貨物が車輪と車軸のデータ改ざん不正の発表から2週間が経過する。その影響で輸送力は1割減のまま、物流への影響は続いている。国土交通省は全国の鉄道事業者に、車輪・車軸の緊急点検を指示し、影響は広がりかねない。本や雑誌の新刊を心待ちにする読者にも影響が出ている。
札幌市北区の大型書店「コーチャンフォー新川通り店」は、本州からの貨物輸送が滞ったため、発売予定日に雑誌や書籍が並べられなかったという。「物流2024年問題」で長距離ドライバーが不足している現状に、JR貨物の車両点検不正が追い打ちをかけた形で、事態を深刻化させている。
とりわけ出版流通にとっては、JR貨物の正確性・迅速性・軽料金などに依存している割合が極めて大きいので、両国駅に集約される JR貨物の、一刻も早い正常化が望まれている。
◆講談社の海外向けマンガサービス「K MANGA」を国内でも
2023年5月、海外向けに公開された英語版のマンガ配信サービス「K MANGA」を、国内の読者からの強い要望を受け、日本国内でも公開することになった。「K MANGA」は、同社のウェブマンガサービス「マガポケ」の海外版で、「ブルーロック」「MFゴースト」などの人気作約500タイトルが配信されている。オンライン英会話サービス「DMM英会話」とコラボしたキャンペーンも実施する。
文化庁が17日に発表した2023年度「国語に関する世論調査」の1項目、<読書に関する調査>(雑誌や漫画を除き電子書籍を含む)で、1カ月に本を1冊も読まない人が62.6%!―そんな結果が明らかとなった。
同様の調査は2008年度から5年ごとだが、過去の調査で「ゼロ冊」が5割を超えたことはなく、前回の2018年度は47.3%だった。コロナ禍前の前回までは面接調査だったため、今回は郵送調査なので単純比較はできないが、憂慮すべき事態であるのは間違いない。
本を読む人は、どのように本を選ぶかを尋ねると、書店に行って手に取りながら選ぶ人は57.9%(前回66.7%)と減っている。その一方、インターネット情報により選ぶ人は33.4%(前回27.9%)と増えている。
読書量は69.1%が「減っている」(前回67.3%)と回答し、その理由はスマホやゲーム機など「情報機器で時間が取られる」と答えた人が43.6%(前回36.5%)で最多となった。これまでの調査では「仕事や勉強が忙しくて読む時間がない」回答が多数だったが、今回は38.9%(同49.4%)に減っている。
◆「朝の読書大賞」が発表される
文字・活字文化振興法の理念にもとづき、読書推進に貢献し、顕著な業績をあげた学校を顕彰するため毎年表彰している。今年の受賞・学校は以下の通り。
●大江学園 福知山市立大江小学校・大江中学校(京都)、
●学校法人開成学園 大宮開成中学校(埼玉)
●愛知県立豊橋高等学校
「朝の読書運動」は、主に学校在学中から読書を大切にしようと、授業の始まる前の10分から15分ほど読書の時間を設け、読む習慣づくりに貢献してきた。1970年代から始まり、1988年の船橋学園女子高校(現:東葉高等学校)の実践を機に、日本全国に広まった。
特に出版社・高文研(当時の代表・梅田正己)が、同校編『朝の読書が奇跡を生んだ』(同社1993年刊)などで協力し、1996年には「朝の読書」運動が第44回菊池寛賞を受賞した。
◆「無書店」自治体27.9%、1書店以下は47.7%
出版文化産業振興財団(JPIC)の調査によると、今年8月末時点で15道県24市が「書店ゼロ」となり、北海道芦別市や千葉県白井市、熊本県合志市など市名を公表した。また全国の書店数は前回調査(24年3月時点)より145軒減って7828軒に減少した。
その一方で、大型書店がターミナル駅周辺などに大規模な出店を図り、近郊の青年・児童・主婦層を視野に、新たな読者拡大に傾注している。その際、紙媒体の本もさることながら、電子出版物・教育玩具などに売り場面積を拡充し、新規販路の開拓を試みている。
◆丸善ジュンク堂書店、所沢市に97店舗目出店へ
9月24日、「ジュンク堂書店エミテラス所沢店」が、埼玉・所沢市の商業施設「エミテラス所沢」(西武線「所沢駅」西口)の3階に新規出店した。97店舗目。売場面積304坪。240坪の本売場では、ファミリー層に向けて児童書や学参書を充実させて約20万冊を揃え、知育玩具を体験できるエリアも設ける。
店内には所沢市在住の漫画家・安彦良和氏のコミック『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の複製原画を展示するなど、「所沢」という地域を意識した企画を随時展開する。
◆JR貨物の不正が招く出版流通への影響
JR貨物が車輪と車軸のデータ改ざん不正の発表から2週間が経過する。その影響で輸送力は1割減のまま、物流への影響は続いている。国土交通省は全国の鉄道事業者に、車輪・車軸の緊急点検を指示し、影響は広がりかねない。本や雑誌の新刊を心待ちにする読者にも影響が出ている。
札幌市北区の大型書店「コーチャンフォー新川通り店」は、本州からの貨物輸送が滞ったため、発売予定日に雑誌や書籍が並べられなかったという。「物流2024年問題」で長距離ドライバーが不足している現状に、JR貨物の車両点検不正が追い打ちをかけた形で、事態を深刻化させている。
とりわけ出版流通にとっては、JR貨物の正確性・迅速性・軽料金などに依存している割合が極めて大きいので、両国駅に集約される JR貨物の、一刻も早い正常化が望まれている。
◆講談社の海外向けマンガサービス「K MANGA」を国内でも
2023年5月、海外向けに公開された英語版のマンガ配信サービス「K MANGA」を、国内の読者からの強い要望を受け、日本国内でも公開することになった。「K MANGA」は、同社のウェブマンガサービス「マガポケ」の海外版で、「ブルーロック」「MFゴースト」などの人気作約500タイトルが配信されている。オンライン英会話サービス「DMM英会話」とコラボしたキャンペーンも実施する。
2024年07月22日
【出版界の動き】本の需要を喚起するユニークな取り組みと挑戦
◆第171回・芥川賞と直木賞が決まる。受賞作の短い紹介
<芥川賞>
朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』(新潮社)
同じ身体なのに半身は姉、もう半身は妹、その驚きに満ちた人生を描く。周りからは一人に見えるが、でも私のすぐ隣にいるのは別のわたし。隣のあなたは誰なのか? 姉妹は考える、そして今これを考えているのは誰なのか。著者はこれまで勤めてきた医師としての経験と驚異の想像力を駆使して、人が生きることの普遍を描く、世界が初めて出会う物語。
松永K三蔵『バリ山行』(講談社 2024/7/29発売予定)
内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた男は、同僚に誘われ六甲山登山に参加。その後も親睦を図る気楽な山歩きをしていたが、あるベテラン社員から誘われ、危険で難易度の高い登山へ同道する。だが山に対する認識の違いが露わになる。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説。
<直木賞>
一穂ミチ『ツミデミック』(光文社)
夜の街で客引きバイトに就く主人公。女がバイト中に話しかけてきた。彼女は中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗った。過去の記憶と女の話に戸惑う「違う羽の鳥」。調理師の職を失い家に籠もりがちのある日、小一の息子が旧一万円札を手に帰ってきた。近隣の老人からもらったという「特別縁故者」。渦中の人間模様を描き心震える全6話を収載。
なお著者の一穂さんは覆面作家として活動していたため、マスクを着用して会見に臨んだ。また光文社は生島治郎『追いつめる』以来、57年ぶりに直木賞作家を輩出した。
◆辻村深月『傲慢と善良』(朝日新聞出版)がトータル100万部を突破
2019年3月、辻村さんの作家生活15周年を記念する作品として刊行。内容は婚活≠テーマとした恋愛ミステリ。単行本6万部(10刷)、文庫版85万部(22刷)、電子版9万部。文庫版は22年9月に発売し、1年間で文庫ジャンルの1位になるなど、ベストセラーランキングを席巻した。
今秋9月27日には、藤ヶ谷太輔さんと奈緒さんのダブル主演による実写映画が公開される。「web TRIPPER」では、鶴谷香央理氏によるコミカライズが連載中。9月にコミック版の第1巻も発売が予定されている。
◆「読書バリアフリー法」に基づく地方計画の策定は26%
視覚障害者らの読書環境の改善を図る「読書バリアフリー法」に基づく計画は、都道府県・指定都市・中核市の計129の自治体には、策定の努力義務がある。しかし策定されている自治体は33、検討中は54、策定予定なしは42に及んだ。策定率は約26%(2月1日現在)だった。
電子書籍の普及や公立図書館の体制整備などが課題だが、そうした取り組みの計画作りが進んでいないことが分かった。この6月27日には読書バリアフリーに関する出版5団体共同声明が発出され、読書バリアフリーの取り組みポイントとして、以下のことを挙げている。
@ 電子書籍をリフローの形式で、一般向けに制作して販売する。
A 機械式音声読み上げに対応できるようにする。
B 専門の読上げソフトで読ませるため、また点字で読ませるため、テキストデータを提供できるようにする。
◆日販が有人・無人のハイブリッド型店舗を今秋オープン
日販は「あゆみ BOOKS 東京・杉並店」をリニューアルし、溜池に設置した「ほんたす」機能を加え、「ほんたす」2号店として今秋オープンする。ここには有人・無人のハイブリッド型営業をかなえる省人化ソリューションを初導入し、書店スタッフの負担軽減と営業時間の延長を図る。
まず有人レジカウンターを廃止し、セルフレジを導入する。書店スタッフは店舗内でさらに丁寧な接客や売り場づくりを行う。さらに営業時間を4時間延長し、早朝の8時から10時と深夜22時から24時の4時間を、LINE会員証で入店を管理する無人営業時間とし早朝や深夜の営業を可能にする。
◆ポプラ社と横浜市教委が提携して小中学校に読み放題型の電子図書館を試行導入
ポプラ社は7月3日、子どもの読書機会の充実を目的に、横浜市教育委員会と連携協定を締結した。ポプラ社が小中学校向けに提供する読み放題型電子図書館「Yomokka!」が、7月から横浜市の小中学校のうち、「過大規模校(学級数31以上)」に指定される9校に試行導入された。
◆小学館 新会社「THRUSTER(スラスター)」設立 最新テクノロジーでコンテンツ開発
小学館は7月16日、XR技術を使ったビジネスを開発する新会社として「株式会社THRUSTER(スラスター)」を設立したと発表した。THRUSTERは「株式会社LATEGRA(ラテグラ)」から事業譲渡を受けた制作チームが業務を行う。
今後はグループ会社の一員として、小学館が持つ膨大なコンテンツをDIGITAL・VR・AR・AI等のテクノロジーと掛け合わせた、新たなコンテンツやサービスの開発を加速させ、海外にも進出する。
◆世界に広がる日本の出版物 ミリオンセラー生み出す動画SNSの拡散力
マンガをはじめ、日本の出版コンテンツに対する海外での需要が急伸している。特に米国では勢いが止まらない。今や日本の小説への需要も拡大。動画配信や動画SNSによってそのブームは世界に拡大している。電子書籍の取次や翻訳サービス、縦スクロール化などのサービスが効を奏し、多くの作品を海外に販売できる体制が急ピッチで進む。
紀伊國屋書店は米国、台湾を含む東南アジア、オセアニア、中東に42店舗を展開。このうち市場が大きい米国で21店舗を運営する。特に動画配信サイトでアニメを見て、新たに作品のファンになったファミリー層が購入するようになり、売上が伸びているという。さらに太宰治の『人間失格』がアニメ化され、原作への関心が広がりベストセラーになっている。
◆新聞協会、検索連動型AIは「著作権侵害」あたり記事の利用承諾を要請
日本新聞協会は17日、米国大手IT各社が展開する「検索連動型生成AIサービス」は、著作権侵害の可能性が高いとして、記事の利用承諾を要請する声明を発表した。情報源として新聞記事を無断利用し、かつ記事に類似した回答例を表示するケースが多く、利用者も参照サイトのニュースを閲覧せず、報道機関に不利益が生じる弊害も指摘した。
また記事利用の許諾を得ないまま「検索連動型AI」を提供すれば、独禁法に抵触する可能性にも言及した。
<芥川賞>
朝比奈秋『サンショウウオの四十九日』(新潮社)
同じ身体なのに半身は姉、もう半身は妹、その驚きに満ちた人生を描く。周りからは一人に見えるが、でも私のすぐ隣にいるのは別のわたし。隣のあなたは誰なのか? 姉妹は考える、そして今これを考えているのは誰なのか。著者はこれまで勤めてきた医師としての経験と驚異の想像力を駆使して、人が生きることの普遍を描く、世界が初めて出会う物語。
松永K三蔵『バリ山行』(講談社 2024/7/29発売予定)
内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた男は、同僚に誘われ六甲山登山に参加。その後も親睦を図る気楽な山歩きをしていたが、あるベテラン社員から誘われ、危険で難易度の高い登山へ同道する。だが山に対する認識の違いが露わになる。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説。
<直木賞>
一穂ミチ『ツミデミック』(光文社)
夜の街で客引きバイトに就く主人公。女がバイト中に話しかけてきた。彼女は中学時代に死んだはずの同級生の名を名乗った。過去の記憶と女の話に戸惑う「違う羽の鳥」。調理師の職を失い家に籠もりがちのある日、小一の息子が旧一万円札を手に帰ってきた。近隣の老人からもらったという「特別縁故者」。渦中の人間模様を描き心震える全6話を収載。
なお著者の一穂さんは覆面作家として活動していたため、マスクを着用して会見に臨んだ。また光文社は生島治郎『追いつめる』以来、57年ぶりに直木賞作家を輩出した。
◆辻村深月『傲慢と善良』(朝日新聞出版)がトータル100万部を突破
2019年3月、辻村さんの作家生活15周年を記念する作品として刊行。内容は婚活≠テーマとした恋愛ミステリ。単行本6万部(10刷)、文庫版85万部(22刷)、電子版9万部。文庫版は22年9月に発売し、1年間で文庫ジャンルの1位になるなど、ベストセラーランキングを席巻した。
今秋9月27日には、藤ヶ谷太輔さんと奈緒さんのダブル主演による実写映画が公開される。「web TRIPPER」では、鶴谷香央理氏によるコミカライズが連載中。9月にコミック版の第1巻も発売が予定されている。
◆「読書バリアフリー法」に基づく地方計画の策定は26%
視覚障害者らの読書環境の改善を図る「読書バリアフリー法」に基づく計画は、都道府県・指定都市・中核市の計129の自治体には、策定の努力義務がある。しかし策定されている自治体は33、検討中は54、策定予定なしは42に及んだ。策定率は約26%(2月1日現在)だった。
電子書籍の普及や公立図書館の体制整備などが課題だが、そうした取り組みの計画作りが進んでいないことが分かった。この6月27日には読書バリアフリーに関する出版5団体共同声明が発出され、読書バリアフリーの取り組みポイントとして、以下のことを挙げている。
@ 電子書籍をリフローの形式で、一般向けに制作して販売する。
A 機械式音声読み上げに対応できるようにする。
B 専門の読上げソフトで読ませるため、また点字で読ませるため、テキストデータを提供できるようにする。
◆日販が有人・無人のハイブリッド型店舗を今秋オープン
日販は「あゆみ BOOKS 東京・杉並店」をリニューアルし、溜池に設置した「ほんたす」機能を加え、「ほんたす」2号店として今秋オープンする。ここには有人・無人のハイブリッド型営業をかなえる省人化ソリューションを初導入し、書店スタッフの負担軽減と営業時間の延長を図る。
まず有人レジカウンターを廃止し、セルフレジを導入する。書店スタッフは店舗内でさらに丁寧な接客や売り場づくりを行う。さらに営業時間を4時間延長し、早朝の8時から10時と深夜22時から24時の4時間を、LINE会員証で入店を管理する無人営業時間とし早朝や深夜の営業を可能にする。
◆ポプラ社と横浜市教委が提携して小中学校に読み放題型の電子図書館を試行導入
ポプラ社は7月3日、子どもの読書機会の充実を目的に、横浜市教育委員会と連携協定を締結した。ポプラ社が小中学校向けに提供する読み放題型電子図書館「Yomokka!」が、7月から横浜市の小中学校のうち、「過大規模校(学級数31以上)」に指定される9校に試行導入された。
◆小学館 新会社「THRUSTER(スラスター)」設立 最新テクノロジーでコンテンツ開発
小学館は7月16日、XR技術を使ったビジネスを開発する新会社として「株式会社THRUSTER(スラスター)」を設立したと発表した。THRUSTERは「株式会社LATEGRA(ラテグラ)」から事業譲渡を受けた制作チームが業務を行う。
今後はグループ会社の一員として、小学館が持つ膨大なコンテンツをDIGITAL・VR・AR・AI等のテクノロジーと掛け合わせた、新たなコンテンツやサービスの開発を加速させ、海外にも進出する。
◆世界に広がる日本の出版物 ミリオンセラー生み出す動画SNSの拡散力
マンガをはじめ、日本の出版コンテンツに対する海外での需要が急伸している。特に米国では勢いが止まらない。今や日本の小説への需要も拡大。動画配信や動画SNSによってそのブームは世界に拡大している。電子書籍の取次や翻訳サービス、縦スクロール化などのサービスが効を奏し、多くの作品を海外に販売できる体制が急ピッチで進む。
紀伊國屋書店は米国、台湾を含む東南アジア、オセアニア、中東に42店舗を展開。このうち市場が大きい米国で21店舗を運営する。特に動画配信サイトでアニメを見て、新たに作品のファンになったファミリー層が購入するようになり、売上が伸びているという。さらに太宰治の『人間失格』がアニメ化され、原作への関心が広がりベストセラーになっている。
◆新聞協会、検索連動型AIは「著作権侵害」あたり記事の利用承諾を要請
日本新聞協会は17日、米国大手IT各社が展開する「検索連動型生成AIサービス」は、著作権侵害の可能性が高いとして、記事の利用承諾を要請する声明を発表した。情報源として新聞記事を無断利用し、かつ記事に類似した回答例を表示するケースが多く、利用者も参照サイトのニュースを閲覧せず、報道機関に不利益が生じる弊害も指摘した。
また記事利用の許諾を得ないまま「検索連動型AI」を提供すれば、独禁法に抵触する可能性にも言及した。
2024年06月17日
【出版界の動き】「本の魅力」を伝え書店振興へ地道な模索が進む
◆KADOKAWAは、6/8に起きたシステム障害について、その経緯と調査の進捗、今後の対応などの報告を15日発表した。「ニコニコを中心としたサービス群を標的として、当社グループデータセンター内のサーバーがランサムウェアを含む大規模なサイバー攻撃を受けたものと確認された」としている。
サーバーのシャットダウンという緊急措置を講じたため、ウェブサイトだけでなく、基幹システムの一部にも機能停止が発生し、書籍の流通に影響が出ている。完全な回復は6月末となる。
◆経産省が進める「書店振興プロジェクト」の方針に、書店の減少を食い止めるため、書店と図書館との連携による文字・活字文化の振興、および書店活性化が盛り込まれる見通し。12日に開催の第2回「車座会議」で外務相や文科相、また書店や作家からも発言があり、いかにして本の魅力を伝え、書店の活性化を図るか、活発な議論が展開された。
齋藤・経産相も注目すべき事例として、東京都狛江市で昨年閉店した啓文堂書店が、市民有志グループが起こした「エキナカ本展」などに呼応するため、6月27日に再度出店することになった事例を紹介した。
◆政府のクールジャパン戦略が5年ぶりに改訂され、これまで5兆円の予算を2033年までに20兆円に引き上げるという。その骨子のうち知的財産については、海外向けの作品流通と海賊版対策を2本建てにして展開、それにともなうクリエイター支援の実施が揚げられている。
特にマンガ(出版)については、スマートフォンの普及により日本マンガの人気は高まっている。海外での電子コミック売上げは約 3,200 億円(2022 年)と大きく増加、今後も拡大傾向が見込まれる。ただし現地版の発刊にタイムラグが生じるため、海賊版が横行する原因になっている。それへの対策が急がれる。
◆文化通信が6月17日から「こどものための100冊」キャンペーンを始める。子育て中の著名人や書店員、図書館員が選んだ<子どもの本100冊>を収載した冊子を、書店や図書館、保育園、子ども商品の通販などを通して15万部配布する。キャンペーンは今回で4回目。父兄や書店から好評で、子どもに本を与えるための参考になり、かつ書店の売上につながる好循環が歓迎されている。
◆「文学フリマ」って、知っていますか。文学好きが自分たちで作った作品を展示即売するイベントである。毎年、主要都市で開催されている。その来場者の多さと熱気はビックリするほどだという。文化通信の星野渉さんが、次のような一文を寄せている。
<老若男女が集まり、手作り感満載の冊子を販売。人気の書き手には行列もできる。今年12月に開く「東京39」は、出展応募の増加に対応して、これまでの東京流通センターから東京ビッグサイトに会場を移す。
「文学」でこれだけ人が集まるのかと思わされる。出版社社長は、本を読む人は一定数いるのに届いていないのではないか、と感想を漏らした。いろいろなチャンネルで本の情報を届ける大切さを感じる>
◆有名人を登場させ、勧誘や取引を促す詐欺的なSNSやWEBが社会問題になっている。出版においても悪質な出版 Web サイトが見つかっている。出版のあっせんや販売の方法などを紹介する詐欺から身を守ることが肝心となっている。
著者と出版者の保護に取り組んでいるAmazonは、詐欺的手法について警鐘を鳴らし、アドバイスをしている。まずKindle ダイレクト・パブリッシングと、詐欺的なりすましサイトの違いを特定し、詐欺から身を守るために、KDP Community にアクセスしてくださいとのこと。
◆講談社 本田靖春ノンフィクション賞 最終候補作品
大森淳郎『ラジオと戦争─放送人たちの「報国」』 NHK出版
春日太一『鬼の筆─戦後最大の脚本家・橋本忍之栄光と挫折』文藝春秋
木寺一孝『正義の行方』 講談社
宋恵媛+望月優大+田川基成(写真)『密航のち洗濯 ときどき作家』 柏書房
乗京真知『中村哲さん 殺害事件実行犯の「遺言」』 朝日新聞出版
森合正範『怪物に出会った日─井上尚弥と闘うということ』 講談社
サーバーのシャットダウンという緊急措置を講じたため、ウェブサイトだけでなく、基幹システムの一部にも機能停止が発生し、書籍の流通に影響が出ている。完全な回復は6月末となる。
◆経産省が進める「書店振興プロジェクト」の方針に、書店の減少を食い止めるため、書店と図書館との連携による文字・活字文化の振興、および書店活性化が盛り込まれる見通し。12日に開催の第2回「車座会議」で外務相や文科相、また書店や作家からも発言があり、いかにして本の魅力を伝え、書店の活性化を図るか、活発な議論が展開された。
齋藤・経産相も注目すべき事例として、東京都狛江市で昨年閉店した啓文堂書店が、市民有志グループが起こした「エキナカ本展」などに呼応するため、6月27日に再度出店することになった事例を紹介した。
◆政府のクールジャパン戦略が5年ぶりに改訂され、これまで5兆円の予算を2033年までに20兆円に引き上げるという。その骨子のうち知的財産については、海外向けの作品流通と海賊版対策を2本建てにして展開、それにともなうクリエイター支援の実施が揚げられている。
特にマンガ(出版)については、スマートフォンの普及により日本マンガの人気は高まっている。海外での電子コミック売上げは約 3,200 億円(2022 年)と大きく増加、今後も拡大傾向が見込まれる。ただし現地版の発刊にタイムラグが生じるため、海賊版が横行する原因になっている。それへの対策が急がれる。
◆文化通信が6月17日から「こどものための100冊」キャンペーンを始める。子育て中の著名人や書店員、図書館員が選んだ<子どもの本100冊>を収載した冊子を、書店や図書館、保育園、子ども商品の通販などを通して15万部配布する。キャンペーンは今回で4回目。父兄や書店から好評で、子どもに本を与えるための参考になり、かつ書店の売上につながる好循環が歓迎されている。
◆「文学フリマ」って、知っていますか。文学好きが自分たちで作った作品を展示即売するイベントである。毎年、主要都市で開催されている。その来場者の多さと熱気はビックリするほどだという。文化通信の星野渉さんが、次のような一文を寄せている。
<老若男女が集まり、手作り感満載の冊子を販売。人気の書き手には行列もできる。今年12月に開く「東京39」は、出展応募の増加に対応して、これまでの東京流通センターから東京ビッグサイトに会場を移す。
「文学」でこれだけ人が集まるのかと思わされる。出版社社長は、本を読む人は一定数いるのに届いていないのではないか、と感想を漏らした。いろいろなチャンネルで本の情報を届ける大切さを感じる>
◆有名人を登場させ、勧誘や取引を促す詐欺的なSNSやWEBが社会問題になっている。出版においても悪質な出版 Web サイトが見つかっている。出版のあっせんや販売の方法などを紹介する詐欺から身を守ることが肝心となっている。
著者と出版者の保護に取り組んでいるAmazonは、詐欺的手法について警鐘を鳴らし、アドバイスをしている。まずKindle ダイレクト・パブリッシングと、詐欺的なりすましサイトの違いを特定し、詐欺から身を守るために、KDP Community にアクセスしてくださいとのこと。
◆講談社 本田靖春ノンフィクション賞 最終候補作品
大森淳郎『ラジオと戦争─放送人たちの「報国」』 NHK出版
春日太一『鬼の筆─戦後最大の脚本家・橋本忍之栄光と挫折』文藝春秋
木寺一孝『正義の行方』 講談社
宋恵媛+望月優大+田川基成(写真)『密航のち洗濯 ときどき作家』 柏書房
乗京真知『中村哲さん 殺害事件実行犯の「遺言」』 朝日新聞出版
森合正範『怪物に出会った日─井上尚弥と闘うということ』 講談社
2024年05月20日
【出版界の動き】生成AIが創作者の権利と意欲を損なう危機
◆「AIと著作権」を巡って
高い機能を持つ生成AI が多種多様な分野に進出し、創作者の著作権が侵害されるケースが頻出し、社会的な混乱が生じている。あらためて創作者や権利者から、現在の著作権法に謳われる法規制について、その見直しが叫ばれている。政府も各種対応に追われている。
この緊急テーマになっている 「AIと著作権」を巡り、どこまでコンセンサスが得られ、どこから先に議論の余地があるのか、上野達弘・奥邨弘司 編著『AIと著作権』(勁草書房 2月刊)が注目されている。世界各国の最新動向と日本における議論状況を踏まえ、今後の法規制の在り方を考える珠玉の論攷と座談会が収められている。
本書では、著作権法30条の4を始めとするAIに関係する著作権法上の条文につき、細かな文言の使い方や他の条文との関係、改正の経緯(旧条文との関係)、主張立証責任の分配などの観点から、様々な解釈論が展開され、必読の書といってよい。
さらに「山陽新聞」(5/12付)の社説が、<AIと著作権 創作意欲奪う>と題して、国の文化審議会がまとめた「考え方」を簡潔に要約し、クリエーターの創作意欲にかかわる問題を指摘している。読んでほしい。
◆KADOKAWA 3月期の連結決算、増収減益
2024年3月期(2023.4.1〜24.3.31)の連結決算では、売上高2581億円(前年比1.0%増)、営業利益184.5億円(同28.8%減)、経常利益202億円(同24.1%減)、当期純利益113.8億円(同10.2%減)の増収減益の決算となった。「出版・IP創出」は売上高1420億円(同1.4%増)、営業利益103.6億円(同21.3%減)。
◆八重洲ブックセンター、6月14日オープン
東京駅構内のグランスタ八重洲(東京・千代田区)の地下1階にグランスタ八重洲店をオープンする。昨年3月に営業を終了した八重洲本店の「レガシーを継ぐ」新店舗。売場面積72坪。営業時間は午前10時から午後9時まで。
◆講談社運営の「じぶん書店」がサービス終了
電子書籍ストア「じぶん書店」は“自分の電子書店を簡単に開設できるサービス”として2017年にスタート。会員登録を行ったあと、講談社の電子書籍から自分が推奨するタイトルを選んで自分だけの電子書籍ストアを作るというユニークなスタイルで、作家が自らストアを立ち上げるケースも多かった。
5月30日でサービス自体を終了するので、自分で購入した書籍の閲覧ができなくなる。代替として、2024年4月30日時点で購入済みの書籍については、QUOカードによる返金対応が5月12日まで行われた。
◆日販グループの23年度決算の概要
12億円の経常赤字を計上。なかでも取次事業は36億円の赤字。それ以外の海外事業、エンタメ事業は増収増益で26億円の利益を計上する見通し。2期連続赤字の取次事業の立て直しが最優先課題となっている。
◆「期間限定 謝恩価格本フェア」の開催
インターネットを通して5月14日〜7月16日正午まで開催。書店の棚にない本、全集、稀少本など出版社121社の約5300アイテムを、定価・価格の45%引きで販売。販売サイトは楽天ブックス: 謝恩価格本フェア https://books.rakuten.co.jp/event/book/bargain/shaon/ からアクセスを。
高い機能を持つ生成AI が多種多様な分野に進出し、創作者の著作権が侵害されるケースが頻出し、社会的な混乱が生じている。あらためて創作者や権利者から、現在の著作権法に謳われる法規制について、その見直しが叫ばれている。政府も各種対応に追われている。
この緊急テーマになっている 「AIと著作権」を巡り、どこまでコンセンサスが得られ、どこから先に議論の余地があるのか、上野達弘・奥邨弘司 編著『AIと著作権』(勁草書房 2月刊)が注目されている。世界各国の最新動向と日本における議論状況を踏まえ、今後の法規制の在り方を考える珠玉の論攷と座談会が収められている。
本書では、著作権法30条の4を始めとするAIに関係する著作権法上の条文につき、細かな文言の使い方や他の条文との関係、改正の経緯(旧条文との関係)、主張立証責任の分配などの観点から、様々な解釈論が展開され、必読の書といってよい。
さらに「山陽新聞」(5/12付)の社説が、<AIと著作権 創作意欲奪う>と題して、国の文化審議会がまとめた「考え方」を簡潔に要約し、クリエーターの創作意欲にかかわる問題を指摘している。読んでほしい。
◆KADOKAWA 3月期の連結決算、増収減益
2024年3月期(2023.4.1〜24.3.31)の連結決算では、売上高2581億円(前年比1.0%増)、営業利益184.5億円(同28.8%減)、経常利益202億円(同24.1%減)、当期純利益113.8億円(同10.2%減)の増収減益の決算となった。「出版・IP創出」は売上高1420億円(同1.4%増)、営業利益103.6億円(同21.3%減)。
◆八重洲ブックセンター、6月14日オープン
東京駅構内のグランスタ八重洲(東京・千代田区)の地下1階にグランスタ八重洲店をオープンする。昨年3月に営業を終了した八重洲本店の「レガシーを継ぐ」新店舗。売場面積72坪。営業時間は午前10時から午後9時まで。
◆講談社運営の「じぶん書店」がサービス終了
電子書籍ストア「じぶん書店」は“自分の電子書店を簡単に開設できるサービス”として2017年にスタート。会員登録を行ったあと、講談社の電子書籍から自分が推奨するタイトルを選んで自分だけの電子書籍ストアを作るというユニークなスタイルで、作家が自らストアを立ち上げるケースも多かった。
5月30日でサービス自体を終了するので、自分で購入した書籍の閲覧ができなくなる。代替として、2024年4月30日時点で購入済みの書籍については、QUOカードによる返金対応が5月12日まで行われた。
◆日販グループの23年度決算の概要
12億円の経常赤字を計上。なかでも取次事業は36億円の赤字。それ以外の海外事業、エンタメ事業は増収増益で26億円の利益を計上する見通し。2期連続赤字の取次事業の立て直しが最優先課題となっている。
◆「期間限定 謝恩価格本フェア」の開催
インターネットを通して5月14日〜7月16日正午まで開催。書店の棚にない本、全集、稀少本など出版社121社の約5300アイテムを、定価・価格の45%引きで販売。販売サイトは楽天ブックス: 謝恩価格本フェア https://books.rakuten.co.jp/event/book/bargain/shaon/ からアクセスを。
2024年04月18日
【出版界の動き】読書バリアフリーに関する声明そして「本屋大賞」を考える
◆日本ペンクラブなど3団体、読書バリアフリーに関する共同声明を発表
芥川賞を受賞した市川沙央『ハンチバック』に、痛烈な出版界への批判が書かれている。
<出版界が障害者に今までしてきたことと言えば、1975年に文芸作家の集まりが図書館の視覚障害者向けサービスに難癖を付けて潰した、「愛のテープは違法」事件ね、ああいうのばかりじゃないですか>
この「文芸作家の集まり」が日本文藝家協会。「愛のテープは違法」事件が解決するのは、35年後の2010年。この年に改正著作権法が施行され、公共図書館でも録音図書を製作する障害者サービスが著作権者の許諾なしにできるようになった。
さて市川沙央さんの問題提起を真剣に受け止めた日本ペンクラブ会長・桐野夏生さんらは、2023年11月20日、市川沙央さんとオンライン対論<読書バリアフリーとは何か―読書を取り巻く「壁」を壊すために>を行った。
これを機に他の2団体にも呼び掛け、4月9日、日本ペンクラブ、日本文藝家協会、日本推理作家協会の3団体が、読書バリアフリーに関する共同声明を発表した。
「障害者にとって『読書』をする手段は100年以上も前からあったにもかかわらず、未だに読みたい本を読むために長く待つことを強要されたり、読む手段を奪われたりすることさえあります」と問題提起。
表現に携わる者として、読書バリアフリー法(19年6月施行)、改正障害者差別解消法(24年4月施行)、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法(22年5月施行)に賛同の意を表するとし、「私たちは出版界、図書館界とも歩調をあわせ読書環境整備施策の推進に協力を惜しみません」と宣言している。
声明の意義は、極めて大きい。文字や表現に携わる者が読書バリアフリーに目を向け努力する契機となり、歴史的意味を持つものと言える。
◆本屋大賞『成瀬は天下を取りにいく』の意義を考える
2024年の本屋大賞に宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)が受賞。25万部を増刷し、発行部数41万5000部となる。続編『成瀬は信じた道をいく』も増刷し、2冊の累計発行部数は55万部を超える。
中学2年生の主人公・成瀬あかりが、破天荒な言動を続けて周囲を驚かせる。自分を偽らないで突き進む成瀬の言動が、読者の共感を呼んでいる。そこには「女による女のためのR-18文学賞」が果たしている役割も見逃せない。
女性による作品が、続々とノミネートされ、書店員の思いを込めた作品が本屋大賞を受賞している。これまで文学賞といえば、出版社が強烈にプッシュした作品が受賞し、人気作家に権威を与える賞になっていた。それに対抗するかのように発足した「本屋大賞」が、いまや書店員も読者も作者も誰もが幸せな気持ちになる賞へと進化している。
◆学校図書館への貧弱な公的援助
2023年度の学校1校あたりの年間図書費は小学校46万円・中学校61万円。あまりにも貧弱ではないか。学校図書館用の新聞購読費については「予算化している」が44.5%。学校司書の配置については予算化しているが69.3%。残り30%は学校司書を配置していない現状が浮かび上がった。
また学校図書館が「電子書籍」や「電子新聞(有料デジタル版)」の購入費を予算化しているかについては、いずれも「今年度予算化の予定はない」が94%を占めた。
◆電子コミックの驚異的な伸長!
3月の電子書籍の総流通額は前年同月比14.2%増となった。ジャンル別では「縦スクロールコミック」の伸びが驚異的で同214.8%増となった。2022年4月期から配信を始めてから大きな成長率が続いている。
芥川賞を受賞した市川沙央『ハンチバック』に、痛烈な出版界への批判が書かれている。
<出版界が障害者に今までしてきたことと言えば、1975年に文芸作家の集まりが図書館の視覚障害者向けサービスに難癖を付けて潰した、「愛のテープは違法」事件ね、ああいうのばかりじゃないですか>
この「文芸作家の集まり」が日本文藝家協会。「愛のテープは違法」事件が解決するのは、35年後の2010年。この年に改正著作権法が施行され、公共図書館でも録音図書を製作する障害者サービスが著作権者の許諾なしにできるようになった。
さて市川沙央さんの問題提起を真剣に受け止めた日本ペンクラブ会長・桐野夏生さんらは、2023年11月20日、市川沙央さんとオンライン対論<読書バリアフリーとは何か―読書を取り巻く「壁」を壊すために>を行った。
これを機に他の2団体にも呼び掛け、4月9日、日本ペンクラブ、日本文藝家協会、日本推理作家協会の3団体が、読書バリアフリーに関する共同声明を発表した。
「障害者にとって『読書』をする手段は100年以上も前からあったにもかかわらず、未だに読みたい本を読むために長く待つことを強要されたり、読む手段を奪われたりすることさえあります」と問題提起。
表現に携わる者として、読書バリアフリー法(19年6月施行)、改正障害者差別解消法(24年4月施行)、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法(22年5月施行)に賛同の意を表するとし、「私たちは出版界、図書館界とも歩調をあわせ読書環境整備施策の推進に協力を惜しみません」と宣言している。
声明の意義は、極めて大きい。文字や表現に携わる者が読書バリアフリーに目を向け努力する契機となり、歴史的意味を持つものと言える。
◆本屋大賞『成瀬は天下を取りにいく』の意義を考える
2024年の本屋大賞に宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)が受賞。25万部を増刷し、発行部数41万5000部となる。続編『成瀬は信じた道をいく』も増刷し、2冊の累計発行部数は55万部を超える。
中学2年生の主人公・成瀬あかりが、破天荒な言動を続けて周囲を驚かせる。自分を偽らないで突き進む成瀬の言動が、読者の共感を呼んでいる。そこには「女による女のためのR-18文学賞」が果たしている役割も見逃せない。
女性による作品が、続々とノミネートされ、書店員の思いを込めた作品が本屋大賞を受賞している。これまで文学賞といえば、出版社が強烈にプッシュした作品が受賞し、人気作家に権威を与える賞になっていた。それに対抗するかのように発足した「本屋大賞」が、いまや書店員も読者も作者も誰もが幸せな気持ちになる賞へと進化している。
◆学校図書館への貧弱な公的援助
2023年度の学校1校あたりの年間図書費は小学校46万円・中学校61万円。あまりにも貧弱ではないか。学校図書館用の新聞購読費については「予算化している」が44.5%。学校司書の配置については予算化しているが69.3%。残り30%は学校司書を配置していない現状が浮かび上がった。
また学校図書館が「電子書籍」や「電子新聞(有料デジタル版)」の購入費を予算化しているかについては、いずれも「今年度予算化の予定はない」が94%を占めた。
◆電子コミックの驚異的な伸長!
3月の電子書籍の総流通額は前年同月比14.2%増となった。ジャンル別では「縦スクロールコミック」の伸びが驚異的で同214.8%増となった。2022年4月期から配信を始めてから大きな成長率が続いている。
2024年02月19日
【出版界の動き】政治家が購入した<ヨイショ本>の使いみち
◆「政治とカネ」をめぐる問題に関連し、「裏金」の使途が問われている。自民党の二階俊博元幹事長の資金管理団体「新政経研究会」は、2020〜23年の政治資金収支報告書を1月に訂正した。その報告書によると、17種類の書籍を27,700冊・総額3,470万円の支出が追加されていた。
とりわけ大量に購入した本は、大仲吉一『ナンバー2の美学 二階俊博の本心』(ブックマン社・2020年12/8刊)である。これを2021年に5,000冊・1,045万円も購入している。ほかに購入した6冊も、二階氏が主役≠フ<ヨイショ本>である。
総選挙があった2021年には、15,800冊・総計2,264万円も書籍代として支出している。二階氏の資金管理団体・支出総額の54%を占める。日本の公共図書館が1年間に購入する図書費は、1館あたり平均836万円、それの約3倍近い金額を二階氏は使っていることになる。何の目的のために購入したのか。誰しも疑問に思うだけでなく、自分の当選に向けて使ったと判断するのは、しごく当然ではないか。
著者も出版社も、買い切りを前提に返品のリスクもなし、印税も売り上げも確実、儲かればよいで済むのだろうか。もし「裏金」などが充てられているとしたら、<汚いカネのマネー・ロンダリング>に手を貸したことにならないか、疑問は尽きない。
◆今年に入って書店の閉店・廃業の深刻な状況は驚くばかり。書店数の減少はここ20年近く続き、年間で500〜600店が閉店に陥っている。その流れは2023年も食い止められず、2023年の閉店または廃業した書店は669店にのぼる。今年2024年には売場をもつ書店の数が7000店台に突入するのは確実な状況となっている。
紙媒体の市場規模が急速に縮小し、とくに雑誌と紙コミックの売上げ低下が、大きな影響を及ぼしている。書店数の減少は、配送効率の低下を引き起こし、出版物流の根幹を揺るがす深刻な状況になっている。
◆23年12月の出版物販売金額887億円(前年比8.94%減)、書籍483億円(同7.5%減)、雑誌404億円(同10.0%減)。月刊誌354億円(同8.8%減)、週刊誌50億円(同17.9%減)。返品率は書籍29.1%、雑誌40.3%、月刊誌38.5%、週刊誌50.4%。相変わらず週刊誌の落ち込みが続く。週刊誌の売り上げは前年比マイナス20%に加え、返品率が最悪な状況になっている。
おそらく今年は月刊誌だけでなく週刊誌の休刊も続出する気配が濃厚だ。
◆紙の雑誌・書籍の売上げは1996年2兆6,564億円をピークに減り続け、全国の書店も2000年の2万1654店舗から2020年には1万1024店舗へと20年で半減した。さらに今年は物流の2024年問題にも直面する日本の出版業界である。
ところが世界の書籍出版業界は、2019年に約859億ドルと評価され、2020〜2027年には2%以上の成長率が見込まれる成長市場だという。なのに日本では、なぜそうならないか。そこには業界平均で約40%という「返本率の高さ」があると指摘されている。
こうした出版業界の課題に立ち向かうために、ブックセラーズ&カンパニーが組織された。大手書店の紀伊國屋書店、TSUTAYAや蔦屋書店などを運営するCCC、取次の日販が共同出資して設立された。
現在、同社の事業に約1000書店が参加し、出版社との直接取引をまとめ、流通の効率化を支援する。このほど出版社4社と直取引で合意し、3月から順次スタートする。
◆トップカルチャーの連結決算が発表され、当期純損失13億7600万円、減収損失の決算となった。メインである「蔦屋書店事業」は売上高179億6500万円(前年比12.2%減)、その他の部門でも全てがマイナス。日販からトーハンへの帳合変更によりトーハンの筆頭株主となり、26年までに売上高181億円を目ざす。そのためには「TSUTAYA」を減らさざるを得ない状況が続く。
トップカルチャーは1987年からCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)とフランチャイズ契約を締結し、CCCは1都9県に書店「TSUTAYA」74店舗を展開している。 その閉鎖が止まらない。1月には30年の歴史を持つ東京・世田谷の象徴的な店舗も閉鎖。この10年で半数近くが消えた。書店ビジネスの再生や東京・渋谷のスクランブル交差点に面した新型「TSUTAYA」の開発など、再構築を進めるが、果たして成功するかどうか問われている。
とりわけ大量に購入した本は、大仲吉一『ナンバー2の美学 二階俊博の本心』(ブックマン社・2020年12/8刊)である。これを2021年に5,000冊・1,045万円も購入している。ほかに購入した6冊も、二階氏が主役≠フ<ヨイショ本>である。
総選挙があった2021年には、15,800冊・総計2,264万円も書籍代として支出している。二階氏の資金管理団体・支出総額の54%を占める。日本の公共図書館が1年間に購入する図書費は、1館あたり平均836万円、それの約3倍近い金額を二階氏は使っていることになる。何の目的のために購入したのか。誰しも疑問に思うだけでなく、自分の当選に向けて使ったと判断するのは、しごく当然ではないか。
著者も出版社も、買い切りを前提に返品のリスクもなし、印税も売り上げも確実、儲かればよいで済むのだろうか。もし「裏金」などが充てられているとしたら、<汚いカネのマネー・ロンダリング>に手を貸したことにならないか、疑問は尽きない。
◆今年に入って書店の閉店・廃業の深刻な状況は驚くばかり。書店数の減少はここ20年近く続き、年間で500〜600店が閉店に陥っている。その流れは2023年も食い止められず、2023年の閉店または廃業した書店は669店にのぼる。今年2024年には売場をもつ書店の数が7000店台に突入するのは確実な状況となっている。
紙媒体の市場規模が急速に縮小し、とくに雑誌と紙コミックの売上げ低下が、大きな影響を及ぼしている。書店数の減少は、配送効率の低下を引き起こし、出版物流の根幹を揺るがす深刻な状況になっている。
◆23年12月の出版物販売金額887億円(前年比8.94%減)、書籍483億円(同7.5%減)、雑誌404億円(同10.0%減)。月刊誌354億円(同8.8%減)、週刊誌50億円(同17.9%減)。返品率は書籍29.1%、雑誌40.3%、月刊誌38.5%、週刊誌50.4%。相変わらず週刊誌の落ち込みが続く。週刊誌の売り上げは前年比マイナス20%に加え、返品率が最悪な状況になっている。
おそらく今年は月刊誌だけでなく週刊誌の休刊も続出する気配が濃厚だ。
◆紙の雑誌・書籍の売上げは1996年2兆6,564億円をピークに減り続け、全国の書店も2000年の2万1654店舗から2020年には1万1024店舗へと20年で半減した。さらに今年は物流の2024年問題にも直面する日本の出版業界である。
ところが世界の書籍出版業界は、2019年に約859億ドルと評価され、2020〜2027年には2%以上の成長率が見込まれる成長市場だという。なのに日本では、なぜそうならないか。そこには業界平均で約40%という「返本率の高さ」があると指摘されている。
こうした出版業界の課題に立ち向かうために、ブックセラーズ&カンパニーが組織された。大手書店の紀伊國屋書店、TSUTAYAや蔦屋書店などを運営するCCC、取次の日販が共同出資して設立された。
現在、同社の事業に約1000書店が参加し、出版社との直接取引をまとめ、流通の効率化を支援する。このほど出版社4社と直取引で合意し、3月から順次スタートする。
◆トップカルチャーの連結決算が発表され、当期純損失13億7600万円、減収損失の決算となった。メインである「蔦屋書店事業」は売上高179億6500万円(前年比12.2%減)、その他の部門でも全てがマイナス。日販からトーハンへの帳合変更によりトーハンの筆頭株主となり、26年までに売上高181億円を目ざす。そのためには「TSUTAYA」を減らさざるを得ない状況が続く。
トップカルチャーは1987年からCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)とフランチャイズ契約を締結し、CCCは1都9県に書店「TSUTAYA」74店舗を展開している。 その閉鎖が止まらない。1月には30年の歴史を持つ東京・世田谷の象徴的な店舗も閉鎖。この10年で半数近くが消えた。書店ビジネスの再生や東京・渋谷のスクランブル交差点に面した新型「TSUTAYA」の開発など、再構築を進めるが、果たして成功するかどうか問われている。
2024年01月15日
【出版界の動き】読者・クリエイター・地域と協働する新たな挑戦
◆能登半島地震による書店被害状況は、1月5日午前10時時点で被災書店309店。そのうち「再開未定」が24店、「状況確認中」が5店。280店が「すでに営業再開および一部のみで営業再開」している。
北陸地方に店舗展開する勝木書店では、ほぼ全店で商品落下などの被害。石川県内の6店舗が大きな被害。天井やガラス什器が破損。同地域が断水のため臨時休業中。復旧のめどがたっていない。
◆23年11月の出版物販売金額865億円(前年比5.4%減)、書籍493億円(同2.9%減)、雑誌372億円(同8.5%減)。月刊誌313億円(同9.2%減)、週刊誌58億円(同4.2%減)。返品率は書籍34.0%、雑誌42.2%、月刊誌41.0%、週刊誌47.8%。相変わらず週刊誌の落ち込みが続く。
23年の年間販売金額は1兆638億円前後。かろうじて1兆円は維持したが、それも定価値上げに負うところが大きい。
◆出版物のルート別販売金額を見ると、マイナス幅が大きいのはコンビニルート。23年度の売り上げは1000億円を下回り、22年1172億円から20.4%減となった。1996年はコンビニでの出版物販売額が5571億円でピークとなったが、その後、漸減し続け今や6分の1となった。
日販のコンビニ配送からの撤退、紀伊國屋書店・CCC・日販の新会社ブックセラーズ&カンパニーが設立されたことも、影響しているのは間違いない。しかし、書店1万店の輸送網は6万店のコンビニルートによって成立している以上、コンビニ流通を守ることは書店配達を維持することと直結する。出版配送網インフラを拡充するうえで、コンビニ配送の位置づけを再確認すべきではないか。
◆メディアドゥは、昨年12月期の電子書籍・流通額(ジャンル別)の成長率を発表した。「コミック」が前年比2.5%増、「縦スクロールコミック」が同88.6%増、「写真集」が同3.3%減、「書籍」が同3.8%増、「雑誌」が同0.6%減。総合では前年同月比2.7%増だった。
ここで特筆すべきなのは「縦スクロールコミック」の急成長である。本においてはジャンルを問わず、いかに「縦読み」が読み手の自然な習慣になっているか、その証明でもある。
◆日販が運営する入場料のある本屋「文喫」が、名古屋にある中日新聞社の「中日ビル」に4月23日にオープンする。これまでの2店舗(六本木、福岡天神)と比べて圧倒的な広さを誇る、約370坪の大規模な店舗。
162席の座席を有する大喫茶ホールに、一点一点選書した約3万冊の書籍を取り揃える。さらに、おかわり自由の珈琲、紅茶サービスも用意する。
◆インターネット上の 誹謗 中傷への対策を強化するため、政府はプロバイダー責任制限法の改正案を、1月26日の通常国会に提出する。X(旧ツイッター)やメタ、グーグルなどを念頭に、SNSを運営する大手企業に対し、不適切な投稿を削除するよう申請があった場合、迅速な対応や削除基準の公表などを義務付ける。
SNSの運営企業の大半は海外勢で、削除の手続きや窓口のわかりにくさなどが指摘され、申請後も対応結果が確認できないケースもあった。今回の法改正は、誹謗中傷など権利を侵害する違法な投稿を対象としている。同様に対応が急務になっている偽情報や誤情報への対策は引き続き検討する。
◆創設50年になる仮説社という小さな出版社がある。東京・巣鴨にあるビルの3階の社内は3分の1が、本やグッズを販売する書店になっている。自社の本はもちろんだが、古本や個人出版の本(「ガリ本」と呼ぶ)から、実験器具やおもちゃ、手品からミジンコ、ガチャなども並べている。
この売り場の一隅に机と椅子をおき、夏休み自由研究講座や煮干しの解剖講座、近所の子どもたちを集めて仮説実験授業などを教える科学教室まで始めている。ちなみに同社発行の『うに―とげとげいきもの きたむらさきうにの ひみつ』が、こども家庭庁の2023年度児童福祉文化財の推薦作品となっている。
◆映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」がブームとなるなか、水木しげるさんの故郷・鳥取県境港市でスタートした、「とっとりクリエイターズ・ビレッジ」と名付けるプロジェクトが大反響を呼んでいる。
講談社「クリエイターズラボ」が、鳥取県と連携し地方創生とデジタルクリエイター支援を併せ持つプロジェクトを開始。あらゆるデジタルツールを駆使して創作活動している県外のクリエイターを境港市に呼び、生活の心配をせずに創作に打ち込んでもらう取り組みだ。
4月1日から2年間は境港市に居住して活動すること、その後も鳥取県に住み続ける意志があることなどを条件に、毎月約20万円(税別)が支給されるという。さらに担当編集がついて活動を支援し、創作講座が受けられるなどの特典が付く。このプロジェクトに参加できるクリエイターは5人。応募締め切りは2024年1月15日。
◆末尾ながら、今年2024年は世界的な選挙イヤーになる。台湾総統選挙(2024年1月)→インドネシア大統領選挙(2024年2月)→ロシア大統領選挙(2024年3月)→韓国総選挙(2024年4月)→インド総選挙(2024年4月〜5月)→欧州議会議員選挙(2024年6月)→メキシコ大統領選挙(2024年6月)→東京都知事選挙(2024年7月までに)→自由民主党総裁選挙(2024年9月までに)→アメリカ大統領選挙(2024年11月5日)→参議院議員選挙(2025年)
なかでも影響が大きいのは、アメリカ大統領選挙。ドナルド・トランプ再選でもなれば、“同盟国にとっての「悪夢」”が再来、動向が注目される。
北陸地方に店舗展開する勝木書店では、ほぼ全店で商品落下などの被害。石川県内の6店舗が大きな被害。天井やガラス什器が破損。同地域が断水のため臨時休業中。復旧のめどがたっていない。
◆23年11月の出版物販売金額865億円(前年比5.4%減)、書籍493億円(同2.9%減)、雑誌372億円(同8.5%減)。月刊誌313億円(同9.2%減)、週刊誌58億円(同4.2%減)。返品率は書籍34.0%、雑誌42.2%、月刊誌41.0%、週刊誌47.8%。相変わらず週刊誌の落ち込みが続く。
23年の年間販売金額は1兆638億円前後。かろうじて1兆円は維持したが、それも定価値上げに負うところが大きい。
◆出版物のルート別販売金額を見ると、マイナス幅が大きいのはコンビニルート。23年度の売り上げは1000億円を下回り、22年1172億円から20.4%減となった。1996年はコンビニでの出版物販売額が5571億円でピークとなったが、その後、漸減し続け今や6分の1となった。
日販のコンビニ配送からの撤退、紀伊國屋書店・CCC・日販の新会社ブックセラーズ&カンパニーが設立されたことも、影響しているのは間違いない。しかし、書店1万店の輸送網は6万店のコンビニルートによって成立している以上、コンビニ流通を守ることは書店配達を維持することと直結する。出版配送網インフラを拡充するうえで、コンビニ配送の位置づけを再確認すべきではないか。
◆メディアドゥは、昨年12月期の電子書籍・流通額(ジャンル別)の成長率を発表した。「コミック」が前年比2.5%増、「縦スクロールコミック」が同88.6%増、「写真集」が同3.3%減、「書籍」が同3.8%増、「雑誌」が同0.6%減。総合では前年同月比2.7%増だった。
ここで特筆すべきなのは「縦スクロールコミック」の急成長である。本においてはジャンルを問わず、いかに「縦読み」が読み手の自然な習慣になっているか、その証明でもある。
◆日販が運営する入場料のある本屋「文喫」が、名古屋にある中日新聞社の「中日ビル」に4月23日にオープンする。これまでの2店舗(六本木、福岡天神)と比べて圧倒的な広さを誇る、約370坪の大規模な店舗。
162席の座席を有する大喫茶ホールに、一点一点選書した約3万冊の書籍を取り揃える。さらに、おかわり自由の珈琲、紅茶サービスも用意する。
◆インターネット上の 誹謗 中傷への対策を強化するため、政府はプロバイダー責任制限法の改正案を、1月26日の通常国会に提出する。X(旧ツイッター)やメタ、グーグルなどを念頭に、SNSを運営する大手企業に対し、不適切な投稿を削除するよう申請があった場合、迅速な対応や削除基準の公表などを義務付ける。
SNSの運営企業の大半は海外勢で、削除の手続きや窓口のわかりにくさなどが指摘され、申請後も対応結果が確認できないケースもあった。今回の法改正は、誹謗中傷など権利を侵害する違法な投稿を対象としている。同様に対応が急務になっている偽情報や誤情報への対策は引き続き検討する。
◆創設50年になる仮説社という小さな出版社がある。東京・巣鴨にあるビルの3階の社内は3分の1が、本やグッズを販売する書店になっている。自社の本はもちろんだが、古本や個人出版の本(「ガリ本」と呼ぶ)から、実験器具やおもちゃ、手品からミジンコ、ガチャなども並べている。
この売り場の一隅に机と椅子をおき、夏休み自由研究講座や煮干しの解剖講座、近所の子どもたちを集めて仮説実験授業などを教える科学教室まで始めている。ちなみに同社発行の『うに―とげとげいきもの きたむらさきうにの ひみつ』が、こども家庭庁の2023年度児童福祉文化財の推薦作品となっている。
◆映画「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」がブームとなるなか、水木しげるさんの故郷・鳥取県境港市でスタートした、「とっとりクリエイターズ・ビレッジ」と名付けるプロジェクトが大反響を呼んでいる。
講談社「クリエイターズラボ」が、鳥取県と連携し地方創生とデジタルクリエイター支援を併せ持つプロジェクトを開始。あらゆるデジタルツールを駆使して創作活動している県外のクリエイターを境港市に呼び、生活の心配をせずに創作に打ち込んでもらう取り組みだ。
4月1日から2年間は境港市に居住して活動すること、その後も鳥取県に住み続ける意志があることなどを条件に、毎月約20万円(税別)が支給されるという。さらに担当編集がついて活動を支援し、創作講座が受けられるなどの特典が付く。このプロジェクトに参加できるクリエイターは5人。応募締め切りは2024年1月15日。
◆末尾ながら、今年2024年は世界的な選挙イヤーになる。台湾総統選挙(2024年1月)→インドネシア大統領選挙(2024年2月)→ロシア大統領選挙(2024年3月)→韓国総選挙(2024年4月)→インド総選挙(2024年4月〜5月)→欧州議会議員選挙(2024年6月)→メキシコ大統領選挙(2024年6月)→東京都知事選挙(2024年7月までに)→自由民主党総裁選挙(2024年9月までに)→アメリカ大統領選挙(2024年11月5日)→参議院議員選挙(2025年)
なかでも影響が大きいのは、アメリカ大統領選挙。ドナルド・トランプ再選でもなれば、“同盟国にとっての「悪夢」”が再来、動向が注目される。
2023年12月11日
【出版とメディアの動き】日本の電子出版とEUの「AI規制」
◆2023年10月の出版物の販売金額848億円(前年比0.4%増)。書籍498億円(同2.8%増)、雑誌350億円(同2.9%減)。月刊誌295億円(同0.2%減)、週刊誌54億円(同15.6%減)。返品率は書籍33.8%、雑誌44.9%、月刊誌43.7%、週刊誌50.4%。週刊誌の月次の50%超えは初めて。
なお書籍の売り上げは9月に続いて2ヵ月連続のプラス。これは初版30万部の『続 窓ぎわのトットちゃん』(講談社)の刊行や既刊の平均価格アップに依るところが大きい。
◆日販による「出版物販売額の実態」最新版(2023年版)によると、2022年度の出版物総売り上げは1兆4020億円(前年比3.1%減)。
販売ルート別にみると書店経由8157億円(全体比58.2%)、インターネット経由2872億円(同20.5%)。インターネット経由の出版物販売額は著しい成長率を見せ、出版物の総売り上げに占めるシェアを拡大しつつある。
とりわけ電子出版物の市場は、2022年度 6670億円(前年比7.5%増)という伸長ぶりからして、ますますインターネット経由での購入が増えるのは確実だ。
これまで出版物は本屋さんでの購入が唯一のルートだったが、今やコンビニやインターネット経由での購入が強まり、電子出版の購入に至ってはインターネット経由が急増(前年度比でプラス7.5%)している。
◆今年の出版業界は、電子出版の市場拡大に負うところが大きい1年となった。2023年度の出版物推定販売金額は約1兆1千億円(前年比3.7%減)と低迷が見込まれる中で、電子出版市場だけは約5千億円(同 7.1%増)を超える見通しで、その勢いは止まらない。
紙の出版物が大幅な販売減に陥いり、それを補うのが電子出版市場の成長だと言える。この成長の背景には、米Amazon社が販売する「Kindle電子書籍リーダー」など、読書端末の技術開拓と高度化がある上に、各出版社が多様なコンテンツを提供するようになり、販売面でもオンライン販売やプラットフォームの拡大を進め、ユーザーの利便性とアクセス可能性を向上させているからだ。この流れを無視しての出版事業は、もう成り立たないのではないか。
◆イーロン・マスクCEOのX(旧ツイッター) に見切りをつける大手広告主の動きが加速している。その引きがねの一つとなったのが、彼の反ユダヤ主義的な発言を含むコメントにある。IBM、Apple、CNN、ディズニーなどの大手広告主がXへの広告出稿を停止している。
一方、マスク氏は、広告ボイコットを一種の陰謀と見なし、広告主を糾弾しているため、さらなる打撃をこうむる可能性がある。これまでXの経営陣は、他のプラットフォームと比較して、広告主との関係を第一優先にせず、広告主との溝を深めているという背景も指摘されている。
◆欧州連合(EU)が世界で初となる人口知能(AI)を包括的に規制する法案を発表した。EU域内人口4億5千万人に適用する「AI法案」は、今後、「世界標準」になる可能性がある。EUは細部を詰めたうえで2026年には施行を目指すという。
この法案は、基本的人権の尊重を前提にして、AIの利用を@容認できないA高いB限定的C最小限の4段階に分け、段階ごとに義務を課す。まず最も危険な分類@「許容できないリスク」では、行政が経歴などを使って個人を点数化してAIに信用評価をさせたりすることや政府が個人の遠隔生体認証に使うことが禁止される。
2番目に危険とされる分類A「高リスク」には、プロファイリングによる犯罪予測や入試・採用試験での評価などが入り、企業はどのようにAIを使ったか追跡や監査ができるよう記録を残す義務が課される。さらに生成AIの「チャットGTP」や「汎用AI」にも、厳しいルールを課す。
対応を怠った企業には、最も重い違反の場合「3500万ユーロ(約54億円)」か「年間世界売上高の7%」を上限に制裁金を科す。
なお書籍の売り上げは9月に続いて2ヵ月連続のプラス。これは初版30万部の『続 窓ぎわのトットちゃん』(講談社)の刊行や既刊の平均価格アップに依るところが大きい。
◆日販による「出版物販売額の実態」最新版(2023年版)によると、2022年度の出版物総売り上げは1兆4020億円(前年比3.1%減)。
販売ルート別にみると書店経由8157億円(全体比58.2%)、インターネット経由2872億円(同20.5%)。インターネット経由の出版物販売額は著しい成長率を見せ、出版物の総売り上げに占めるシェアを拡大しつつある。
とりわけ電子出版物の市場は、2022年度 6670億円(前年比7.5%増)という伸長ぶりからして、ますますインターネット経由での購入が増えるのは確実だ。
これまで出版物は本屋さんでの購入が唯一のルートだったが、今やコンビニやインターネット経由での購入が強まり、電子出版の購入に至ってはインターネット経由が急増(前年度比でプラス7.5%)している。
◆今年の出版業界は、電子出版の市場拡大に負うところが大きい1年となった。2023年度の出版物推定販売金額は約1兆1千億円(前年比3.7%減)と低迷が見込まれる中で、電子出版市場だけは約5千億円(同 7.1%増)を超える見通しで、その勢いは止まらない。
紙の出版物が大幅な販売減に陥いり、それを補うのが電子出版市場の成長だと言える。この成長の背景には、米Amazon社が販売する「Kindle電子書籍リーダー」など、読書端末の技術開拓と高度化がある上に、各出版社が多様なコンテンツを提供するようになり、販売面でもオンライン販売やプラットフォームの拡大を進め、ユーザーの利便性とアクセス可能性を向上させているからだ。この流れを無視しての出版事業は、もう成り立たないのではないか。
◆イーロン・マスクCEOのX(旧ツイッター) に見切りをつける大手広告主の動きが加速している。その引きがねの一つとなったのが、彼の反ユダヤ主義的な発言を含むコメントにある。IBM、Apple、CNN、ディズニーなどの大手広告主がXへの広告出稿を停止している。
一方、マスク氏は、広告ボイコットを一種の陰謀と見なし、広告主を糾弾しているため、さらなる打撃をこうむる可能性がある。これまでXの経営陣は、他のプラットフォームと比較して、広告主との関係を第一優先にせず、広告主との溝を深めているという背景も指摘されている。
◆欧州連合(EU)が世界で初となる人口知能(AI)を包括的に規制する法案を発表した。EU域内人口4億5千万人に適用する「AI法案」は、今後、「世界標準」になる可能性がある。EUは細部を詰めたうえで2026年には施行を目指すという。
この法案は、基本的人権の尊重を前提にして、AIの利用を@容認できないA高いB限定的C最小限の4段階に分け、段階ごとに義務を課す。まず最も危険な分類@「許容できないリスク」では、行政が経歴などを使って個人を点数化してAIに信用評価をさせたりすることや政府が個人の遠隔生体認証に使うことが禁止される。
2番目に危険とされる分類A「高リスク」には、プロファイリングによる犯罪予測や入試・採用試験での評価などが入り、企業はどのようにAIを使ったか追跡や監査ができるよう記録を残す義務が課される。さらに生成AIの「チャットGTP」や「汎用AI」にも、厳しいルールを課す。
対応を怠った企業には、最も重い違反の場合「3500万ユーロ(約54億円)」か「年間世界売上高の7%」を上限に制裁金を科す。
2023年11月13日
【出版界の動き】本の危機を打開する創意あふれる意欲的な取り組み
◆今や日本全国の自治体の4分の1以上が本屋のない「無書店自治体」と言われる。身近に本が買える環境を、どう作り維持するか模索が進んでいる。そのユニークな取り組みの一つを紹介する。
岩手県西和賀町は、過疎化が進む人口約5千人の町、そこを通るJR北上線「ほっとゆだ」駅から近い「湯本屋内温泉プール」のロビーに、「本屋」が20年ぶりに復活した。約3千冊の小説や絵本、漫画が売られている。
いわゆる新刊書店とは異なり、町と「ブックオフ」が協定を結び、住民側が運営する「ふるさとブックオフ」の1号店としてスタート。本はブックオフ側が選び、施設の指定管理者である西和賀町水泳協会に委託し1冊100〜300円で販売する。1冊売れるごとに販売価格の10%が同協会に支払われる。
いま紅葉の名所として観光客も訪れる「ほっとゆだ」駅、「湯本屋内温泉プール」に浸かった後、ロビーで本に出合い楽しめる粋な取り組みとして注目されている。
◆直木賞作家の今村翔吾さんが、JR佐賀駅に新しい「佐賀之書店」を12月3日にオープンする。7年前に今村さんが「九州さが大衆文学賞」を受賞したのを縁に、佐賀市在住の「カリスマ書店員」本間悠さんを店長にして、「様々な形で出版の光を絶やさないよう模索していく」と意気込んでいる。今村さんにとっては、21年11月に大阪府箕面市で書店を事業継承した「きのしたブックセンター」に次ぐ書店経営になる。
◆日販が運営する「ほんたす ためいけ」溜池山王メトロピア店(店舗面積15坪)も注目されている。完全なる無人書店。ここに入るにはLINEミニアプリを活用し、決済はキャッシュレス決済のみ。
これからの無人書店の活用を想定すれば、大学周辺では学術書・専門書を並べ学生・研究者をサポート。各種スタジアム近くでは球技やスポーツ、音楽やアーティストらの関連書。山深い地方のサービスエリアではアウトドア関連書、大病院内には健康増進書・入院患者の心休まる書物など、場所や施設の特徴を視野に、その場所にあった顧客のニーズに応える本を揃える、無人書店の設置が考えられるという。巨額な設備投資や書店員を確保しなくとも、一定の収益が得られるのは出版界にとっても大きい。
◆黒柳徹子『続 窓ぎわのトットちゃん』(講談社、10/3発売)の発行部数が、発売1週間で30万部を突破。国内で800万部、世界では2500万部超のベストセラーとなった『窓ぎわのトットちゃん』の42年ぶりの続編ということもあり、書店からの注文が殺到している。
12月8日に公開のアニメ映画「窓ぎわのトットちゃん」(監督・脚本:八鍬新之助、配給:東宝)に合わせて、『映画 窓ぎわのトットちゃん ストーリーブック』(本体1500円)を11月に刊行する。
◆「秋の読書推進月間」が10月27日から始まったのを機に、「第31回神保町ブックフェスティバル」が28日〜29日に開催された。初日の売上げ4200万円、2日目3300万円、計7500万円(前年比18%増)。来場者は2日間で推定13万人、前回の10万人から3割増えた。出店した出版社は156社(前回14社)。決して本が見放されているわけではない。ニーズに合わせた企画の大切さが鍵となっている。
◆23年9月の出版物販売金額1078億円(前年比2.6%増)、書籍668億円(同5.3%増)、雑誌409億円(同1.6%減)。月刊誌353億円(同0.1%増)、週刊誌55億円(同11.1%減)。返品率は書籍29.3%、雑誌39.4%、月刊誌37.8%、週刊誌48.0%。
書籍・雑誌を合計した販売金額が前年比プラスは21年11月以来、書籍の前年比プラスは22年1月以来となる。
23年度の推定販売金額は、1兆570億円前後と試算されている。ピーク時の1996年には2兆6564億円の販売金額があったのだから、なんと27年間で半分以下の40%にまで落ち込んでしまったことになる。
岩手県西和賀町は、過疎化が進む人口約5千人の町、そこを通るJR北上線「ほっとゆだ」駅から近い「湯本屋内温泉プール」のロビーに、「本屋」が20年ぶりに復活した。約3千冊の小説や絵本、漫画が売られている。
いわゆる新刊書店とは異なり、町と「ブックオフ」が協定を結び、住民側が運営する「ふるさとブックオフ」の1号店としてスタート。本はブックオフ側が選び、施設の指定管理者である西和賀町水泳協会に委託し1冊100〜300円で販売する。1冊売れるごとに販売価格の10%が同協会に支払われる。
いま紅葉の名所として観光客も訪れる「ほっとゆだ」駅、「湯本屋内温泉プール」に浸かった後、ロビーで本に出合い楽しめる粋な取り組みとして注目されている。
◆直木賞作家の今村翔吾さんが、JR佐賀駅に新しい「佐賀之書店」を12月3日にオープンする。7年前に今村さんが「九州さが大衆文学賞」を受賞したのを縁に、佐賀市在住の「カリスマ書店員」本間悠さんを店長にして、「様々な形で出版の光を絶やさないよう模索していく」と意気込んでいる。今村さんにとっては、21年11月に大阪府箕面市で書店を事業継承した「きのしたブックセンター」に次ぐ書店経営になる。
◆日販が運営する「ほんたす ためいけ」溜池山王メトロピア店(店舗面積15坪)も注目されている。完全なる無人書店。ここに入るにはLINEミニアプリを活用し、決済はキャッシュレス決済のみ。
これからの無人書店の活用を想定すれば、大学周辺では学術書・専門書を並べ学生・研究者をサポート。各種スタジアム近くでは球技やスポーツ、音楽やアーティストらの関連書。山深い地方のサービスエリアではアウトドア関連書、大病院内には健康増進書・入院患者の心休まる書物など、場所や施設の特徴を視野に、その場所にあった顧客のニーズに応える本を揃える、無人書店の設置が考えられるという。巨額な設備投資や書店員を確保しなくとも、一定の収益が得られるのは出版界にとっても大きい。
◆黒柳徹子『続 窓ぎわのトットちゃん』(講談社、10/3発売)の発行部数が、発売1週間で30万部を突破。国内で800万部、世界では2500万部超のベストセラーとなった『窓ぎわのトットちゃん』の42年ぶりの続編ということもあり、書店からの注文が殺到している。
12月8日に公開のアニメ映画「窓ぎわのトットちゃん」(監督・脚本:八鍬新之助、配給:東宝)に合わせて、『映画 窓ぎわのトットちゃん ストーリーブック』(本体1500円)を11月に刊行する。
◆「秋の読書推進月間」が10月27日から始まったのを機に、「第31回神保町ブックフェスティバル」が28日〜29日に開催された。初日の売上げ4200万円、2日目3300万円、計7500万円(前年比18%増)。来場者は2日間で推定13万人、前回の10万人から3割増えた。出店した出版社は156社(前回14社)。決して本が見放されているわけではない。ニーズに合わせた企画の大切さが鍵となっている。
◆23年9月の出版物販売金額1078億円(前年比2.6%増)、書籍668億円(同5.3%増)、雑誌409億円(同1.6%減)。月刊誌353億円(同0.1%増)、週刊誌55億円(同11.1%減)。返品率は書籍29.3%、雑誌39.4%、月刊誌37.8%、週刊誌48.0%。
書籍・雑誌を合計した販売金額が前年比プラスは21年11月以来、書籍の前年比プラスは22年1月以来となる。
23年度の推定販売金額は、1兆570億円前後と試算されている。ピーク時の1996年には2兆6564億円の販売金額があったのだから、なんと27年間で半分以下の40%にまで落ち込んでしまったことになる。
2023年10月12日
【出版界の動き】売り上げ急減、雑誌再建、フリーランス保護へ
◆出版の売り上げが今夏は急減し、前年8月と比較して11.3%も落ち込んだ。8月の出版物販売金額711億円(前年同月比11.3%減)、書籍378億円(同10.6%減)、雑誌350億円(同0.5%増)。月刊誌277億円(同12.0%減)、週刊誌55億円(同12.0%減)。返品率は書籍40.2%、雑誌44.4%、月刊誌43.7%、週刊誌47.6%。いずれも40%を超える高返品率が続く。出版物販売金額の減少は23年4月の12.8%に続く二桁マイナス。猛暑が影響したか。
◆1999年にオープンした「SHIBUYA TSUTAYA」が、改装のために10月1日から一時休業し、来年春に再開業する。DVDやCDのレンタル業態の旗艦店として、地上2Fから屋上まで11フロアを有し、雑誌・書籍も販売してきた。その一方、TSUTAYAの大型店が閉店する流れは加速し、8月も6店が閉店している。
◆朝日新聞出版が10月5日、国内の一般向け科学雑誌「Newton」(発行元・ニュートンプレス)を買収。40年以上の歴史を持つ「Newton」は、創刊当時は数十万部を発行し、1980年代の科学雑誌ブームの火付け役となった。だが現在の販売数は約8万部と低迷。負債総額は約18億円。
科学雑誌ブームも2000年代に入ると逆風にさらされ、朝日新聞発行の「科学朝日」(1941年創刊)が2000年に休刊、驚異的な部数を誇っていた学研の小学生向け「科学」(1946年創刊)も2010年に休刊。その後 、2022年夏に「学研の科学」として復刊した。
「Newton」の発行元・ニュートンプレスも経営危機に陥ったが、2020年9月に民事再生手続きが終結。今後は事業基盤の安定化に向けた再生計画の推進を、朝日新聞グループが全面的にサポートしながら、2024年に民事再生債権の完済を予定しているという。「Newton」の紙面充実を図り、新たな読者獲得に全力を挙げる。
◆東京地裁は10月10日、出版大手KADOKAWAの元専務に、懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。東京五輪のスポンサー契約をめぐる汚職事件で、大会理事に約7000万円の賄賂を渡した罪が問われた。
裁判長は「大きなビジネスチャンスを得たいなどという利己的な動機から相当高額な賄賂を渡し、大会に汚点を残した。専務として違法行為の可能性を十分認識しながら元理事の要求に応じ、臭いものに蓋をしたまま犯行に及んだ」と指摘した。
◆「フリーランス新法」が2023年4月28日に成立し、来年11月に施行される。それまでに指針・政省令を策定する。現在、策定に向けた検討会が開かれ、フリーランス各団体へのヒヤリングが行われている。
出版ネッツは厚生労働省や公正取引委員会等からヒヤリングを受け、すでに実施したフリーランス新法アンケート調査結果(https://union-nets.org/archives/9110)をもとに、出版・WEB関連で働くフリーランスの実態と声を伝えている。
「取引条件の明示事項」に入れてほしいものとして、<契約についての教育・研修の実施と、契約書に関する相談窓口の設置>などを挙げ、「就業環境整備」に関しては、<妊娠や子育てを理由に発注取り消しや契約打ち切りを行わないこと、勤務時間の変更や納期についての配慮>などを要望している。
◆イーロンマスクがツイッター社を買収し、ブランド名をTwitterからXに変更して以降、力を入れていたニュース部門を縮小し大量のレイオフを行なった。その結果、広告主が離れ広告収入が50%減少する中で新しいCEOを雇い、立て直しをはかっている。コンテンツ収益化を打ち出し、メディアに積極的なプロモーションをかけている。だが「メディア側は用心したほうが良い。ニュース部門を縮小させている以上、Xの狙いがどこにあるか、吟味したほうが得策だ」という識者の声を尊重したい。
◆1999年にオープンした「SHIBUYA TSUTAYA」が、改装のために10月1日から一時休業し、来年春に再開業する。DVDやCDのレンタル業態の旗艦店として、地上2Fから屋上まで11フロアを有し、雑誌・書籍も販売してきた。その一方、TSUTAYAの大型店が閉店する流れは加速し、8月も6店が閉店している。
◆朝日新聞出版が10月5日、国内の一般向け科学雑誌「Newton」(発行元・ニュートンプレス)を買収。40年以上の歴史を持つ「Newton」は、創刊当時は数十万部を発行し、1980年代の科学雑誌ブームの火付け役となった。だが現在の販売数は約8万部と低迷。負債総額は約18億円。
科学雑誌ブームも2000年代に入ると逆風にさらされ、朝日新聞発行の「科学朝日」(1941年創刊)が2000年に休刊、驚異的な部数を誇っていた学研の小学生向け「科学」(1946年創刊)も2010年に休刊。その後 、2022年夏に「学研の科学」として復刊した。
「Newton」の発行元・ニュートンプレスも経営危機に陥ったが、2020年9月に民事再生手続きが終結。今後は事業基盤の安定化に向けた再生計画の推進を、朝日新聞グループが全面的にサポートしながら、2024年に民事再生債権の完済を予定しているという。「Newton」の紙面充実を図り、新たな読者獲得に全力を挙げる。
◆東京地裁は10月10日、出版大手KADOKAWAの元専務に、懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。東京五輪のスポンサー契約をめぐる汚職事件で、大会理事に約7000万円の賄賂を渡した罪が問われた。
裁判長は「大きなビジネスチャンスを得たいなどという利己的な動機から相当高額な賄賂を渡し、大会に汚点を残した。専務として違法行為の可能性を十分認識しながら元理事の要求に応じ、臭いものに蓋をしたまま犯行に及んだ」と指摘した。
◆「フリーランス新法」が2023年4月28日に成立し、来年11月に施行される。それまでに指針・政省令を策定する。現在、策定に向けた検討会が開かれ、フリーランス各団体へのヒヤリングが行われている。
出版ネッツは厚生労働省や公正取引委員会等からヒヤリングを受け、すでに実施したフリーランス新法アンケート調査結果(https://union-nets.org/archives/9110)をもとに、出版・WEB関連で働くフリーランスの実態と声を伝えている。
「取引条件の明示事項」に入れてほしいものとして、<契約についての教育・研修の実施と、契約書に関する相談窓口の設置>などを挙げ、「就業環境整備」に関しては、<妊娠や子育てを理由に発注取り消しや契約打ち切りを行わないこと、勤務時間の変更や納期についての配慮>などを要望している。
◆イーロンマスクがツイッター社を買収し、ブランド名をTwitterからXに変更して以降、力を入れていたニュース部門を縮小し大量のレイオフを行なった。その結果、広告主が離れ広告収入が50%減少する中で新しいCEOを雇い、立て直しをはかっている。コンテンツ収益化を打ち出し、メディアに積極的なプロモーションをかけている。だが「メディア側は用心したほうが良い。ニュース部門を縮小させている以上、Xの狙いがどこにあるか、吟味したほうが得策だ」という識者の声を尊重したい。
2023年09月14日
【出版界の動き】<鵺(ぬえ)の政権>といわれる再改造内閣の狙い
◆第2次岸田政権の再改造内閣が発足した13日、朝日新聞政治部『鵺(ぬえ)の政権─ドキュメント岸田官邸620日』(朝日新書)が発売された。官邸の中枢や岸田首相の周辺を徹底取材し、その「状況追従主義」を浮き彫りにし、衆院解散・総選挙や総裁再選をめざす首相の動向も考察。
「鵺」といえば、京極夏彦「百鬼夜行」シリーズの書き下ろし・17年ぶりの最新長編『鵼の碑(ぬえのいしぶみ)』(講談社ノベルス)も、14日に発売。累計部数1000万部を突破する同シリーズ。紀伊國屋書店では発売日から全店でオリジナルブックカバー1万枚を配布する。
また黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』の続編が、42年ぶりの10月3日、講談社から刊行される。初めてアニメ映画化も決定し、12月8日(金)から全国東宝系にて公開される。
『窓ぎわのトットちゃん』は、現在までに累計発行部数は日本国内で800万部、全世界で2500万部を突破。20以上の言語で翻訳され、世界中の人々の心を捉え、今もなお世代を超えて愛され続けている。
◆23年7月の出版物販売金額738億円(前年比0.9%減)、書籍388億円(同2.2%減)、雑誌350億円(同0.5%増)。月刊誌293億円(同3.2%増)、週刊誌56億円(同11.7%減)。返品率は書籍41.0%、雑誌42.9%、月刊誌42.0%、週刊誌47.1%。いずれも40%を超える高返品率が続く。
◆出版大手3社(講談社・小学館・集英社)が共同して、新刊コミックスなどに入れる「しおり」に、PubteX が供給するRFIDタグを埋めこみ、製本会社で本体に挿入作業をしたうえで配本する実証実験を、9月から一部の書店で開始している。その成果や問題点を把握し、流通や在庫管理などに応用する。
さらにAIによる配本最適化ソリューション事業も進め、出版界のサプライチェーンを再構築していく予定だという。
◆2023年度新聞協会賞(9/6発表)は以下の通り。
▼読売新聞東京本社:<「海外臓器売買・あっせん」を巡る一連のスクープ>
▼神戸新聞社:<神戸連続児童殺傷事件の全記録廃棄スクープと一連の報道>
▼毎日新聞西部本社:<「伝えていかねば」沖縄・渡嘉敷島 集団自決の生存者>
▼NHK:<「精神科病院で患者虐待や高い死亡退院率」の一連のスクープと調査報道>
▼西日本新聞社:<人権新時代>
「鵺」といえば、京極夏彦「百鬼夜行」シリーズの書き下ろし・17年ぶりの最新長編『鵼の碑(ぬえのいしぶみ)』(講談社ノベルス)も、14日に発売。累計部数1000万部を突破する同シリーズ。紀伊國屋書店では発売日から全店でオリジナルブックカバー1万枚を配布する。
また黒柳徹子『窓ぎわのトットちゃん』の続編が、42年ぶりの10月3日、講談社から刊行される。初めてアニメ映画化も決定し、12月8日(金)から全国東宝系にて公開される。
『窓ぎわのトットちゃん』は、現在までに累計発行部数は日本国内で800万部、全世界で2500万部を突破。20以上の言語で翻訳され、世界中の人々の心を捉え、今もなお世代を超えて愛され続けている。
◆23年7月の出版物販売金額738億円(前年比0.9%減)、書籍388億円(同2.2%減)、雑誌350億円(同0.5%増)。月刊誌293億円(同3.2%増)、週刊誌56億円(同11.7%減)。返品率は書籍41.0%、雑誌42.9%、月刊誌42.0%、週刊誌47.1%。いずれも40%を超える高返品率が続く。
◆出版大手3社(講談社・小学館・集英社)が共同して、新刊コミックスなどに入れる「しおり」に、PubteX が供給するRFIDタグを埋めこみ、製本会社で本体に挿入作業をしたうえで配本する実証実験を、9月から一部の書店で開始している。その成果や問題点を把握し、流通や在庫管理などに応用する。
さらにAIによる配本最適化ソリューション事業も進め、出版界のサプライチェーンを再構築していく予定だという。
◆2023年度新聞協会賞(9/6発表)は以下の通り。
▼読売新聞東京本社:<「海外臓器売買・あっせん」を巡る一連のスクープ>
▼神戸新聞社:<神戸連続児童殺傷事件の全記録廃棄スクープと一連の報道>
▼毎日新聞西部本社:<「伝えていかねば」沖縄・渡嘉敷島 集団自決の生存者>
▼NHK:<「精神科病院で患者虐待や高い死亡退院率」の一連のスクープと調査報道>
▼西日本新聞社:<人権新時代>
2023年08月17日
【出版界の動き】漫画『はだしのゲン』50年─今に生きる貴重な叫び
■23年6月の出版物販売金額792億円(前年比8.1%減)、書籍420億円(同4.7%減)、雑誌371億円(同11.9%減)。月刊誌313億円(同11.7%減)、週刊誌58億円(同15.0%減)。返品率は書籍41.5%、雑誌48.4%、月刊誌41.6%、週刊誌48.4%。いずれも40%を超える高返品率が2カ月続く。
■23年3月末時点で、日本にある書店は1万1149店(前年比457店減)。だが一定の坪数がある書店に限ると8478店(同328店減)に減る。1960年代には2万6000店あったので、4分の1になってしまった。
4月には鳥取の老舗書店・定有堂の閉店に続き、6月までに書店閉店は62店と続出。TSUTAYAの大型店7店、西友の9店、トップカルチャーが不採算の10〜20店を閉店、7月末には名古屋のちくさ正文館が閉店。八重洲BCの赤字1.9億円も伝えられ、書店の窮状は深刻だ。
■インボイス制度を考えるフリーランスの会(STOP!インボイス)が、10月に実施を強行する政府に、1カ月前の9月4日、インボイス制度の延期を求める緊急提言(案)と実施強行に反対する署名を提出する。いまだに免税事業者の登録は1割にとどまっており、不安と混乱の声が日に日に増えている。
9月4日(月)13時〜14時半 衆議院第1議員会館 多目的ホール(予定)
■大修館書店が『無礼語辞典』を8月に刊行。同書は、昨年7月に刊行された『品格語辞典』の姉妹編。相手に「無礼」と受け取られる600語を取り上げ、解説に加え例文・言いかえ表現を収録。また人気漫画家・いのうえさきこさんの挿絵、1コマ漫画、「無礼マップ」も収録。書店からの注文が多いため、すぐに2刷8000部を増刷した。
■8月12〜13日に東京ビッグサイトで開催のコミックマーケット(コミケ)102は、2日間で26万人が来場。コロナ禍により、2020年から2021年夏までコミケ開催はなく、2021年冬からはチケットを事前抽選販売し、入場者数を制限する形で行われてきた。
今回は、午後からであればリストバンド型参加証を、当日購入しての入場も可能。多種多様な創作コミック、同人誌、グッズ、音楽などの展示即売ブースに、熱心なマニアが群がり競って購入するなど熱気に包まれた。
■広島原爆の惨状を描いた漫画「はだしのゲン」が今年、雑誌の連載開始から50年を迎えた。単行本(汐文社、中公文庫など)になってからも読み継がれ、累計発行部数1,000万以上。世界24カ国でも翻訳され原爆の恐ろしさを伝えている。
にもかかわらず、戦後78年を迎えた今年2月に、広島市教育委員会は、平和教育副教材から漫画「はだしのゲン」を削除すると決めた。こうした対応に批判が広がっている。こうした事態を深く捉え、8月12日(土) 7:30〜の「TBS報道特集」で、<「原爆ってやつは、大事な大事なおふくろの骨まで…」漫画『はだしのゲン』が伝えた被爆の実相とは>を放映した。たいへん内容の濃い好企画であるだけに、未視聴者にはYouTubeなどで視聴してほしい。
■23年3月末時点で、日本にある書店は1万1149店(前年比457店減)。だが一定の坪数がある書店に限ると8478店(同328店減)に減る。1960年代には2万6000店あったので、4分の1になってしまった。
4月には鳥取の老舗書店・定有堂の閉店に続き、6月までに書店閉店は62店と続出。TSUTAYAの大型店7店、西友の9店、トップカルチャーが不採算の10〜20店を閉店、7月末には名古屋のちくさ正文館が閉店。八重洲BCの赤字1.9億円も伝えられ、書店の窮状は深刻だ。
■インボイス制度を考えるフリーランスの会(STOP!インボイス)が、10月に実施を強行する政府に、1カ月前の9月4日、インボイス制度の延期を求める緊急提言(案)と実施強行に反対する署名を提出する。いまだに免税事業者の登録は1割にとどまっており、不安と混乱の声が日に日に増えている。
9月4日(月)13時〜14時半 衆議院第1議員会館 多目的ホール(予定)
■大修館書店が『無礼語辞典』を8月に刊行。同書は、昨年7月に刊行された『品格語辞典』の姉妹編。相手に「無礼」と受け取られる600語を取り上げ、解説に加え例文・言いかえ表現を収録。また人気漫画家・いのうえさきこさんの挿絵、1コマ漫画、「無礼マップ」も収録。書店からの注文が多いため、すぐに2刷8000部を増刷した。
■8月12〜13日に東京ビッグサイトで開催のコミックマーケット(コミケ)102は、2日間で26万人が来場。コロナ禍により、2020年から2021年夏までコミケ開催はなく、2021年冬からはチケットを事前抽選販売し、入場者数を制限する形で行われてきた。
今回は、午後からであればリストバンド型参加証を、当日購入しての入場も可能。多種多様な創作コミック、同人誌、グッズ、音楽などの展示即売ブースに、熱心なマニアが群がり競って購入するなど熱気に包まれた。
■広島原爆の惨状を描いた漫画「はだしのゲン」が今年、雑誌の連載開始から50年を迎えた。単行本(汐文社、中公文庫など)になってからも読み継がれ、累計発行部数1,000万以上。世界24カ国でも翻訳され原爆の恐ろしさを伝えている。
にもかかわらず、戦後78年を迎えた今年2月に、広島市教育委員会は、平和教育副教材から漫画「はだしのゲン」を削除すると決めた。こうした対応に批判が広がっている。こうした事態を深く捉え、8月12日(土) 7:30〜の「TBS報道特集」で、<「原爆ってやつは、大事な大事なおふくろの骨まで…」漫画『はだしのゲン』が伝えた被爆の実相とは>を放映した。たいへん内容の濃い好企画であるだけに、未視聴者にはYouTubeなどで視聴してほしい。
2023年07月20日
【出版界の動き】波紋を呼ぶツイッター社の凍結対応と混乱
●23年5月の出版物販売金額667億円(前年比7.7%減)、書籍366億円(同10.0%減)、雑誌311億円(同4.9%減)。月刊誌252億円(同6.1%減)、週刊誌58億円(同0.7%増)。返品率は書籍40.8%、雑誌45.9%、月刊誌46.3%、週刊誌44.3%。いずれも40%を超える高返品率が続く。
●日販からトーハンへの帳合変更が激しさを増す。10月1日からトップカルチャー59店舗の帳合がトーハンへ変更される。日販は未来屋とトップカルチャー2社を合わせ、700億円以上の売上を失う。
この事態はトーハンによる日販の一部吸収合併と見なされてもおかしくない。なお未来屋の決算は最終損益9億2800万円の赤字、トップカルチャーの第2四半期の営業損益は1億6600万円の赤字。この赤字2社の取引がトーハンにどのような影響をもたらすか、注目される。
●22年度の日書連加盟書店は2665店(前年比138店減)。1986年のピーク時には1万2935店だから5分の1。東京は前年より13店減の264店。22年の公共図書館は全国で3305館。それををはるかに下回る。公共図書館は2006年以降3000館を超えている。
●「チャットGPT」などを開発した生成AI企業への訴訟が米国で相次ぐ。原告は著作権やプライバシーの侵害を訴えており、同様の訴訟が続く可能性が高い。オンライン上で大量のデータを収集する生成AIに対するルール作りが急務となっている。すでにEUでは6月、著作権への配慮を盛り込んだAI法修正案を採択している。米国や日本でも規制に向けた議論が進む。
とりわけ教育現場では深刻な事態が進んでいる。教員たちからは「生成AIでレポートを書かれたら、見分けがつかない」の声が挙がり、のちに盗作の疑いありとして訴訟でも起こされたら対応できないという。
●月刊誌「世界」(岩波書店)の公式ツイッターアカウントが、ツイッター社の判断で7/18付で凍結され、憶測が広がっている。ツイッター社からは「プラットフォームの悪用とスパム(迷惑行為)を禁止するルールに違反している」とのメールが届いただけ。
「世界」のアカウントが凍結されたのは初めてなので、当該編集部は「思い当たる節はない。ツイッター社のサイトを通じ異議申し立てをしている」という。
7日発売の8月号で「特集:安倍政治の決算」を組み、総点検かつ課題を論じている。19日昼時点で、「世界」8月号はアマゾンなどのネット書店で購入できない状況になっている。
●Instagram や Facebook で有名な Meta社が開発した独自のアプリ「Threads(スレッズ)」が、日本でも使えるようになった。このアプリはイーロン・マスク氏率いるTwitter社からユーザーを奪うことを目指して設計され、Twitter社との競争に参戦する。
マスク氏が買収して引き継いで以降、Twitter社は人員整理や利用システムの変更など、混乱から抜け出せない状態にある。しかも1日に閲覧できるツイート数の制限などに、不満を抱くTwitterユーザーを取り込もうと、多数の競合サービスが登場しているが、Twitterを凌駕する決定的なアプリはなかった。
しかし、Meta社が開発した「Threads」は、Twitter社に深刻な脅威を与えている。、Meta社は30億人のFacebookユーザーと23億人を超えるInstagramユーザーを擁し、「Threads」へ切り替える可能性は大きい。Instagramのアカウントがあれば、すぐ利用できる。ゼロから始める必要はない上に、同アプリは無料で30を超える言語で提供されるとあって、あっという間に登録者数が7000万人を超えた。
なお、Meta社のマーク・ザッカーバーグCEOは、ユーザーが10億人規模に達したら収益化を考えると表明。しばらくは広告のない状態で利用できる。広告まみれで閲覧数まで制限のTwitterとは好対照。
●日販からトーハンへの帳合変更が激しさを増す。10月1日からトップカルチャー59店舗の帳合がトーハンへ変更される。日販は未来屋とトップカルチャー2社を合わせ、700億円以上の売上を失う。
この事態はトーハンによる日販の一部吸収合併と見なされてもおかしくない。なお未来屋の決算は最終損益9億2800万円の赤字、トップカルチャーの第2四半期の営業損益は1億6600万円の赤字。この赤字2社の取引がトーハンにどのような影響をもたらすか、注目される。
●22年度の日書連加盟書店は2665店(前年比138店減)。1986年のピーク時には1万2935店だから5分の1。東京は前年より13店減の264店。22年の公共図書館は全国で3305館。それををはるかに下回る。公共図書館は2006年以降3000館を超えている。
●「チャットGPT」などを開発した生成AI企業への訴訟が米国で相次ぐ。原告は著作権やプライバシーの侵害を訴えており、同様の訴訟が続く可能性が高い。オンライン上で大量のデータを収集する生成AIに対するルール作りが急務となっている。すでにEUでは6月、著作権への配慮を盛り込んだAI法修正案を採択している。米国や日本でも規制に向けた議論が進む。
とりわけ教育現場では深刻な事態が進んでいる。教員たちからは「生成AIでレポートを書かれたら、見分けがつかない」の声が挙がり、のちに盗作の疑いありとして訴訟でも起こされたら対応できないという。
●月刊誌「世界」(岩波書店)の公式ツイッターアカウントが、ツイッター社の判断で7/18付で凍結され、憶測が広がっている。ツイッター社からは「プラットフォームの悪用とスパム(迷惑行為)を禁止するルールに違反している」とのメールが届いただけ。
「世界」のアカウントが凍結されたのは初めてなので、当該編集部は「思い当たる節はない。ツイッター社のサイトを通じ異議申し立てをしている」という。
7日発売の8月号で「特集:安倍政治の決算」を組み、総点検かつ課題を論じている。19日昼時点で、「世界」8月号はアマゾンなどのネット書店で購入できない状況になっている。
●Instagram や Facebook で有名な Meta社が開発した独自のアプリ「Threads(スレッズ)」が、日本でも使えるようになった。このアプリはイーロン・マスク氏率いるTwitter社からユーザーを奪うことを目指して設計され、Twitter社との競争に参戦する。
マスク氏が買収して引き継いで以降、Twitter社は人員整理や利用システムの変更など、混乱から抜け出せない状態にある。しかも1日に閲覧できるツイート数の制限などに、不満を抱くTwitterユーザーを取り込もうと、多数の競合サービスが登場しているが、Twitterを凌駕する決定的なアプリはなかった。
しかし、Meta社が開発した「Threads」は、Twitter社に深刻な脅威を与えている。、Meta社は30億人のFacebookユーザーと23億人を超えるInstagramユーザーを擁し、「Threads」へ切り替える可能性は大きい。Instagramのアカウントがあれば、すぐ利用できる。ゼロから始める必要はない上に、同アプリは無料で30を超える言語で提供されるとあって、あっという間に登録者数が7000万人を超えた。
なお、Meta社のマーク・ザッカーバーグCEOは、ユーザーが10億人規模に達したら収益化を考えると表明。しばらくは広告のない状態で利用できる。広告まみれで閲覧数まで制限のTwitterとは好対照。
2023年06月15日
【出版界の動き】 新聞メディアが自社以外での執筆・言論・著作活動に規制
●23年4月の出版物販売金額865億円(前年比12.8%減)、書籍483億円(同11.6%減)、雑誌382億円(同14.2%減)。月刊誌324億円(同15.1%減)、週刊誌57億円(同8.9%減)。返品率は書籍31.9%、雑誌42.3%、月刊誌41.2%、週刊誌47.9%。
各部門とも、前月から2倍以上の大幅な減となり、村上春樹の6年ぶりの長編小説『街とその不確かな壁』(新潮社)・重版合わせ35万部の発行は上半期書籍ベストセラー第1位となったが、出版界の低迷打破の起爆剤とはならず。
●KADOKAWAの連結決算─売上高2554億円(前年比15.5%増)、営業利益259億円(同40.0%増)は共に過去最高額。当期純利益126億8千万円(同9.9%減)。要因は「ゲーム事業」の好調による。売上高303億円(同55.7%増)、営業利益142億(同173.4%増)の数字が如実に示す。
●日販グループ35社の連結決算では売上高4440億円(前年比12.1%減)、営業損失4億円(前年は28億4000万円の利益)、取次・小売店事業が減収・営業赤字により全体を押し下げた。
日販単体の売上高3551億(同12.9%減)、当期純損失22億9700万円(同4億8500万円の利益)。「書籍」「雑誌」「コミックス」「開発商品」の全4分野で減収。市場全体が縮小し、取引書店の閉店や帳合変更も大きく影響、前年の売上高から約523億円減少。
●公立小中学校の学校図書館を充実させるため図書の購入費用として、文科省は220億円を各自治体に交付したが、図書購入に使われたのは6割弱の約126億円(57%)にとどまる。財政難などを理由に他の目的に回され、図書購入費は7年連続で減少している。
学校規模に応じた蔵書数を示す「学校図書館図書標準」を達成している学校の割合は、小学校71%、中学校61%にとどまる。
●絵本作家・田島征彦(ゆきひこ)さんが、長年の取材の集大成として「沖縄戦」を描いた絵本『なきむしせいとく─沖縄戦にまきこまれた少年の物語』(童心社)が、第54回講談社絵本賞を受賞。
絵本の内容は、1945年戦争末期の沖縄を舞台に、8歳の男の子である泣き虫せいとくの視点から、沖縄での空襲や艦砲射撃、そして地上戦……。家族を失い、死体を踏み越えて逃げ、味方と避難場所を奪い合う沖縄戦など、悲惨な現場を絵本に仕上げ、戦争を見せて怖がらせるのではなく、平和の大切さを伝える画期的な労作。
●廣嶋玲子『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(全20巻・偕成社)が、2013年5月に刊行されて以降からロングセラーを続けている。累計発行部数400万部を突破。とりわけ2020年9月にNHK教育テレビで放映され、小学生だけでなく中学生にも人気のシリーズとなった。「銭天堂」の内容的なエグさ、登場人物の身につまされる内面描写は、中学生をも惹きつける魅力がある。
●新聞労連が「言論機関の言論の自由を考える」と題するシンポジウムを開催(6/3)。そこで「社外での言論活動」に関するアンケート結果が公表され、会社による規制強化の進行が報告された。 社外執筆の禁止事例8件、講演ダメ3件、出版ストップ1件、形式上「届け出制」でも不許可の事例も出ているという。「慰安婦問題など見解が割れるもの、政治家から反論があったものなどに、規制強化の傾向がある」という。
日刊ゲンダイDIGITAL(6/5付)によると、シンポジウムではTBSのキャスター・金平茂紀氏が「米NYタイムズや英BBCなどは社員にSNS発信や社外活動を推奨している。むしろ社外言論が会社の価値を高めるとの判断だ」と発言。元共同通信記者のジャーナリスト・青木理氏は「言論・報道の自由の担い手たるメディアが言論・報道の自由を守れなければ、社会に流通する情報が減る。誰が被害を受けるのか自明ではないか」と話した。「新聞社が萎縮すれば権力の思うツボ。これでは21世紀の大政翼賛会になってしまいます」(政治評論家・本澤二郎氏)と指摘する。
各部門とも、前月から2倍以上の大幅な減となり、村上春樹の6年ぶりの長編小説『街とその不確かな壁』(新潮社)・重版合わせ35万部の発行は上半期書籍ベストセラー第1位となったが、出版界の低迷打破の起爆剤とはならず。
●KADOKAWAの連結決算─売上高2554億円(前年比15.5%増)、営業利益259億円(同40.0%増)は共に過去最高額。当期純利益126億8千万円(同9.9%減)。要因は「ゲーム事業」の好調による。売上高303億円(同55.7%増)、営業利益142億(同173.4%増)の数字が如実に示す。
●日販グループ35社の連結決算では売上高4440億円(前年比12.1%減)、営業損失4億円(前年は28億4000万円の利益)、取次・小売店事業が減収・営業赤字により全体を押し下げた。
日販単体の売上高3551億(同12.9%減)、当期純損失22億9700万円(同4億8500万円の利益)。「書籍」「雑誌」「コミックス」「開発商品」の全4分野で減収。市場全体が縮小し、取引書店の閉店や帳合変更も大きく影響、前年の売上高から約523億円減少。
●公立小中学校の学校図書館を充実させるため図書の購入費用として、文科省は220億円を各自治体に交付したが、図書購入に使われたのは6割弱の約126億円(57%)にとどまる。財政難などを理由に他の目的に回され、図書購入費は7年連続で減少している。
学校規模に応じた蔵書数を示す「学校図書館図書標準」を達成している学校の割合は、小学校71%、中学校61%にとどまる。
●絵本作家・田島征彦(ゆきひこ)さんが、長年の取材の集大成として「沖縄戦」を描いた絵本『なきむしせいとく─沖縄戦にまきこまれた少年の物語』(童心社)が、第54回講談社絵本賞を受賞。
絵本の内容は、1945年戦争末期の沖縄を舞台に、8歳の男の子である泣き虫せいとくの視点から、沖縄での空襲や艦砲射撃、そして地上戦……。家族を失い、死体を踏み越えて逃げ、味方と避難場所を奪い合う沖縄戦など、悲惨な現場を絵本に仕上げ、戦争を見せて怖がらせるのではなく、平和の大切さを伝える画期的な労作。
●廣嶋玲子『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(全20巻・偕成社)が、2013年5月に刊行されて以降からロングセラーを続けている。累計発行部数400万部を突破。とりわけ2020年9月にNHK教育テレビで放映され、小学生だけでなく中学生にも人気のシリーズとなった。「銭天堂」の内容的なエグさ、登場人物の身につまされる内面描写は、中学生をも惹きつける魅力がある。
●新聞労連が「言論機関の言論の自由を考える」と題するシンポジウムを開催(6/3)。そこで「社外での言論活動」に関するアンケート結果が公表され、会社による規制強化の進行が報告された。 社外執筆の禁止事例8件、講演ダメ3件、出版ストップ1件、形式上「届け出制」でも不許可の事例も出ているという。「慰安婦問題など見解が割れるもの、政治家から反論があったものなどに、規制強化の傾向がある」という。
日刊ゲンダイDIGITAL(6/5付)によると、シンポジウムではTBSのキャスター・金平茂紀氏が「米NYタイムズや英BBCなどは社員にSNS発信や社外活動を推奨している。むしろ社外言論が会社の価値を高めるとの判断だ」と発言。元共同通信記者のジャーナリスト・青木理氏は「言論・報道の自由の担い手たるメディアが言論・報道の自由を守れなければ、社会に流通する情報が減る。誰が被害を受けるのか自明ではないか」と話した。「新聞社が萎縮すれば権力の思うツボ。これでは21世紀の大政翼賛会になってしまいます」(政治評論家・本澤二郎氏)と指摘する。
2023年05月18日
【出版界の動き】「紙の本」を扱う新しい試みへの期待
●23年3月の出版物販売金額1371億円(前年比4.7%減)、書籍905億円(同4.1%減)、雑誌466億円(同5.7%減)。月刊誌398億円(同5.0%減)、週刊誌67億円(同10.1%減)。返品率は書籍25.6%、雑誌39.6%、月刊誌38.7%、週刊誌44.2%。
●丸善グループ(子会社47社・関連会社3社)の連結決算によると、売上高1628億円(前期比78億円減)、当期純利益17.7億円(同18.3%減)。主要な部門の売上高は丸善ジュンク堂などの「店舗・ネット販売事業」663億円、丸善雄松堂の「文教市場販売事業」が480億円、TRCの「図書館サポート事業」337億円、岩崎書店や丸善出版などの「出版事業」41億円。
丸善ジュンク堂などの108店舗は赤字、TRCなどの図書館事業で利益が計上されている。
●民事再生のマキノ出版がブティック社と資産譲渡契約を締結。ブティック社がマキノ出版の雑誌、書籍、ムックの版権およびウェブサイト事業を引き継ぐ。月刊誌「壮快」と「安心」を6月下旬からそれぞれ隔月刊として発行。ブティック社は、月刊誌「レディブティック」やニット、手芸、料理、園芸、ネイル、ビーズ、住まいなど、実用書を出版している。
●俳優・音楽家がAIのもたらす権利侵害などについて危険性を訴える。俳優や音楽家らでつくる日本芸能従事者協会は、AI(人工知能)によって芸術・芸能の担い手が失職する可能性を指摘し、権利擁護の法整備を求めた。実演家は「著作物の伝達」に重要な役割を果たしているため、著作隣接権で守られている。それが侵される危険性を指摘している。
●『レコード芸術』(音楽之友社)が7月号で休刊。1952年創刊のクラシック音楽界の重要なメディア(発行部数10万部)が消滅する。ヤマハの子会社となっていた音楽之友社にもかかわらず、苦境に追いやられていた。また日本棋院が発行する唯一の週刊専門誌『週刊碁』も9月に休刊。ピーク時20万部も今や2万部まで激減。
●「本屋と紙の本の未来」について、吉永明弘・法政大学教授(環境倫理学)が提言(「SYNODOS」5/15付)をしている。要約すると、以下のような内容である。
紙の本に対する電子書籍の割合が増えたことにより、リアルな「本屋」の存在意義が問われ始めている。その一方で、新たにリアルな「本屋」を始める人たちがいる。また、新しい形で「紙の本」をやりとりする場所が各地で生まれている。新しく本屋を始めた人たちの思いと、紙の本をやりとりする現代的な意義を再確認すべきだ。
例えば日本各地で開かれている「一箱古本市」は、まさに個人がお寺・神社の一角を借りて、段ボール一箱分の本を個人が売る本屋を開く試みである。本を売ることを通じて本好きの人たちと交流するのが一つの楽しみになっている。
あるいは個人が本屋のなかの「棚」を借りて蔵書の貸出と販売ができる本屋スペースを運営する。また自宅を開放して「八畳一間と玄関土間だけの小さな古本屋」にする。客が減少したスナックに古本屋を開設する事例もある。こうした既存の建物を利用しての「本屋」の試みは、きわめて有効なエコ活動でもある。
リアルな「紙の本」を直接やりとりする「本屋」は、人との出会いを強め、交流が始まり、さらにはコミュニティの拠点としての機能も持つ。その可能性への期待は大きい。
●丸善グループ(子会社47社・関連会社3社)の連結決算によると、売上高1628億円(前期比78億円減)、当期純利益17.7億円(同18.3%減)。主要な部門の売上高は丸善ジュンク堂などの「店舗・ネット販売事業」663億円、丸善雄松堂の「文教市場販売事業」が480億円、TRCの「図書館サポート事業」337億円、岩崎書店や丸善出版などの「出版事業」41億円。
丸善ジュンク堂などの108店舗は赤字、TRCなどの図書館事業で利益が計上されている。
●民事再生のマキノ出版がブティック社と資産譲渡契約を締結。ブティック社がマキノ出版の雑誌、書籍、ムックの版権およびウェブサイト事業を引き継ぐ。月刊誌「壮快」と「安心」を6月下旬からそれぞれ隔月刊として発行。ブティック社は、月刊誌「レディブティック」やニット、手芸、料理、園芸、ネイル、ビーズ、住まいなど、実用書を出版している。
●俳優・音楽家がAIのもたらす権利侵害などについて危険性を訴える。俳優や音楽家らでつくる日本芸能従事者協会は、AI(人工知能)によって芸術・芸能の担い手が失職する可能性を指摘し、権利擁護の法整備を求めた。実演家は「著作物の伝達」に重要な役割を果たしているため、著作隣接権で守られている。それが侵される危険性を指摘している。
●『レコード芸術』(音楽之友社)が7月号で休刊。1952年創刊のクラシック音楽界の重要なメディア(発行部数10万部)が消滅する。ヤマハの子会社となっていた音楽之友社にもかかわらず、苦境に追いやられていた。また日本棋院が発行する唯一の週刊専門誌『週刊碁』も9月に休刊。ピーク時20万部も今や2万部まで激減。
●「本屋と紙の本の未来」について、吉永明弘・法政大学教授(環境倫理学)が提言(「SYNODOS」5/15付)をしている。要約すると、以下のような内容である。
紙の本に対する電子書籍の割合が増えたことにより、リアルな「本屋」の存在意義が問われ始めている。その一方で、新たにリアルな「本屋」を始める人たちがいる。また、新しい形で「紙の本」をやりとりする場所が各地で生まれている。新しく本屋を始めた人たちの思いと、紙の本をやりとりする現代的な意義を再確認すべきだ。
例えば日本各地で開かれている「一箱古本市」は、まさに個人がお寺・神社の一角を借りて、段ボール一箱分の本を個人が売る本屋を開く試みである。本を売ることを通じて本好きの人たちと交流するのが一つの楽しみになっている。
あるいは個人が本屋のなかの「棚」を借りて蔵書の貸出と販売ができる本屋スペースを運営する。また自宅を開放して「八畳一間と玄関土間だけの小さな古本屋」にする。客が減少したスナックに古本屋を開設する事例もある。こうした既存の建物を利用しての「本屋」の試みは、きわめて有効なエコ活動でもある。
リアルな「紙の本」を直接やりとりする「本屋」は、人との出会いを強め、交流が始まり、さらにはコミュニティの拠点としての機能も持つ。その可能性への期待は大きい。
2023年04月13日
【出版界の動き】 2冊の風─凪良ゆう『汝、星のごとく』と村上春樹『街とその不確かな壁』
●23年2月の出版物販売金額997億円(前年比7.6%減)、書籍634億円(同6.3%減)、雑誌363億円(同9.7%減)。月刊誌305億円(同8.9%減)、週刊誌58億円(同13.4%減)。返品率は書籍31.0%、雑誌41.2%、月刊誌39.9%、週刊誌47.3%。
●新刊本の値段が11年連続上昇し、この間に159円高くなっている。出版科学研究所によると、2021年の上昇率は2.8%に達し25年ぶりの大きさ。2022年になると新刊書籍・税抜き本体価格は平均1268円(前年比2.2%増)。特にエネルギー価格が高騰し、製紙に加え印刷、輸送コストの膨張が大きな要因だ。
さらにインターネットを使った娯楽の普及などで販売部数の落ち込みが止まらず、出版社が少ない部数でも利益を確保するため、値上げを続けてきたという事情もある。
●いま書店業界や本好きな人々の間では、芥川賞や直木賞など、出版社が主催する著名な選考委員による「お墨付き本」より、本屋さんの店員などが推奨する「○○本」と銘打つ「お薦め本」が人気を呼んでいる。この12日に発表された「本屋大賞」の凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社)は、さっそくコーナーが特設され店頭に積み上げられた。
村上春樹『街とその不確かな壁』(新潮社)の発売と合わせ、久しぶりに購入客で活況を呈している。
●千葉県富津市は、「イオンモール富津」内に図書館流通センター(TRC)を指定管理者として市立図書館を開館。面積446坪、座席数134席、蔵書数6万5千冊、開館時間10時〜20時。同市は公共図書館がなく、初の公共図書館となる。
●有隣堂が新規に41店目を開設。東京・台東区の「上野マルイ」地下1階に書店「STORY STORY UENO」を出店。店舗面積166坪で、書籍6万冊のほか文具、雑貨、食品なども取り扱う。「『昨日より楽しい自分』を見つける場所」をコンセプトに、本がもつ物語を紡いで人生を豊かにするワークショップを毎日開催する。
●図書館でも本屋でもない施設「8BOOKs SENDAI(エイトブックス仙台)」が注目されている。宮城県を拠点に不動産・リノベーション事業を手がけるアイ・クルールが運営。本を読んでも読まなくても、子どもが遊んでもOKの会員制の図書施設。利用料金を払えば館内にある約1万冊の蔵書が読めるほか、施設内を自由に利用することができる。ただし本は貸出も販売もしていない。
2階には授乳室やおむつ替えシートのスペースやキッズ・コーナーも設置、靴を脱いで遊ぶこともできる。
●KADOKAWA、アニメホテル事業から撤退。ところざわサクラタウン内にある「EJアニメホテル」と成田国際空港にある「成田アニメデッキ」は集客に苦戦し、収益確保が困難と判断し撤退を決めた。
●新刊本の値段が11年連続上昇し、この間に159円高くなっている。出版科学研究所によると、2021年の上昇率は2.8%に達し25年ぶりの大きさ。2022年になると新刊書籍・税抜き本体価格は平均1268円(前年比2.2%増)。特にエネルギー価格が高騰し、製紙に加え印刷、輸送コストの膨張が大きな要因だ。
さらにインターネットを使った娯楽の普及などで販売部数の落ち込みが止まらず、出版社が少ない部数でも利益を確保するため、値上げを続けてきたという事情もある。
●いま書店業界や本好きな人々の間では、芥川賞や直木賞など、出版社が主催する著名な選考委員による「お墨付き本」より、本屋さんの店員などが推奨する「○○本」と銘打つ「お薦め本」が人気を呼んでいる。この12日に発表された「本屋大賞」の凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社)は、さっそくコーナーが特設され店頭に積み上げられた。
村上春樹『街とその不確かな壁』(新潮社)の発売と合わせ、久しぶりに購入客で活況を呈している。
●千葉県富津市は、「イオンモール富津」内に図書館流通センター(TRC)を指定管理者として市立図書館を開館。面積446坪、座席数134席、蔵書数6万5千冊、開館時間10時〜20時。同市は公共図書館がなく、初の公共図書館となる。
●有隣堂が新規に41店目を開設。東京・台東区の「上野マルイ」地下1階に書店「STORY STORY UENO」を出店。店舗面積166坪で、書籍6万冊のほか文具、雑貨、食品なども取り扱う。「『昨日より楽しい自分』を見つける場所」をコンセプトに、本がもつ物語を紡いで人生を豊かにするワークショップを毎日開催する。
●図書館でも本屋でもない施設「8BOOKs SENDAI(エイトブックス仙台)」が注目されている。宮城県を拠点に不動産・リノベーション事業を手がけるアイ・クルールが運営。本を読んでも読まなくても、子どもが遊んでもOKの会員制の図書施設。利用料金を払えば館内にある約1万冊の蔵書が読めるほか、施設内を自由に利用することができる。ただし本は貸出も販売もしていない。
2階には授乳室やおむつ替えシートのスペースやキッズ・コーナーも設置、靴を脱いで遊ぶこともできる。
●KADOKAWA、アニメホテル事業から撤退。ところざわサクラタウン内にある「EJアニメホテル」と成田国際空港にある「成田アニメデッキ」は集客に苦戦し、収益確保が困難と判断し撤退を決めた。
2023年04月06日
【出版ネッツ】「自治体史編さんに係る著作権取扱いについての要望」を、文化庁著作権課ほかに提出
東京都・世田谷区が進める区史編さんに関わる委員に対し、区は著作権を区に譲渡するよう要請してきました。応じなければ編さん委員から外すといいます。「著作者人格権の不行使」という不当な対応に、歴史学者を始め、多くの著作者が抗議をしています。
この問題点につき、3月27日、出版ネッツは文化庁に対し、@文化庁ガイドラインの遵守の周知、A相談窓口の設置、B当事者、関係団体からの情報提供などによって把握した問題事例について、事実関係を照会し、必要な場合には注意喚起などを行うこと、を要望しました。
この「著作者人格権の不行使」問題については、すでに「出版ネッツ」は声明を出しています。その詳細は以下の通りです。(続きを読む)
続きを読む
この問題点につき、3月27日、出版ネッツは文化庁に対し、@文化庁ガイドラインの遵守の周知、A相談窓口の設置、B当事者、関係団体からの情報提供などによって把握した問題事例について、事実関係を照会し、必要な場合には注意喚起などを行うこと、を要望しました。
この「著作者人格権の不行使」問題については、すでに「出版ネッツ」は声明を出しています。その詳細は以下の通りです。(続きを読む)
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2023年03月09日
【出版界の動き】昨年1年間のコミック販売金額は過去最大6770億円
●23年1月の出版物販売金額797億円(前年比6.5%減)、書籍474億円(同7.0%減)、雑誌323億円(同5.8%減)。月刊誌266億円(同3.3%減)、週刊誌56億円(同16.0%減)。返品率は書籍32.8%、雑誌41.8%、月刊誌41.3%、週刊誌44.3%。
●22年1年間のコミック販売金額は、紙+電子を合わせ6770億円(前年比0.2%増)、5年連続の成長で過去最大を更新した。
紙のコミックス(単行本)1754億円(同16.0%減)、コミック誌537億円(同3.8%減)、合計2291億円(同13.4%減)。コロナ禍による巣ごもり需要が終息、メガヒット作品も少なかったが、コロナ禍前の2019年比ではプラス。
電子コミックは4479億円(同8.9%増)、コミック市場全体に占める率は66.2%。電子コミックの市場推計は定額読み放題を含む「読者が支払った金額の推計」で、広告収入や電子図書館向けは含まれない。
●図書館流通センター(TRC)の電子図書館サービスが318の自治体で導入。利用可能人口6千万人を超えた。3月までに日本の総人口の過半数が利用できる。3月には神奈川・川崎市、茨木県・つくば市や土浦市でも導入。
●講談社、減収減益の決算─22年度の売上高1695億(前年比0.8%減)。当期純利益は150億(同3.8%減)。デジタル・版権関連の事業収入102億(同10.0%増)、広告収入74億(同5.0%増)が好調に推移し、前年比減を抑えられた。
●『オール讀物』3・4月合併号が創刊92年の歴史で初の電子雑誌版配信の試み。直木賞発表の小川哲さん『地図と拳』と千早茜さん『しろがねの葉』を収載。
●朝日新聞出版の月刊誌「Journalism」が3月で休刊。2008年の創刊で、メディアに関連するテーマやジャーナリズムに関する論考を掲載し、新聞販売店を経由して販売していた。
あわせて、みすず書房の月刊誌「みすず」が8月号で休刊。出版社のPR雑誌も休刊する危機が迫っているのではないか。
日販の広報誌「日販通信」も3月号(3/3発売)で休刊。1950年の創刊以来、73年で終止符。WEBサイト「ほんのひきだし」に移行する。
●22年1年間のコミック販売金額は、紙+電子を合わせ6770億円(前年比0.2%増)、5年連続の成長で過去最大を更新した。
紙のコミックス(単行本)1754億円(同16.0%減)、コミック誌537億円(同3.8%減)、合計2291億円(同13.4%減)。コロナ禍による巣ごもり需要が終息、メガヒット作品も少なかったが、コロナ禍前の2019年比ではプラス。
電子コミックは4479億円(同8.9%増)、コミック市場全体に占める率は66.2%。電子コミックの市場推計は定額読み放題を含む「読者が支払った金額の推計」で、広告収入や電子図書館向けは含まれない。
●図書館流通センター(TRC)の電子図書館サービスが318の自治体で導入。利用可能人口6千万人を超えた。3月までに日本の総人口の過半数が利用できる。3月には神奈川・川崎市、茨木県・つくば市や土浦市でも導入。
●講談社、減収減益の決算─22年度の売上高1695億(前年比0.8%減)。当期純利益は150億(同3.8%減)。デジタル・版権関連の事業収入102億(同10.0%増)、広告収入74億(同5.0%増)が好調に推移し、前年比減を抑えられた。
●『オール讀物』3・4月合併号が創刊92年の歴史で初の電子雑誌版配信の試み。直木賞発表の小川哲さん『地図と拳』と千早茜さん『しろがねの葉』を収載。
●朝日新聞出版の月刊誌「Journalism」が3月で休刊。2008年の創刊で、メディアに関連するテーマやジャーナリズムに関する論考を掲載し、新聞販売店を経由して販売していた。
あわせて、みすず書房の月刊誌「みすず」が8月号で休刊。出版社のPR雑誌も休刊する危機が迫っているのではないか。
日販の広報誌「日販通信」も3月号(3/3発売)で休刊。1950年の創刊以来、73年で終止符。WEBサイト「ほんのひきだし」に移行する。
2023年02月09日
【出版界の動き】電子出版の伸長が鈍化、本屋から複合文化施設へ転換
●22年12月の出版物販売金額972億円(前年比5.7%減)、書籍522億円(同3.5%減)、雑誌449億円(同8.2%減)。月刊誌388億円(同9.1%減)、週刊誌61億円(同1.8%減)。返品率は書籍29.0%、雑誌37.8%、月刊誌36.4%、週刊誌45.3%。
●22年1年間の紙・電子合わせて出版物販売金額は1兆6305億円(前年比2.6%減)。紙製では書籍6497億円(同4.5%減)、雑誌4795億円(同9.1%減)。月刊誌4017億円(同9.7%減)、週刊誌778億円(同5.7%減)。
電子では販売金額5013億円(同7.5%増)。コミック4479億円(同8.9%増)、書籍446億円(同0.7%減)、雑誌88億円(同11.1%減)。
●これまで2ケタ増を続けてきた電子出版市場は、2014年1144億円と比較すれば、この8年で約4.4倍の市場に成長した。だが電子版の書籍・雑誌はマイナス成長の急ブレーキがかかり、なかでも電子コミックの大幅な売り上げ増が見込めなくなり、さらにコロナ禍による巣ごもり需要も終わり、物価高による買い控えが出版市場を冷え込ませている。
●KADOKAWA、取締役の過半数を社外取締役にして、取締役会に対する監督機能を強化する。東京五輪を巡る汚職事件に関与した前会長・角川歴彦被告への「過度の忖度とそれを醸成した企業風土があった」として、再発防止に向けた対策。
●21年の書店の売り場面積300坪以上の新規出店を見ると、24店のうちツタヤ関連が12店と半分を占め、続いて駿河屋3店、未来屋、三洋堂が各2店となっている。
●CCCが軽井沢町に敷地面積3500坪・建物9棟などの複合施設を作り、そこに平安堂軽井沢店の跡地に出した軽井沢書店の支店を設けるほか、インターナショナルスクール、カフェなどを備え、一大文化拠点をつくる。
●「LAWSONマチの本屋さん」の出店が神奈川・神戸・青森にも。神奈川のローソン向ヶ丘遊園南店125坪のうち25坪を書店とし6000点の出版物を扱う。神戸のジェームス山店では88坪の売場のうち15坪を書店とし3000点の出版物を扱う。青森の田子町店は93坪の売場の23坪を書店とし6000点を扱う。これで総計7店舗。これまでの出版物の売上高は導入前に比べて20倍、女性や家族・シニアの来店が増えているという。
●1922年に創刊の「週刊朝日」が6月9日号で休刊、101年の歴史を閉じる。2022年の平均発行部数7万部。朝日の雑誌休刊をたどってみると、1992年に「朝日ジャーナル」、「月刊Asahi」「科学朝日」「アサヒカメラ」「週刊アサヒグラフ」「論座」と続く。各誌とも一定の読者を持ち役割を果たしてきただけに惜しまれる。いまや残っているのは「AERA」「月刊Journalism」2誌のみ。
●22年1年間の紙・電子合わせて出版物販売金額は1兆6305億円(前年比2.6%減)。紙製では書籍6497億円(同4.5%減)、雑誌4795億円(同9.1%減)。月刊誌4017億円(同9.7%減)、週刊誌778億円(同5.7%減)。
電子では販売金額5013億円(同7.5%増)。コミック4479億円(同8.9%増)、書籍446億円(同0.7%減)、雑誌88億円(同11.1%減)。
●これまで2ケタ増を続けてきた電子出版市場は、2014年1144億円と比較すれば、この8年で約4.4倍の市場に成長した。だが電子版の書籍・雑誌はマイナス成長の急ブレーキがかかり、なかでも電子コミックの大幅な売り上げ増が見込めなくなり、さらにコロナ禍による巣ごもり需要も終わり、物価高による買い控えが出版市場を冷え込ませている。
●KADOKAWA、取締役の過半数を社外取締役にして、取締役会に対する監督機能を強化する。東京五輪を巡る汚職事件に関与した前会長・角川歴彦被告への「過度の忖度とそれを醸成した企業風土があった」として、再発防止に向けた対策。
●21年の書店の売り場面積300坪以上の新規出店を見ると、24店のうちツタヤ関連が12店と半分を占め、続いて駿河屋3店、未来屋、三洋堂が各2店となっている。
●CCCが軽井沢町に敷地面積3500坪・建物9棟などの複合施設を作り、そこに平安堂軽井沢店の跡地に出した軽井沢書店の支店を設けるほか、インターナショナルスクール、カフェなどを備え、一大文化拠点をつくる。
●「LAWSONマチの本屋さん」の出店が神奈川・神戸・青森にも。神奈川のローソン向ヶ丘遊園南店125坪のうち25坪を書店とし6000点の出版物を扱う。神戸のジェームス山店では88坪の売場のうち15坪を書店とし3000点の出版物を扱う。青森の田子町店は93坪の売場の23坪を書店とし6000点を扱う。これで総計7店舗。これまでの出版物の売上高は導入前に比べて20倍、女性や家族・シニアの来店が増えているという。
●1922年に創刊の「週刊朝日」が6月9日号で休刊、101年の歴史を閉じる。2022年の平均発行部数7万部。朝日の雑誌休刊をたどってみると、1992年に「朝日ジャーナル」、「月刊Asahi」「科学朝日」「アサヒカメラ」「週刊アサヒグラフ」「論座」と続く。各誌とも一定の読者を持ち役割を果たしてきただけに惜しまれる。いまや残っているのは「AERA」「月刊Journalism」2誌のみ。
2023年01月12日
【出版界の動き】電子ツールを活用した出版文化への期待が広がる
●22年11月の出版物販売金額915億円(前年比4.2%減)、書籍508億円(同6.3%減)、雑誌406億円(同1.5%減)。月刊誌345億円(同0.3%増)、週刊誌61億円(同10.5%減)。返品率は書籍34.7%、雑誌40.4%、月刊誌39.3%、週刊誌46.1%。
●22年1年間の出版物(紙製)販売金額は1兆1,300億円(前年比6%減)となる見込み。書籍は落ち込みが大きく、雑誌は前年比10%減。コロナ特需は完全に終息。電子出版はコミック4533億円、書籍447億円、雑誌86億円で総計5066億円。
●出版科学研究所が発行する「出版月報」が来春に季刊化。月次データについてはPDF版で「出版指標マンスリーレポート」として、定期購読者には配信する。従来の第三種郵便による配送より情報鮮度は高まる。
●出版社直営のサイトで書籍の読み放題サービスを有料会員に提供。「有斐閣Online」、佼成出版社「ちえうみ」やGakkenやオーム社などの事例がある。講談社「メフィスト」は定期刊行の電子版を止め、定額会員制の読書クラブを展開、紙版が年4回届く試みを開始。新潮社「yom yom」も定期刊行の電子版を止め、全作品無料のウェブマガジンへ移行。
●出版DX基盤「MDAM」の共同利用─集英社・小学館・講談社による「雑誌コンテンツを使った新サービス創出」を目指す戦略的業務提携が、大日本印刷の支援を受けて進む。集英社が開発した出版DX基盤「MDAM」を版元の壁を越え、広く採用されたのが理由。
●「週刊文春」の掲載記事を、発売前日の12時に前倒しして電子版へ配信。双方の価値を相乗的に高める施策が効果を上げている。とりわけ政治スキャンダルに関する記事は、永田町の関心を呼び政界への激震にもつながる。
●埋もれていた名著の再発見と復刻の進展─国立国会図書館が「個人向けデジタル化資料送信サービス」を開始し、絶版本や埋もれた名著へのアクセスが容易になった。そのため昨年半年で約3万3000人、約35万回の閲覧、利用は飛躍的に高まっている。
なお年末には「国立国会図書館デジタルコレクション」がリニューアル、全文検索可能なデジタル化資料が大幅に増加、閲覧画面の改善、保護期間満了資料を対象とした画像検索機能の追加、シングルサインオン対応、検索画面のモバイル対応など、大幅な機能改善がなされている。年明け1月18日には印刷機能も追加される。
●小林昌樹『調べる技術─国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』(皓星社)が好評。著者は国立国会図書館の元職員、レファレンス業務などに従事。12月23日に3刷、1月10日に4刷。
●滋賀県長浜市に120年の歴史がある小さな私立図書館がある。「江北(こほく)図書館」が、野間出版文化賞特別賞を受賞。受賞理由は「個人が設立して100年以上ものあいだ地域住民が運営を続けてきた、他に類を見ない私立図書館」。館内閲覧は無料、館外貸し出し、近隣の小学校への「巡回図書」も開始。
●22年1年間の出版物(紙製)販売金額は1兆1,300億円(前年比6%減)となる見込み。書籍は落ち込みが大きく、雑誌は前年比10%減。コロナ特需は完全に終息。電子出版はコミック4533億円、書籍447億円、雑誌86億円で総計5066億円。
●出版科学研究所が発行する「出版月報」が来春に季刊化。月次データについてはPDF版で「出版指標マンスリーレポート」として、定期購読者には配信する。従来の第三種郵便による配送より情報鮮度は高まる。
●出版社直営のサイトで書籍の読み放題サービスを有料会員に提供。「有斐閣Online」、佼成出版社「ちえうみ」やGakkenやオーム社などの事例がある。講談社「メフィスト」は定期刊行の電子版を止め、定額会員制の読書クラブを展開、紙版が年4回届く試みを開始。新潮社「yom yom」も定期刊行の電子版を止め、全作品無料のウェブマガジンへ移行。
●出版DX基盤「MDAM」の共同利用─集英社・小学館・講談社による「雑誌コンテンツを使った新サービス創出」を目指す戦略的業務提携が、大日本印刷の支援を受けて進む。集英社が開発した出版DX基盤「MDAM」を版元の壁を越え、広く採用されたのが理由。
●「週刊文春」の掲載記事を、発売前日の12時に前倒しして電子版へ配信。双方の価値を相乗的に高める施策が効果を上げている。とりわけ政治スキャンダルに関する記事は、永田町の関心を呼び政界への激震にもつながる。
●埋もれていた名著の再発見と復刻の進展─国立国会図書館が「個人向けデジタル化資料送信サービス」を開始し、絶版本や埋もれた名著へのアクセスが容易になった。そのため昨年半年で約3万3000人、約35万回の閲覧、利用は飛躍的に高まっている。
なお年末には「国立国会図書館デジタルコレクション」がリニューアル、全文検索可能なデジタル化資料が大幅に増加、閲覧画面の改善、保護期間満了資料を対象とした画像検索機能の追加、シングルサインオン対応、検索画面のモバイル対応など、大幅な機能改善がなされている。年明け1月18日には印刷機能も追加される。
●小林昌樹『調べる技術─国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』(皓星社)が好評。著者は国立国会図書館の元職員、レファレンス業務などに従事。12月23日に3刷、1月10日に4刷。
●滋賀県長浜市に120年の歴史がある小さな私立図書館がある。「江北(こほく)図書館」が、野間出版文化賞特別賞を受賞。受賞理由は「個人が設立して100年以上ものあいだ地域住民が運営を続けてきた、他に類を見ない私立図書館」。館内閲覧は無料、館外貸し出し、近隣の小学校への「巡回図書」も開始。
2022年12月15日
【出版界の動き】出版社29社で総販売額の半分・7千億円という寡占化
◆22年10月の出版物販売金額845億円(前年比7.5%減)、書籍484億円(同5.9%減)、雑誌360億円(同9.7%減)。月刊誌296億円(同10.8%減)、週刊誌64億円(同4.3%減)。返品率は書籍34.1%、雑誌43.8%、月刊誌43.4%、週刊誌45.5%。
◆昨年の出版物販売額は1兆4473億円(前年比1.0%減)。そのうち電子媒体の販売金額は4,662億円(前年比18.9%増)、紙媒体と比べて大幅な増加。海賊版サイトの閉鎖措置で、電子コミックの収益が回復。さらに出版各社がネットや映像との融合、デジタルメディアの強化、電子書籍の展開など、新たなビジネスモデルの構築に傾注。
講談社では、企業や団体が販売促進や広告宣伝に役立つサイト『C-station』を展開。またソフトバンクと協業して講談社が運営する「ミクサライブ東京」で、LIVEエンターテインメントコンテンツを展開する。集英社はDeNAと共同会社を設立し、エンターテインメント事業の開拓に乗り出している。
◆日販の「出版物販売額の実態」最新版(2022年版)によると、21年度の出版社数は2907社、売上高100億円以上の出版社は全体の1.0%(29社)、総売上高の52.5%を占める。売上高10億円以上(全体の7.4%)と広げれば総売上高の84.6%となる。売上高1億円未満の出版社が全体の70.3%、それらの売上をすべて合わせても出版物総売上高の2.7%に過ぎない。出版界の寡占化は激しい。
一方、書店の状況はどうか。21年度の書店は 8642店舗。2010年度をピークに店舗数および坪総数が減少しはじめている。ここでも「書店の大型化」が進み大型店舗のみが生き残る事態になっている。町の本屋さんが消失している。
◆紀伊國屋書店は15年連続で黒字決算。今年度期の連結売上高1209億円(前年比4.6%増)、当期純利益20億3200万円(同34.8%増)と大幅に伸長。
◆出版文化産業振興財団の調査で、書店のない市町村が全国で26.2%に上ることが分かった。全国1741市区町村のうち456市町村が書店の空白域となっている。人口減少による経営難や活字離れ、スマートフォンの普及による娯楽の多様化が背景にあり、全国の書店数はこの10年で約3割も減少。地方では文化発信の場が失われる危機が迫る。
全自治体に占める書店ゼロの割合は、トップの沖縄県56.1%、順に長野県51.9%、奈良県51.3%。書店ゼロか1店舗しかない自治体の割合は長野県71.4%(55自治体)、北海道70.9%(127)が高かった。
◆日販とトーハンが2022年の年間ベストセラーを発表。総合1位は、和田秀樹『80歳の壁』(幻冬舎)で発行部数57万5000部。
◆2022年上期の新聞(朝刊)発行部数は、読売新聞686万部、朝日新聞429万部、毎日新聞193万部、中日新聞192万部、日本経済新聞175万部、産経新聞102万部。北海道新聞85万部、東京新聞39万部。
◆昨年の出版物販売額は1兆4473億円(前年比1.0%減)。そのうち電子媒体の販売金額は4,662億円(前年比18.9%増)、紙媒体と比べて大幅な増加。海賊版サイトの閉鎖措置で、電子コミックの収益が回復。さらに出版各社がネットや映像との融合、デジタルメディアの強化、電子書籍の展開など、新たなビジネスモデルの構築に傾注。
講談社では、企業や団体が販売促進や広告宣伝に役立つサイト『C-station』を展開。またソフトバンクと協業して講談社が運営する「ミクサライブ東京」で、LIVEエンターテインメントコンテンツを展開する。集英社はDeNAと共同会社を設立し、エンターテインメント事業の開拓に乗り出している。
◆日販の「出版物販売額の実態」最新版(2022年版)によると、21年度の出版社数は2907社、売上高100億円以上の出版社は全体の1.0%(29社)、総売上高の52.5%を占める。売上高10億円以上(全体の7.4%)と広げれば総売上高の84.6%となる。売上高1億円未満の出版社が全体の70.3%、それらの売上をすべて合わせても出版物総売上高の2.7%に過ぎない。出版界の寡占化は激しい。
一方、書店の状況はどうか。21年度の書店は 8642店舗。2010年度をピークに店舗数および坪総数が減少しはじめている。ここでも「書店の大型化」が進み大型店舗のみが生き残る事態になっている。町の本屋さんが消失している。
◆紀伊國屋書店は15年連続で黒字決算。今年度期の連結売上高1209億円(前年比4.6%増)、当期純利益20億3200万円(同34.8%増)と大幅に伸長。
◆出版文化産業振興財団の調査で、書店のない市町村が全国で26.2%に上ることが分かった。全国1741市区町村のうち456市町村が書店の空白域となっている。人口減少による経営難や活字離れ、スマートフォンの普及による娯楽の多様化が背景にあり、全国の書店数はこの10年で約3割も減少。地方では文化発信の場が失われる危機が迫る。
全自治体に占める書店ゼロの割合は、トップの沖縄県56.1%、順に長野県51.9%、奈良県51.3%。書店ゼロか1店舗しかない自治体の割合は長野県71.4%(55自治体)、北海道70.9%(127)が高かった。
◆日販とトーハンが2022年の年間ベストセラーを発表。総合1位は、和田秀樹『80歳の壁』(幻冬舎)で発行部数57万5000部。
◆2022年上期の新聞(朝刊)発行部数は、読売新聞686万部、朝日新聞429万部、毎日新聞193万部、中日新聞192万部、日本経済新聞175万部、産経新聞102万部。北海道新聞85万部、東京新聞39万部。


